特別インタビュー第16弾 失敗上等!「機会をつかむ力」で成長サイクルが回り出す~株式会社リチカ 代表取締役 松尾幸治さん〜

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明日、今日より少し成長できる。現場で使えるノウハウを先輩から教えてもらう特別企画、第16弾!

今回お話を伺ったのは、株式会社リチカの松尾幸治さんです。累計10億円以上の資金調達を実行している株式会社リチカは、運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」の提供により、毎月2万本以上の動画を世の中に送り出しています。

そんな飛ぶ鳥を落とす勢いで成長されているリチカの創業者である松尾さんに、これまでのキャリアから起業までのエピソード、若い頃の成長に必要な○○力について聞いてきました!

松尾 幸治
1989年生まれ。佐賀県出身。大学卒業後、株式会社ディーノシステムに参画。23歳で取締役に就任し、プロダクト・クリエイティブ部門を管掌。国内最大の経営者動画メディア「社長.tv」の急拡大に携わる。2014年株式会社リチカを創業。制作会社として感じた課題を元に、運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」を開発。デジタル特化のクリエイティブテック集団として、大手企業を中心に400社以上のデジタルコミュニケーション支援を行う。

「ブラック企業」を志願!車中泊で全国開拓も。

ー これまでの社会人キャリアについて教えてください。

私はリチカを創業する前に、会社員として2社経験をしました。まず、新卒の就職活動はリーマンショック、大学卒業が東日本大震災の3.11というタイミングで、「エントリーシートを200社に送ったのに全滅」なんて声も聞くほど厳しい時代でした。

そんな時代にも関わらず、大学時代の私は音楽活動やアルバイトに夢中で遊んでばかりいたので社会人として生きていけるのか、全く自信がありませんでした。考えた結果、とりあえず生き延びるためには「一番しんどい会社に入れば、その後どこに行っても頑張れるのではないか」と閃いたのです。

そこで「ブラック企業」とネットで検索して一番上に出てきた某大手通信会社に就職したのが社会人の始まりです。

ー かなり思い切った選択ですが、実際に入社してみていかがでしたか?

色々ありましたね。入社直前に配属先が東京から福岡に変わったり、入社4日目から「飛び込んで来い!」とエリアの地図だけ渡されて放り出されました。

ビルの1階から最上階まで全ての企業に飛び込む「ビル倒し」をして、もらった地図に「✖️」をひたすら塗りつぶしていく…飛び込み先では怒鳴られることもたびたびでしたが、ほかの会社を知らないので「仕事とはこういうものだ」と思っていたので辛くはなかったです。

そんなとき、ある飛び込み先の会社の社長から「契約するよ」と連絡がきて、喜んで会いに行ったら「うちに来ないか」スカウトされました。

ー 優秀さが伝わったのですね。

イキが良かっただけです(笑)まだ社員数5人ぐらいのベンチャー企業で、営業を増員したかったらしく、タイミングが良かったのだと思います。突然のことでびっくりしましたが、お誘いを受けてから2ヶ月半後に転職しました。

転職を決めた理由は2つありまして、1つは社長自身に惹かれたということ。そこは経営者のインタビュー動画を集めたサイトを運営している会社で、スカウトされたときの言葉がとても印象的でした。

将来のキャリアについて聞かれたので、「せっかくだから自分で何かやれたらって思っています」と答えたところ、「会社員として出世したいなら、今の会社で3年頑張ったほうがいいけれど、起業したいなら社長の価値観をたくさん聞ける環境にいるほうが近道だよね。ウチなら、その環境があるよ」と言われました。その一言が決め手になり「この会社に入ろう」と決めました。

2つ目は、「社員数5人の会社に転職して失敗しても、将来話のネタになって面白いかも」という前向きな気持ちもあって決意しました。今思うと、恥ずかしい話です。

目の前にある仕事で成果を出すことに集中!より大きな仕事を掴む

ー 転職していかがでしたか?

1社目の比ではないほどブラックでした。毎朝7時に出社し、仕事が終わるのは深夜2時3時。会社に寝泊まりすることも多く、家には着替えに戻るだけという生活でしたが、毎日充実してました。

転職して最初に任された仕事は、新規の顧客開拓です。福岡県内の会社に片っ端からアプローチして「社長の動画を取って公開しませんか?」と営業をかけ、受注後はインタビューから動画制作まですべてを担当しました。成果が出ると、どんどん新しい仕事を任せてもらえるのが嬉しかったですね。

その次は「全国展開するから、回ってきて」と社用車の鍵をぽいっと渡されました。それで本当に九州全域から大阪まで車中泊しながら顧客開拓していきました。今思うととんでもない話ですが、当時はめちゃくちゃ楽しかったですね。

業務の拡大に比例し、従業員5人だった会社は2年間で120人まで急成長しました。有難いことに、私も取締役という立場をいただいていたのですが、会社が資本政策などに失敗。ある日突然解散をすることになり、身一つで放り出されました。ここで、起業せざるを得なくなったというのが正直な流れです。

ー 起業テーマは決まっていましたか?

一千人以上の経営者にインタビューをした経験を通じて、「どんなにすばらしいものを持っている会社でも、伝え方次第で世間に認知すらされない」ということに強く課題感を持っていました。

そういう会社は採用も同じで、うまく情報発信できないから優秀な人材が集まらないという負のループに陥ります。この現状をどうにかしたいと思い、情報をもっと簡単に伝えられないのか、動画クリエイティブの力で解決できないか、と考えていました。

そもそもの課題として、動画クリエイティブ制作には時間、人手、お金などさまざまなコストがかかります。そこで、

”クリエイターのノウハウを「民主化」して、クライアント自身が動画を作れるようにすればいいのではないか。なんなら自動で手軽にできるようにすればもっと使いやすくなる

と考えました。

そこでリチカは、企業のニーズを徹底的に拾い上げるため、クリエイティブエージェンシーとしてスタートすることにしました。クリエイティブ制作に関連する業務を引き受けて、現状をしっかり把握したかったからです。そこで拾い上げた状況から、動画プラットフォームのサービスが生まれ、今でもブラッシュアップし続けています。

最近では広告に特化した運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」をリリースしました。構想して1カ月でプロトタイプを作り、リリースしたところ1週間で100件以上の問い合わせが入り、反響の高さに驚きました。

株式会社リチカ
2014年10月設立。マーケティングに特化した運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」の開発、動画を軸とした情報のDX支援、コンサルティングなどを行う。

ー すごいですね!そんな成長企業の経営者として仕事のやりがいはどんなところにありますか?

2つありまして、1つ目は世の中にある全ての企業が抱える課題を解決できる会社であること。どんな企業でも、クリエイティブによる情報配信は必要な業務です。業種業態も問わず、規模も関係ない。あらゆる企業の課題に関わるサービスを提供できる会社は多くありません。そんな会社であることを誇りに思っています。

2つ目は成果を実感できるときですね。成果とは、実際にリチカで作られたクリエイティブの定量的な話と、お客様の課題解決を実現しているという定性的な話です。

定量的な面では、クリエイティブは、効果が目に見えやすいものです。例えば広告を出稿すれば、リーチした人数、反響があった人数も数字で確認できます。また一般ユーザー(視聴者)のダイレクトな反応もつかみやすく、手応えを感じやすいのもやりがいに繋がります。

定性的な話で言うと、弊社のサービスで作られた動画を目にする機会が増えたことですね。例えば、渋谷のスクランブル交差点のサイネージや、ローカルテレビのCM、山手線内のサイネージなどでも流れています。リチカが広まっている!ではなく、”クリエイティブの力を活用してやりたいことを実現する企業が増えている” を実感できていることが何より嬉しいです。

「機会をつかむ力」で成長のサイクルを回せ

ー それでは若手のビジネスパーソンが早くから身につけておいた方がいい○○力を教えてください。

「機会をつかむ力」です。

私自身の経験からですが、やったことのない仕事やチャレンジングな役割にも臆せず、まずは任された仕事の成果をあげることに集中してきました。そこで成果をあげれば次の機会が必ずやってきます。これを積み重ねることで、やってくる機会の数も質もどんどん上がっていきます。

自分自身がこれだ!と思える仕事に辿り着ける機会も増える。機会を掴めるのは、仕事をしっかりやりきった人にしか訪れません。この姿勢が、今の自分自身の糧となっていることは強く実感しています。

人は挑戦して、失敗し、学ぶ、という過程を繰り返して成長できるものだと思います。座学でどんなに学んだところで、経験には敵いません。若手時代は「あの仕事は苦手だ」「この仕事は気が乗らない」と思うことが多いかもしれませんが、まずは与えられた仕事はとりあえずやってみること

目の前のことに集中して頑張れば、きっと成果はついてくる。どんな経験でも、かならず学びがあり、次につながるはずです。機会をつかむために、どんなことでもまずは無心でやってみると見えてくるものがあるかもしれません!

ー 仕事では成果に繋げることも大切だと思うのですが、そのためにやっておくべきことはありますか?

「スゴい人の仕事のやり方や考え方を学ぶ」ですね。勉強ができる人は効率的な学習法を習得するのが早いと聞いたことがあります。仕事も同様で、よりクオリティの高い仕事の仕方や思考法を学ぶことで、8割方はうまくいくのではないかと思っています。

誰しも仕事で悩んだり、迷ったりすることは多いものですが、大半の場合、先輩たちも同じようなことで悩み、迷い、そして乗り越えているはずです。そのやり方を学び、そのまま実践してみると意外にすんなり解決できることが多いなと経験上、実感しています。

今の若手の方々は、VUCA(変化が著しく今後の予測が難しい)と言われる時代に生き延びていかねばならず不安要素が多いですよね。過多な情報に囲まれ、働く環境も、業態も変化していく中で、先人の経験談など役に立たないと考える人もいるかもしれません。

でも、確固たる正解を得にくい時代だからこそ、色々な経験をしてきた先輩たちの「HOW」は重要です。時代やサービス、環境は変わっても、物事の本質的な部分は変化しません。まっさらな気持ちで先輩たちのノウハウをインプットすることを試してみるのはいかがでしょうか。

ー ちなみに松尾さんはどんなとき、どんな人に、どう聞いていますか?

悩んだり、迷ったりしたら、その領域で「すごい」と思う人に素直に聞いてしまいます。社内の先輩でも、社外の知り合いでも、答えを持っていそうな人であればだれでもOK。「〇〇について悩んでいるんですけれど、△△さんはどうやっていますか?」とストレートに質問しに行きましょう。

納得できる答えをもらったら、まずはアレンジせず、そのままやってみる。やってみて必要な部分だけアレンジをする。その後、また壁にぶつかったら、また聞く、やる、を繰り返します。大概の悩みは意外と解決できるのだとわかったら、チャレンジすることも怖くなくなりますよ。

ー まずは目の前の仕事に集中し、成果をあげること。悩んだときは先輩方から学び、実践する。成果をあげたら次の機会を積極的に作りにいく、この循環をスピード感もってまわしていくことで成長に繋がるんですね。

松尾さん、今日は本当にありがとうございました。

取材:伊藤理子
編集:BizLog編集長 大久保佳美

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