明日、今日より少し成長できる。現場で使えるノウハウを先輩から教えてもらう特別企画、第18弾!
本日お話を伺ったのはマネックスゼロ室の室長、万代惇史さんです。万代さんにはマネックスグループの中でも異色の取り組みを行っているマネックスゼロ室について、今後の方向性、新規事業立ち上げを通じて成長に必要だと感じる○○力について聞いてきました!
万代 惇史
東京大学卒業後、新卒で2014年マネックスグループ入社、2017年マネックスグループ内で新規事業を立ち上げるゼロ室発足に携わり、現職は室長。
ー まずはマネックスグループに入社された経緯を教えてください。
2014年4月にマネックスグループに新卒で入社しました。入社時はマネックスと言えばネット証券でしたが、2016年からネット証券以外の新規事業を立ち上げようということで世の中の状況をリサーチするプロジェクトが始まりました。
キーパーソンへのインタビューや書籍を通じたインプットをしていく中で、ブロックチェーンの可能性などが改めて認識され、現在のマネックスグループの姿へと繋がっていきました。
また、その他にもいくつかの可能性が発見された中で、面白そうなアイデアをライトに検証・事業化できる組織があっても良いのではないか、という考えから2017年にマネックスゼロ室が発足しました。
まさに今は思いつきや事業アイデアを試してみたり、簡単なサービスとしてリリースしてみて市場の反応をみたり、試行錯誤しながらチャレンジしています。
マネックスゼロ室
マネックスグループにおいて、証券の枠を超えて新規ビジネスを創出するために発足した。名前の由来は、「0⇒1で新たなサービスを生み出していこう」
ー ゼロ室の立ち上げから参画されていたのでしょうか?
そうですね。2016年に新規事業の立ち上げということで人々にヒアリングしたときから参加していて、その流れでそのままゼロ室に入り、2019年から室長という立場を任せていただきました。
ー 2016年の発足から約5年ということですが、マネックスゼロ室ではどのような取り組みをされているのでしょうか?
今まで4つほどあります。今でもあるのが「Cheeese(チーズ)」という元手なし、本人確認なしで始められるビットコインのサービスです。
あとは、サービス終了していますが、「LOOKBLOCK(ルックブロック)」というブロックチェーン関連企業やプロジェクトの有料データベース、「Block Insight」という仮想通貨関連のメディア、「Monex Crypto Gift」という暗号資産をプレゼントできるギフトカードなどもやりましたね。
他にも、少し変わったものだと、株式マーケットを実況中継するAIを研究的につくってみる等のプロジェクトもありました。その他、ゼロ室におけるリサーチ等からM&Aに繋がったものもあります。
ー アイデアはどのように集めているのでしょうか?
色々ですね。経営陣からお題をもらうこともあるし、ゼロ室内で思いついて作ってみることもあれば、外部の方から一緒にやりませんかとお話をいただくこともあります。
例えば技術に強いスタートアップの企業から、なにか一緒にできないかとお声がけいただいたときに、テスト的にゼロ室と一緒にやるところからスタートしましょうということもでき、マネックスグループとして今までにない広がりが作れるようになりました。
マネックスゼロ室が積極的にインターン募集する理由とは
ー ゼロ室ではインターン生を積極的に募集していきたい、と伺いました。どのようなことを任せてもらえるのでしょうか。
そうですね。Wantedlyや関係者のSNSで不定期に募集を出しています。僕たちは、大きく育つ可能性がある事業チャンスを見つけたい。そのためには、もっと多くの仮説やアイデアをスピーディに試す必要があります。
今も数人のインターン生が参加してくれていますが、やる気があり、柔軟な発想をもつ若いメンバーが来てくれれば、もっと検証や事業チャンスをみつけるスピードを加速させることができると期待しています。
新規事業の立ち上げ、というとハードルが高く聞こえますよね。また若いうちからやるには資金面や人手、ネットワークという面でもなかなか難しい。
でも、せっかくアイデアがあるなら、僕らがサポートするので、まずはリスクをコントロールしつつ、プロトタイプを作ってリリースしてみたり、事業の検証から始めてみてもらえばいい。
実際、参加してもらったあとは、アイデアを出して、実際に仮説検証やニーズ検証するところからスタートします。
ー 起案されたプロジェクトありきでインターン生を募集する流れでしょうか?
逆ですね。基本的には、自分で考えたい人やビジネスアイデアを持っている、主体性のあるインターン生を募集しています。
ー 学生が持ち込んだアイデアをマネックスグループでサポートしてくれるということでしょうか?すごいですね!
はい、具体的にやってみたい事業を持っている方には、有意義にご活用いただけるのではないかと思います。ゼロ室での取り組みなら、立ち上げの段階で起業をする必要もないし、いきなり資金を調達して投資家への責任を負う必要もありません。
ただ、適当にやっても検証にならないし、学びも得られないので、僕やマネックスベンチャーズ代表の和田等とも企画について議論をしたり、本人の気持ちや熱量を確認させていただいた上で進めていくという流れになります。
ー 今も公募されてますか?
今現在は行ってないです。でも具体的なアイデアがある方はいつでもお待ちしていますので気軽に問い合わせてほしいです。
ちなみに、企画を考えるビジネスサイドの方からの問い合わせが多いのですが、エンジニアリングが発生するものが多くあります。
今後はエンジニア志望の方で、自分自身でアイデアはないけど、新規事業を体験してみたい、この領域で勉強したい、このコード書いてみたいという方にもぜひ参加して頂けるような仕組みも考えていきたいと思っています。
ー 万代さん自身もインターンを経験されましたか?
はい。僕も大学時代にIT系の会社で営業やマーケティングやWEBメディアなど広範囲にわたって携わらせてもらいました。小規模な会社だったので、ガチガチにやることが決まってるわけではなく柔軟に色々とチャレンジさせてもらえたこともよかったなと思います。
学生の頃、何となく社会人はすごいというイメージがあるじゃないですか。でも、実際にインターンを経験してみたら、いい意味で仕事するって普通だなと思いました。
仕事をすることを体験して、できるという実感も持てたので安心して社会に出ることができた。個人的には、働いて良かったなと思っていますし、お世話になった会社には感謝しています。
成長する人材に必要な「行動を起こす力」
ー 今までのインターン生をみてきて、事業を立ち上げに向いている人材の共通点はありますか?
2つあって、1つ目は事業をやりたいという熱意があること、2つ目は数字を見る力があることですね。
まず、何を始めるにしても「やりたい」という気持ちが大切で、そうじゃないと行動に繋がりません。かといって、熱意だけでは抽象的でふわふわして終わってしまうためビジネスを進めていく上で数字で理解・検証できる素養も絶対に必要です。
僕たちが募集しているインターンは、教えてください!という受身な人には向いていないのかなと思います。新規事業のインターンは、手取り足取り業務を教える類のものではないので、「次は何をすればいいですか」というスタンスだとマッチしないと思います。
まとめると、一定の数字を見る力を持ちながら、ガチガチに論理的になりすぎず、ナチュラルに「やりたい」という気持ちをもって主体的に行動を起こせる人、がいいと思います。
ー 今のお話にでてきた必要な力の中で、何が一番大切だと思います?
力とは少し違いますが、「本当にやりたいかどうか」ですね。
先ほどもお伝えしましたが、結局、本人がどれだけやりたいと思ってるかというのが第一ステップです。
ニーズがあるかどうかは検証してみないと分かりませんが、本人が実際に誰かに使ってみてほしい、すごく面白いと思ってる企画であれば、ニーズがあるかどうか分かるところまで主体的にやりきるだろうし、ニーズがあると分かれば、もっとやりたくなると思います。
言い換えると、検証として成立すると思いますし、予算をつける意味もあるし、僕らもサポートしやすいです。自分自身でどんどん進めて、失敗しても振り返って学びをもって次の行動に繋げられるだろうと思います。
でも、本人がそもそも企画を自分で「面白い」と思っていなかったり、なんとなく世間の風潮の影響を受けて新規事業をやりたいと言っているけれど、本当の本心では事業立ち上げをしたいとは思っていなければ、予算があっても、「次は何したらいいですか?教えてください。」ということになってしまう。
そういう方は、新規事業を担当するのは厳しいと思います。別に新規事業をやることが他の仕事に比べて素晴らしいということでもないので、自分の性格とあってない場合は、無理に事業の立ち上げやらなくても良いと思います。
ー万代さん、貴重なお話ありがとうございました!
ゼロ室のユニークな取り組み、アイデアのある方には非常に魅力的なお話ですね。起業を考えている場合はマネックスグループへの窓口になるかもしれません。ぜひアイデアのある方は気軽にゼロ室に問い合わせしてみてくださいね。
取材/文:BizLog編集長 大久保佳美