「来られる」の意味と使い方|類語「来れる・いらっしゃる」との違い、正しい敬語表現も解説

来られる

「来る」の尊敬語「来られる」は、類語の「いらっしゃる」「お見えになる」などとともにビジネス場面でよく使われる表現です。似た表現に「来れる」がありますが、違いはあるのでしょうか。「来られる」の使い方や類語、英語表現などを解説します。

目次

「来られる」の意味とは?

「来られる」の意味とは?

「来られる」は「来る+られる」で構成され、動詞「来る」に助動詞「られる」が接続した表現です。助動詞「られる」には「尊敬」「可能」「受け身」「自発」の4つの意味がありますが、「来られる」と表現した場合には、文脈によって「尊敬」「可能」「受け身」の3つの意味を持ちます。それぞれの意味を例文とともに紹介します。「来られる」が「尊敬」「可能」「受け身」のどの意味で使われているかは文脈によって判断します。

尊敬の意味

助動詞「られる」が「尊敬」の意味で使われると、「来られる」は「尊敬」の意味になります。以下のように使います。

・社長が本社から来られる。
・お客様は10時に来られる予定です。
・来られる際は資料をお持ちください。

「尊敬」の意味を持つ場合は、必ず敬意を払う対象が存在します。上記の例文の「社長」や「お客様」にあたる人物です。「来られる際は資料をお持ちください。」のように敬意の対象が文章中には出てこない場合もありますので注意しましょう。

可能の意味

助動詞「られる」が「可能」の意味で使われると、「来られる」は「来ることができる」「来ることが可能だ」という「可能」の意味になります。以下のように使います。

・明日のイベントに来られますか。
・9時までに来られますか。

近年では、日常会話において「来れる」の表現をよく見かけます。後述しますが、「来れる」は「ら抜き言葉」といわれる誤用です。しかし、上記の例文の「来られますか」のように、「尊敬」と「可能」のどちらの意味に取るのか判断しにくい場面では、あえて「来れますか」と「ら抜き言葉」にすることで「可能」の意味だと判断しやすくなることもあります。

受け身の意味

助動詞「られる」が「受け身」の意味で使われると、「来られる」は「受け身」の意味になります。以下のように使います。

・試験前に遊びに来られて迷惑だ。
・犬に寄って来られて怖かった。

「受け身」の意味の「来られる」は、ほかから何かをされる場面で用いられます。

「来られる」の敬語の種類は?

「来られる」の敬語の種類は?

敬語には主に「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があります。「尊敬語」は相手を直接高める表現、「謙譲語」は自分を低めて間接的に相手を高める表現、「丁寧語」は言葉を丁寧にして相手に敬意を表す表現です。「来られる」の敬語の種類などについて解説します。

「来られる」は「来る」の尊敬語

「来られる」は尊敬の意味を表す助動詞「られる」を用いた表現で、「来る」の尊敬語です。「来る」の尊敬語には、「来られる」以外の表現もあります。尊敬の意味を表す動詞を使う表現として「いらっしゃる」や、「お―になる」の表現として「お見えになる」「お越しになる」「お出でになる」です。

「来る」の謙譲語は「参る」

「来る」の謙譲語は「参る」です。以下のように使います。

・担当者が参りますので、しばらくお待ちください。
・迎えのタクシーが参りました。

「来れる」はら抜き言葉

「来れる」はら抜き言葉

「来られる」とよく似た表現に「来れる」があります。「来られる」の「ら」を省いた表現で、一般的に「ら抜き言葉」と呼ばれます。文法的には間違いですが、コミュニケーションにおいて正確に意味を伝える点では、日本語が変化する過程だとする見方もあります。

「ら抜き言葉」は、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の動詞に、可能の意味の助動詞「られる」が接続した場合に、「ら」が脱落した表現で、「来れる」のほかに「見れる」「食べれる」などがあります。文献上は大正から昭和にかけて見え始め、戦後になって使用が目立つようになりました。

・明日のイベントに来られますか。/明日のイベントに来れますか。

上記の表現において、「明日のイベントに来られますか。」では、尊敬の意味にも可能の意味にも取れます。しかし、「明日のイベントに来れますか。」では、可能の意味だけを伝えられます。「ら抜き言葉」は文法的には誤りですが、意味を一通りに伝えられる点ではコミュニケーションの効率がよくなるので、使用が広まったと考えられます。「ら抜き言葉」は、現代では日常会話でよく使われる表現ですが、正式な場面や書き言葉では使わない方が無難でしょう。

「来られる」の使い方と例文集

「来られる」の使い方と例文集

「来られる」の使い方を、例文を踏まえて見ていきましょう。

「来られる」の使い方

「来られる」は尊敬の意味以外にも、可能や受け身の意味があります。文脈によって意味を判断する必要があります。

「来られる」を使用するときの注意点

「来られる」は意味が複数ある表現です。「明日は来られますか。」などの表現では、尊敬の意味なのか可能の意味なのか判断しにくいこともあります。相手に誤解なく伝えたい場合は、「来られる」の代わりに「いらっしゃる」「お見えになる」「お越しになる」「お出でになる」の表現を使用してもよいでしょう。「来られる」は「来」の漢字が使われるため、メールや文書などの書き言葉では意味が伝わりやすいです。

「来られる」の例文

「来られる」の例文をいくつか紹介します。

・来月は本社から社長が視察に来られる。
・会場に来られる際は気をつけてお越しください。
・イベントに来られる方は事前に郵送した参加証をお持ちください。

「来られる」の類義語・言い換え表現と例文集

「来られる」の類義語・言い換え表現と例文集

尊敬語は「来られる」のように尊敬の意味を表す助動詞を使う表現以外に、尊敬の意味を表す動詞を使ったり、「お―になる」の形で表現したりします。「来られる」の類義語・言い換え表現として「いらっしゃる」「お見えになる」「お越しになる」「お出でになる」の4つを紹介します。

「いらっしゃる」の使い方と例文

「いらっしゃる」は「居る」「来る」「行く」の尊敬語で、日常会話でもよく使われる表現です。文脈によって意味を判断します。ビジネス場面でも使いこなせるようにしましょう。以下のように使います。

・こちらにいらっしゃるのが佐藤さんです。(「居る」の尊敬語として使用)
・本社から社長がいらっしゃいます。(「来る」の尊敬語として使用)
・東京にいらっしゃったら、よろしくお伝えください。(「行く」の尊敬語として使用)

「お見えになる」の使い方と例文

「お見えになる」は「来る」の尊敬語で、相手(訪問者)の到着を自分側(訪問される側)の視覚に基づいて表現する語です。単に「見える」や「お見えです」とも表現します。以下のように使います。

・社長がお見えになりました。
・林先生が見えました。
・お客様はすでにお見えです。

「お見えになる」は謙譲表現や依頼表現とはなじみません。以下のような表現では「いらっしゃる」「お越しになる」「お出でになる」のいずれかと置き換えましょう。

×14時ころお見えください。→〇14時ころいらして[お越し/お出で]ください。
×本日はお見えいただきありがとうございます。→〇本日はいらして[お越し/お出で]いただきありがとうございます。

「お出でになる」の使い方と例文

「お出でになる」は「居る」「来る」「行く」の尊敬語で、フォーマルな場面でもよく使われます。以下のように使います。

・会長がお出でになります。
・どうぞこちらへお出でください。

「お越しになる」の使い方と例文

「お越しになる」は「来る」の尊敬語で、「お出でになる」より敬意が強い表現です。名詞化して「お越し」と使う場面もあります。以下のように使います。

・来月の会合にはお越しになりますか。
・皆様のお越しをお待ちしております。

「来られる」の英語表現

「来られる」の英語表現

「来られる」は「来る」の尊敬語ですが、英語には尊敬の意味を表す別の語は存在しないため、文脈に合う動詞をあてはめることになります。「来る」にあたる英語の動詞は「come」や「visit」ですが、文脈によって「到着する」の「arrive」「reach」を用いることもあります。以下のように表現します。

・Mr. Sato has arrived.
(佐藤さんが来られました。)
・The Mayer is scheduled to reach the site for the ceremony by 9:00.
(市長は9時までには式場に来られる予定です。)
・Do you have any plans to come here in the near future?
(近いうちにこちらに来られる予定はありますか。)

まとめ

「来られる」は「来る」の尊敬語で、「いらっしゃる」「お見えになる」「お越しになる」「お出でになる」の類語表現も合わせてビジネス場面でもよく使われます。よく似た表現の「来れる」は「ら抜き言葉」で文法的には誤りですが、話し言葉では「来ることができる」の可能の意味を表す表現としてよく見かけます。「来られる」は複数の意味を持つ表現のため、相手に誤解なく伝えたい場合は「お越しになる」などの表現で言い換えるなど、臨機応変に対応しましょう。

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