グローバル化やインターネットの発展に伴って、海外とやりとりをする機会が増えてきました。この記事では、英語圏のファーストネームがもつ意味合いや他の名前との関係性を解説し、ビジネス現場でも重要となる英語名のルールやマナーを紹介します。
「ファーストネーム」とは
海外旅行や海外のウェブサイトなどで、英語の名前を表記するときに first name(ファーストネーム)という単語を見聞きしたことがあるでしょう。また、近年はビジネスで海外とやりとりをする人も増えてきました。海外で使われているファーストネームとは、名前のどのような要素を示しているのでしょうか?
「ファーストネーム」は名前のこと
ファーストネームとは、海外の主に西洋文化圏における人名を構成する要素のひとつです。個人名を指す表現で、日本でいうところの苗字と名前の「名前」にあたります。ファーストネームの概念は欧米の特に英語圏やキリスト教圏で強く意識されますが、名前の表記としては世界的に認知されています。
「ファーストネーム」の例
西洋の名前は日本人の名前と比べて種類は少ないのですが、それでも多様な名前をもっています。英語圏におけるファーストネームの使用例をみてみましょう。
女性では、Sophia(ソフィア)、Emma(エマ)、Isabella(イザベラ)、Amelia(アミリア)、Layla(ライラ)、男性なら、Jackson(ジャクソン)、Noah(ノア)、Caden(ケイドン)、Lucas(ルーカス)、Oliver(オリバー)などがあります。
「ファーストネーム」の使い方
個人の名前を表す「ファーストネーム」ですが、英語圏ではファーストネームの使い方には、一定の法則やルールがあります。どのようなものなのか紹介します。
英語圏では名前からはじまる
日本や中国、韓国などの東アジア圏やベトナムやインドの一部では苗字を最初に呼び、次に名前を呼びますが、欧米ではほとんどの国で名前を最初に呼んでから次に苗字を呼びます。これは書式でも同様で、地域や文化による差異のひとつでもあります。
書き出しは大文字から
欧米などの英語圏で名前の書き方には共通するルールがあります。それは名前の書き出しは必ず大文字で表記することです。これは人の名前だけではなく、国名や地域名など固有名詞すべてに当てはまる法則です。ファーストネームの最初の文字は大文字になりますので、忘れないように注意しましょう。
「ラストネーム」とは
英語圏において「ファーストネーム」と同様に「ラストネーム」(last name)があります。ラストネームもファーストネームと同じく名前に関する表現ですが、どのような意味をもつものなのでしょうか?
「ラストネーム」は苗字のこと
ラストネームとは日本でいうところの苗字にあたる名前です。英語圏での姓は1,600年代あたりから一般に使われはじめたといわれています。ラストネームは家族の名前でもあるので、「ファミリーネーム」と呼ばれることもあります。
「ラストネーム」の例
ラストネームは地理や場所、職業などにちなんでつけられているケースが多くあります。英語圏におけるラストネームの例をみてみると、地理的な特徴をもつラストネームには、Bush や Forest、Fields などがあります。
また、職業にちなむラストネームにはパン屋をあらわすBaker や、鍛冶屋の Smith などがあり、そのほかにも外見的な特徴にちなんだWhiteheadやYoungなど、さまざまなラストネームがあります。
「ラストネーム」の使い方
苗字を表す「ラストネーム」ですが、英語圏ではファーストネームと同様にラストネームの使い方にも法則やルールがあります。どのようなものなのか紹介しましょう。
「ラストネーム」は「ファーストネーム」の後にくる
英語圏ではラストネームは通常、ファーストネームの後におかれます。名前が先で苗字が後にくるので、日本の名前の呼び方とは逆になることが一般的です。ファーストネームと同様に、ラストネームも書き出しは大文字からはじまります。また、パソコンの英語表記で名前を入力する場合は、ファーストネームとラストネームのあいだに半角スペースを入れましょう。
「ラストネーム」が先になることも
アジア圏でも中国や韓国のように、名前を英語表記する際に欧米とは逆に姓を先、名を後に表記する国があります。日本でも日本人の英名表記を従来の欧米型から、姓が先にくるアジア式に変更することが政府によって決定されました。この取り決めは2020年から実施され、日本における公文書などの英名表記はラストネームが先になります。
「ファーストネーム」と「ラストネーム」の違いと忘れない覚え方
実際にビジネスの現場でファーストネームとラストネームを混同してしまったり、忘れてしまったりというトラブルがよくあります。これらのトラブルを事前に回避するために、ファーストネームとラストネームの違いを明確にし、それぞれの名前が個別にもっている意味を理解しておく必要があります。以下に代表的なファーストネームがもつ意味を紹介しますので、参考にしてください。
女性によくあるファーストネームの意味
女性によくあるファーストネームの意味を紹介します。
Sophia:知恵・技術
Emma:完全な
Isabella:神への貢献
Amelia:努力、懸命
Layla:島の子
男性によくあるファーストネームの意味
Jackson:ジャックの息子
Noah:聖書の中の人物
Caden:戦いの魂
Lucas:明るい・輝く
Oliver:栄え・尊厳
ここで紹介した名前の意味は、英語圏の名前のほんの一部でしかありません。もし初めて聞く名前の外国人と知り合ったら、最初にファーストネームのもつ意味を聞いてみるとよいでしょう。意味を知ることで、その人物と名前を覚えられます。さらにその後のコミュニケーションも円滑になるでしょう。
「ミドルネーム」「セカンドネーム」とは
英語圏の名前にはファーストネームとラストネームのほかにも、「ミドルネーム」「セカンドネーム」があります。ミドルネームやセカンドネームにはどのような意味や役割があるのか解説します。
「ミドルネーム」には幅広い意味合いがある
ミドルネームとは、ファーストネームとラストネームの間におかれる名前を指します。一般的に祖先の名前や母方の旧姓、キリスト教における洗礼名などがミドルネームとしてつけられます。
また、ミドルネームは省略形がしばしば用いられ、イニシャルで表現されることもあります。2021年現在、日本の法律では日本人はミドルネームをつけられませんが、海外に出生届を提出していると認められるケースがあり、この場合はファーストネームの一部という扱いになります。
「セカンドネーム」は欧州でファーストの次につく名前
セカンドネームとは、ヨーロッパ地域におけるミドルネームのことを指します。ミドルネームは北米での呼び方で国によって有無は分かれますが、イギリスをはじめとするヨーロッパ地域ではファーストネームとラストネームの間につける名前を「セカンドネーム(second name)」と呼ぶ傾向があります。
「ミドルネーム」「セカンドネーム」の使い方
ここからはミドルネーム・セカンドネームの詳細なルールや使い方をみていきましょう。
「ミドルネーム」はファーストとラストの間に置く
ミドルネームはその名が示すように、通常ファーストネームとラストネームの中間におきます。ミドルネームの例としては、元アメリカ大統領のバラク・オバマ氏は「フセイン」というミドルネームを持っており、本名はバラク・フセイン・オバマです。同じく元大統領のジョージ・W・ブッシュ氏の「W」は、ミドルネームのイニシャルで「ミドルイニシャル」と呼びます。ミドルイニシャルは通常そのままアルファベットで発音します。ちなみにブッシュ氏の本名はジョージ・ウォーカー・ブッシュです。
「ミドルネーム」「セカンドネーム」は複数つくこともある
ミドルネームやセカンドネームは同姓同名の個人を特定したり、祖先の名前を表したりするものですが、これらの名前は2つ以上複数個つけられます。また、家族によってはミドルネームをつけない家庭もあります。さらに国や地域によっては、ミドルネームの位置が前後にずれることもあるので注意が必要です。
「ファーストネーム」と記号のルール
ファーストネームを表記する場合にぜひ知っておきたいルールがあります。それは「.(ピリオド)」や「,(カンマ)」を用いた表現で、それぞれが固有の意味合いをもっています。英語圏で名前を表記するときに大変有効に使えるルールなので、ここに紹介します。
ピリオドには省略の意味がある
英語名においてファーストネームやラストネームをイニシャルで表記した後に、「.(ピリオド)」をつけることがあります。このピリオドには「省略しています」という意味があり、たとえば「Taro Yamada」であれば省略形は「T.Y.」と表記します。
カンマには逆転の意味がある
同じく英語の名前表記では「,(カンマ)」をつけて、「ファーストネームとセカンドネームを逆にしています」という意味を表せます。例として「Suzuki, Yoshio」と表記すれば、SuzukiがラストネームでYoshioがファーストネームであると理解されます。「,(カンマ)」はファーストネームとラストネームの順番が逆の国にとって、大変有効に使える表現です。
「ファーストネーム」「ラストネーム」「ミドルネーム」の英語表現
ファーストネーム、ラストネーム、ミドルネームにはそれぞれ異なった意味合いがありますが、さまざまな英語表現もあります。
名前を表すファーストネームには、キリスト教の洗礼名であるという意味の Christian name(クリスチャンネーム)や、親や信頼できる人から与えられる名前の Given name(ギヴンネーム)、個人的な名前という意味の Personal name (パーソナルネーム)などがあります。
また、ラストネームには、家族の名前である Family name(ファミリーネーム)や、名前の上にあるという意味の Surname(サーネーム)といった呼び方があります。
さらにミドルネームにも前述したセカンドネームのような表現もあり、英名表記の幅の広さがうかがえます。
「ファーストネーム」を使うときのマナーと注意点
海外とのビジネスでは、相手に対して気を配るべきことがいくつもありますが、ファーストネームに関しても気を付けたいマナーがあります。特に敬称や性別に関してはマナーが求められますので、理解しておきましょう。
「ファーストネーム」と「ラストネーム」を間違わない
英語で人名を表記する場合に最も気を付けなければならないのが、相手のファーストネームとラストネームを間違えないようにすることです。特に敬称を付けるようなケースでMrやMsの後にファーストネームをつけてしまうと、相手に対して大変失礼になります。敬称の後は必ずラストネーム(苗字)がくるように注意を払いましょう。
ジェンダーや多様性に配慮する
近年では、世界的にジェンダーギャップ(性差)の問題が大きく取り扱われています。これはビジネスの現場にもいえることで、性別の表記にも気を配らなくてはいけません。かつて英語圏では女性の敬称に既婚女性を表すMrs(ミセス)と、未婚女性を表すMss(ミス)という2つのパターンがありましたが、現在では全ての女性の敬称はMs(ミズ)で統一する考えが主流です。うっかりMrs(ミセス)など使ってしまうと、意識の低い人間だと認識されかねないので気を付けてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回はファーストネームについて解説しました。
名前の表現は時代の流れとともに常に変化しています。英語での名前表記もさまざまですが、ファーストネームはその人自身を表す大切な名前です。海外とのビジネスのコミュニケーションを円滑にするためにも、ファーストネームやラストネームの知識はもっておきましょう。
最後に「ファーストネーム」のまとめです。
- ファーストネームとは、海外の主に西洋文化圏における人名を構成する要素のひとつです。
- 英語圏ではファーストネームの使い方には、一定の法則やルールがあります。英語圏では名前からはじまり、書き出しは大文字からです。
- 英語圏において「ファーストネーム」と同様に「ラストネーム」(last name)があります。ラストネームとは日本でいうところの苗字にあたる名前です。
- 英語圏ではファーストネームと同様にラストネームの使い方にも法則やルールがあります。
- 英語圏の名前にはファーストネームとラストネームのほかにも、「ミドルネーム」「セカンドネーム」があります。ミドルネームとは、ファーストネームとラストネームの間におかれる名前を指します。セカンドネームとは、ヨーロッパ地域におけるミドルネームのことを指します。
- 「.(ピリオド)」や「,(カンマ)」を用いた表現で、それぞれが固有の意味合いをもっています。
- MrやMsなどの敬称の後は必ずラストネーム(苗字)がくるように注意を払いましょう。