ビジネスシーンでの「フィードバック」とは、上司が部下に仕事内容の評価を伝え返すことをいいます。また、消費者が製品やサービスの評価を企業に伝える、SNSなどに感想を投稿することも「フィードバック」です。
「フィードバック」の意味とは?
「フィードバック」とは、元々はITや工学分野での「出力したものを改善する目的で入力側に返すこと」を指す言葉です。現在はそこから転じて、ビジネスシーンでも使われています。
1.ITや工学分野では「出力されたものを入力側に返す」
ITや工学分野での「フィードバック」とは、出力されたものを入力側に返すことをいいます。出力されたものを返すのは、改善や調整、修正のためです。また、制御工学の基本的技術の「フィードバック」は、出力した電気が入力側に戻ったときに、出力が増減することをいいます。システム全体を安定させるには、「フィードバック」を制御して少なく抑えることが大切です。
2.ビジネスシーンでは「行動の評価を伝える」
ビジネスシーンでの「フィードバック」とは上司が部下の行動を評価し、内容を伝えることです。評価は部下の昇進と昇給に反映するだけでなく、部下への賞賛と指摘などを具体的にするのにも用いられます。ポジティブな「フィードバック」は部下によい作用を、一方でネガティブな「フィードバック」は行動を抑止する可能性があるので、言葉は慎重に選ぶ必要があります。
3.顧客や消費者が「製品やサービスの感想を企業に伝える」
顧客や消費者が製品やサービスについての感想や意見、要望などを企業に伝えることも、「フィードバック」です。メールや電話などで直接企業に伝える、SNSなどで発信するなどの手段があります。企業は顧客や消費者からの意見を、商品やサービスの改善に活かせます。
「フィードバック」の由来・語源
カタカナ語の「フィードバック」の語源は英語の「feedback」です。「意見」と「反応」、「帰還」などの意味を持ちます。
・consumer feedback(消費者の反応)
・Following comments or feedback reflect.(コメントやフィードバックを反映させる)
・Please feel free to send me your feedback.(遠慮抜きに感想をください)
「フィードバック」の類義語・言い換え
「フィードバック」の類義語には、「批評」や「批判」、「意見」のようなものごとについて評価をし、述べることを意味する言葉があります。また、本来の状態に戻すためにととのえる「調整」と、反作用や反応をいう「リアクション」も「フィードバック」の類義語です。
1.批評
「批評」とは、ものごとの是非や良し悪しについて評価し、述べることをいいます。一般的には良い部分は評価し、悪い部分はきちんと指摘するニュアンスをもつ言葉です。ものごとを個人的な判断で評価するのではなく、背景や理由を含めて考え、客観的に判断します。人物に対してのみでなく、音楽や文芸、美術作品などにも使われます。
2.批判
「批判」とは、ものごとの是非や良し悪しを調べ、判定することです。批評して判定することも「批判」にあたります。「批判」の本来の意味では、結果となる判断がポジティブとネガティブのどちらにもなる可能性があります。ですが悪い点や間違いを指摘し、大げさに言うときにも「批判」が使われているので、ネガティブなイメージの方が強いかもしれません。
3.意見
「意見」とは、ものごとについて自分の評価や考えを述べることです。客観的ではなく、一個人が主観的な考えを述べるときに用います。また、他人に自分の考えを伝えて改善を働きかける、忠告する意味も持ちます。建設的な内容の「意見」でないと、聞き手は忠告を受けたとは思えず、個人的な感想や批判ではないかと受け取る可能性があります。
4.調整
「調整」とは本来の状態に戻すため、手を加えて整えることをいいます。「調」は「まとめる・ととのえる」、「整」は「乱れと過不足を正してととのえる」意味をもつ言葉です。元に戻すだけではなく、整えて偏りをなくすときにも「調整」を用います。
5.リアクション
「リアクション」は、反作用や反応を意味する言葉です。語源の「re」は「もう一度」、「action」は「行動する」で、「reaction」には「行動後にもう一度行動する」の意味があります。人から話をふられたときの反応も「リアクション」といい、大げさな「リアクション」を売りにしているお笑い芸人やタレントもいます。
「フィードバック」の対義語
「フィードバック」の対義語には「創造」と「誘因」、「プラン」があります。それぞれの意味の違いを知って、「フィードバック」の理解を深めましょう。
1.創造
「創造」とは、今までなかった新しいものを生み出すことです。すでにある要素を組み合わせ、新しいものを生み出すことも「創造」といいます。無から有を創り出すことを指すので、既存のものを改善する「フィードバック」とは反対の意味を持ちます。
2.誘因
「誘因」とは、ある作用を引き起こすきっかけになる条件のことです。「外的動機付け」ともいい、英訳からのカタカナ語「インセンティブ」はビジネスシーンでもよく使われています。「作用」そのものを指す「フィードバック」とは、反対の意味になります。
3.プラン
「プラン」とは、ものごとの手順や手法などを考えることや、計画することをいいます。「結果のための原因をつくる」ニュアンスもあり、「結果を戻して反映させる」意味をもつ「フィードバック」の反対の意味もあります。
「フィードバック」と「フィードフォワード」の違い
「フィードフォワード」とは、これからに向けた解決策を示すための評価ツールで、ビジネスの人材育成の手法のひとつです。部下に未来を見据えたポジティブなアドバイスをするとともに、部下の主体性を尊重する言葉も添えることで、自主性とやる気を育てる目的があります。過去を評価する「フィードバック」とは、反対の意味を持っています。
間違いを指摘するのが主観的か客観的か
「フィードバック」では過ちや問題点を示して部下に伝えますが、それには上司の主観が含まれていることが多くあります。修正点がわかりやすいメリットがありますが、伝え方によってはネガティブに受け取られてしまう可能性も。一方で「フィードフォワード」は、部下の状況と結果を客観的に示すのにとどまっています。
視点の時間軸が過去か未来か
「フィードバック」は部下の過去の業務結果やパフォーマンスを評価し、すべきではないことや改善点を伝えます。一方「フィードフォワード」は過去の結果をふまえつつも、「次はこうしてみてはどうか」といった未来への展望に重きを置いている点が異なります。
着眼点がどこにあるか
「フィードバック」は部下の欠点や問題点に着眼点を置きがちです。ネガティブな内容をそのまま伝えると部下のモチベーションを下げてしまう可能性があるので、問題点を追求しすぎず、次の業務で活かしてもらえるように伝えるとよいでしょう。一方で「フィードフォワード」は、解決するにはどうすべきかに着眼点を置いています。
「フィードバック」の使い方と例文集
「フィードバック」の使い方を、例文とともに紹介します。ビジネスシーンで戸惑わずに使えるよう、例文を読んで確認しましょう。
「フィードバック」の使い方
顧客に「フィードバック」をお願いするときは、「フィードバックをいただけますと幸いです」や「フィードバックをいただけませんか」などと伝えます。「フィードバック」により顧客と自社間のコミュニケーションが深まり、業務改善に役立てられるでしょう。
「フィードバック」の例文
「フィードバック」を使った例文を紹介します。
- プレゼンについてのフィードバックがあり、次回に反映させるようにと指示された。
- 今回の企画は失敗できないので、上司にフィードバックをもらおうと思う。
- 提供中のサービスを改良するため、顧客からの意見を開発部にフィードバックする。
- 私の提案事項について、皆さんからのフィードバックをいただけないでしょうか。
- 貴社からのできるだけ早いフィードバックに期待します。
まとめ
ビジネスシーンで使われている「フィードバック」は、上司が部下の間違いを指摘し、改善できるようにすることをいいます。また、顧客からの意見や要望も「フィードバック」といいます。「フィードバック」での指摘を真摯に受け止め、業務改善に繋げることが大切です。