「努力は報われる?そうじゃなくて、報われるまで努力するんだろ。」メッシ選手の名言の中でも使われている「報われる」という言葉。意味はなんとなくわかっても、正しく使えますか?似た言葉の「救われる」、「報い」との違いも例文付きで詳しく解説します。
「報われる」の意味とは?
「報われる」の意味は、「努力や苦労したことに対して、相応の結果や成果を得ること」です。この言葉が使われるのは、苦労や努力を重ねてきた過程があることが前提です。多くの場合、長い下積みの結果、やっと良い結果に結びついたというニュアンスを含みます。
「報われる」の読み方
「報われる」は「むくわれる」と読みます。読み方は特に難しくないですが、送り仮名を「報れる」としてしまわないよう気をつけましょう。
「報われる」の由来・語源
「報われる」のはっきりした由来・語源はわかっていません。ただ、「努力は報われる」というフレーズはあまりにも有名なので、その意味は容易にイメージできることでしょう。
「報われる」の類義語・言い換え
「報われる」の類義語・言い換え表現は沢山あるのですが、ここでは3つ紹介します。順に見ていきましょう。
1.成果が出る
「報われる」の類義語として「成果が出る」が挙げられます。文字通り、努力や苦労の末、期待通りの結果が出ることを表します。日常会話の中でも、「報われる」よりよく使われているのではないでしょうか。
2. 実を結ぶ
「報われる」の類義語として「実を結ぶ」が挙げられます。「実」とは、果実のことです。「実を結ぶ」とは、種をまいて、芽が出て、大事に育てた結果、やっと実がなる様子を表しています。努力の結果が期待通りに成果として現れることを例えており、「努力が実を結ぶ」などと使われます。
3. 浮かばれる
「報われる」の類義語として「浮かばれる」が挙げられます。「死者の無念が解消され、霊が成仏する」という意味から転じて、「苦労が報われる」という意味でも使用されるようになったとされています。ただ、「報われる」という意味で使われることは少なく、多くの場合、否定語を伴った「浮かばれない」=「報われない」の方がよく使われます。
「報われる」の対義語
「報われる」の対義語に「浮かばれない」が挙げられます。「浮かばれない」とは文字通り「浮かぶことができない」という意味で、暗い水の底で漂っていて、水面に浮かんでこられないという意味です。「死者の無念が解消されず、霊が成仏できない」という意味で使われ、そこから転じて「苦労や努力に見合った成果が得られないこと」を表しています。「この評価では、努力のかいがなく浮かばれない」などと使います。
「報われる」と間違いやすい言葉
「報われる」と似た音で間違いやすいのが、「救われる」と「報い」です。誤って使うと違う意味になるだけでなく、失礼に当たることもあるので、しっかり区別しておきましょう。
1. 「報われる」と「救われる」の違い
「報われる」と間違いやすい言葉に「救われる」が挙げられます。どちらも「良い結果になる」という意味では同じですが、その過程と未来に違いがあります。「報われる」は、努力や苦労の過程の結果、良い結果に終わったという意味です。
それに対し、「救われる」は、本人の努力に関係なく、とりあえず良い結果に収っているという意味です。「彼のおかげで、救われた」などと使い、一時的に良い結果になったが、これから事態が変わるニュアンスを含んでいます。
2. 「報われる」と「報い」の違い
「報われる」と間違いやすい言葉に「報い」が挙げられます。「報い」とは「良い行いには良い結果が、悪い行いには悪い結果が返ってくること」を意味する言葉です。もともとは、善悪関係なく、自分の行いに対する結果という意味で使われていました。
しかし現代では、「悪い行いに対する悪い結果」というネガティブな意味で使われることがほとんどです。「報いを受ける」などと使い、バチがあたると同じように使うので注意してください。
3. 「報われる」と「報いられる」の違い
「報われる」と間違いやすい言葉に「報いられる」が挙げられます。どちらも「行いに対して、期待しただけの成果が得られること」を意味しており、文法的には厳密な使い分けはありません。
一般的に、人が対象となる場合は「報われる」を使い、行為が対象となる場合は「報いられる」を使うのが自然です。例えば、「長年の努力が報われて、彼は昇進した」「彼の長年の努力は、昇進という形で報いられた」のように使います。
「報われる」を英語でいうと?
「報われる」の英語訳には2つあります。順に見ていきましょう。
1. pay off
「報われる」を2語の英語で表すと、「pay off」が挙げられます。「pay」は払うという意味で、「pay off」には「精算する」つまり、借金などを払い終えるという意味があります。
「努力は必ず報われる」は、海外でもよく使われるフレーズで、「Hard work is always pays off.」と言います。直訳すると、「努力はいつでも支払われる」となります。そこから転じて「努力が支払われた結果、もたらされた成功」つまり「努力は報われた」という意味になります。
また、「pay off」の主語は人ではなく、行為がくる点もポイントです。
2. reward
「報われる」を1語の英語で表すと、「reward」が挙げられます。厳密にいうと、「reward」は、「報いる」「報酬を与える」という意味になり、「Hard work is always rewarded.」と受け身にすることで「努力は必ず報われる」という意味になります。
「reward」も、主語は人ではなく、行為になるので覚えておきましょう。
「報われる」の使い方
「報われる」を使うときの注意点や、正しい使い方を例文付きで解説します。
「報われる」を使用するときの注意点
「報われる」を使用するときは、似た言葉「報いを受ける」との使い分けに注意しましょう。「報われる」は、努力の結果得られた良い成果のことで、ポジティブな意味で使います。「報いを受ける」は、悪い行いに対しての報復といったネガティブな意味で使われます。全く反対の意味になってしまうので、間違えて使うと大変失礼になります。しっかり使い分けができるようにしておきたいですね。
「報われる」の例文
報われるの例文は以下の通りです。
- 今までの苦労が報われて、彼は志望校に合格した。
- 報われない恋だと知りながら、彼女を好きになってしまった。
- 優勝できたことで、地道な練習が報われる気持ちです。
「報われる」の意味を持つことわざ
ここでは、「報われる」と同じ意味になることわざを2つ紹介します。
1. 雨垂れ石を穿つ
「報われる」の意味を持つことわざに、「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」が挙げられます。「穿つ(うがつ)」とは、穴をあける、掘るという意味。軒下から落ちる少しの雨粒でも、長い年月をかけて同じ場所に落ち続ければ、いつかは硬い石に穴をあけるという意味。転じて、どんな小さな努力でも、あきらめずに続けることで最後に成功するということわざです。「雨垂れ石を穿つというように、結果を出したければコツコツ努力するまでだ。」などと使います。
2.一念天に通ず
「報われる」の意味を持つことわざに、「一念天に通ず(いちねんてんにつうず)」が挙げられます。「一念(いちねん)」とは、ひたすら心に深く思いこむこと。物事を成し遂げようと一心に打ち込めば、思いが天に通じて成功するという意味のことわざです。「一念天に通ずで、彼女は難関企業に就職できた」などと使います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は報われるについて解説しました。
最後に「報われる」のまとめです。
- 「報われる」の意味は、「努力や苦労したことに対して、相応の結果や成果を得ること」です。
- 「報われる」は「むくわれる」と読みます。読み方は特に難しくないですが、送り仮名を「報れる」としてしまわないよう気をつけましょう。
- 「報われる」のはっきりした由来・語源はわかっていません。
- 「報われる」の類義語は「成果が出る」「実を結ぶ」「浮かばれる」です。
- 「報われる」の対義語に「浮かばれない」が挙げられます。
- 「報われる」と似た音で間違いやすいのが、「救われる」と「報い」です。
- 「報われる」の英語訳は「pay off」「reward」です。
- 「報われる」と同じ意味になることわざは「雨垂れ石を穿つ」「一念天に通ず」です。