「以前」の正しい意味を知っていますか?実は「その時点を含む場合」と「その時点を含まない場合」があるのです。「以前」の使い方を間違えると、納期などで重大な勘違いが起こる可能性があります。「以前」の使い方を、しっかりと覚えましょう。
「以前」の読み方
「以前」は「いぜん」と読みます。
「以前」の意味とは?
「以前」には3つの意味があることを知っていましたか?実は多くの人が「以前」のすべての意味を知りません。ここでは「以前」の3つの意味について解説します。「そのときよりも前」「今よりも前」「ある状態に達する前」の3つの意味をマスターすることによって、「以前」をこれから一層使えるようになりましょう。
「そのときよりも前」という意味
「以前」の1つ目の意味は「そのときよりも前」という意味です。「以前」を使うことによって、過去のある時点よりも前を指して表せます。
例文:昭和以前には考えられなかったことだ。
「今より前の時点」という意味
「以前」の2つ目の意味は「今より前の時点」という意味です。「以前」を使うことによって、過去のある時点ではなくて現在より前の時点を表現できます。この場合において「以前」は副詞として使われ、現在からみて近い未来を表すことが特徴です。
例文:以前にお会いしたことがありますよね?
「ある状態に達する前の段階」という意味
「以前」の3つ目の意味は「ある状態に達する前の段階」という意味です。とにかく基準を設けて、それよりも前を表現できるのが「以前」です。
例文:あなたが時間内に仕事を終わらせられないのは能力以前の問題だ。
参照:Weblio辞書「以前」
「以前」の類義語・言い換え
「以前」の類義語・言い換え・似ている表現を紹介します。「以前」の代わりに使える表現を学ぶことによって、メールや文書における連続使用を防ぐことが可能。会話などのやりとりにも厚みができます。社会人として確実に押さえておきましょう。
「以前」の完全な類義語はない
残念ながら「以前」に完全な類義語は存在しません。それは「その時点を含む言葉がほかに存在しないから」です。たとえば後述する「それまで」「従来」「このまえ」ではその時点を含みません。よって、「以前」とまったく同じ意味があり、同じように使える言葉はないのです。
「以前」に似ている表現1「それまで」
「以前」と似ている表現1つ目は「それまで」です。「それまで」は「時間・状態・動作などが限界に達したこと」や「物事がある程度にまで達したこと」を意味する言葉。ある基準に達するより前を指し示せます。
あなたはそれまでにたくさんの経験をしてきたんだろうね。
「以前」に似ている表現2「従前」
「以前」と似ている表現2つ目は「従前」です。「従前」は非常に「以前」と意味合いは似ているのですが、「従前」のほうがより遠い過去を表しているのが特徴。同じように「先般」という言葉も使われます。
- 従前通りにやっていくのがいいだろう。
- 先般に申し上げた通りでございます。
「以前」に似ている表現3「このまえ」
「以前」と似ている表現3つ目は「このまえ」です。「このまえ」は「つい最近」「前回」など直近を表す言葉です。非常に近い過去を強調していいたいときには「このまえ」を使うといいでしょう。
このまえお会いしたときはなかなかお話しできず、すみませんでした。
「以前」の対義語
ここでは「以前」の対義語を紹介します。「以前」が「今を含むある時点よりも前」を言い表していることから、対義語は「ある時点よりも後」を言い表します。今後の展望を話すときや、謝罪などと一緒にこれからの改善を言い表すときなどによく使う表現です。正しく覚えておきましょう。
「以前」の対義語1「以降」
「以前」の対義語の1つ目は「以降」です。「以降」は「ある時間や、その出来事が起きてから後」という意味。ニュアンスとして「これから長い期間」という意味を持ち合わせており、過去のことにも未来のことにも使えるのが特徴です。
- 今日以降はAさんと話さないようにしようと思う。
- 8日以降は彼のことを見かけていない。
「以前」の対義語2「以後」
「以前」の対義語の2つ目は「以後」です。「以後」は「これから先」「それから先」という意味。「以降」とは違って確定した基準がなくても使えるのが特徴です。
以後気をつけます。
「以前」の使い方と例文集
「以前」の意味や類義語・対義語を知っていても、使い方を知らなくてはすべてが水の泡。正しい使い方を知らないままだと、大事なクライアントとの約束を間違ったまま把握してしまうかもしれません。ここでは「以前」の使い方や注意点、例文を紹介します。知っていることと正しく使えることは別物です。しっかりと使えるようになりましょう。
「以前」の使い方
「以前」には「そのときよりも前」「今よりも前」「ある状態に達する前」という3つの意味がありますが、すべてに共通しているのが「ある基準を含んでそれよりも前」という意味。このイメージさえ掴んでいれば「以前」の意味はバッチリです。ビジネスシーンにおいては、過去と現在の比較や改善のために過去を提示する際に使われることがほとんどです。
「以前」を使うときの注意点
「以前」を使うときには「例外として基準を含まないことがある」ことに注意しましょう。具体的には「昭和以前」のように使ったときに「昭和を含む場合」と「昭和を含まない場合」があること。この注意点を知らないままにしていると、会話相手と自分との間に認識の違いが生まれてしまうことも。「以前」を使うときには「その基準を含むかどうか」を明らかにするようにしましょう。
「以前」の例文
「以前」を使った具体的な例文は以下の通りです。
- 結婚以前には私たちは別々の県に住んでいた。
- 5時以前に帰宅したいと思っていた。
- それ以前の問題です。
「以前」を含む表現を英語でいうと?
「以前」を含む表現はたくさんあります。これらを英語で使えるようになると、英会話の際に役立つこと間違いありません。ここでは「以前」を含む表現の英語でのいいかたを解説します。しっかり覚えることによって、英会話においても「以前」をバッチリ使えるようにしましょう。
「以前」の英語表現
「以前」の英語表現は「before」「since」です。、「before」は過去形の文章または現在完了の文章で使い、「since」は過去形の文章では使わずに現在完了の文章でのみ使うことに注意しましょう。
- Before working as a private tutor, I worked as a teacher.(家庭教師として働く以前は教師として働いていました。)
- I’ve been interested in working as a private tutor since a while ago.(以前から家庭教師の仕事に興味がありました。)
「以前の」の英語表現
「以前の」の英語表現は「previous」「former」です。「former」は少し形式ばった表現として使われることを確実に押さえておいてください。
- Please see my previous email.(以前のメールをご覧ください。)
- I was reunited with my former teammates.(以前のチームメートと再開を果たした。)
「以前に」の英語表現
「以前に」の英語表現は「before」です。
I told you before.(以前に言った通りです。)
「以前から」の英語表現
「以前から」の英語表現は「for a while」です。「for a while」は「しばらくの間」「少しの間」という意味ですが、「以前から」を表現するときには非常に適しています。
I’ve liked you for a while.(以前からあなたのことが好きでした。)
「以前より」の英語表現
「以前より」の英語表現は「 than before one used to」です。比較表現を併せて使うことを忘れないようにしましょう。
I’m taller than I used to be.(私は以前より身長が伸びた。)
「以前よりも」の英語表現
「以前よりも」の英語表現は「以前より」と同じように「 than before one used to」です。こちらも、比較表現に伴って使用されます。
I’ve put on more weight than I used to.(私は以前よりも体重が増えた。)
「以前のように」の英語表現
「以前のように」の英語表現は「like before」です。「like」には「好き」という意味のほかにも「同様に」「似ていて」などの意味があることを覚えておきましょう。
Let’s have fun like before.(以前のように楽しみましょう。)
「以前と同様に」の英語表現
「以前」の英語表現は「as before」です。意味としては「以前のように」と似ているので「like before」でもいいのですが、「like」よりも「as」のほうが「同じようにする」というニュアンスが強いです。
Please be seated as before.(以前と同様に着席してください。)
まとめ
「以前」にはたくさんに意味があり、それによって微妙に使い方が変わります。また、例外として、基準を含まない「以前」があることに注意しないと重大なミスにつながってしまう可能性も。正しい知識を身につけることによって、失敗をあらかじめに防ぎましょう。