「ペシミスト」という言葉をご存じでしょうか。この言葉は考え方の癖を表現する言葉の一種です。実は、ペシミストの方は人知れず悩みを抱えている方が多いという現実もあります。ここではやペシミストの方の特徴や、類語や反対語について徹底解説します。
「ペシミスト」の意味とは?
ここでは「ペシミスト」の意味を紹介します。「ペシミスト」は英語由来の言葉です。また、「厭世主義」との関係性についても解説します。
「悲観主義的な人」を表す言葉
「ペシミスト」は「悲観主義的な人」を指し示す言葉です。元々は「悲観主義」という言葉の「 ペシミズム」から派生した言葉で、「ペシミズム」には「この世の中には悪いことや悲しいことが満ち溢れている。」といった考え方の立場をとることを指します。一般的には、どのような出来事が起きても悪い方向に捉える人のことを「ペシミスト」と表現します。
英語では「pessimist」
「ペシミスト」という言葉は、英語の「pessimist」が直接日本に入ってきたものです。 日本語に訳すと「悲観主義者」や「厭世主義者」という言葉があてられます。「厭世主義」とは、「世の中や自分の人生のことを嫌だと思う」考え方のことを指します。つまり「厭世」とは、悲観を通り過ぎて「この世界や人生のことが嫌いになってしまった状態」を表します。
「ペシミスト」の類義語・言い替え
「ペシミスト」の類義語である「ニヒリスト」について詳しく解説します。「ニヒリスト」もとても奥が深い言葉です。ここですべては解説しきれませんが、その重要部分だけ紹介します。
「ニヒリスト」
「ペシミスト」と近い意味の言葉として、「ニヒリスト」があります。「ニヒリスト」は「虚無主義者」と訳され、「現在や過去この世にある全てのものは全て虚しい」といった考え方をする人のことを指します。日本においては「ニヒルな人」と表現がされたことがあります。ただこの言葉は、「虚無主義者」というよりも「クールでかっこよくて落ち着きがある」というように軽い意味で使われることが多いです。それでは、「ニヒリスト」の本当の意味、 「虚無主義者」とはどういった考え方をする人なのか詳しく見ていきましょう。
「虚無主義者」とは
虚無主義者とは「すべてのことに意味はない」という考え方をする人々のことです。ただ、 虚無主義者の中でも2つの考え方が存在します。 1つ目が「受動的ニヒリズム」2つ目が「能動的ニヒリズム」です。ひとつずつ解説します。「受動的ニヒリズム」とは、「人生に意味がない」というところから、「人生そのものを投げ出してしまう考え方」のことです。一方「能動的ニヒリズム」とは、「人生には意味がない」ことを受け入れながらも、「人生を放棄せず生きていこうとする考え方」のことです。この分類をしたのはニヒリストのドイツ人哲学者ニーチェで、能動的ニヒリストの態度で生きていくことを求めています。 有名な哲学者なので覚えておくことをオススメします。
「ペシミスト」の人が持つ特徴
これはペシミストの人が持つ特徴を3つ紹介します。いずれの傾向も度を過ぎると自分自身を傷つける考え方になりますので、いきすぎないよう注意が必要です。自分自身にその傾向がないか、照らし合わせながら見ていきましょう。
すべてにおいて、ネガティブ思考
ペシミストの人は全てにおいて「ネガティブ思考」が先行する傾向があります。特に未来についての不安を「予期不安」といい、 予期不安が強すぎると行動が制限されてしまいます。つまりネガティブ思考が強すぎることは予期不安を強くすることにつながり、 結果として行動力の低下を招きます。 行動力の低下によってチャンスをつかめず、またネガティブ思考に陥るといった悪循環にはまる可能性があるので注意しましょう。
完璧主義者
ペシミストの人は「完璧主義者」である傾向があります。ひとことで言うと「考えすぎてしまう傾向」があるため、1つの仕事を終わらすにもありとあらゆることに思いを巡らし、結果として仕事終わらせるスピードが遅くなってしまいます。ただ悪いことばかりでもなく、あらゆることを多面的に考えて仕事を進めるため、抜け漏れが少なく緻密な仕事をする傾向があります。こういった方はスピードを求められる仕事よりも、正確性が求められる仕事の方が向いているといえるでしょう。
疑い深い
ペシミストの人の傾向として、「疑い深い面」があることがあります。 友人関係や恋愛関係においても、相手の一挙手一投足が気になりすぎてしまい信頼関係を築くことが難しい傾向があります。自分が疑い深い傾向があることを客観的に認識できていれば、負の思考のループにはまった時に「これは悪い妄想である」ことに自分で気づき、気持ちを切り替えることが可能になります。そのような傾向がある人は、「事態は自分が思うほど悪い方向には進んでいない。」と自分を諭して客観性を取り戻し、考え方を上手にチューニングしていく必要があります。
「ペシミスト」の人が楽になるための方法3選
ここではペシミストの人が楽になるための方法を3つ紹介します。悲観主義は思考の癖であるため、意識的に自分の行動を変えることが自分の身を守るために大切です。そのどれもが難しいことではありません。もし自分自身がペシミストであると感じた場合は積極的に取り入れていくことをオススメします。
考える時間に期限を設定する
ペシミストの人は、良くない妄想を頭の中で延々と繰り広げてしまう傾向があります。それが将来起こる可能性のある危険をサーチする機能を果たすときもありますが、やりすぎてしまうと自分自身を傷つけることにつながります。ある研究によると、良くないことを妄想している時は、それが現実に起きている時とほぼ同程度のストレスを脳が受け取るようです。その対策として、先のことをいろいろ思案するのに使う時間には制限を設けた方がよいでしょう。無限に心配事を頭の中で広げることを続けてしまうと、心や体にダメージを与えてしまいます。
何も考えず、とりあえず手を動かす
次に取り組んでみて欲しいのは、「何も考えずとりあえず体を動かすこと」です。ペシミストの人は頭で考えて結局行動に移れない傾向があります。このように時間ばかりが流れていってしまうのを防ぐために、ある程度考えたらとりあえず手を動かしてみましょう。手を動かすことで、今まで見えていなかった新たな着眼点や発想が見つかるかもしれません。 手を止めて考えるべき時が来たらまた考えればよいので、行き詰まりそうになったら実際に手を動かして取り掛かってみることをおすすめします。
外の空気を吸う
最後におすすめするのが、「外の空気を吸う」ことです。ひとことに外の空気を吸うといっても、いろいろな方法があります。例えば運動をする、散歩をする、電車を乗り継いで買い物に行くのもいいかもしれません。つまり、定期的に気分転換をすることが大切です。ペシミストの人は自分の殻に閉じこもってしまう傾向があるため、考えが行き詰まったり仕事が滞ったりはたまた疲れ切ってしまったりしたときには、積極的に気分転換をするようにしましょう。
「ペシミスト」の対義語
ここでは「ペシミスト」の対義語について解説します。ペシミストは悲観主義者であることから、その対義語は楽観的な考え方をする人のことを表現する言葉になります。
対義語は「オプティミスト」
「ペシミスト」の反対の意味を持つ言葉は「オプティミスト」です。日本語では「楽観主義者」と呼ばれ、ペシミストとはまったく反対の考え方をします。 オプティミストは全てのことを楽観的に捉えられる人のことです。一般的に幸せを感じやすいのはペシミストよりもオプティミストの方であるといわれています。
オプティミストの人の特徴
ペシミストの人とは正反対の性格を持つオプティミスト。彼らの行動はペシミストの人から見ると、常軌を逸脱しているように見えることがあるかもしれません。しかし、オプティミストの人が持つ行動力が突破力となる場面も多々あります。オプティミストの人の特徴を見ていきましょう。
現実を都合よく解釈しがち
オプティミストの人は現実を都合よく解釈する傾向があります。本当は目を向けるべき悪いところもあるのにもかかわらずそちらには目を向けず、「なんとかなる」という根拠なき自信の基に自分の行動を決定します。 こういった考え方も悪いところばかりではなく、周囲の人が恐れてできないようなことも、持ち前の楽観性で行動し、やすやすとクリアしてしまうことも多々あります。つまり行動力に特化した性格の持ち主であり、失敗したときのリスクヘッジをすることさえできていれば、非常に成功しやすい人物柄となります。
責任感が弱い
オプティミストのもう1つの傾向として責任感の弱さが挙げられます。周囲のことをよく考えて行動するタイプではないので、責任感が弱いという評価をされてしまう可能性が否めません。しかし、それと引き換えオプティミストの人には突破力があるため、個々人の性格に合わせて仕事を割り振ることで非常に優秀な成果を上げることがあります。
「ペシミスト」とされる有名人
知名度が高い代表的なペシミストとして「夏目漱石」が挙げられます。そういったイメージは薄い明治の文豪「夏目漱石」ですが、イギリスへ留学した際、その悲観主義的な思想から精神分裂症(今の統合失調症)に罹ってしまいます。このように、ペシミスティックな傾向が強いと精神病に罹るリスクも高くなるのです。
まとめ
ペシミストとは悲観主義者という意味であり、その性格から自分自身の首を絞めている傾向があります。 もし自分にもその傾向があると感じたら、今回紹介した楽になるための方法3選を参考に、日々の行動を変えていくことをオススメします。