「うってかわって」とは、前の状態や態度ががらりと変わることを意味する言葉です。人の態度や心の状態が変化した際に使うのはもちろん、天気や物事の状態・状況が変化するときにも用いられます。「うってかわって」の使い方と類語、英語表現を例文で解説します。
「うってかわって」の意味と語源
「うってかわって」とは、人の態度や心の状態、天気や物事の状態が以前と比べて完全に変化した際に、「うってかわって」を接続して、全く異なっていることを表現する言葉です。日常会話で耳にすることの多い表現ですが、「うってかわって」の正しい意味と語源を今一度おさらいしておきましょう。
前の状態や態度からがらりと変わる
「うってかわって」は、以前の状況や状態からがらりと変わる、完全に変わることを意味します。今までとは一変するような状況があった際に「うってかわって」を使って、その状況や変化の違いを説明するのに、大変便利な言葉です。人物の気持ちや態度はもちろん、物事の状態や状況、様子の変化にも使えます。
漢字で表すと「打って変わって」
「うってかわって」を漢字で表すと、「打って変わって」と表記します。漢字で書くことが少ない言葉なので、あえて漢字に変換して使用する必要はありません。またビジネスにおいて頻出する表現ではないため、メールや手紙に書く際には、無理に漢字で表記しなくてもよいでしょう。
「うってかわって」の語源・由来
「うってかわって」の語源と考えられているのが、「打って」の原形である「打つ」です。「打つ」には、「太鼓を打つ」のような「叩く」といった意味もありますが、ほかの意味には「強く感動させる」「強く刺激する」といった意味もあります。
感動や刺激を与えたことで、以前とは勢いよく、大きく変化したことを「うってかわって」と表現するようになったのが、言葉の語源・由来といわれています。
「うってかわって」の使い方と例文集
「うってかわって」は以前の状態や様子から大きく変化した状況下で、「~とうってかわって」「~とはうってかわって」のような使い方をする言葉です。
昨日や今日といった短いスパンで事象が変わるときだけでなく、昨年と今年のように長いスパンで物事が変化していく場合にも用いられます。
人の態度や心の状態が変化したときに用いる
「うってかわって」は、人の態度や心の状態が変化したときに用います。以前の態度や状態、様子からがらりと変わってしまったことを意味するため、些細な変化の場合には使用されません。よい方向に変わるときも、悪い方向に変化した際にも使うことが可能です。
- いつも怒ってばかりのあの先生は、今日はうってかわってニコニコしている。
- 妻を亡くした友人は以前とはうってかわって元気をなくしてしまった。
天気や物事の状態・状況が変化したときに用いる
「うってかわって」は、以前の天気や物事の状態・状況が現在と変化したときにも用いられます。状況が改善した際にも、悪化した場合にも用いられます。
- 今週のドラマは先週までとはうってかわって面白くない。
- 今日の夕飯はいつもとはうってかわって豪勢だった。
「うってかわって」を使った例文
「うってかわって」を使った例文を見ていきましょう。
- 今日は昨日の寒さとはうってかわって、春めいた心地よい暖かさです。
- いつもの騒がしい様子とはうってかわって、今日の彼は驚くほど静かだ。
- 行きとはうってかわって、帰りは新幹線がだいぶ混雑している。
- 午前中の激務とはうってかわって午後の勤務は暇すぎる。
「うってかわって」を使用するときの注意点
「うってかわって」は、使う場所や相手を選ぶ言葉でもあります。プライベートや親しい間柄での会話であれば、細かいニュアンスを考えずに使用できますが、ビジネスにおいては、失礼にあたる可能性もありますので、注意して使用するようにしましょう。
ビジネスシーンにはあまり使われない
「うってかわって」は、ビジネスシーンではあまり頻繁に使われない言葉です。上司や取引先、顧客など目上の相手に使用するのは稀で、そのほかの言葉に言い換えて表現した方が賢明な場合があります。
「うってかわって」とは、よくない事態を想定させるニュアンスがあるため、その時の状況や場所を考慮して使用することが求められます。かしこまった場面や目上の人が集まる会議では使わない方がよい表現です。
「あたかも」や「とってかわって」との違い
「うってかわって」と「あたかも」は全く別の意味で使われる言葉です。
「あたかも」は、「まるで」「ちょうど」「まさしく」と同じ意味で使うときは、「~ような・~のようだ」といった比喩の表現で用いられます。もう一つは「ちょうどその時」といった意味にもなり、「時あたかも」を文頭に置いて、ある時代や時期、時刻について説明する際に使用されます。たとえば「時あたかも元禄の頃」「時あたかも午前7時」といった使い方をします。
「うってかわって」の類語・言い換え
「うってかわって」の代わりに使える表現はたくさんありますが、それぞれ若干意味やニュアンスが異なります。
「うってかわって」の類語・言い換え表現には、「一変して」や「一転して」、「様変わりして」「豹変して」などがありますが、ほかにも「手のひらを返したように」や「がらりと変わって」「すっかり変わって」なども言い換えて使える言い回しです。
一変して・一転して
「うってかわって」の類語・言い換え表現には、「一変して(いっぺんして)」や「一転して(いってんして)」などがあります。
「一変して」は、今までの状況や態度、様子がすっかり変わること、大きく変わることを意味し、「一変する」とは、変化する程度が大きいことを表現する言葉です。「一転して」は、突然状況や態度、様子が変わること、以前の状況とは反対になることを意味しています。
様変わりして・豹変して
「うってかわって」は「様変わりして(さまがわりして)」や「豹変して(ひょうへんして)」とも言い換えられます。「様変わりして」は、状況や態度、様子が以前とはまるで異なる状態を表す言葉です。
「豹変して」は、人の態度や言動、様子がそれまでとはがらりと変わることをいいます。もともとは豹の斑文がくっきりしているように、よい方向に態度や性行が変わることを意味していましたが、現代ではよくない方向に変化する意味で用いられます。
「うってかわって」を英語でいうと?
「うってかわって」を英語に直訳した言葉はありませんが、近しい意味合いで使われる表現はいくつかあります。
「be completely different from」や「change completely」以外にも、「 in contrast with (to)」や「be contrary to」なども「うってかわって」の意味やニュアンスに適した英語表現です。
be completely different from
「うってかわって」を英語にすると、まるで違う、がらりと変わるといった意味を持つ「be completely different from」と表現できます。「completely」の代わりに、「抜本的な変化」を意味する「change radically」といった英語表現も「うってかわって」の意味合いに近しいニュアンスになります。
- He was very kind and gentle that is completely different from the first meeting.
(彼は初対面のときとはうってかわって、大変優しく親切に接してくれた。)
change completely
「うってかわって」は、完全に変わる、一変する、打って変わるを意味する「change completely」を使うことも可能です。「いきなり変わって」を意味する「change quickly」や「突然変わって」の意味になる「change suddenly」も状況や様子に応じて使用できます。
- He changed completely his attitude toward me. (彼はうってかわって私への態度を変えた。)
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「うってかわって」について解説しました。
「うってかわって」とは、以前の状況や状態から「がらりと変わる」「大きく変わる」ことを意味する言葉です。ビジネスにおいてはあまり頻出する表現ではありませんが、大きな変化を伝える際に、「うってかわって」だけでなく、似た意味を持つ類語や言い換え表現を用いて、円滑なコミュニケーションに役立てましょう。
最後に「うってかわって」のまとめです。
- 「うってかわって」とは、人の態度や心の状態、天気や物事の状態が以前と比べて完全に変化した際に、「うってかわって」を接続して、全く異なっていることを表現する言葉です。
- 漢字で表すと「打って変わって」となります。
- 「うってかわって」は、ビジネスシーンではあまり頻繁に使われない言葉です。
- 「うってかわって」と「あたかも」は全く別の意味で使われる言葉です。
- 「うってかわって」の類語は「一変して・一転して」「様変わりして・豹変して」です。
- 「うってかわって」の英語表現は「be completely different from」「change completely」です。