「リテラシー」は読み書き能力という本来の言葉が転じて、現在では知識や理解力、活用能力を意味する言葉として使用されています。ビジネスシーンでもたびたび登場するリテラシーについて、類語や使い方、例文を解説します。
「リテラシー」の意味とは?
ビジネスの場でもよく耳にする「リテラシー」という言葉。みなさんはきちんとその意味を理解していますか?まずはリテラシーの本来の意味と、現在主に使われている意味についてそれぞれ確認しておきましょう。
辞書に書かれているのは「読み書き能力」
リテラシーは英語の「literacy」からきた言葉で、「読んだり書いたりする能力」という意味を持っています。日本の識字や識字率と同様の意味でも使用されます。
現在主に使われるのは「知識や活用能力」
現在ビジネスなどでもよく使用されるリテラシーには、ネットやITなど特定の事柄に対する知識や理解度という意味があります。さらに、その知識を適切に活用する能力、応用する能力や、正しく判断する能力を指すケースもあります。
「リテラシー」の類義語・言い換え表現
リテラシーの類義語として挙げられる言葉は以下の通りです。リテラシーという言葉には幅広い意味があります。そのため、日本語に言い換えて表現する場合は、文脈や伝えたい内容によって適切なワード選択が必要です。
- 応用能力/活用能力
- 理解度/習熟度
- 識別能力/判断能力
- 批判精神
リテラシーの使い方と例文
次にリテラシーの具体的な使い方や、使用時の注意点について紹介します。ここでは、リテラシーを用いた例文もあわせて紹介します。
「リテラシー」がある・ない
リテラシーはある、ないをつけて表現します。
例えば、特定の分野に限らず「リテラシーがある」と表現した場合は、一般常識的な知識を十分持っている、相応の理解力があるといった意味になります。
反対に、「リテラシーがない」と表現した場合は、一般的な常識やマナー、モラルが欠如しているといった意味になります。
「リテラシー」が高い・低い
リテラシーはある、ないの他に高い、低いでも表現できます。
「リテラシーが高い」とは、必要な知識を十分に備え、それを上手に活用できている状態のことです。例えば、コンピュータリテラシーが高いといった場合は、デジタル機器に関する理解度が高く、判断力に優れ、トラブルやリスクにも問題なく対応できるようなレベルを指します。
一方、「リテラシーが低い」とは、そもそも必要な知識を備えていない、もしくは知識はあるもののそれをうまく活用したり、応用したりできていない状態のことです。例えば、コンピュータリテラシーが低いといった場合は、デジタル機器の操作方法や情報の検索方法は知識として持っているが、必要な情報をうまく導き出したり、利用したりできないレベルを指します。
「リテラシー」を使う際の注意点
前述した通り、リテラシーはもともとの読み書き能力や識字能力という意味が転じて、特定の分野における知識や理解度、応用力、判断力という意味で使用されるようになった言葉です。近年では、ネットリテラシー、情報リテラシーなどの言葉も生まれ、特にデジタル化やインターネット化に関連するワードとして使用されるケースも増えています。
時代とともに急速に意味合いや使用方法が変化した言葉のため、世代によってリテラシーというワードに抱くイメージや認知度に大きな違いがある可能性があります。言葉の解釈の齟齬や認識のずれが生じないよう、相手がどのような意味合いでリテラシーという言葉を使用しているか考える癖をつけておくとよいでしょう。
「リテラシー」を使った例文
リテラシーを使った例文を紹介します。ビジネスでも使える例文が多いのでぜひ参考にしてみてください。
- ベテラン社員になるほどITリテラシーが低い傾向が見受けられます。
- 今回のトラブルはネットリテラシーの欠如が招いた結果だ。
- 若年層からのネットリテラシー教育の重要性が叫ばれている。
- 金融リテラシーをしっかり身につけて、自立した生活を送ろう。
- コンピューターテラシーの低さにより、業務に支障がでている。
ビジネスシーンでの「リテラシー」の使い方
リテラシーは特定のワードと組み合わせて使用するケースも多い言葉です。ここからはビジネスシーンでもよく利用されるリテラシーを使った言葉の意味や使い方について解説します。
情報リテラシー
「情報リテラシー」とは見聞きしたさまざまな情報を正しく理解し、自分の目的に合うよう適切に使いこなす能力を指します。また、情報の正誤を見極め、必要な情報を取捨選択する能力も情報リテラシーです。
情報リテラシーの指す「情報」の範囲はITに関連したものだけでなく、日常に溢れるさまざまな事柄を指します。情報過多ともいわれる現代。受け取った情報を正しく活用する「情報リテラシー」はビジネスパーソンにとって欠かせない能力といえます。
ネットリテラシー
「ネットリテラシー」とはインターネット上に溢れる情報を取捨選択する能力、正しい取り扱い方を判断する能力、さらにその情報を適切に活用する能力を指します。SNSなどの発達により、個人がさまざまな情報を発信できるようになった現代社会では必須の能力とえます。
また、ネット上での振る舞い方や、情報発信マナー、トラブル回避方法や自己防衛方法などの知識もネットリテラシーの1つと考えられています。匿名での発信が容易にできる昨今では、正しい情報だけでなく、炎上商法、詐欺まがいの情報なども数多く存在します。不確かな情報に惑わされ、思わぬ被害に合わないためにもネットリテラシーをしっかりと身につけておくことが重要です。
メディアリテラリー
「メディアリテラリー」とは、新聞、テレビ、雑誌などのメディア情報を正しく理解し、活用する能力を指します。ニュース報道の背景や裏側を読み取る能力、発信された情報を鵜呑みにせず、深堀する能力などもメディアリテラシーといえるでしょう。
メディアリテラシーは情報リテラシーの1つで、情報の対象範囲をメディアに限定した言い方です。
コンピュータリテラシー
「コンピュータリテラシー」とは、パソコンやスマホなどのIT機器を活用して必要な情報を取得する能力を指します。IT機器の操作方法はもちろん、正しい情報を得るための検索ワードの設定、アプリケーションの選択など求める情報を正確に導き出すための技術や知識全般がコンピュータリテラシーといえます。
金融リテラシー
「金融リテラシー」とは金融や経済の知識を活用して、自分にとって効果的な選択や判断する能力を指します。金融リテラシーのさす「金融」は、主に資産運用、保険商品、各種ローンやクレジットカードなどに関する知識や判断力を指します。
また、日々の生活における金銭管理、生活設計なども金融リテラシーの1つに含まれます。ビジネスパーソンとして自立した生活を送るためにも、学生など若いうちから金融リテラシーを身につけておくことが大切です。
リテラシー教育
「リテラシー教育」とは上記で紹介したようなさまざまな「リテラシー」を向上させるために行われる教育を指します。新入社員の研修として行われる以外にも、近年では学校カリキュラムの一環としてリテラシー教育が盛んに行われています。
これは、スマホの普及やSNSの拡大により、若年層でも気軽にさまざまな情報へアクセスが可能になったためと考えられます。特に中学生、高校生へのネットリテラシー教育はトラブル回避、いじめ防止の観点から重要とされています。学生うちからネットに溢れる情報を正しく判断する能力や、安全に発信する能力を身につけることが現代社会では急務とされています。
「リテラシー」と「コンピテンシー」の違い
リテラシーと混同しやすい言葉として挙げられるのが「コンピテンシー」です。コンピテンシーとは、組織で高いパフォーマンスをあげる人に共通する行動特性のこと。優秀な人材はどのような点を意識し、どう行動しているかなど可視化しにくい部分(コンピテンシー)を分析し、明らかにすることで人事評価や、人材採用、キャリア開発に活用されています。
リテラシーとコンピテンシーは合わせて「ジェネリックスキル」と呼ばれ、業界、業種などを問わず、あらゆる環境下で必要となる能力として注目を集めています。
まとめ
読み書き能力という意味から転じて、知識や理解度、応用力を指す言葉として活用されているリテラシー。情報リテラシーをはじめ、ネットリテラシーやメディアリテラシーなどさまざまな言葉が生まれていますが、どれも現代社会を生き抜くビジネスパーソンには不可欠なスキルといえます。リテラシーという言葉の意味だけでなく、ビジネスで必要となるリテラシーは最低限身につけておきましょう。