「頭打ち」の意味や使い方に加え、同義語や反意語、更には英語表現まで例文を交えて解説します。もともと株取引の世界で使われ始めたともいわれていますが、現在はビジネスやスポーツの世界でも使われる表現ですので意味と使い方を把握しておきましょう。
「頭打ち」の意味
「頭打ち」の意味とその語源を解説していきましょう。
「頭打ち」とは
「頭打ち」とは「物事が限界点にまで到達し、それ以上伸びたりすることがない」ことを表す表現です。学問を学び知識を蓄積していった結果、ある一定のレベルまで到達したときに、それ以上のレベルアップが期待できない状態に至った場合やスポーツの世界においても、例えばテニスを練習していき、それに従い実力は上がっていきますが、あるレベルにまで到達したときに、それ以上のレベルアップが期待できない状態に至ったときに「実力が頭打ちになった。」と言います。
「頭打ち」の本来の意味
「頭打ち」は「頭」「打つ」が組み合わさってできている言葉です。「頭」とは人間の頭のことを指していますが「頭打ち」は「頭」を物理的に「ぶつける」「打ちつける」という意味ではありません。「頭」とは、人間の体の中で最も高い位置にありますので「最高点」を意味します。この最高点に達してしまった様子を「頭打ち」と言っています。「最高点に達してしまった」ことからこれ以上、伸びることはないという意味で「物事が最高点もしくは限界点にまで到達して、それ以上、伸びることはない」ことを表す表現として使われるようになりました。
「頭打ち」の使い方
「頭打ち」を使った例文をいくつか紹介していきましょう。
今年に入ってから1日当たりの生産数量が頭打ちになっています。
製品を製造して販売するメーカーでは、生産量や品質は目標を設定して行われています。日々の生産量をモニタリングしている中で、例文では生産数量が増加しない状態が続いていることを表現しています。
高校に入ってから彼のテニスの実力は頭打ちになっています。
中学時代は、身長が伸び身体能力も伸長してきたけど、高校に入ってから身長の伸びの鈍化と同時にテニスのスキルを伸び悩み状態が続いていることを表現しています。
彼女の学業の実力は頭打ち状態が続いています。
これまで彼女の学業の実力は、順調に伸び続けてきたのでしょう。しかし、何らかの原因で順調な伸びが停滞していることを表現しています。
町のバスの運賃はいくら乗っても200円で頭打ちなのは助かる。
通常、多くの乗り物の運賃は乗った距離や時間に比例して増加しますが、このマ資本バスの運賃は、200円払えば乗り放題であることを表現しています。
ここ長らくの間、株価は上昇傾向が続いたが、先週あたりから頭打ち状態となってしまった。
「頭打ち」という言葉は株の世界で生まれたものでるという説もあります。先週までは、長い間、ずっと株価の上昇が続いていたのでしょうが、おそらくは市場においてこの流れを変える何らかのきっかけが会ったのでしょう。その結果、株価の上昇が止まってしまったことを表現しています。
一般的なサラリーマンの給料は50歳前後で頭打ちになる。
従来の一般的な概念ですが会社に入社後、給料は毎年のベースアップにより少しずつアップしていきますが、50歳前後の役職定年時期を境として給料アップもなくなることを表現しています。但し、現在では、なかなかコンスタントなベースアップとか、右肩上がりの給料アップは期待できないかもしれません。
仕事やスポーツにおける「頭打ち」
仕事やスポーツのおける「頭打ち」とは、成果が出せなかったり実力が発揮できなかったりする様を表します。
仕事における「頭打ち」
一般的に私たちは社会に出てから40年前後のとても長い間、会社で働きます。常に順調な時ばかりではなく努力をして仕事を行ったにもかかわらず成果に結びつかなかったり、逆に会社に迷惑をかけてしまうようなことが必ず、少なからず発生します。その渦中にあるときは、「この状態から抜け出すことなんてできるわけはない」と悲観的に考えてしまうこともあります。これが「頭打ち」の状態です。
しかし、この「頭打ち」の状態で仕事を放り出してしまっては残念ながら次のステージに踏み出すことはできません。努力をやめることなく、成就するまで続けるという姿勢で臨むことにより必ず、出口が見つかるものです。
スポーツにおける「頭打ち」
スポーツにおいても、多くの場合、好きだからという理由で始めることが多いですが、始めた当初はめきめき実力が伸びていくものです。しかし、ある程度のレベルに達するとその伸びが止まった様に見えてしまうものです。これが「頭打ち」の状態なわけですが、この状態で前に進むことを、練習することをやめてしまえば、そこで実力アップは止まってしまいます。引き続き、練習を継続することにより、何らかの突破口が必ず見つかるものです。例えば、仲間や指導者からの助言であったり、試合であったりする場合もあります。
「頭打ち」の類義語・言い換え表現
「頭打ち」と同じような意味の言葉をいくつか紹介していきましょう。
「停滞」
「停滞」とは止まっている意味の「停」とはかどらず止まっている意味の「滞」から「同じところにとどまる様」「物事が進展しないこと」を意味する言葉です。
「伸び悩む」
「伸び悩み」とは、実力や能力などが「伸びる」ことができずにとどまっている様子を意味する言葉です。株にも使われます。
「足踏み状態」
「足踏み状態」とは、行列の行進などにおいて足の上げ下げのみを一所で行い、先に進まない様から「物事が好転しない様」を表す言葉で株や景気、天候などに使われます。
冬将軍が北海道で足踏み状態が続いているため、例年以上の寒さが続いています。
「頭打ち」の対義語
「頭打ち」と反対の意味の言葉をいくつか紹介していきましょう。
「青天井」
「青天井」とは青い空を天井に見立てた言葉で、もともとは株取引の世界で使われ「株の取引きの量や金額に制限がなく上昇すること」を意味していましたが、そこから単に「制限なく上昇する金額、ポイント、スコアなど」にも使われるようになっています。
- 株市場は、今や青天井のため投資家は精力的に買いを進めている。
- A社の給料は、成果次第で青天井との噂を聞いたことがある。
「伸び盛り」
「伸び盛り」とは身長がぐんぐんと伸びる様子を表すもとの意味から「勢いが止まらずに伸び続けている様子」を表す言葉として使われています。
- 彼の英語力は、先生の指導が功を奏し今や伸び盛りだ。
- 彼女のテニスの実力は、努力の甲斐があり伸び盛りで日々うまくなっている。
- A社の新製品は、コストパフォーマンスの高さから売上は、伸び盛りだ。
「成長著しい」
「成長著しい」とは人が成長する様を表す言葉から人のみならず「成長する姿が顕著であることを表す」意味で使われています。
- 彼の数学の力は、好きであることも手伝い、その実力は成長著しいかぎりだ。
- A社は上場して間もないにもかかわらず、新製品の発売の連続で成長は著しく感じられる。
「頭打ち」の英語表現
「頭打ち」の英語表現を数例紹介しましょう。
hit the peak
「hit the peak」は「頂点に接触する」との単語の意味から「頭打ちになる」との意味で使われています。
A decade before were the biggest sales in my company, after that hit the peak.
(我々の会社は10年前が最大の売上で、それ以降、頭打ちになっている。)
reach the ceiling
「reach the ceiling」は「壁に到達している」との単語の意味から「頭打ちになる」との意味で使われます。
Unfortunately, My salary reached the ceiling despite my effort.
(残念なことに、私の頑張りにもかかわらず給料は頭打ち状態だ。)
まとめ
「頭打ち」の状態に陥った場合、それ以上の成長や上達が全く見えない状態であることから仕事やスポーツにおいてとてもつらい状態です。特に周りの人にはわかりにくいこともあります。このようなときに、「頭打ち」という言葉を使ってみましょう。