「以上」という言葉はよく使われますが、「○○以上」の場合○○は含むのでしょうか?また、「以下、超過、未満」も正しく使えていますか?使い方を間違えて恥をかくだけでなく、重大なミスに繋がりかねないこれらの言葉の意味の違いを解説します。
「以上」と「以下」の意味
ここでは「以上」、「以下」の意味の違いをそれぞれ解説していきます。
「以上」は含む
まず、「以上」とは「数量・程度・優劣などの比較で、それより上の範囲のことを指し、数量ではその基準をも含む」ことです。つまり、「20歳以上」とは20歳、21歳、22歳…の人たちのことを指しています。
参照:Weblio辞書「以上」
「以下」も含む
「以下」とは「数量・程度・優劣などの比較で、それより下の範囲のことを指し、数量ではその基準をも含む」ことです。つまり、「20歳以下」とは…18歳、19歳、20歳の人たちのことを指しています。
参照:Weblio辞書「以下」
「超過」と「未満」の意味
「以上」、「以下」と並んで紛らわしい言葉である「超過」と「未満」の意味の違いをそれぞれ解説していきます。
「超過」は含まない
「超過」とは「数量・程度・優劣などの比較で、それより上の範囲のことを指し、数量ではその基準を含まない」ことです。また、口語では「~より大きい/を超える」という表現で「超過」をあらわすことが多いです。「5 kgを超える重さ」とは「を超える」ですので、基準である5 kgは含みません。つまり、5.00…01 kgからそれ以上の重さのことを指しています。
「未満」も含まない
「未満」とは「数量・程度・優劣などの比較で、それより下の範囲のことを指し、数量ではその基準を含まない」ことです。また、口語では「~より小さい/を超えない」という表現で「未満」をあらわすこともあります。「5 kg未満」とは「を超えない」ですので、基準である5 kgは含みません。つまり、4.99…9 kgまでの重さのことを指しています。
「以上、以下、超過(を超える)、未満」の使い分け方と例文
「以上」、「以下」、「超過」、「未満」を使った例文を紹介します。よく見かける数値を使った表現から、数値ではない言葉を使った表現、さらに数学の不等号の記号を使用した表現まで、さまざまなパターンがあります。これらの例文を意味を考えながら読んでみてください。
数を使った例文
数値を使った例文を紹介します。しっかり確認しながら読んでみてください。
- 欠席日数10日以上のものは補講対象者です。(10日欠席の人も補講に出なくてはいけない)
- 1000円以上の買い物をされた方にはくじ引き1回分のチケットをお渡しします。(1000円ピッタリでもくじ引きができる)
- 23 kg以下のお手荷物は無料でお預かり致します。(23 kgちょうどまでは無料、23.1 kgから有料)
- 110 cm以下のお子様は1人でのご乗車はできません。(110 cmは乗れないが、110.1 cmであれば乗車可能)
- あのアーティストの新曲CDは100万枚を超えた。(100万枚を含まず、それより多く売れた)
- 今日は3時間を超える残業でものすごく疲れた。(少なくとも3時間と1秒は残業をした)
- 20歳未満の飲酒と喫煙は法律で禁止されています。(20歳の誕生日を迎えたら飲酒と喫煙は許されている)
- 駐車時間が60分未満の場合、料金はかかりません。(59分は駐車料金無料だが、60分は有料)
数以外の言葉を使った例文
「以上」、「以下」、「超過」、「未満」が数値以外でも使用される場面をよく見かけます。例文とともに確認してみてください。
- 高校卒業以上の方のみ採用いたします。(高校生は採用されないが、高校を卒業していれば採用される)
- この鉄道会社は小学生以下は半額料金で利用できる。(小学6年生は半額で、中学1年生は大人料金)
- 来週の日曜日までに返却しないと超過料金が発生する。(日曜日に返却すれば超過料金(延滞料金)は発生しないが、月曜日に返却すると発生する)
- 私たちの関係は友達以上恋人未満だ。(普通の友たちよりは親しいが、まだ恋人ではない)
記号で表されているときのそれぞれの意味
実は「以上」、「以下」、「超過」、「未満」は文字だけではなく、数学では記号でもあらわせることをご存じでしょうか。仕事などでよく使うこともある表計算ソフトエクセルでも使われる記号ですので、これを機にしっかりと覚えておきましょう。それぞれ「A ≦ B」は「AはB以下(BはA以上)」、「A ≧ B」は「AはB以上(BはA以下)」、「A < B」は「AはB未満(BはAより大きい)」、「A > B」は「AはBより大きい(BはA未満)」の意味です。記号を使った具体例で説明します。
・整数xは、1 < x < 7です。(xは1と7は含まない整数なので、2,3,4,5,6) ・整数xは、1 ≦ x ≦ 7です。(xは1と7は含む整数なので、1,2,3,4,5,6,7) ・整数xは、1 < x ≦ 7です。(xは1は含まず、7は含む整数なので、2,3,4,5,6,7) ・整数xは、1 ≦ x < 7です。(xは1は含んで、7は含まない整数なので、1,2,3,4,5,6)
「以上、以下、超過、未満」の対義語
「以下」、「以上」、「超過」、「未満」の対義語にあたる言葉はわかりますか。それぞれ考え方とともに紹介します。
「以上、以下」に対応する対義語
「以上」の対義語は「以下」、「以下」の対義語は「以上」です。そのため、18歳以上(18歳、19歳、20歳…)の対義語は18歳以下(…16歳、17歳、18歳)となりますので、しっかりと覚えておきましょう。
「超過、未満」に対応する対義語
もう予想できているかもしれませんが、「超過」の対義語は「未満」、「未満」の対義語は「超過」です。そのため、18歳を超えている(19歳、20歳、21歳…)の対義語は18歳未満(…15歳、16歳、17歳)となります。「以上、以下」と「超過、未満」の関係が混乱しないようにしましょう。
「以上、以下、超過、未満」の英語表現
「以上」、「以下」、「超過」、「未満」の英語表現ももちろんそれぞれ違いますので、確認しておきましょう。
「以上、以下」は「or more / or less」
「○○以上」は英語で「○○ or more」、「○○以下」は英語で「○○ or less」という表現になります。また、これ以外にも表現方法があるので、後ほど例文とともに解説します。
「超過、未満」は「more than / less than」
「○○を超える」は英語で「more than」、「○○未満」は英語で「less than」という表現になっています。また、これ以外にも表現方法があるので、後ほど例文とともに解説します。
英語表現を使った例文と意味
例文を紹介します。
- Children of three years and up(3歳以上のこども)
- Children, three years and over(3歳以上のこども)
- Children of seven years and under(7歳以下のこども)
- for 500 yen or less(500円以下で)
- Ten is more than nine.(10は9より大きい)
- All of them cost over $500.(すべて500ドルを超えています)
- Person under eighteen years old(18歳未満の人)
- Ten is less than eleven.(10は11より小さいです)
「以外」は含まない
今までとは少し話が変わりますが「以外」の意味はご存じでしょうか。「以外」とは「 ある範囲の外側」、「それを除く他の物事」ことを意味しています。おそらく「以外」の意味はよく知っている方が多いでしょう。「以上」、「以下」は「以外」と同じ「以」という字が含まれているので「その数は含まない」と覚えてしまうかもしれませんが、「以上」、「以下」と「以外」は違います。「以外」のイメージで「以上」や「以下」を覚えてしまわないように注意してください。
まとめ
「以上」、「以下」、「超過」、「未満」は街中でも頻繁に使われている言葉です。これらの言葉の意味を分かっていないと結果として恥ずかしいだけでなく、規則違反など大変なことになってもおかしくありません。これらの言葉の意味はややこしい部分はありますが、しっかりと確認して使えるようになりましょう。