「戒告」の意味と使い方は?
まず「戒告」の意味と、使い方について説明します。「戒告」は、日常生活ではあまり聞かない言葉なので、イメージしやすいように解説します。
意味は失態や過ちを強く戒めること
「戒告」は、主に仕事上で何か失態を犯したときに使います。多くの会社では、罰則の種類として使用しており、「懲戒処分」のひとつとして扱われるケースが多いです。
主に不祥事などの場合に使う
「戒告」は一般企業でも使われますが、元々は国家公務員法で定められれた「懲戒処分」の一つですので、公務員の不祥事の際に使われることが多いです。一般企業の場合も、国家公務員法の考え方に基づいて、従業員の不祥事があった際に使われます。
行政上の通告手段としても用いられる
「戒告」は行政で求められた義務を履行しない場合、義務を履行しない者に対して催告する意味で使われることもあります。「懲戒処分」の「戒告」とは意味合いが異なるので、混同しないように注意しましょう。
参照:Weblio辞書「戒告」
「戒告」になると受ける処分内容
「戒告」は「懲戒処分」という罰則の一つなので、該当すると何かしらの処分を受けることになります。ここでは「戒告」を受けた場合、どのような処分を受けるのか解説します。
基本的には厳重注意
「戒告」は「懲戒処分」の中でも一番軽い罰則になるので、基本的には厳重注意となり、始末書など具体的なアクションにまでいたらないケースがほとんどです。しかし、企業によっては厳しく定めている場合もあります。そもそも「戒告」処分を受けないことが前提ですが、どのような処分が下るかは、就業規則などであらかじめ確認した方がいいでしょう。
評価や出世に影響する可能性がある
厳重注意になることがほとんどでも、処分に値する行為をしたことには変わりありません。「戒告」の場合は社内報などに掲載する企業が多いので、そうなると上司はもちろん、周りからの評価が下がるので、出世に影響する可能性が高まります。
公務員の「戒告」処分は特に厳しい
国家公務員法という法律で定めている背景もあり、一般企業よりも公務員の方が「戒告」処分は厳しい傾向にあります。一度「戒告」処分を受けると経歴に「戒告」処分を受けた旨が記載され、部署異動しても情報が伝わっています。そうなると、働きづらくなる上、出世にも大きく響くので、公務員で「戒告」処分になったら相応の覚悟をした方がいいでしょう。
「戒告処分」は給料に影響するのか?
もし「戒告」処分を受ける際、給料へどのように影響するかは誰しもが気になることでしょう。ここでは「戒告」処分が賃金に影響するケースについて解説します。
減給になるケースもある
前述のように、基本的には厳重注意だけで終わることが多いです。しかし、「戒告」処分に該当したことによって、一時的に役職が外れて「役職手当」がなくなるといったケースも考えられます。厳重注意で終わるからと言って油断は禁物です。
賞与額や退職金に響く可能性もある
月額の給与には影響せずとも、賞与や退職金に影響するケースも考えられます。どこから引かれるかは企業によって異なるので、必ず規程を確認しましょう。
懲戒処分の種類と違い
冒頭で説明した通り、「戒告」は「懲戒処分」の一種であり、「懲戒処分」は「戒告」の他にもいくつか存在します。それぞれ意味や処分の内容や重さが異なるので、ここでは「懲戒処分」の違いについて解説します。
懲戒解雇
「懲戒解雇」は「懲戒処分」の中でも最も重い処分であり、従業員は「懲戒解雇」に該当すると一方的に雇用契約を打ち切られます。「懲戒解雇」に該当する内容としては、背任行為や横領などがあげられます。また「懲戒解雇」になると退職金が出ない場合も多く、かなり重たい処分であることがうかがえます。
諭旨解雇
「諭旨解雇」は企業が一方的に解雇するのではなく、双方がよく話し合い、互いの合意が取れた上で解雇します。解雇処分である点は「懲戒解雇」と共通していますが、一部退職金が出るなど、少し基準が緩やかになるイメージです。
降格
「降格」はその名の通り、現在の役職を引き下げる処分です。基本的には、部長から課長など、一段階の降格が多いですが、企業ごとの取り決めや処分内容によっては、それ以上の「降格」もあり得ます。
出勤停止
「出勤停止」は一時的に従業員の出勤を停止する処分です。反省期間の意味も込められていますが、停止期間中に処分の詳細を決める期間として利用されることもあります。
減給
「減給」は従業員の賃金の一部を差し引く処分を行い、従業員を戒める目的を持った「懲戒処分」です。ただし、差し引く賃金は労働基準法第91条に定めがあり、1回の金額は平均賃金の半分以下、総額が10分の1を下回らないように支給しなければなりません。
譴責
「譴責」は処分に該当する行為に対して、始末書や誓約書を書かせることで、従業員への戒めとし、以後同じことを繰り返さないことを社員に約束させる処分です。明確な影響がないので「戒告」と近い「懲戒処分」ですが、始末書や誓約書など、反省を形にする点が「戒告」と異なります。
「戒告」処分の対象になった事例【公務員】
では、実際にどのような場合が「戒告」処分に該当するのか、ここでは事例を基に解説します。まずは「懲戒処分」について国家公務員法に定めのある公務員の事例から見ていきます。
職務に対し怠惰な態度でのぞんだ場合
怠惰な態度に該当するのは、理由のない遅刻や無断欠席、頻繁にとられるタバコ休憩、ゲームのような業務に関係のないことをするなど、該当する行為はさまざまです。つまり、会社に対して不誠実な態度を取るようなケースが該当します。
国家公務員法に違反するような場合
公務員の種類にもよりますが、公務員は労働権を行使して、ストライキなどへの参加はできません。これは国家公務員法にも規定されており、破った場合は「戒告」処分、程度が重いとそれ以上の処分を下されることもあります。ちなみに、職員に対して一定の処分を行う場合には、処分の事由を記載した説明書を交付されるので、内容に不服のある職員は人事院に対してのみ、審査請求ができます。
そのほかの法律に抵触するような場合
国家公務員法、地方公務員法だけではなく、一般的に法律に抵触する行為を行っても「戒告」処分になる場合があります。代表的な例ですと、他者への暴行や器物損害、飲酒運転などで捕まった場合も、「戒告」処分、またはそれ以上の処分に該当する可能性があります。
「戒告」処分の対象になった事例【一般企業】
ほとんどの企業が罰則に関する規定を設けており、その中には「戒告」の考え方を取り入れている企業も少なくありません。ここでは一般企業が「戒告」処分にするケースを解説するので参考にしてください。
私生活上のトラブルを起こした場合
意外に多いのが私生活上のトラブルです。飲酒運転や他人への暴行や器物破損など、刑法上の罰則に該当するような場合は、会社からも「戒告」のような処分が下ることが多いようです。つまり、問題を起こせば私生活など関係なく、会社からも罰則が下るケースがあるので注意しましょう。
会社の備品を私的に使用した場合
文房具などの小さいものを無断で持ち出したり、社用車を旅行などの私的な目的のために利用したりと会社の備品を私的に利用した場合も、「戒告」処分を受けるケースが多いようです。また、持ち出し行為自体に問題性があり、悪意がなくても「戒告」処分に該当する場合があるので、会社所有の備品の取り扱いには気をつけましょう。
就業規則の内容に違反した場合
「就業規則」は会社で必ず設けられています。内容は会社ごとに異なりますが、例えば遅刻早退を3回繰り返したら「戒告」処分に該当するなど、会社によっては処分までの明確な基準を設けているケースもあります。
まとめ
「戒告」は「懲戒処分」の中でも軽めの処分ですが、油断していると想像以上の不利益を被ることもあります。そもそもで処分に該当するような行為をしないことが大前提ですが、「戒告」だけでなく「懲戒処分」の各種を理解しておくと、自分への戒めにもなるので、しっかり理解することをおすすめします。