「コンサバ」はファッション業界でよく聞く言葉ですが、ほかの業界でも使用されているとご存じですか?この記事で、業界別の意味を解説しています。類義語や反対語・業界別の例文も合わせて解説します。「コンサバ系」ファッションの特徴も再確認しておきましょう。
「コンサバ」の意味とは?
「コンサバ」は、「コンサバティブ」の略で、日常のさまざまな場面で使用されているカタカナ語です。英単語が語源ではあるものの、私たちが日頃目にしている「コンサバ」はやや違った意味で捉えられています。
そこで、業界別の意味をまずは見ていきましょう。
英単語の意味
英単語の「コンサバ」は「conservative」と表記し「コンサバティブ」と読みます。意味は「保守的な、保守主義の、伝統的な、古臭い、控えめな」で形容詞です。人や考え方に対して使われることが多いでしょう。
また、「コンサバ」はカタカナ語ですので、「コンサバ」と言っても海外では伝わりません。英単語の意味で使う場合には「コンサバティブ」と省略せずに使いましょう。
ビジネスでの意味
ビジネスでの「コンサバ」は「頑固、面白みがない、無難、保守的」と考えられ、ネガティブ表現と認識されています。仕事の企画や相手の発言に対して、「当たり障りのない感じ、つまらない」といった印象を与えますので、多用は避けたほうがよいでしょう。
政治的な意味
政治的な「コンサバ」は、伝統的な制度や慣習を重視し、変革や革命を避ける考え方を示す言葉です。英単語の「コンサバ」にもあった「保守主義の」が当てはまります。
医療的な意味
医療場面での「コンサバ」は「保存的療法」の意味を示します。保存的療法とは、外科手術をおこなわずに治療する方法です。薬の服用や運動療法、生活改善始動などで症状の改善を目指す治療法と考えるとわかりやすいでしょう。手術をしない療法のため、「非手術的療法」と呼ばれる場合もあります。
ファッション的な意味
ファッションでの「コンサバ」は、「上品で落ち着いた身なり」を表す言葉としてよく使用されています。
女性なら控えめでキレイめな服装を示し、オフィスでも問題がない女性らしく清楚なファッションが当てはまるでしょう。男性も、知的で品の良さが伝わるキレイめなファッションが「コンサバ系」といわれています。
「コンサバ」の類義語・言い換え
「コンサバ」を日本語で説明したいときには、どんな言葉が当てはまるでしょうか。よく使用されている類義語や言い換えを3つ紹介します。
無難
「無難」は、欠点がなく、まちがいのない様子を表す言葉です。秀でている部分もないが、特に欠点も見当たらないときに使います。ビジネス場面での「コンサバ」と同じと捉えても問題ないでしょう。
保守的
「保守的」は古くからある伝統や制度・考え方を重視し、革命を避ける考え方を指す言葉です。対義語としては「革新的」「進歩的」が挙げられます。
控えめ
「控えめ」は、でしゃばらず目立たない様子を示す言葉で、あまり周囲に主張していない場面を表現したいときなどに使用されています。また、量や程度を少なくすることも「控えめ」です。
「コンサバ」の対義語
「コンサバ」と同じくカタカナ語で反対の意味を示す言葉があります。
アバンギャルド
「アバンギャルド」は「前衛的、革命的」を示す言葉です。フランス語が語源で、少数精鋭の部隊「前衛」から派生したと考えられています。日常生活では、ファッションやアートの場面で「大胆」「斬新」「最先端」と表現したいときに使えるでしょう。
基本的にはポジティブ表現ですが、語源の要素から「攻撃的」「奇抜」「一般的には受け入れられない」と捉える人もいます。そのため、「アバンギャルドな服」と聞くと、マイナスなイメージを抱く人もいるでしょう。
プログレッシブ
「プログレッシブ」は「ものごとが前進する、考え方が革新的」を意味します。ビジネス場面では「コンサバ」と対照的に、ポジティブな印象を与える言葉です。プロジェクトがうまくいっている、考え方が前向きでよい方向に向かっている、など順調に物事が進み、目標を達成できそうなときに使用します。
コンテンポラリー
「コンテンポラリー」は「今どき、現代的」です。ファッション・芸術作品に対して使う場面が多いでしょう。
たとえば「コンテンポラリーダンス」がよい例です。バレエやヒップホップなどの型に囚われない自由なダンススタイルとして知られています。
そのため、古風で伝統を重んじる「コンサバ」とは反対の意味を持つ表現です。
「コンサバ系女子」とは?ファッションの特徴
「コンサバ」と言えば、女性のファッションを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、具体的に「コンサバ系女子」がどんなファッションを示すかは、誰しも曖昧に認識しています。実は「コンサバ」は時代とともに変化しており、年代によって思い浮かべるファッションが少しだけ異なるのです。
「コンサバ系」は、バブル期に浸透した言葉で、当時はお嬢様系の上品なファッションを示すものでした。しかし、現在の「コンサバ系」は上品でありながらもトレンドを取り入れたお姉さん系のファッションとして捉えられています。
たとえば、ブラウスにスカートを合わせた定番コーディネートであっても、スカートはトレンドに合わせたシルエットのものを選ぶと、より現代的な「コンサバ系」を演出できるでしょう。
また、どのコーディネートでもスニーカーなどのカジュアルなアイテムは使用せず、ヒールを履くのが一般的です。女性らしいけど、かっちりしすぎないスタイルなので、プライベートでもオフィスでも着回しがききます。
「コンサバ系女子」は、どんな場面でも受け入れられる定番のファッションと言えるでしょう。
「コンサバ」と「コンサバトリー」は同じ?
「コンサバ」と音が似ている言葉として「コンサバトリー」もよく検索されています。
「コンサバトリー」は、「コンサバ」とは違う単語です。こちらはインテリア用語で、ガラス張りの建築物を意味します。
2つの言葉が混同される理由として、語源が「コンサーブ(conserve)」であることが考えられるでしょう。「コンサバ」も「コンサバトリー」も英単語の「コンサーブ」から派生した言葉です。「コンサーブ」には、「気をつけて保存する、保護する、(ジャムなどを)保存する」などの意味があります。「コンサバ」は「コンサーブ」の形容詞ですし、「コンサバトリー」は名詞です。
したがって、「コンサーブ」の「保存する」を変換させると、「コンサバトリー」は「植物などを栽培する温室」となるのですね。
しかし、現代では「コンサバトリー」は単に植物を室内栽培するガーデニングルームとしてだけでなく、住宅のアクセントとなるおしゃれな空間としても利用されています。たとえば、お茶を楽しむスペースやハンモックを設置するくつろぎのスペースなど。
「コンサバ」と「コンサバトリー」は、語源は同じではあるものの、このように意味は異なる言葉なのです。
「コンサバ」の使い方と例文集
「コンサバ」を実際に使うときの使い方と例文を見ていきましょう。特に使用場面の多いビジネスとファッションでの例文を紹介します。
ビジネス場面での使い方と例文
ビジネスでの「コンサバ」はネガティブな場面で使用されます。
- 彼の企画書は「コンサバ」で、面白みがないよ。これでは競合に勝てない。
- 最近のA社は、なんだか「コンサバ」感のある商品展開ばかりだ。
- 新しく入ってきた新入社員はいかにも「コンサバ」で、個性がないんだよな。
- この資料でも問題ないとは思うけど、ちょっと「コンサバ」じゃない?
- 今朝のミーティングで、上司はいかにも「コンサバ」らしく、角の立たない発言をしていた。
悪くはないものの改善の余地がある場面や、考え方や成果物に物足りなさを感じる場面で使うと伝わりやすいでしょう。ただし、相手をえらばないと不快と思われるケースもありますので、多用はしないほうがよいです。
ファッション用語としての使い方と例文
ファッション用語の「コンサバ」はビジネス場面とは異なり、ポジティブ要素も多いです。例文を見てみましょう。
- 来週彼とデートなんだけど「コンサバ」スタイルでいいかな?
- このスーツ、「コンサバ」で上品な感じがする。
- 取引先と会食がある日は「コンサバ」系をえらんでおけば、間違いない。
- 私服はアバンギャルドだけど、仕事着は「コンサバ」でメリハリをつけている。
- 「コンサバ」とカジュアルをミックスさせたコーディネート。
個性的になりすぎず、上品で年代を問わずウケのいいファッションと言える「コンサバ」は、コーディネートを組むときによく使用されます。
ただし、個性的なファッションを求める人や、無難なファッションを嫌う人に「コンサバ」と指摘すると、嫌悪感を抱かれるかもしれませんので、こちらも相手をえらんで使いましょう。
まとめ
「コンサバ」は業界によって、ポジティブにもネガティブにも捉えられる複雑な言葉です。
日常生活で「コンサバ」と気軽に使って相手を傷つけてしまわないように気をつけましょう。それでも、必要な場面では「コンサバ」を意識したファッションを取り入れて、ビジネス場面での第一印象をプラスに変えていけたらよいですね。