ルビコン川を渡るの意味とは?使い方・類語・英語表現をわかりやすく解説

「ルビコン川を渡る」の意味とは?使い方・類語・英語表現をわかりやすく解説
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「ルビコン川を渡る」は大きな決断をするときに使う表現です。なんとなく意味は理解できても、正確な意味や用法を知らない人は多いです。「ルビコン川を渡る」はビジネスの場でも用いられる表現であるため、意味や類義語、使用例などをこの機会に習得しましょう。

目次

「ルビコン川を渡る」の意味

「ルビコン川を渡る」の意味

「ルビコン川を渡る」という表現は、一般的に「とても重大な決断をすること」または「今更引き下がれない道へ進むこと」を意味します。その後の大きな変化を覚悟したうえでの行動に対して使用し、生死を分けるような局面や、ビジネスにおいては会社の存続を賭けた大きな契約を結ぶときなど、重大な決断をする際に使われます。

「ルビコン川を渡る」の由来・語源

「ルビコン川を渡る」の由来・語源

「ルビコン川を渡る」は、ローマ帝国の軍人カエサルに関する故事から生まれた言葉です。ルビコン川とは古代ローマ時代のガリア(現在のフランスやオランダ)とイタリアの国境となる川で、当時軍を率いて川を渡ることは禁じられていました。しかしカエサルは命令に背き、紀元前49年1月10日、軍を率いてルビコン川を南下し、ローマへ向かいます。戦いが起こることは覚悟の上での行動で、このことから「後戻りできないほど重要な決断・行動」のことを「ルビコン川を渡る」と表すようになりました。

カエサルの言葉「賽は投げられた」との関係

カエサルが残した名言の1つに「賽(さい)は投げられた」がありますが、これはルビコン川を通過する際に、引き連れていた兵に向けて放った言葉として知られています。賽とは 双六 (すごろく)のことで、不確かな未来を言い表しています。そして、「賽は投げられた」ということわざの意味は、「回帰不能点を越したので、最後までやるきるしかない」です。

ルビコン川は実際に存在する

ルビコン川は、共和政ローマの終盤、イタリア本土と属州ガリアとの境界になっていた川です。現在ではロマーニャ州のルビコーネ付近にある川で、アドリア海に注ぐ川をルビコン川と呼んでいます。しかし当時の河川の形状や位置と現在では変わっている点が多いため、カエサルが渡った「ルビコン川」が現在のどの川に相当するかについては、今なお論争が続いています。

「ルビコン川を渡る」の類義語

「ルビコン川を渡る」の類義語

大きな変化を覚悟した上での決断である「ルビコン川を渡る」は、他の表現で言い換えることはできるのでしょうか?今回は「ルビコン川を渡る」と似た意味をもつ言葉、類義語を4つ紹介しますので、あわせて覚えておきましょう。

「ルビコン川を渡る」の類義語「背水の陣」

「ルビコン川を渡る」の類義語には「背水の陣(はいすいのじん)」があります。「背水の陣」とは「川や海などを背にした陣立て」を指し、「一歩も後には引けない状況で決戦する構え」を意味することわざです。転じて、そうした状況に身を置いて必死に物事に取り組むことを意味し、味方に退却できないという決死の覚悟をさせるカエサルの「ルビコン川を渡る」と共通の意味合いをもっています。

「ルビコン川を渡る」の類義語「あとは野となれ山となれ」

「ルビコン川を渡る」の類義語には、「あとは野となれ山となれ」もあります。「あとは野となれ山となれ」の意味は、「今目の前のことを解決できれば、後はどうなっても構わない」です。潔い決断を表す場合と、「自分ができることは全てやったのだからあとのことは知ったことではない」という開き直りの気持ちを込めて使う場合があります。

「ルビコン川を渡る」の類義語「人事を尽くして天命を待つ」

「人事(じんじ)を尽くして天命を待つ」も「ルビコン川を渡る」の類義語です。「できることはやり切った上で、結果は天に任せる」という意味です。努力すれば必ず理想の結果が得られるとは限りませんが、まずは力を尽くす必要があり、そこから次の新しい道が拓けるというところが「ルビコン川を渡る」との共通点です。

「ルビコン川を渡る」の類義語「清水の舞台から飛び降りる」

「清水(きよみず)の舞台から飛び降りる」も「ルビコン川を渡る」の類義語です。非常に高い清水寺の舞台から飛び降りるほど、命がけで取り組むことを意味します。

清水とは京都にある清水寺のことで、本堂の正面にせり出すように舞台が作られていますが、その高さは13メートルもあります。実際には、江戸時代に清水の舞台から234人が飛び降り死亡者は34人、生存率は約85%という記録が残っています。想像より生存率が高いのは、当時は舞台の下に木々が茂り地面も軟らかな土であったことに加え、「観音様に命を預けて飛び降りれば、命は助かり願いがかなう」という願掛けの意味が込められていたからです。

「ルビコン川を渡る」の対義語

「ルビコン川を渡る」の対義語

「ルビコン川を渡る」の対義語には、安全そうに見えても用心を重ねる意味の「石橋を叩いて渡る」、失敗しないように万が一に備えておく意味の「転ばぬ先の杖」などがあります。どちらも入念な下準備や事前確認をしてから行動に移す様子を表し、慎重すぎる人、臆病な人に対して使います。

「ルビコン川を渡る」の英語表現

「ルビコン川を渡る」の英語表現

「ルビコン川を渡る」には英語表現もあります。直訳と意訳ともに短くて覚えやすい表現なので、ぜひ参考にして実際の会話の中で使ってみてください。

「ルビコン川を渡る」を直訳すると?

「ルビコン川を渡る」を直訳すると、「Cross the Rubicon」です。「渡る」を意味する動詞は、「cross」のほか「pass」を用いることもあります。「ルビコン川」をそのまま訳すと「the Rubicon river」となりますが、一般的に川は固有名詞の前に冠詞theを置くため、「the Rubicon」が使われます。実際にこの「Cross the Rubicon」という表現は、他国の政治家などの発言にも出てきます。

「ルビコン川を渡る」を意訳すると?

「ルビコン川を渡る」を意訳すると、「burn one’s bridges(もしくはboats)」となります。直訳すると「自分の橋(ボート)を燃やす」ですが、「後戻りできない状況にする」という意味を含んでいます。また、「重大な決断を決断をする」という意味の「make a crucial(very imporant)decision」で表すこともできます。

「ルビコン川を渡る」の実際の使用例

「ルビコン川を渡る」の実際の使用例

「ルビコン川を渡る」というフレーズを実際の会話で耳にしたことはありますか?「ルビコン川を渡る」が実際に使われるシチュエーションや、使用された例をみていきましょう。

シュタイナー教育における意味

「ルビコン川を渡る」は、哲学者であるルドルフ・シュタイナーが提唱した「シュタイナー教育」において使われることがあります。シュタイナー教育では、9歳を境に自我の目覚めを迎えて自立へ一歩近づくとされていますが、この自我の目覚めを「ルビコン川を渡る」と表します。「もう二度と戻れない」という意味で、カエサルが後戻りはできないという覚悟でルビコン川を渡った話になぞらえたものです。

新型コロナ禍の尾見会長の発言で話題に

日本の新型コロナウイルス感染症対策において、分科会会長を務める尾身茂会長の発言に「ルビコン川を渡る」が出てきました。公衆衛生の専門家として「Go Toキャンペーン」の継続の是非について意見を求められた際、「ルビコン川を渡る覚悟」で政府に提言したと伝えられました。大きな岐路に立ち、その後を左右するような重大な選択に迫られたことが伝わる表現です。

「ルビコン川を渡る」の使い方

「ルビコン川を渡る」の使い方

「ルビコン川を渡る」は会社の命運を分けるときや今後の人生を左右するときなど、ある行動や決断によって大きな変化が訪れるであろう状況で使用しましょう。「ルビコン川を渡る」を用いた例文は以下の通りです。

「ルビコン川を渡る」の例文1

「彼女は熟考した上で「ルビコン川を渡った」のだから、もう誰にも止められない。」彼女の運命を左右するような決断を「ルビコン川を渡る」と表現していて、大きな変化を覚悟した上での強い決心の様子が伝わってきます。このように決定的で取り消しのできない一歩を踏み出すときに、「ルビコン川を渡る」が使えます。

「ルビコン川を渡る」の例文2

「この状況で「ルビコン川を渡る」ような決断ができるわけがないだろう。」ここでの「ルビコン川を渡る」は大きな決断や行動を例えたもので、現時点において「後戻りできないほど重要な決断・行動」を決める覚悟はできていないという意味です。

まとめ

「ルビコン川を渡る」は古代ローマ時代、カエサルが決死の覚悟でルビコン川を渡った故事に由来し、そのときに味方に掛けた「賽は投げられた」という言葉ともに広く知られています。「重大な決断や行動を取ることの例え」を意味し、ビジネスの場でも用いられる表現です。大きな決断をするときは、この表現を思い出して、カエサルのように勇敢な気持ちをもってみてはいかがでしょうか。

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