「繁忙期」という言葉を耳にする機会は多いけれど、一体どういう意味なんだろう?そんな疑問をお持ちの方に、ここでは意味や言い換えの言葉、間違いやすい言葉を解説するほか、使い方や例文を解説します。また、職種別の繁忙期についても紹介します。
「繁忙期」の意味とは?
「繁忙期」とは、客足が増えたり、注文が増加したりして業務が特に忙しくなる期間のことです。一定の期間を指す言葉のため、忙しい時間帯や状況を表す際には用いられません。ホテルなどの旅行業界や飲食業界といった接客を伴う業界だけに限らず、さまざまな業界に繁忙期は存在します。期間は業界や職種によって、数週間から数カ月ほどとさまざまです。また1年の内に1度だけでなく、業界によっては複数の繁忙期がある場合があります。
「繁忙期」の読み方
「繁忙期」は、「はんぼうき」と読みます。「忙」には「ボウ」のほかに「モウ」という音読みがありますが、「はんもうき」とは読みません。「忙」は訓読みに「いそが(しい)」とありますが、「繁」にも「いそがしい」や「事が多くて煩わしい」といった意味が含まれています。また、「繁忙」を「煩忙」と漢字を変えても、「仕事が多くて忙しい」という意味は変わりません。「煩忙」を用いる場合は、「煩忙な時期」と表します。
「繁忙期」の類義語と例文集
「繁忙期」を言い換える言葉には、どんなものがあるでしょうか。ここでは2つの類語と、それらを用いた例文を紹介します。
書き入れ時
「書き入れ時」は「かきいれどき」と読みます。会計帳簿に記入するのに忙しい時期を指し、商売が繁盛して利益が最も期待できるときという意味です。帳簿に書き記すことを表しているので、「掻き入れ」とは表記しません。
・観光地にとって、ゴールデンウィークは書き入れ時だ。
・年度末から年度初めは人の動きが活発なので、引っ越し業者にとって書き入れ時といえる。
稼ぎ時
「稼ぎ時」は「かせぎどき」と読みます。こちらも「書き入れ時」と同じように、利益が最も期待できるときを指す言葉です。
・夏になると海水浴客がたくさん訪れるので、海の家は稼ぎ時だ。
・デパートにとって、年末の物入りな時期は稼ぎ時である。
「繁忙期」の対義語は「閑散期」
「繁忙期」と対になる言葉として、「閑散期」が挙げられます。こちらは「かんさんき」と読みます。「繁忙期」と比べて客足や注文が少なく、忙しくない時期を指します。「閑散期」を用いた例文は、以下の通りです。
・先月までの忙しさに比べると、閑散期は時間の流れが穏やかだ。
・忘年会のシーズンが終わったので、飲食業界は閑散期を迎えた。
「繁忙期」と間違いやすい言葉
「繁忙期」と似た言葉がいくつかあります。間違いやすい言葉とその意味を理解することで、誤用を防げます。
「過渡期」は「かとき」と読みます。物事が現在の状態から新しい状態へと移り変わることで、混乱が生じている期間をいいます。そのため、商売が繁盛して忙しい時期という「繁忙期」とは意味が異なります。会社の方針が変化していく時期などを表わすほか、歴史において時代が移り変わっていく様を表す際に用いられる言葉です。
「最盛期」は「さいせいき」と読みます。勢いが一番ある時期という意味があります。商売に勢いがあることを表わしますが、「繁忙期」と違って、仕事量が多くて忙しいという意味はありません。果物や野菜の出荷がピークを迎える時期などを表わす際に用いられることが多い言葉です。
「繁忙期」は業界によって時期が異なる
「繁忙期」といっても、職種や業界によって時期は異なります。自分の職種だけでなく、取引先の繁忙期を知っておくと、繁忙期を意識した提案などが可能になるでしょう。また転勤などで引っ越しをする場合に繁忙期を知っておくと、混雑を避けられたり、料金が抑えられたりするでしょう。
不動産業界の繁忙期は、12月~3月となります。進学や就職、転勤などに伴い、人の動きが活発になる時期だからです。そのため、7月~8月の夏場は閑散期となります。
運送業は、取り扱うものによって繁忙期が異なります。引っ越しの場合、不動産業界と同様、ライフステージの変化に伴う人の移動により、3月から4月にかけて繁忙期となります。この時期は引っ越しにかかる料金が、通常に比べて最大1.5倍ほど高くなる場合があります。また多くの人が引っ越しの申し込みをするため、予約をとるのも困難を極めるでしょう。
引っ越しではない場合の繁忙期は、12月です。これはクリスマスなどのイベント事に伴う荷物の増加、お歳暮や年賀状の配達などが集中するためです。
ホテルなどの宿泊施設やアミューズメント施設、旅行代理店といった旅行に関連する業界の繁忙期は長期休暇がある時期です。ゴールデンウィーク、シルバーウィーク、年末年始、夏休み、春休みなどが含まれます。この時期は人出が多いため、混雑したり、宿泊代や交通費などの料金が高かったりするでしょう。
12月、3月、4月が、飲食業界の繁忙期となります。12月には忘年会やクリスマスパーティー、3月と4月には歓送迎会など、大人数での飲み会がセッティングされる時期だからです。閑散期は1月、2月、8月となります。
繁忙期の英語表現と例文集
英語では「繁忙期」を、「Busy season」「high season」「peak season」などと表現します。海外の方とやりとりをするなど、ビジネスシーンにおいて英語を用いる機会が増えた方もいるのではないでしょうか。ここでは「繁忙期」の英語表現とともに、例文を紹介します。
「Busy season」は、商業における稼ぎ時を表す際などに用いられることが多いです。
「Busy」は「忙しい」、「season」は「時期」を表しているので、商売が繁盛していて忙しいという「繁忙期」の意味が伝わりやすい表現となります。
・The year-end and New Year holidays were a busy season.
(年末年始は繁忙期でした。)
・Some operations are delayed due to the busy season.
(繁忙期のため、一部の業務が遅れている。)
「high season」は、観光や旅行に関する業界で用いられる表現です。
「peak season」も「high season」と同様に、観光や旅行に関する業界で用いられる表現です。
「peak」は物事の頂点を表しているので、人が集中する時期を表現する際に用いられます。
・The year-end and New Year holidays were a busy season.
(年末年始は繁忙期でした。)
・Some operations are delayed due to the busy season.
(繁忙期のため、一部の業務が遅れている。)
「繁忙期」の使い方と例文集
「繁忙期」は一定の期間を表わす言葉なので、「迎える」や「乗り切る」といった述語をつけて使用します。ビジネスシーンで使用することが多い、主な言い回しを紹介します。
「繁忙期」の使い方
・繁忙期を迎える
・繁忙期を乗り切る
・繁忙期を避ける
・繁忙期を終える
上記のような使い方があります。「繁忙期を迎える」という表現では忙しい時期がやってきたことを表し、「繁忙期を乗り切る」という表現では困難な状況を克服して抜けたことを表しています。
「繁忙期」を取り入れた例文
「繁忙期」を用いた例文集です。
・繁忙期を迎えたが、人手が足りないのでさらに忙しい。
・連携をとって、年末年始の繁忙期を乗り切ろう。
・忙しくなる繁忙期を避けて、業務の計画をたてよう。
・繁忙期を終えたので、一安心だ。
まとめ
「繁忙期」とは、業務が増えて忙しくなる一定期間のことを指します。時期は職種や業界によって異なり、1年の間に複数の「繁忙期」が存在する場合もあります。「繁忙期を迎える」「繁忙期を乗り切る」といった使い方をします。「繁忙期」の英語表現を身に付けたり、「書き入れ時」や「稼ぎ時」など、言い換えの言葉も覚えておくといいでしょう。