「三つ子の魂百まで」の意味を正しく説明できますか?「三つ子の魂百まで」は、幼いころからの習慣ではなく生まれ持った性格に対して使われることわざです。この記事では、使い方や類語・英語表現について例文を交えながら徹底解説しています。
「三つ子の魂百まで」の読み方
「三つ子の魂百まで」のことわざを深く理解するために、まずは使われている4つの漢字それぞれの読み方を一つずつ深掘りしていきます。
・「三」は音読みで「サン」訓読みで「み・み(つ)・み(っつ)」と読みます。
・「子」は音読みで「シ/ス」訓読みで「こ・ご/おとこ/ね/み」と読みます。
・「魂」は音読みで「コン」訓読みで「たましい/たま」と読みます。
・「百」は音読みで「ヒャク・ハク」訓読みで「もも」と読みます。
それぞれ4つの漢字の音読み・訓読みと送りがなを組み合わせ、「三つ子の魂百まで」は「みつごのたましいひゃくまで」と読みます。
「三つ子の魂百まで」の意味とは?
「三つ子の魂百まで」のことわざの意味を深く理解するために、使われている4つの漢字それぞれの意味を深掘りしていきます。
・「三」は「みっつ・みたび・さんど/みっつ目・さん番目/たびたび・何度も」の意味があります。
・「子」は「親から生まれたこども・おとこ・男の子/成人男性の敬称/先生や師、学問や地位のある人に対する敬称/思想家・学問に精通する人・その著書やその思想、学問についての書物/み・たね・果実・生物のたまご/小さいもの・細かいもの/五等級の爵位(公・侯・伯・子・男)の四番目/十二支の一番目/方位では北/時刻では夜の十二時、その前後の二時間。動物では鼠(ねずみ)/女性の名に用いられる」の意味があります。
・「魂」は「たましい・たま・体の中に宿るもの・精神をつかさどる精気/こころ・思い・気持ち・精神」を意味します。
・「百」は「ひゃく/もも/数の名/多い・たくさん・いろいろ・もろもろ・さまざま」を意味します。
それぞれ4つの漢字の持つ意味と送り仮名を組み合わせると、「三つ子の魂百まで」は「三つの・こども・体の中に宿るもの・百まで」となり、「幼い頃、子ども時代に得た性格は一生変わらない」の意味を表すことわざです。
「三つ子」は本来「三歳の子ども」を意味しますが、「三つ子の魂百まで」に使われる「三つ子」は「幼い子ども」の意味で使われます。
「三つ子の魂百まで」の由来・語源
「三つ子の魂百まで」のことわざの由来は、「源氏物語」であるといわれています。
源氏物語は平安時代の中頃である11世紀のはじめ、紫式部によって創作された歴史的にも有名な物語です。この物語の一説にある文章が「三つ子の魂百まで」のことわざの由来であるといわれています。
筆取る道と碁(ご)打つこととぞ、あやしう「魂」のほど見ゆるを、深き労なく見ゆるおれ者も、さるべきにて、書き打つたぐひも出来れど。(引用:光る源氏の物語)
現代語に訳すと「書物を書いたり囲碁を打ったりすることは、たくさんの練習を積んだようには見えない者であっても、幼き頃からの才能(生まれ持った才能)によってうまくこなせるものである」を意味します。
物語の中で「三つ子の魂百まで」が出てきているわけではないので、「源氏物語」が「三つ子の魂百まで」の由来であると断言はできませんが、この一説が有力だといわれています。
「三つ子の魂百まで」の類語・言い換え
次に「三つ子の魂百まで」の類語・言い換えを解説します。
・雀百まで踊り忘れず
・噛む馬はしまいまで噛む
・病は治るがクセは治らぬ
・頭禿げても浮気はやまぬ
・産屋の癖は八十まで治らぬ
・習慣は第二の天性なり
ひとつずつ見ていきましょう。
「三つ子の魂百まで」の類語その1「雀百まで踊り忘れず」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語1つ目は「雀百まで踊り忘れず」。「すずめひゃくまでおどりわすれず」と読みます。「幼い頃や青年時代の癖や習慣は、年を取っても抜けない・変わらない」ことを意味しています。すずめは地面を歩くとき、踊っているかのようにチョンチョン飛び跳ねるかのような癖があり、その癖は年をとってもかわらないことに由来することわざです。「雀百まで踊り忘れず」は「上方いろはかるた」の中のひとつに収められています。例文を見てみましょう。
・弟は浪費癖が止まない。まったく「雀百まで踊り忘れず」である。
・彼の大食ぶりはまさに「雀百まで踊り忘れず」だ。
「三つ子の魂百まで」の類語その2「噛む馬はしまいまで噛む」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語2つ目は「噛む馬はしまいまで噛む」。「かむうまはしまいまでかむ」と読みます。「悪い習慣や癖は、いつになっても死ぬまでなおらない」ことを意味しています。もともと噛む癖がある馬は、死ぬまで噛む癖があることに由来することわざです。「噛む馬はしまいまで噛む」は悪い習慣に使われることわざです。ポジティブな習慣には使いませんので気を付けましょう。それでは例文です。
・弟は毎日朝寝坊、まったく「噛む馬はしまいまで噛む」である。
・「噛む馬はしまいまで噛む」といえども、悪い癖を自覚することは改善への第一歩である。
「三つ子の魂百まで」の類語その3「病は治るがクセは治らぬ」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語3つ目は「病は治るがクセは治らぬ」。「やまいはなおるがクセはなおらぬ」と読みます。「病気は治るが、一度ついた癖はかんたんには治らず、治すのはむずかしい」ことを意味しています。「病は治るがクセは治らぬ」は「噛む馬はしまいまで噛む」と同義語で、ネガティブな習慣に使われることわざです。例文を見ていきましょう。
・父は毎晩酒を飲んでばかり、まったく「病は治るがクセは治らぬ」である。
・「病は治るがクセは治らぬ」といえども、悪い癖を自覚することは改善への第一歩である。
「三つ子の魂百まで」の類語その4「頭禿げても浮気はやまぬ」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語4つ目は「頭禿げても浮気はやまぬ」。「あたまはげてもうわきはやまぬ」と読みます。「人間ものは、年を取っても浮気心や道楽の癖はなくならないものである」ことを意味します。明治時代に斎藤緑雨によって創作された書物「緑雨警語」の一説に由来することわざです。例文を見ていきましょう。
・祖父は80歳を超えたが、いまだにガールズバーに通っていてまさに「頭禿げても浮気はやまぬ」だ。
・老人ホームに入居している父には常にガールフレンドがいる。まったく「頭禿げても浮気はやまぬ」である。
「三つ子の魂百まで」の類語その5「産屋の癖は八十まで治らぬ」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語5つ目は「産屋の癖は八十まで治らぬ」。「うぶやのくせははちじゅうまでなおらぬ」と読みます。「幼い頃の癖や習慣は、年を取っても抜けない・変わらないことを意味することわざです。「産屋の癖は八十まで治らぬ」は「病は治るがクセは治らぬ」「噛む馬はしまいまで噛む」と同義語で、悪い習慣に使われることわざです。例文を見ていきましょう。
・「産屋の癖は八十まで治らぬ」というから、わが子の爪を噛む癖を治したい。
・「産屋の癖は八十まで治らぬ」といえども、悪い癖を自覚することは改善への第一歩である。
「三つ子の魂百まで」の類語その6「習慣は第二の天性なり」
「三つ子の魂百まで」ことわざの類語6つ目は「習慣は第二の天性なり」。「しゅうかんはだいにのてんせいなり」と読みます。「習慣の力は大きいもので、生まれ持った性格・性質と同じくらいの影響力がある」を意味し、ポジティブな習慣にかかわることわざです。例文を見てみましょう。
・「習慣は第二の天性なり」というが、毎日コツコツ勉強を重ねたおかげで、試験に合格できた。
・生まれは裕福ではなかったが、事業に成功し財を成した。私の座右の銘は「習慣は第二の天性なり」である。
「三つ子の魂百まで」を英語でいうと?
「三つ子の魂百まで」のことわざを英語で解説します。
・As the boy, so the man.
・The child is father of the man.
・Best to bend while it is a twig.
・The leopard can’t change his spots.
ひとつずつ見ていきましょう。
As the boy, so the man.
「三つ子の魂百まで」のことわざの英語1つ目は「As the boy, so the man.」。直訳すると「男の子と同様、だから男である」とよくわからない訳になりますが、「As the boy, so the man.」は「三つ子の魂百まで」の同義語で「幼い頃、子ども時代に得た性格は一生変わらない」を意味する英語のことわざです。
The child is father of the man.
「三つ子の魂百まで」のことわざの英語2つ目は「The child is father of the man.」。直訳すると「子どもは成人の父」。「The child is father of the man.」は「三つ子の魂百まで」の同義語で「幼い頃、子ども時代に得た性格は一生変わらない」を意味する英語のことわざです。
Best to bend while it is a twig.
「三つ子の魂百まで」のことわざの英語3つ目は「Best to bend while it is a twig.」。直訳すると「小枝のうちに曲げるのが最善である」。転じて「矯正するなら若いうち」。「Best to bend while it is a twig.」は「三つ子の魂百まで」の同義語で「幼い頃、子ども時代に得た性格は一生変わらない」を意味する英語のことわざです。
The leopard can’t change his spots.
「三つ子の魂百まで」のことわざの英語4つ目は「The leopard can’t change his spots.」。直訳すると「豹は体の斑点を変えられない」。転じて「自身の本来の性質や性格は、変えられない」ことを意味する英語のことわざです。「三つ子の魂百まで」とは少しニュアンスが異なります。
「三つ子の魂百まで」の使い方と例文集
「三つ子の魂百まで」の使い方と注意点、例文を見ていきましょう。
「三つ子の魂百まで」の使い方と注意点
「三つ子の魂百まで」は、相手の幼少期を知っている場合にのみ使えることわざです。あくまでの生まれつきの性格や性質に焦点をあてたことわざであることを念頭におきましょう。性格や気質がポジティブでもネガティブでもどちらでも使えます。
「三つ子の魂百まで」の例文
次に、「三つ子の魂百まで」の例文を見ていきましょう。
・「三つ子の魂百まで」とはよくいったもので、息子の頑固な性格は大人になった今でも変わらない。
・幼い頃から活発な子とよくいわれていたが、「三つ子の魂百まで」、今はヨーロッパで暮らしている。
まとめ
「三つ子の魂百まで」とは、「幼い頃、子ども時代に得た性格は一生変わらない」を意味することわざです。性格においてはポジティブ・ネガティブどちらでも使え、あくまで相手の幼少期を知っている場合に使う言葉です。