若い世代の方は「華金」または「花金」という表現を耳にしても、本来の意味や由来を知らない方も多いのではないでしょうか。ここでは「華金」の意味や由来、「花金」との違いはもちろん、類語や例文までわかりやすく説明します。
「華金」の意味とは?
サラリーマンなら誰でも1回は耳にしたことがあるであろう、「華金(はなきん)」という言葉。「華金」とは、次の日の出勤を考えずに思い切り羽目を外せる金曜日という意味です。
参照:Weblio辞書「花金」
「華金」は「華の金曜日」
仕事にもよりますが、多くの会社員や学生は土日が休みです。金曜日はその週の仕事納めとして、夕方の時間を自由に使えることから「華の金曜日」、略して「華金」になったと言われています。しばらく肩の荷を下ろし、1週間の疲れを癒せる金曜日の存在は、誰にとっても大事ではないでしょうか。
「華金」と「花金」の違い
基本的には「華金」と「花金」は同じ意味合いとして使われています。もとは「花金」として使われていましたが、普段はあまり行かない高級なレストランで食事をするなど、より豪華な過ごし方をする場合に華やかさをプラスするために、「華金」と表記するようになったといわれています。
「華金」の由来
「華金」はバブル時代に週休2日制が普及したことにともなって生まれ、バブル崩壊とともに徐々に使われなくなった言葉でもあります。ここでは「華金」という言葉が生まれた由来と、背景について詳しく説明します。
「華金」はバブル時代に生まれた言葉
日本に週休2日制が定着したのは意外と歴史が浅いです。週休2日制は1960年代半ばに導入され、バブル期の1980~1990年代には完全に定着しました。
以前は土曜日の午前半日は仕事で、「半ドン」という言葉もあったそうです。「半ドン」はオランダ語で日曜日・休日を意味するzondag(ゾンダーク)のなまりと半日の造語で、土曜半日休みを意味する俗語です。
週休2日制の定着により、金曜日に次の日の仕事を心配する必要がなくなりました。そこで金曜日に羽目を外して飲み会を開くことが増えたことから、「華金」という言葉が生まれたのです。当時はバブル時代のど真ん中で、金銭的にも余裕があり、飲み会にもお金を出しやすかったのでしょうね。
バブル崩壊後、「華金」は死語に
1993年以降バブルが崩壊してから、サラリーマンの懐も寒くなり、以前のように豪勢に金曜日を楽しむ風土は徐々になくなりました。それとともに「華金」という言葉自体も使う頻度が減り、一時期は死語とされるようになりました。
現代の「華金」
バブル崩壊後、死語化されていた「華金」ですが、現代では少し形を変えて使われるようになりました。以前は飲み会のイメージが色濃くありましたが、現在は若者の間でも使われるようになり、「自分のために時間を使う日」という意味も含まれているようです。
「華金」が死語から再浮上
「24時間戦えますか」というキャッチフレーズで売り出した栄養ドリンクがあったほど、バブル時代は長時間労働が問題になっていました。しかし現代では働き方改革により、ワークライフバランスを重視する雰囲気が広まっています。多様な働き方が生まれ、土日が休みではない人も増えてきました。そのような風土の中、金曜日や仕事以外の時間を充実させようとする若者の間で、再び「華金」という言葉が使われるようになったのです。
「華金」は自分のペースでゆっくり過ごす日
仕事が終わった金曜日の夕方が大切なのは今も昔も変わりませんが、最近の「華金」は飲み会だけではなくなりました。
1週間の疲れを癒やすために早寝をしたり、スポーツや趣味、資格の勉強など、自分への投資として時間を有効に活用したりする人も増えてきたようです。
「華金」の類義語・言い換え
「華金」以外にも、テレビなどのメディアで「プレミアムフライデー」や「ブラックフライデー」という言葉をよく耳にします。「フライデー」なので「華金」と同じなのかな?と思っている方もいるかもしれません。それぞれの由来や意味、「華金」との違いについて紹介します。
「プレミアムフライデー」は政府主導の取り組みです。「月の最終金曜日に早めに仕事を終え、週末の過ごし方を豊かにすることを目的としています。週末の余った時間を旅行や買い物、食事などに使うことが推奨され、個人消費増加による経済活性化も狙っています。
導入当初の2017年には大きな話題になり、飲食店がプレミアムフライデーのオープンを15時に繰り上げたり、お得なキャンペーンを実施したりしていました。しかし、月末は繁忙期である企業が多いなどの理由から、2021年現在、まだ定着したとはいいづらい状況です。
「ブラックフライデー」とは、主にアメリカで使われている言葉です。毎年11月の第4木曜日の感謝祭(Thanks giving)と、翌日の金曜日までを指す言葉です。
アメリカでは感謝祭が最大の祝日の一つであり、多くのお店がその翌日から年末、クリスマスにかけて大型セールを実施します。それを「ブラックフライデー」と呼んでいます。非常にお得なセールが開催され、欲しいものが普段の半額以下で手に入ることもあります。
日本でもアマゾンなどのネット商社やショッピングモールで販売戦略として「ブラックフライデー」が使われ始めたことから、最近はなじみのある言葉になりました。毎週の金曜日ではなく、特定の金曜日を指していることから、日本の「華金」とは少し意味が違いますね。
「華金」の外国語表現
「華金」は外国語で表現できるのでしょうか?日本以外の例を見ていきましょう。
「華の金曜日」は世界共通
実は「華金」という表現が使われているのは、日本だけではありません。どの国の人にとっても、休みが始まる直前の金曜日は心が躍るものなのかもしれませんね。
アメリカ、韓国、中国で、「華金」と同じような意味で使われている表現をそれぞれ紹介します。
「華金」の英語はTGIF
アメリカで使用されている「華金」と似た英語表現として、「TGIF」があります。「Thank God, It’s Friday!」の略で、直訳すると「神様ありがとう!今日は金曜日だ。」になります。1週間の仕事が終わり、休みを迎えられることを神様に感謝するという意味です。
「神様」という表現が入っていますが、現代においては特に宗教的な意味は含まれていなく、スラングとして主にネット上で使われている言葉です。
「華金」の韓国語は불금(プルグム)
韓国語で「華金」は「불금(プルグム)」といいます。直訳すると「火金」、つまり燃え上がるほど楽しく華やかに金曜日を過ごすという意味です。
また「황토(ファント)」という表現もあり、直訳すると「黄土」、黄金のように大事な土曜日という意味で使われているそうです。大事な休みを楽しく過ごそうとするのは、日本と変わらないですね。
「華金」の中国語は福来day(fu lai day)
「華金」の中国語表現は「福来day(fu lai day)」です。英語の「Friday」の借字で、ネット流行語です。翌日から休みで福が訪れるという意味です。
ちなみに月曜日は「忙死day(mang si day)」といいます。月曜日は仕事始めで、とても忙しいイメージがよく伝わりますね。
「華金」の例文
「華金」は会社の同僚や家族など、身近な人との間で使える言葉です。ここでは「華金」を使ったわかりやすい例文をいくつか紹介します。
- 今日は華金だし、飲みにでも行こうか。
- みんな華金だと浮かれているけれど、土日休みではない私とは縁のない言葉だ。
- 華金だからといって飲みにばかり行かずに、たまには家でゆっくりしたらどうだ。
- 華金はもう死語だと思っていたけど、最近使っている人が増えてきたよね。
- 明日は華金だし、久しぶりに映画でも見て夜更かししない?
まとめ
週休2日制の定着とともに使われ始めた「華金」という言葉。時代によってその使い方や意味は変化してきましたが、今も多くの人に使われ、しっかり市民権をもっているといえる言葉です。
若い方はこの機会に「華金」を覚えて、会社の先輩や上司とのコミュニケーションに活用してみるのはいかがでしょうか。