近年流行の「ミニマリズム」ですが、本来の意味を知らない人も多いでしょう。「ミニマリズム」の意味や由来、類義語などをまとめました。現在の生活スタイルにおける「ミニマリズム」の本質についても解説しています。
「ミニマリズム」の意味とは?
「ミニマリズム」とは、わかりやすく言うと「最小主義」という意味です。シンプルな生活スタイルを表す言葉のイメージが強いかと思いますが、「ミニマリズム」はさまざまな分野で使われています。
「ミニマリズム」の本来の意味と、どのような分野で使われているかを解説するので、参考にしてください。
最小限の要素で表現する手法・様式
「ミニマリズム」の本来の意味は、必要最小限の要素で作品などを構築する手法を指します。装飾を施して完成度を高めるのではなく、必要最小限まで削るのが「ミニマリズム」の特徴です。不要な要素を極限まで削ぎ落とした、一切無駄のない状態と考えるとよいでしょう。
「ミニマリズム」はさまざまな分野で使われる
「ミニマリズム」の始まりは、1950年代のアメリカで、絵画や彫刻の分野からスタートしています。
「ミニマリズム」の手法はさまざまな分野に広がり、1960年代からは音楽にも「ミニマリズム」が取り入れられました。1990年代にミニマルテクノというジャンルも登場し、「ミニマリズム」は幅広く受け入れられるようになっていきます。アート・音楽だけでなく、文学・建築・ファッションなど、「ミニマリズム」は各分野で耳にする言葉となりました。
現代の日本では、「ミニマリズム」は生活スタイルを表す言葉として使われるのが、一般的です。「無駄な物を持たない人」や「無駄のない暮らし」というと、イメージしやすいかもしれませんね。
「ミニマリズム」の由来・語源
「ミニマリズム」は、「minimal(最小限)」と「ism(主義)」が組み合わさった言葉です。英語の「minimalism」と、カタカナの「ミニマリズム」はほぼ同じ意味で、どちらも最小限まで削ぎ落とした表現を指します。英語圏でも、「ミニマリズム」な生活を送っている人を「ミニマリスト」と呼ぶことからも、同じ意味といえるでしょう。
「ミニマリズム」の類義語・言い換え
「ミニマリズム」の類義語・言い換えは、以下のようになります。
- 最小限主義者
- 簡素化
- シンプル
「ミニマリズム」を別の言葉に言い換えるときは、無駄がない・必要最小限を指す言葉を使いましょう。
「断捨離」も類義語として正しいという考えもありますが、「断捨離」は最小限というより最適化の意味合いが強いです。必要最小限ではなく、「不要な物を捨てる・整理する」という意味なので、厳密には少し違うかもしれませんね。
「ミニマリズム」の対義語・反対語
「ミニマリズム」の対義語は、「マキシマリズム」が適切です。最大限を意味する「maximum(マキシマム)」に「ism」を合わせた言葉で、「ミニマリズム」の逆の意味を持ちます。
生活スタイルに当てはめると違いが理解しやすく、「マキシマリズム」はなるべく多くの物や事柄を集めるのが特徴です。服を必要以上に買い揃える人などをイメージすると、わかりやすいのではないでしょうか。
「ミニマリズム」の使い方と例文集
「ミニマリズム」の使い方を、以下の分野ごとに解説します。
- 生活スタイル
- アート・文学
- ファッション
- 建築
順番に解説するので、「ミニマリズム」を取り入れる際の参考にしてください。
生活スタイルとしての使い方
生活スタイルとして「ミニマリズム」を使う場合、「必要最低限しか持たない」ことを意識します。生活スタイルにおける必要最低限の具体例は、以下です。
- 手持ちの服を最小限にする
- メイク道具を最小限にする
- 普段の持ち物を最小限にする
- 旅行の荷物を最小限にする
- 不要な家具を持たない
生活スタイルとして「ミニマリズム」を取り入れている人の中には、冷蔵庫やテレビも持たない人がいます。しかし、必ずしもそれが正解なわけではなく、自分にとっての必要最小限を追求するのが「ミニマリズム」です。
アート・文学での使い方
アートでの「ミニマリズム」は、装飾を極限まで減らし、単純な色や形のみで表現します。ミニマルアートは、反復性・対称性・連続性が強調された物が多いのが特徴です。代表的な作家はドナルドジャッドで、彼はミニマルアートを「絵画でもなく彫刻でもない芸術」と語っています。
文学での「ミニマリズム」は、小さな出来事・題材を描く短編として扱われます。家庭内などの日常生活を淡々と描いているのが一般的で、代表的な作家はレイモンドカーバーです。
ファッションでの使い方
ファッションの分野での「ミニマリズム」も、基本的な意味はアートと同じで、極限まで装飾をなくして表現します。シンプルなシルエットを追求し、着回しのしやすいモノトーンスタイルが一般的です。ファッションの「ミニマリズム」では、無駄な装飾を取り除くことで、服の素材や着る人の魅力を引き出せると考えられています。
建築での使い方
建築における「ミニマリズム」も考え方は同じで、無駄を極限まで省いた、最小限の機能のみの設計を表します。建築技術の発展に伴い、どうしても派手な建築物が増えがちですが、あえて逆をいきシンプルにまとめるのが「ミニマリズム」な建築です。
現代で「ミニマリズム」の建築を求める場合、特注品としてあらゆる機能を削ぎ落とすケースも多いでしょう。現代では機能性の高い物が無数に出回っているため、「ミニマリズム」の建築ではあえて機能を絞っていきます。
「ミニマリズム」を使用するときの注意点
「ミニマリズム」を取り入れるときは、「必要最小限」と「無作為に削る」を勘違いしないよう、気をつけましょう。「ミニマリズム」というと、とにかく要素を減らすイメージが強いですが、必要な物は残さなくてはいけません。あれもこれも削ってしまっては、必要な要素までなくなってしまうので、注意が必要です。
「ミニマリズム」という言葉を使った例文は、以下になります。
- ミニマリズムな生活に憧れて、部屋の物を減らし始めた。
- 彼女の部屋は、ミニマリズムを追求している。
- 最近はミニマリズム文学をよく読んでいる。
生活スタイルとして使う場合は、文脈に合わせて、「ミニマリスト」や「ミニマルライフ」に置き換えてもよいでしょう。
生活スタイルにおける「ミニマリズム」の本質
最後に、生活スタイルにおける「ミニマリズム」の本質を解説します。近年大流行の「ミニマリズム」ですが、無作為に物を減らしてしまうと不便なだけなので、気をつけましょう。
単に物を捨てるのが「ミニマリズム」ではない
「ミニマリズム」というと、とにかく物が少ない人・物を捨てている人と思われがちですが、それは本質ではありません。自分にとっての必要最小限を見極め、不要な物のみを無くすのが「ミニマリズム」です。
「ミニマリズム」というと、以下のような話をよく聞きますが、これらは絶対条件ではありません。
- 服を10着以下にする
- 服を完全に固定化する
- 冷蔵庫・テレビはいらない
- ベッドよりも布団・寝袋
- 外出時は手ぶら
人それぞれ、「ミニマリズム」な暮らしの定義は違います。自分にとって必要な要素を見極めた上で、不要な物だけを捨てるのが「ミニマリズム」です。物を捨てるのが目的にならないよう、気をつけましょう。
取捨選択をするのが「ミニマリズム」
「ミニマリズム」の本質とは、必要な物と不要な物の取捨選択をすることです。自分の求めるもの・暮らしを知り、そこから逆算して必要最小限を考えましょう。
本やYouTubeで、さまざまなミニマリストの価値観に触れる機会がありますが、発信者の方々と自分を比べる必要はありません。自分にとっての必要最小限になっていれば、それがあなたにとっての「ミニマリズム」です。
正しく取捨選択ができていると、自分にとって大切な物が自然と最優先されます。気を逸らされることがなくなるので、やりたいことに集中できるようになるでしょう。
持ち物・食生活をシンプルにする
「ミニマリズム」な生活では、持ち物・食生活をシンプルにするのが一般的とされています。ただし、人それぞれ必要最小限は違うので、自分にとっての最適を見つけましょう。
あくまで一例ですが、持ち物・食生活をシンプルにするには、以下を心がけてみてもよいかもしれません。
- 長く使える物を残す
- 持ち物のテーマカラーを決めて統一する
- 滅多に買い換えない物は一生使うくらいの気持ちで選ぶ
- 飽きが来ないデザインを選ぶ
- 複数の用途で使える物を選ぶ
- 全く使っていない物は処分する
- シンプルな調理法、味付けにする
- 野菜中心でヘルシーな料理を心がける
一般的には、定番かつシンプルで、主張しすぎない物を選ぶのがよいとされています。
大切なものに時間を使う
生活スタイルでの「ミニマリズム」は、時間に対しても応用可能です。スケジュール・人間関係を見つめ直し、自分にとって大切な時間を取捨選択してみましょう。
「ミニマリズム」な生活スタイルを送っていると、次第に余白時間が増えてきます。無駄な物が無くなると、掃除・片付け・買い物などの時間が減るので、自分にとって大切なことに時間を使えるでしょう。
まとめ
「ミニマリズム」とは「最小主義」のことで、必要最小限に絞って表現する手法を指します。「とにかく減らす」とは違う意味合いなので、混同しないよう注意が必要です。
「ミニマリズム」は、アート・音楽・文学・建築・ファッション・生活スタイルと、幅広い分野で取り入れられています。「必要最小限」はどの分野でも共通していることなので、「ミニマリズム」を取り入れる際は忘れないようにしましょう。
「ミニマリズム」の定義は人それぞれ違うため、「こうしなくてはならない」と決めつける必要はありません。自分にとっての必要最小限を見極めてくださいね。