「喜怒哀楽」とは、「人間の心理を表情にうつし出すことを表す四字熟語」です。この記事では「喜怒哀楽」の意味や語源、英語での使い方や例文、また「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの特徴や長所、付き合い方を解説しています。
「喜怒哀楽」の読み方
「喜怒哀楽」を深く理解するために、まずは使われている4つの漢字それぞれの読み方を一つずつ深掘りしていきます。
- 「喜」は音読みで「キ」訓読みで「よろこ(ぶ)」と読みます。
- 「怒」は音読みで「ド/ヌ」訓読みで「いか(る)/おこ(る)」と読みます。
- 「哀」は音読みで「アイ」訓読みで「あわ(れ)・あわ(れむ)/かな(しい)・かな(しむ)」と読みます。
- 「楽」は音読みで「ガク/ラク/ギョウ/ゴウ」訓読みで「たの(しい)・たの(しむ)/かな(でる)/この(む)」と読みます。
それぞれ4つの漢字の音読みを組み合わせ、「喜怒哀楽」は「きどあいらく」と読みます。
「喜怒哀楽」の意味とは?
「喜怒哀楽」の意味を深く理解するために、使われている4つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
- 「喜」は「よろこぶ・よろこび/嬉しく思う/好む・好き/楽しむ/めでたい・祝い」の意味があります。
- 「怒」は「いかる・おこる・腹を立てる/はげしい・勢いがある/はげむ・気持ちをふるい起こす」の意味があります。
- 「哀」は「あわれ・あわれむ・かわいそうに思う/かなしい・かなしむ・心が痛んでつらい気持ち」を意味します。
- 「楽」は「おんがく/音をかなでる・演奏する/たのしい・たのしむ/よろこぶ/このむ/愛する/ねがう/求める/らく・たやすい/心身に苦痛がなく、のびのびする様子」を意味します。
それぞれ4つの漢字の持つ意味を組み合わせると、「喜怒哀楽」は「よろこび、腹を立て、かなしみ、たのしむ」となり、「人間が持ち合わせているさまざまな感情」を表す四字熟語になります。
「喜怒哀楽」の由来・語源
「喜怒哀楽」の語源は、儒教に由来します。儒教とは、紀元前の中国において始祖である孔子によってひらかれた教えで、以来アジア各国で2,000年以上にわたって影響力を及ぼしている思考・信仰・哲学の体系です。「喜怒哀楽」は、儒教の経書である四つの書(大学・中庸・論語・孟子)のうちのひとつ「中庸」に記されていることに由来します。「中庸」には「喜怒哀樂之未發、謂之中」という一節があり、「喜怒哀楽の感情が生まれないことを、中という」と訳されます。
「喜怒哀楽」の類義語・言い換え
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えを解説します。
- 喜怒哀愁(きどあいしゅう)
- 機嫌気褄(きげんきづま)
- 悲喜交々(ひきこもごも)
- 嬉笑怒罵(きしょうどば)
一つずつ見ていきましょう。
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えその1「喜怒哀愁」
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えの1つ目は「喜怒哀愁」。「きどあいしゅう」と読み、「喜び、怒り、哀しみ、憂い」の4つの人間の感情を表す四字熟語です。「喜怒哀楽」には「楽しい」感情が含まれますが、「喜怒哀愁」には「楽しい」感情ではなく「憂い」が含まれます。「憂い」は「うれい」と読み、「心配すること、あれこれ考えて悩むこと、苦しい、辛い、せつない」ことを意味します。
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えその2「機嫌気褄」
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えの2つ目は「機嫌気褄」。「きげんきづま」と読み、「人が感じる快感・不快、気分」を意味します。「機嫌」「気褄」はどちらとも「人の気持ち・気分」を表す言葉で、「機嫌気褄をとる」と言い表します。「機嫌をとる」と「機嫌気褄をとる」は同じ意味です。「機嫌」に「気褄」を組み合わせるのは、「機嫌」に続く語呂合わせが由来であるといわれています。
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えその3「悲喜交々」
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えの3つ目は「悲喜交々」。「ひきこもごも」と読み、「悲しみや喜びなどのさまざまな感情がつぎつぎに沸き起こってくるさま」を意味します。たとえば、「社長のこの決断には悲喜交々ありますが、まずは挑戦してみなければ結果はわからない」のように使います。
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えその4「嬉笑怒罵」
「喜怒哀楽」の類義語・言い換えの4つ目は「嬉笑怒罵」。「きしょうどば」と読み、「冷たく嘲笑い、激しく罵ること」。「嬉」は「うれしい・よろこび」、「笑」はわらい、「怒」はいかり、「罵」は悪口をいう・ののしること。「嬉笑怒罵」も「喜怒哀楽」と同じように、人のさまざまな感情を表す四字熟語です。
「喜怒哀楽」を英語でいうと?
次に、「喜怒哀楽」の英語を解説します。
- emotions
- feelings
- mood
一つずつ見ていきましょう。
「喜怒哀楽」を英語でいうと?その1「emotions」
「喜怒哀楽」の英語1つ目は「emotions」。「emotions」は「強い感情」や「感情の起伏の激しさ」「大きな感動」を表す単語です。たとえば「She does not reveal her emotions.」は「彼女は感情(喜怒哀楽)を出さない」と訳されます。ちなみに感情を表に出さないことを「ポーカーフェイス」と言いますが、英語「poker face」由来のカタカナ語です。
「喜怒哀楽」を英語でいうと?その2「feelings」
「喜怒哀楽」の英語2つ目は「feelings」。「feelings」は上の項で解説した「emotions」と意味は同じですが、「emotions」よりも感情の起伏の激しさは軽めです。
「喜怒哀楽」を英語でいうと?その3「mood」
「喜怒哀楽」の英語3つ目は「mood」。「mood」は感情そのものを表す名詞で、激しさや冷静さを表現する言葉ではありません。日本語でもカタカナ語「ムード」で使われているように、たとえば「彼と彼女はいいムードだ」など「雰囲気」の意味で使われます。
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの特徴
次に「喜怒哀楽」を実践面から解説します。
- 「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの特徴は?
- 「喜怒哀楽」がない人の特徴は?
- 「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの長所は?
- 「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの短所は?
- 「喜怒哀楽」が激しい人・子どもとの上手な付き合い方
ひとつずつ順を追って見ていきましょう。
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの特徴
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの特徴は、自分の感情や欲が何よりも最優先で、突発的な行動をとる場合が多いものです。そしてテレビや映画などの物語に感動して泣き、周囲からの注目を浴びたい特徴があります。
「喜怒哀楽」がない人の特徴
「喜怒哀楽」がない人は、常に冷静で落ち着いた雰囲気をかもしだし、大人びている印象をうけます。一方で感情をあらわにしないので、「冷たい人・冷酷な人」「暗い人」と感じさせる点もあります。
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの長所
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの長所は、気分が繊細なので人の気持ちがよくわかります。感性が豊かなので、芸術肌である傾向があります。
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの短所
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもの短所は、気分が繊細なところから、人付き合いがうまくいかないタイプが多いようです。感情がすぐに顔に出てしまうので、何かしらのトラブルに自ら首を突っ込んでしまっている部分があります。感じたこと・思ったことをすぐに口に出してしまうので、損することが多いかもしれません。
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもとの付き合い方
「喜怒哀楽」が激しい人・子どもは、自分の感情を何の偽りもなくさらけ出しているので、素直で正直な人であることが多いものです。「喜怒哀楽」が激しい人はダメなこと・悪いことではありません。感情に素直であることは、いってみれば人間の本質に忠実な人です。「喜怒哀楽が激しい人」に対しては「裏表のない、正直な人」「人間らしい人」「裏表のない人」として付き合っていくと、スムーズな人間関係を築けるはずです。
「喜怒哀楽」の使い方・例文集
次に「喜怒哀楽」の例文を見ていきましょう。
- 母が「喜怒哀楽」が激しく、父がいつも振り回されている。
- 父は「喜怒哀楽」がないので、何を考えているのかよくわからない。
- 人生においての「喜怒哀楽」は、「喜び」と「楽しさ」だけを感じていたい。
まとめ
「喜怒哀楽」は「きどあいらく」と読み、人間のさまざまな感情を表す四字熟語です。儒教の経書に記された文章に由来し、2000年以上にわたって使われている言葉でもあります。ビジネスにおいては「喜怒哀楽」をうまく使って、スマートに自身を演出したいものです。