「朱書き」には、黒色より目立つ赤色のインクを使うことで、相手に注意してほしい事柄に素早く気付いてもらいたいという意味があります。封筒に書かれている「朱書き」、書類に書かれる「朱書き」、地図に書かれる「朱書き」などの種類があり、正しい書き方や使い方をこの記事で説明します。さらに注意点やマナー、英語表現についても紹介するのでぜひ読んでみてください。
そもそも「朱書き」とは?
「朱書き」はビジネスシーンで使われることが多いため、知っておいて損はありません。この記事では「朱書き」についていくつか存在する用途についてそれぞれ紹介しますので、ぜひ読んで参考にしてください。
「朱書き」の読み方
「朱書き」の読み方は「しゅがき」です。「しゅかき」とは読みませんので注意しましょう。漢字で表記する場合、送り仮名の「き」がない「朱書」とも表します。この場合、読み方が「しゅしょ」に変化することもあります。
「朱書き」の意味・目的とは?
宛名などは、黒色のインクで書きますよね。「朱書き」には、黒色より目立つ赤色のインクを使うことで、相手に注意してほしい事柄に素早く気付いてもらいたいという意味があります。
「朱書き」の起源・由来
「朱書き」の起源は、筆記用具にボールペンや鉛筆が登場する前までさかのぼります。墨汁と朱液が主な筆記用具だった時代、墨汁の黒色では判別しにくく、目立たせたい箇所を朱液で記したことが始まりとされています。現代でも、書道教室において先生の手直しが朱液で行われており、想像がつきやすいと思います。また現代においても「朱書き」と呼ばれるのは、昔は赤色ではなく朱色と呼んでいた名残と言われています。
「朱書き」の種類
「朱書き」を書くのは、主に「書類」「封筒」「地図」の3つです。ここではこれら3つの「朱書き」について正しい書き方や使い方を説明していきますので、ぜひ読んでみてください。
封筒に「速達」や「◯◯在中」と赤字で書く「朱書き」
封筒に「速達」や「〇〇在中」「親展」と書かれているのを目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。「朱書き」は、郵便物を受け取った相手に注意してほしい事柄を指します。例えば「〇〇在中」と表記する場合、封筒の中に入っている書類の種類(履歴書や契約書など)を書いておくことで、受け取った相手が封筒を開封せずに中身を知ることが可能になります。
文章の誤字・語記訂正のための赤二重線の「朱書き」
「朱書き」の意味は、封筒に記す「速達」「在中」「親展」だけではありません。誤字や文章の訂正をするために、赤色のインクで二重線を記すことも「朱書き」の意味に含まれます。
修正テープなどで白く覆ってしまうのではなく、赤色のインクで二重線を記す訂正の方法を「見せ消し」と言います。二重線を記した上には、訂正印を捺印する必要があります。訂正する際、黒色のインクで二重線を記す方法もありますが、黒色の場合「削除してほしい」という意味しかありません。そのため、該当箇所の訂正の意図が相手に伝わらない可能性がありますので注意しましょう。
ただし企業によっては、訂正は黒色のインクで行うという規定や、二重線ではなく一重線を用いるという規定がある場合などがありますので、訂正を行う前にあらかじめ確認しておいた方がよいでしょう。
地図に記す「朱書き」
学生の時分に「登下校時の経路を朱書きで記入してください」と指示されたり、入社時に「通勤時の経路を朱書きで記入してください」と指示されたりしたことがある方もいるのではないでしょうか。赤色のインクで地図上にルートを記したり、一定の範囲を表すために囲ったりする行為も「朱書き」に当てはまります。
封筒の「朱書き」の書き方
「朱書き」は、ただ赤色のインクで記せばよいわけではありません。書き込む場所はもちろん、バランスやインクの種類にも気を配る必要があります。
使うペン
封筒に「朱書き」する際に用いる筆記用具は、一般的に赤色のボールペンです。水性やジェルなどの種類がありますが、郵送中に濡れて滲んでしまうことを防ぐために油性のボールペンを使用する方が望ましいでしょう。ただしボールペンの場合字が細くなってしまうため、より目立たせるために赤色のサインペンを用いる場合があります。その際、封筒内の書類にまでインクが滲んでしまう可能性があることを考慮し、試し書きを行うなどの対策を取った方がよいでしょう。
またマジックペンを用いる方法もありますが、字が太くなりすぎて読みにくくなってしまう場合があります。適切な筆記用具を選択することが大切です。現在、文房具として「朱書き」用のスタンプが販売されているので、ペンではなくスタンプを用いるという手段もあります。
書く場所
「朱書き」を書くのは、封筒の表面です。表面とは、宛名を記している方の面のことです。記す位置は、一般的に左下とされています。宛名を縦に書いた場合は、それに倣って「朱書き」も縦に書き、宛名を横に書いた場合は、同じように「朱書き」も横に書いた方がよいでしょう。
書き方
封筒に「速達」や「親展」と書いただけで「朱書き」が完成したと思ってしまいますが、それだけでは完成したとはいえません。文字の周りを、文字を書いたときと同じように赤色のインクを使って四角の枠で囲むことで「朱書き」が完成となります。
枠は曲がってしまわないよう、フリーハンドで書くのではなく、きちんと定規を使用することが望ましいです。まっすぐな線を書くことで、受け取った相手に誠意が伝わるでしょう。また、「朱書き」は宛名とのバランスが大切です。大きく書き過ぎて目立ちすぎても、字が細くて注意してほしい点が相手に伝わらない事態も避けなくてはいけません。
封筒にする「朱書き」の種類
封筒に書く「朱書き」には、「親展」「速達」「在中」と3つの意味があります。それぞれどんな意味があるのでしょうか。一つ一つ解説していきます。意味を理解し、正しく使い分けましょう。
親展の意味
「親展」という漢字だけを見ると、親しみを込めているという意味に捉えてしまいがちです。しかしそういう意味ではありませんので注意してください。「親展」には、送り主が宛名に記された人物にのみ開封してほしいという意味が込められています。契約内容についての書類や明細書など、他人の目に触れることを望まない重要な事柄において使用される「朱書き」です。
速達の意味
郵便物を1日でも速く相手に届けほしい場合、通常の料金に加えて速達料金を支払うことで速く届けてもらえます。方法としては封筒の表面に「速達」と書き記すか、縦長の封筒であれば表面の右上に、横長の封筒であれば右側部に赤い線を記します。郵便局に郵便物を直接持ち込むときは、窓口で速達してほしい旨を伝えれば朱書きは必要ありません。
在中の意味
「○○在中」と記しておくことで、封を開けずとも、封筒の中に入っている書類は何かを相手に知らせることが可能です。大量の郵便物を処理する企業などで、誤って処分されることを防ぎます。
「朱書き」を書く際の注意点とマナー
実際に朱書きを書く際の注意点・マナーを見ていきましょう。
「親展」の本人以外の開封には注意を
「親展」の郵便物が、企業から送られてくることも多いでしょう。この場合、一度開封されると開封されたことが目に見えてわかる仕組みになっており、宛名に書かれた人物以外の者、それがたとえ家族であっても、許可なく封を開けてしまうと法律違反になってしまう可能性が十分あります。「親展」と表記されている郵便物の開封は、宛名に書かれた本人が行うようにしましょう。
人名を朱書きしてはいけない
明確な理由はありませんが、『縁起が悪い』や『朱入れを連想させるから』などの理由があり、人名を赤色のインクで書くことには悪いイメージがあります。一般的なマナーとして、人名を「朱書き」するのは避けましょう。
「朱書き」の英語表現
「朱書き」を表す英語表現は、 「print in red」や「mark in red」などです。日本語の「朱書き」そのものを表す英単語はありません。そのため、「朱書き」を表現したい場合は「赤色で書いた」「赤い部分」などの言葉を使うのが一般的です。
まとめ
「朱書き」とは、相手に注意してほしいことを赤いインクで封筒に記すことです。封筒に記す「朱書き」には、「親展」「在中」「速達」などがあります。封筒に記す場合は、人名を「朱書き」しないよう注意し、文字が滲んでしまわないように使用するボールペンにも気を配りましょう。また「朱書き」には、誤字を訂正するための赤二重線の意味や、地図上のルートや範囲を表わす意味も含まれています。「朱書き」の意味をきちんと理解し、ビジネスシーンにおいて正しく使いましょう。