やんごとなきの意味とは?|古文での使い方と類語もわかりやすく例文解説

「やんごとなき」の意味とは?「古文」での使い方と類語もわかりやすく例文解説
URLをコピーする
URLをコピーしました!

日常生活で時折耳にする「やんごとなき」という言葉。その詳しい意味を知らないまま聞き流してしまっていないでしょうか?実は「やんごとなき」は「古文」の言葉でもあるのです。ここでは「やんごとなき」に関して、徹底的に解説します!

目次

「やんごとなき」の意味とは?

「やんごとなき」の意味とは?

「やんごとなき」には2つの意味が存在します。1つ目は「身分が高い」という意味、2つ目は「とても大切な」という意味です。やんごとなきという言葉は元々古文単語から来ており、平安時代から生き残っている伝統的な言葉でもあります。ここでは「やんごとなき」の2つの意味について紹介します。

「やんごとなき」の現代における意味1「身分が高い」

「やんごとなき」の1つ目の意味は「身分が高い」です。平安時代においては身分が高い貴族に対して、「やんごとなきお方」などと用いられていました。現在の日常生活ではあまり使われていない言葉であるため、聞き覚えがないかもしれません。平安時代を背景にしているアニメや漫画を読んだことある方は、馴染みがあるでしょう。この言葉の意味は、知っておいて損はないのでここで押さえておきましょう。

「やんごとなき」の現代における意味2「とても大切な」

「やんごとなき」には「とても大切な」という意味もあります。1つ目の意味の 「身分が高い」といった意味から派生したものです。現在でもビジネスシーンにおいても「やんごとなき事情」などという使われ方をします。1つ目の意味の「身分が高い」よりも、現在においては使われる回数が多いです。

参照:Weblio辞書「やんごとなき」

「やんごとなき」は「古文」の言葉!当時の意味を解説!

「やんごとなき」は「古文」の言葉!当時の意味を解説!

「やんごとなき」は古文単語などで重要語句としても登場します。そのため学生時代の古文の授業で一度も触れたことがある方も多いでしょう。驚くべきポイントは、当時使われていた意味が現代でも使われていることです。長生きの言葉である「やんごとなき」は、平安時代では複数の意味をもっていました。ここでは、その中で特に重要な意味をピックアップして解説します。

「古文」においての意味「やむを得ない」

平安時代「やんごとなき」には「やむを得ない」という意味がありました。この意味は「やんごとなき」に音が近くて、わかりやすくなっています。「やむをえない」は「仕方がない」という意味で、これはもともと「止むに止まれぬ」という言葉から派生しました。 一つの言葉に「身分が高い」「非常に重要な」「やむを得ない」という3つの全く異なる意味が混在しているのですから、平安時代の日本語はとても難しかったといえます

「古文」においての類義語「あてなり」

「やんごとなき」の「身分が高い」の意味とほぼ同じ意味の平安時代の言葉に「あてなり」があります。「やんごとなき」と同じように「身分が高い」という意味があります。ただ、この2つの言葉には程度の差が存在しています。「やんごとなき」は最上級の家柄の高さを表現するのに対し、「あてなり」は一般的な家柄の高さを表します。例を挙げると、源氏物語では光源氏に対して「やんごとなし」は用いても「あてなり」は用いていません。このように平安時代では、同じ意味の言葉でも誰に対して使うのかを注意深く選んでいました。

「やんごとなき」は連体形

「やんごとなき」は「やんごとなし」の連体形です。連体形とは名詞などを修飾する際に用いる活用形で、体言を修飾する際に用います。「体言」とは名詞などの活用形を持たない単語のことを指し、例えば「体言止め」は名詞で文章の最後を締めくくる表現技法です。「体言が連なる」と書いて連体形、つまり、「やんごとなき」の後には名詞が続きます。活用形を理解できると誤った使い方をしなくなるため、押さえておくと便利です。

「やんごとなき」の類義語・言い換え

「やんごとなき」の類義語・言い換え

「やんごとなき」と似た意味を表す言葉は多数存在します。それらは「身分が高い」と「とても大切な」の2つの意味に大きく分けられます。これらの類語を理解することで「やんごとなき」の使い方についてより理解が深まります。ここでは、「尋常じゃない」「のっぴきならない」「高貴な」の3つの類語を紹介します

「尋常じゃない」

「尋常じゃない」は「やんごとなき」の「とても大切な」の意味に属します。重要であることを強調する表現として日常的によく用いられる言葉です。程度が甚だしい様子を表しており、「尋常じゃない」という言葉自体に緊張感が醸し出されているため、 緊迫感を表現したいときに用いられます。
例文「 東日本大震災で日本は尋常じゃない被害を被った。」

「のっぴきならない」

「のっぴきならない」も「とても大切な」に準ずる意味合いの言葉です。行くことも退くこともできないという意味で、転じて「重要な」という意味を持ちます。「やんごとなき事情」と「のっぴきならない事情」は同じ意味ととらえてよいです。
例文「のっぴきならない用事で彼は早退した。」

「高貴な」

「高貴な」は「身分が高い」に準ずる意味です。これは、「あてなり」とも同じ意味になりますが、現代語では高貴さや身分の高さを表す言葉にランク付けはありません。それに対して、古文単語では「やんごとなき」と「あてなり」で使うべき位に差がありました。こういったところから当時の身分制度の厳しさがうかがい知れます。
例文「彼は高貴な家柄の家系だ。」

「やんごとなき」を英語で言うと?

「やんごとなき」を英語で言うと?

平安時代から存在する「やんごとなき」を英語で表現するとどうなるでしょうか。こちらも2つの意義素で分けられます。1つ目は「高貴な」で2つ目は「重要な」です。それぞれの英語表現について紹介します。

「高貴な」の意味で「noble」

やんごとなき」の「身分が高い」に対応する意味として「noble」があります。基本的な使い方は、日本語の「やんごとなき」と同様、身分が高い人に対して使われます。また、「貴族の」といった意味もあり、王族級の家柄に対して使うの一般的な英単語です。

「重要な」の意味で「important」

「やんごとなき」の「とても大切な」に対応する英単語として「important」と「unforeseen」 が存在します。「important」 は緊急性をはらんでいる単語であるため、日本語訳として「やんごとなし」を用いるのは的を射た訳し方になります。「important」 は基礎的な英単語であるため、これを機に覚えていくことをおすすめします。

また、「unforeseen」は直訳すると「予期せぬ」という意味になります。ビジネスシーンで用いられる「やんごとなき事情は」、「思いもよらない」というニュアンスを含んでいるため、「due to unforeseen circumstances」と表現するのがベストです。1つの日本語に対しても、その使われ方に対して、適切な英単語を選択することが必要になります。

「やんごとなき」の使い方と例文集

「やんごとなき」の使い方と例文集

「やんごとなき」には大きく分けて2つの意味がありました。その意味によって使い方とタイミングが異なります。 ここでは、「身分が高い」と「とても大切な」の2つの意味にそれぞれ対応した使い方と例文を紹介します

「やんごとなき」の使い方

「身分が高い」という意味で使う場合、人や位を修飾するときに使われます。「身分が高い」を表す言葉の中でも「やんごとなき」は特に強い言葉であるため皇族の方など特に位の高い方々に用いるのが望ましい使い方です。「とても大切な」という意味の場合、都合や事情に用いるのが一般的です。 非常に重要かつ緊急性が高い案件に対して使われます。ビジネスのシーンでも時々使われることがあるため、この使い方を押さえておくとよいでしょう。

具体的な例文

それぞれの使い方を例文とともに紹介します。
「身分が高い」という意味の場合は、下記のように使われます。

例文
  • あの方はやんごとなき位のお方だ。
  • この子はやんごとなき生まれだ。

「とても重要な」という意味の場合

例文

やんごとなき事情により、本日は欠席させていただきます。


実際に日常生活においても使ってみることで、「やんごとなき」の使い方をマスターできるでしょう

まとめ

平安時代から現代に至るまで変わることなく使われている「やんごとなき」という言葉。「身分が高い」と「とても重要な」という2つの意味で現代では用いられています。その意味が平安時代から大きく変わっていないのは驚くべき点です。この言葉は日常生活で頻繁に使われる言葉ではありませんが、こういった言葉をマスターしているのは教養があって非常によいことですね。これを機にその他の古文単語について調べてみても面白いでしょう。

「やんごとなき」の意味とは?「古文」での使い方と類語もわかりやすく例文解説

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
URLをコピーする
URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる