「弥縫策」には「応急処置」の意味があることを知っていますか?読み方もあまり馴染みがない言葉かもしれません。この記事では、読み方・由来や語源、類語・反対語・英語について、例文をまじえながら徹底解説しています。
「弥縫策」の読み方
それぞれ3つの漢字の音・訓読みと送りがなを組み合わせ、「弥縫策」は「びほうさく」と読みます。
「弥縫策」を深く理解するために、まずは使われている3つの漢字それぞれの読み方を一つずつ深掘りしていきます。
- 「弥」は音読みで「ビ/ミ」訓読みで「や/あまね(し)/いや/いよいよ/つくろ(う)/ひさ(しい)/わた(る)」と読みます。
- 「縫」は音読みで「ホウ」訓読みで「ぬ(う)」と読みます。
- 「策」は音読みで「サク」訓読みで「つえ/はかりごと/ふだ/むち」と読みます。
「弥縫策」の意味とは?
「弥縫策」は「補う・取り繕う・処置」となり、「物事を取り繕う処置、一時的な間に合わせ」を表現する言葉です。
「弥縫策」の意味を深く理解するために、使われている3つの漢字それぞれの意味を一つずつ深掘りしていきます。
- 「弥」は「ひさしい・とおい/わたる・月日を経る・時間が経過する/つくろう・おぎなう/いよいよ・ますます・さらに」の意味があります。
- 「縫」は「ぬいあわせる/つくろう・とりつくろう/ぬいめ・あわせめ」の意味があります。
- 「策」は「つえ・つえつく/はかりごと・くわだて・計画・計略・処置/ふだ・かきつけ/むち・馬を打つむち/王名を伝える命令の書面」を意味します。
「弥縫策」の由来・語源
「弥縫策」の由来・語源は、使われている漢字ひとつひとつを組み合わせたことにより意味を成している言葉です。ちなみに「弥縫(びほう)」とは、「縫い合わせる・取り繕う」意味があります。
「弥縫策」の類義語・言い換え
「弥縫策」の類義語・言い換えには、次のような言葉があげられます。
- 応急処置(おうきゅうしょち)
- 簡易策(かんいさく)
- そのほかの言い回し
ひとつずつ見ていきましょう。
「弥縫策」の類義語・言い換えその1「応急処置」
「弥縫策」の類義語・言い換え1つ目は「応急処置」。「おうきゅうしょち」と読み、「病気や怪我などが発生した場合における、さしあたっての対応」を意味します。また病気や怪我などの緊急時でなくても使われる言葉で、「差し迫った状況に直面し、被害を最小限におさえるために行う、とりあえずの対応」を表現します。例文を見ていきましょう。
- 交通事故が発生し、救急隊員が早急に到着して応急処置が行われた。
- 明日のミーティングの資料が準備できていないことを思い出し、急いで応急処置的に取りまとめた。
「弥縫策」の類義語・言い換えその2「簡易策」
「弥縫策」の類義語・言い換え2つ目は「簡易策」。「かんいさく」と読み、「簡易」とは「手軽でかんたんなもの、内容がかんたんである様子」を表現します。例文を見ていきましょう。
急にエアコンから水漏れがあり、修理業者が来る前にとりあえずの簡易策で乗り切った。
「弥縫策」の類義語・言い換えその3「その他の言い回し」
「弥縫策」の類義語・そのほかの言い回しを紹介します。
- 簡易的な(かんいてきな)
- 間に合わせの(まにあわせの)
- 仮の(かりの)
- 暫定の(ざんていの)
- 暫定的な(ざんていてきな)
- 取り敢えずの(とりあえずの)
- その場しのぎの
- 間に合わせとしての
- 予備的な
- 一時的な
- 臨時のつなぎの
- 当座の(とうざの)
- とりあえずの
- 差し当たりの
「弥縫策」の対義語
次に「弥縫策」の対義語を解説します。
- 抜本的解決策(ばっぽんてきかいけつさく)
- ドラスティックな解決策
- 根治(こんじ・こんち)
ひとつずつ見ていきましょう。
「抜本的解決策」
「弥縫策」の対義語1つ目は「抜本的解決策」。「ばっぽんてきかいけつさく」と読みます。「抜本的」の意味を理解するために、漢字を紐解いていきましょう。
- 「抜」は「ぬく・ぬける・引きぬく・ぬき出す/攻め落とす・攻め取る/ぬきん出る」の意味があります。
- 「本」は「もと・ねもと・つけね/はじめ/大切な部分・要点/もともとの・まことの」を意味します。
それぞれ2つの漢字が持つ意味を組み合わせると、「抜本」は「ぬく、ねもと」となり、「元々の原因を抜き除く」ことを意味します。
ですから「抜本的解決策」とは、「原因の根底から突き止めて解決へと導く策」を表現し、「弥縫策」の対義語となります。
「ドラスティックな解決策」
「弥縫策」の対義語2つ目は「ドラスティックな解決策」。
「ドラスティック」とは英語の「drastic」が語源・由来で、「徹底的な・抜本的な」を意味する形容詞です。よって「ドラスティックな解決策」とは、先に解説した「抜本的解決策」と同義語になります。現在は政治やビジネスにおいて、英語由来のカタカナ語としてよく使われる言葉です。
「根治」
「弥縫策」の対義語3つ目は「根治」。「こんじ・こんち」と読み「病気や怪我などを根本から完全に治すこと」を意味します。例文を見ていきましょう。
これまではドラッグストアで応急処置的に痛み止めを処方してもらっていたが、来月からは虫歯を根治するために歯科クリニックへ通う。
「弥縫策」の英語表現
「弥縫策」を英語でいうと、次のような表現になります。
- temporizing measure
- half measure
- makeshift
- temporary expedient
ひとつずつ見ていきましょう。
「temporizing measure」
「弥縫策」を英語でいうと?1つ目は「temporizing measure」。表現を見ていきましょう。
- temporizing reply(その場しのぎの返事)
- a temporizing measures(一時的処置/治療)
- take a temporizing approach(一時しのぎの対策をとる)
「half measures」
「弥縫策」を英語でいうと?2つ目は「half measures」。表現を見ていきましょう。
- half measures(その場しのぎの中途半端なやり方)
- adopt half measures(その場しのぎの対策を行う)
「makeshift」
「弥縫策」を英語でいうと?3つ目は「makeshift」。表現を見ていきましょう。
- makeshift bed(簡易ベッド)
- makeshift camp(簡易宿泊所)
- makeshift house(仮設住宅)
- makeshift measures(一時しのぎ策)
「temporary expedient」
「弥縫策」を英語でいうと?4つ目は「temporary expedient」。
- temporary expedient(臨時措置)
- as a temporary expedient(その場しのぎに)
- resort to a temporary expedient(弥縫策をとる)
「弥縫策」の使い方と例文集
最後に、「弥縫策」の使い方と例文集を見ていきましょう。
「弥縫策」の使い方
「弥縫策」は、「とりあえずの・その場しのぎの」の意味からもわかるように、あまりいい意味では使われませんが、ビジネスシーンにおいて状況によっては弥縫策を講じるべきときもあります。「弥縫策」を使うのは、抜本的な解決策を検討しなければならないときではなく、あくまで「とりいそぎの状況」においてであり、抜本的解決策につなげるための弥縫策でなければなりません。
「弥縫策」の例文
「弥縫策」の例文を見ていきましょう。
- 弥縫策は、抜本的解決につなげるための秘策でもある。
- 弥縫策を講じたところ、なんとか難をしのげた。
- 視界不良により航空機が予定していた空港に着陸できず、弥縫策として基地に着陸した。
まとめ
「弥縫策」は「とりあえずの・その場しのぎの」を意味し、あまりいい意味で使われる言葉ではありません。
対義語は「抜本的解決策・ドラスティックな解決策」であり、「ドラスティック」とは英語「drastic」が語源のカタカナ語、現在では政治やビジネスシーンにおいてよく使われる言葉です。「弥縫策」の使い方として重要なポイントは、抜本的解決につなげるための臨時的処置でなければなりません。