ビジネス書類を取引先などに送付するとき、「送付状」を入れることを忘れた経験はありませんか?いざ「送付状」を書こうとしても、書き方で迷いますよね。そもそも「送付状」って何なの?正しい書き方は?そういうあなたの疑問に詳しくお答えします。
そもそも「送付状」ってなに?
「送付状」という言葉を聞いたり、実際「送付状」を作成したことはありますか?作成した経験がない人だと、「郵送物に送付状を同封して」と言われても何をどう書けばいいか分からなくなりますよね。そして、そもそも「送付状」って必要なの?と思っている人もいるはずです。
「送付状」の正しい書き方を学ぶ前に、まずはそもそも「送付状」は何かについて一緒に見ていきましょう。
郵便物を送った人・内容などがわかる書類
「送付状」とは書類や小包などを送る際、同封する1枚の紙です。そこには送った人や送ったものの内容などが記載されています。
「送付状」は主にビジネスのシーンで使われます。一度に複数のものを郵送するとき、「送付状」を同封すると受け取る相手が中身を一目で確認できるようになるので、相手の手間を減らす役割もしてくれます。
「送付状」は同封した方がいい
「送る書類も1枚だけだし、送付状を書かなくてもいいよね」と思う人もいますよね。しかし、ビジネス上の郵送物において、「送付状」を同封するのは基本のマナーです。
送る側は1通だけかもしれませんが、受け取る側は複数の同じような封筒や箱を受け取るケースもありますよね。そういうときに「送付状」を入れることによって、相手の確認する負担を減らせます。「送付状」は相手への配慮の気持ちでもあるのです。
そして「送付状」はビジネス上のあいさつでもあります。ビジネスメールを書く時も冒頭で気候のことや時事ネタなどを書き、雰囲気を和ませてから本題に入ったりしますよね。ビジネスの郵送物においては「送付状」がこのあいさつの役割を果たしているのです。「送付状」を入れることにより、相手に丁寧さが伝わり、あなたの印象もよくなるでしょう。
「送付状」の書き方
では「送付状」を書くときに必ず押さえておくべきポイントについてわかりやすく説明します。
A41枚、横書きが基本
まずは用紙です。A4用紙1枚に収まる内容にしましょう。他のビジネス文章と同じく、白い紙に黒いインク、横書きで書いてください。手書きで作成しても大丈夫です。
必ず入れるべき項目とは
次に紹介する項目は必ず入れるようにしてください。
- 日付:右上に記載しましょう。日付は発送した日にしてください。
- 宛名:日付を書いたら、その左下に送り先を書いてください。会社名だけでなく、部署名や担当者名まで細かく書きましょう。
- 差出人:宛名より下、右側に書きましょう。所属と送る人の名前に加えて住所、電話番号、Eメールアドレスも記載しましょう。
- タイトル:「見積書送付の件」など、送付物の内容がわかるタイトルにしましょう。
- 本文:「拝啓」などの頭語、「貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお喜び申し上げます」などの時候のあいさつを最初に入れます。その他はかんたんな自己紹介や書類などを送付した目的などについて記載しましょう。
- 結語:本文より右下に書きます。頭語が「拝啓」なら結語は「敬具」です。
- 記:本文に「下記の書類をお送りします」などと記載した場合、その具体的な内容を書く部分です。結語より下に書き、「記」が中央に来るようにしてください。送付書類など郵送物の項目は箇条書きで書きましょう。全部書き終わったら、最後の右端に「以上」と記載します。
封を開けたときに最初に目に入る状態で入れる
せっかく「送付状」を書いても、書類の間に紛れていたり、送付物の下敷きになっていたりするようでは相手もなかなか確認できませんよね。相手が封を開ける方向などを想定し、「送付状」が送付物の上に乗るような形で同封してください。
「送付状」の書き方、これはNG!
「送付状」を書くとき、マナー違反に当たる書き方がいくつかあります。下記の2項目を参考にしてください。
自己PR、希望条件などを長々と書く
これは特に就職活動中の学生にありがちなミスですが、「送付状」に自己PRや希望条件などを長々と書いてしまうことは、相手にかえって悪い印象を与えます。「送付状」はエントリーシートや自己PRの場ではなく、あくまでも送付している書類などをわかりやすく伝えるためのものです。自己紹介などは簡略にまとめてくださいね。
定型文のみを貼り付ける
「送付状」の書き方がよくわからない場合、インターネットで検索しますよね。検索して出てきたテンプレートを使用することは全く問題ありませんが、問題はテンプレートのみを貼り付けることです。テンプレートだけですと、何のために郵送物を送ったかはなんとなく把握できますが、どこの誰が、誰宛てに送ったものかがわかりませんよね。そして同封している書類や郵送物のリストもないので、実際届いたものに不備があってもチェックができません。
テンプレートはあくまでも参考までにして、自分のケースに合わせてアレンジしましょう。「送付状の書き方」項目で紹介した必須項目も忘れずに入れてくださいね。
「送付状」のシーン別例文
では各シーン別に「送付状」の例文を紹介します。
(就職活動中)応募書類を送付する場合
就職活動中に希望の会社に応募書類を送付するときに例文です。
令和○年○月○日
株式会社○○
人事部 採用ご担当者様
〒×××-××××
東京都○○区○○ △丁目△番地△号
電話番号 000-0000-0000
メールアドレス ×××@×××
(氏名)
選考応募書類送付の件
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
私は△△大学××各部××学科の(氏名)と申します。
この度は貴社の新卒採用に応募させていただきたく、下記の書類をお送りいたします。
ぜひご検討いただき、面接の機会をいただければと存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
[同封書類]
・エントリーシート 1通
・成績証明書 1通
以上
(転職活動中)応募書類を送付する場合
転職活動中に希望の会社に応募書類を送付するときに例文です。
令和○年○月○日
株式会社○○
人事部 採用ご担当者様
〒×××-××××
東京都○○区○○ △丁目△番地△号
電話番号 000-0000-0000
メールアドレス ×××@×××
(氏名)
選考応募書類送付の件
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたび記者が○○に掲載されておりました△△職の求人を拝見し、応募させていただきます。
私は現在、△△株式会社で法人営業職として5年間勤務しており、特に製造業のお客様との取引で実績を積んでまいりました。その経験と知識を生かして、ぜひ貴社の○○事業の拡大に貢献したいと考え、応募させていただきました。
ご検討の上、ぜひ面接の機会をいただければと存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
[同封書類]
・履歴書 1通
・職務経歴書 1通
以上
相手から請求された資料を送付する場合
相手から求められた書類を送付するときの例文を紹介します。
令和○年○月○日
株式会社○○
人事部 採用ご担当者様
〒×××-××××
東京都○○区○○ △丁目△番地△号
電話番号 000-0000-0000
メールアドレス ×××@×××
(氏名)
書類送付の件
拝啓 貴社におかれましては、ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
早速ですが、以前お問い合わせいただきました下記の書類を送付させていただきます。
ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
敬具
記
[送付書類]
・商品パンフレット 10部
・会社案内パンフレット 10部
以上
「送付状」の英語表現
英語圏でも「送付状」のようなものを使っているでしょうか?英語の「送付状」に当てはまる表現と、英語の「送付状」例文を紹介します。
「送付状」は英語で「cover letter」
「送付状」は英語で「cover letter」と言います。「cover」というと何かの表面をおおうイメージとか、本の表紙などを指しますよね。「cover letter」は手紙の表紙、つまり送付物の内容を要約している文章という意味になるのです。
英語の「送付状」例文
では英語の「送付状」例文を見てみましょう。
1 Mar, 2020
〇〇 Corporation
1-2-3 Minato-ku, Tokyo 107-0062 JAPAN
Attn: Mr. Robert Williams,
Sales Department
△△ Coperation
xxx-xxxx
Korea
Dear Mr. Williams,
Thank you very much for agreeing to our draft e-mail of Apr.22.
I have included two signed copies of contract #058.
Please review these, sign both and send us one.
Please feel free to get in touch with us if you have any questions.
Sincerely yours,
Masato Hayashi
R&D Department
(本文訳)
私たちが4月22日にメールでお送りしたドラフトに同意いただき、ありがとうございます。
契約書番号058を2通お送りいたします。
ご確認いただきましたら両方にサインいただき、一部は私たちの方へご返送願います。
不明な部分がありましたら、いつでもご連絡ください。
まとめ
「送付状」は郵送物の表紙のようなものとして、中身の内容をまとめる重要な書類です。かんたんな書類だと「送付状」がなくてもいいと思う人もいますが、「送付状」を同封すると、ビジネスマナーがきちんとした人として好印象になるでしょう。
今回紹介した「送付状の書き方」などを参考に、実際のビジネスシーンでもぜひご活用ください。