時候の挨拶と結びの書き方|ビジネスで使える慣用句や英語での文例も

「時候の挨拶」と結びの書き方|ビジネスで使える慣用句や英語での文例も
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時候の挨拶とは、手紙などの前文に書く挨拶文です。四季折々の風物を織り込んで季節感を演出する効果もあり、慣用表現からオリジナルの創作文まで幅広い表現ができます。ここでは時候の挨拶の書き方、慣用句と英語表現も紹介します。

目次

「時候の挨拶」とは?

「時候の挨拶」とは?

手紙の中で頭語の後にくるのが時候の挨拶です。

季節感を表して相手の安否を気遣う時候の挨拶は、手紙のもつ美しい伝統表現です。時候の挨拶には季節ごとの慣用句がいろいろありますが、自分で挨拶文を考えることもできます。ビジネスレターや目上の相手には慣用句を用い、親しい相手にはオリジナルで親しみのある挨拶文を使うなど、シーンによって使い分けるとよいでしょう。

「時候の挨拶」の構成と書き方

「時候の挨拶」の構成と書き方

時候の挨拶を含む手紙文の書き方には一定の法則があります。ここからは時候の挨拶の構成と書き方を解説します。

「時候の挨拶」の構成

一般的な手紙の書き方は、はじめに「拝啓~」などの頭語からはじまります。頭語で相手への敬意を払った後に、「時候の挨拶」で季節感を表します。時候の挨拶の次には相手の安否を伺う言葉が続き、ここまでが手紙の前文となります。

その後「本文」で本題に入り、結びの文で相手に思いやりのある言葉をかけ、「敬具」「草々」といった結語で締めくくります。時候の挨拶はこの一連の作法の中で前文に入れる言葉で、手紙の書き出しを担う大切な要素です。

「時候の挨拶」の書き方

時候の挨拶の書き出しは、その時期の花鳥風月をあしらった季節の言葉ではじまり、終わりに「~の候」「~この頃」などの言葉を添えることが一般的です。この形式は特に時候の挨拶の慣用句でよく使用されますが、若干形式ばった冷たい感じを与えることもあります。

時候の挨拶には慣用句以外にも口語的な表現方法もあり、手紙を出す相手によって使い分けます。文章に親近感や温かみを持たせたいときは、慣用句の使用を避けて口語調での時候の挨拶文を書くとよいでしょう。

月別「時候の挨拶(書き出し)と結び」の慣用句と例文

月別「時候の挨拶(書き出し)と結び」の慣用句と例文

時候の挨拶には、1年を通して書き出しの慣用句や定番の挨拶文があります。どのような表現があるのか月別にみてみましょう。

1月の「時候の挨拶」と結び文例

1月の時候の挨拶の書き出しには「新春の候」「大寒の候」などが用いられます。時候の挨拶文では、「新春の候、ますますご繁栄のこととお喜びいたします。」などが定番の表現です。結びの文では、寒さの厳しい季節なので、「寒気厳しき折、皆様どうかご自愛ください。」など、相手方を気遣う表現がよく使われます。

2月の「時候の挨拶」と結び文例

2月の時候の挨拶の慣用句は「立春の候」「余寒の候」などがあります。2月の挨拶文は、「余寒の候、皆様におかれましてはお障りなくお過ごしでしょうか。」が定番です。結びの文には「立春の候、ますますのご発展をお祈り申し上げます。」などが用いられます。温かくなってきたら春の到来を告げる表現を盛り込んでもよいでしょう。

3月の「時候の挨拶」と結び文例

3月の時候の挨拶は春のはじまりを表す言葉が使用され、「立春の候」「軽暖の候」などの慣用句があります。3月のあいさつ文は、「春まだ浅い今日このごろ、皆様におかれましてはお障りなくお過ごしでしょうか。」など、寒さの継続から相手方を気遣う表現がよく使われます。結びの文では「季節の変わり目ですので、皆様どうぞご自愛ください。」など、季節の変化を表す言葉が用いられます。

4月の「時候の挨拶」と結び文例

4月の時候の挨拶には「春暖の候」や「桜花の候」など春本番であることを表現する言葉が使われ、「桜花の候、貴社には一層ご隆盛のこととお慶び申し上げます。」などの書き出しからはじまります。また、4月は新年度の始まりなので、そのことを時候の挨拶や結びに盛り込むこともあります。結びの例としては「新年度に入り何かと慌ただしくなりがちではありますが、どうかご自愛ください。」といった使い方ができます。

5月の「時候の挨拶」と結び文例

5月の時候の挨拶では「新緑の候」や「薫風の候」など、花の季節が終わり植物に葉が茂ることを表現した言葉が使われます。時候の挨拶文は「新緑の候、貴社には一層ご発展のこととお慶び申し上げます。」などの書き出しからはじまります。また、5月は気温が上がってきますので、そのことを時候の挨拶や結びに盛り込むこともあります。結びの例としては「暑い夏に向けて、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。」といった使い方ができます。

6月の「時候の挨拶」と結び文例

6月の時候の挨拶には「初夏の候」や「入梅の候」など、夏のはじまりや梅雨の季節を表現する言葉が使われます。時候の挨拶は「梅雨明けが待たれる今日このごろ、ますますご壮健のこととお喜び申し上げます。」などの書き出しからはじまります。また、6月は湿度が高く体調を崩しやすいので、時候の挨拶や結びで相手方を気遣う言葉に盛り込めます。結びの例としては「長雨の季節ですので、皆様お体には十分お気をつけください。」といった使い方ができます。

7月の「時候の挨拶」と結び文例

7月の時候の挨拶には「盛夏の候」や「猛暑の候」など、梅雨が明けて夏がはじまる季節を表現する言葉が使われます。時候の挨拶は「本格的な夏を迎え、ますますご発展のこととお喜び申し上げます。」などの書き出しからはじまります。結びの文は暑さにちなんだ挨拶で締めることが多く、例としては「蒸し暑い日が続きますが、皆様体調にはくれぐれもご留意ください。」などの言い回しがあります。

8月の「時候の挨拶」と結び文例

8月の時候の挨拶には「残暑の候」や「晩夏の候」など夏の終わりを告げる季節の言葉が使われます。時候の挨拶は「立秋を前にしても猛暑が続いておりますが、お障りなくお過ごしでしょうか。」などの書き出しからはじまります。結びの文も残暑にちなんだ挨拶で締められ、例としては「残暑厳しき折、皆様のご健勝をお祈りいたします。」などの言い回しが一般的です。

9月の「時候の挨拶」と結び文例

9月は暦のうえでは秋なので、時候の挨拶には「初秋の候」や「秋分の候」といった言葉が使えます。9月の時候の挨拶の書き出しは「秋風が心地よい今日このごろ、ますますご繁栄のこととお喜びいたします。」などの表現があります。近年の9月はまだまだ暑い日も多いので、結びの文には「しばらくは暑い日が続きそうですが、皆様どうぞご自愛ください。」など、暑さから相手方を気遣う言葉も盛り込めます。

10月の「時候の挨拶」と結び文例

秋が深まる10月の時候の挨拶には「仲秋の候」や「紅葉の候」といった慣用句が使えます。時候の挨拶文には「秋の気配も濃くなってまいりましたが、皆様ご活躍のことと拝察いたします。」といった表現があります。10月は収穫のシーズンなので、結びの文には「実りの秋、貴社ますますのご発展をお祈りいたします。」などの言い回しができます。

11月の「時候の挨拶」と結び文例

11月は秋の終わりと厳しい冬の到来を告げるシーズンです。11月の時候の挨拶には「晩秋の候」や「向寒の候」といった慣用句が使えます。時候の挨拶文の例としては「紅葉が一段と色付く季節となりましたが、皆様ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。」などがあります。11月の結びの文には「冬がそこまでやってきています、皆様どうぞご自愛ください。」といった表現が用いられます。

12月の「時候の挨拶」と結び文例

12月の時候の挨拶には「師走の候」や「寒冷の候」といった慣用句があります。時候の挨拶文では「年末に向け、皆様お忙しくお過ごしのことと存じます。」などの表現が用いられます。12月はその年をしめくくる時期なので、結びの文では「本年もいろいろとお世話になりました。どうぞよいお年をお迎えください。」のように1年間のお礼を述べることが多くあります。

「時候の挨拶」を英語でいうと

「時候の挨拶」を英語でいうと

日本でよく使用される時候の挨拶例をみてきましたが、海外ではどのような時候の挨拶が使われているのでしょうか?

英語圏では明確な時候の挨拶というものは存在しませんが、要件のみを端的に伝える手紙の書き方は事務的で冷たいイメージがあり、場合によっては幼稚な印象さえも与えかねません。これはビジネスの現場でもいえることで、手紙の書きはじめや話のはじめには軽い個人的な話題や季節の話をもってくるパターンが多くみられます。そうすることで、相手との距離を縮めて本題にスムーズに入れるようになるでしょう。

英語での季節別「時候の挨拶」

英語での季節別「時候の挨拶」

日本や英語圏を含め世界に共通する無難な話題といえば、季節や天候に関する内容の話です。ここからは、英語圏での時候の挨拶にあたる、季節の話題の書き出し例を紹介します。    

英語の「時候の挨拶」(春)

春の時候の挨拶を英語でいうと、下記のような表現があります。

”It is getting warmer and warmer, so I took off my coat.” 
だんだんと暖かくなってきたので、コートを脱ぎました。

英語の「時候の挨拶」(夏)

夏の時候の挨拶を英語で表すなら、下記のように日本の高温多湿を気にかけた表現があります。

“Haven’t you suffered from the summer heat?”
夏の暑さは大丈夫でしょうか?

英語の「時候の挨拶」(秋)

秋の時候の挨拶を英語にすると、下記のような表現があります。

“The roadside trees begun to turn red. “
道端の木が赤く紅葉してきました。

紅葉はturn redかturn yellowで訳せます。

英語の「時候の挨拶」(冬)

冬の時候の挨拶を英語でいうと、下記のように表現できます。

“When I woke up, the snow settled on the ground. “
起きたら雪が降り積もっていました。」のような表現ができます。

雪を表す単語はさまざまで、 flurry「小雪」やsleet「みぞれ」などがあります。

「時候の挨拶」の回答の仕方

「時候の挨拶」の回答の仕方

時候の挨拶に回答する側は時候の挨拶を書かないのが一般的です。返信文には「早速お手紙拝受いたしました。」や「お返事が遅れて申し訳ありません。」などの言葉を最初に書き、時候の挨拶を省いて返信文を続けます。

末文には「末筆ながら皆様のご多幸(ご清祥)をお祈り申し上げます。」や「時節柄、ご自愛専一にてお願い申し上げます。」など相手方の繁栄や健康を祈る挨拶を添えます。要件のみシンプルに伝えたい場合には「取り急ぎ右ご連絡まで。」など用件をまとめる文で締めくくりましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は時候の挨拶について解説しました。

時候の挨拶には相手に敬意をはらい安否を気遣うという、コミュニケーションをとるために必要な要素が盛り込まれています。また、季節感を表現することで、文字という無機質なコミュニケーションツールに生命を宿らせる効果もあるといえます。一見面倒にも思える時候の挨拶ですが、親しい間柄ではカジュアルな表現もありなので、楽しみながら考えてみるとよいでしょう。

最後に「時候の挨拶」のまとめです。

「時候の挨拶」のまとめ
  • 手紙の中で頭語の後にくるのが時候の挨拶です。
  • 時候の挨拶を含む手紙文の書き方には一定の法則があります。時候の挨拶には慣用句以外にも口語的な表現方法もあり、手紙を出す相手によって使い分けます。
  • 時候の挨拶には、1年を通して書き出しの慣用句や定番の挨拶文があります。
  • 春の時候の挨拶の英語表現は”It is getting warmer and warmer, so I took off my coat.” です。
  • 夏の時候の挨拶の英語表現は“Haven’t you suffered from the summer heat?”です。
  • 秋の時候の挨拶の英語表現は“The roadside trees begun to turn red. “です。
  • 冬の時候の挨拶の英語表現は“When I woke up, the snow settled on the ground. “です。
  • 時候の挨拶に回答する側は時候の挨拶を書かないのが一般的です。
「時候の挨拶」と結びの書き方|ビジネスで使える慣用句や英語での文例も

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