梅雨も終わりに近づき、本格的な夏の始まりを告げる7月。時候の挨拶の言葉も、暑さに触れる言葉が主体になります。ビジネスにも使える挨拶文や結びの言葉、7月の慣用表現や英語での言い方など、文例とあわせて見ていきましょう。
7月に使える時候の挨拶
時候の挨拶には、「~の候」という漢語調と、話し言葉に近い口語調があります。多くの場合で親しい間柄では口語調を、ビジネスシーンでは漢語調を用います。7月の時候の挨拶の多くが、暑さにまつわる言葉です。
7月上旬は星祭の候
星祭とは七夕祭りのことなので、星祭の候が使えるのは7月1日~7月7日までです。ただし、読み手が他の月に七夕祭りを行う地域にいる場合には、小暑の候など別の挨拶にしましょう。
7月上旬~中旬は盛夏の候
盛夏の候は7月中旬から8月上旬まで使えます。ただし、読み手の地域が梅雨明け前の場合など、使うときには注意が必要です。
7月下旬は酷暑の候や大暑の候
酷暑の候は7月下旬から8月の立秋前日まで使えます。
大暑の候の大暑とは二十四節気のひとつで、7月23日頃にあたります。そのため、大暑の候が使えるのは大暑の日から立秋前日までです。
「7月の時候の挨拶」のビジネス、仕事にも使える書き方
ビジネスシーンでも使える7月の時候の挨拶と、結びの言葉を見ていきます。結びの言葉とは、手紙を締めくくる結語の前に添える一文です。一般的に、相手の繁栄などを祈る内容にします。
7月上旬の挨拶文と結びの言葉
星祭の候と小暑の候、それぞれの時候の挨拶を例に見ていきましょう。季節に触れた結びの言葉を用いる場合は、これから迎える本格的な暑さを気づかうなどの一文を添えます。
- 星祭の候で季節に触れた結びの言葉:七夕の季節となり暑さもこれからが本番です。なにとぞご自愛専一にご精励ください。
- 小暑の候で季節に触れない場合:今後ともご支援ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
7月中旬の挨拶文と結びの言葉
7月中旬にもなると夏本番の暑さなので、盛夏の候を使った文章でも上旬以上に暑さをねぎらう結びの言葉が添えられます。季節に触れない場合は、相手の繁栄や「暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛の上お過ごしください」など健康を祈る旨の言葉を添えます。
7月下旬の挨拶文と結びの言葉
7月下旬は暑さがピークを迎え、夜も寝苦しい日が続くようになります。時候の挨拶や結びの言葉でも、暑さに対し相手を思いやる言葉を用いるのが定番です。
- 酷暑の候で季節に触れた結びの言葉:寝苦しい夜が続いておりますが、くれぐれも健康にはご留意ください。
- 大暑の候で季節に触れない場合:末筆ながら更なるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
「7月の時候の挨拶」カジュアルシーンに使える書き方
今度は、カジュアルなシーンで使える7月の時候の挨拶と結びの言葉を見ていきましょう。ビジネスシーンとは違い、堅苦しくならないように口語調を使います。
7月上旬の挨拶文と結びの言葉
7月上旬は地域によって気温や梅雨明けにも差があるので、実際の気象状況を考えた挨拶文にしましょう。
- 時候の挨拶例:梅雨明けが早かったこちらでは、七夕に天の川が見られそうです。元気におすごしですか?
- 結びの言葉例:暑さはこれからが本番です。お互いに体調管理には十分気をつけましょう。
7月中旬の挨拶文と結びの言葉
7月中旬は日に日に厳しくなる暑さに触れつつ、実際の気候を考慮して臨機応変に書いていきましょう。
- 時候の挨拶例:連日の猛暑の中ひまわりの花が咲き始めました。お元気でいらっしゃいますか?
- 結びの言葉例:暑い毎日ですが、夏負けなどなさらぬようお祈り申し上げます。
7月下旬の挨拶文と結びの言葉
7月下旬に入ると多くの学校が夏休みに入るほか、夏祭りなどの行事が開催される地域もあります。そうした身近な出来事なども挨拶文に取り入れると、一層季節感が出ます。
- 時候の挨拶例:近隣の花火大会に足を運び、童心にかえったりしております。
- 結びの言葉例:今年の夏は例年にない暑さだと申します。おたがいに元気で乗り切りましょう。
7月の時候の挨拶の使い方と例文
ビジネスシーンにおいても、一般の手紙と同じく頭語、時候の挨拶、礼儀文の順に書いていきます。頭語とは拝啓などの「こんにちは」にあたる言葉で、礼儀文とは相手の繁栄を祝うなどの一文です。盛夏の候と大暑の候を例に紹介します。
盛夏の候の例文
盛夏の候を使った、改まった書き出しの例文です。
- 頭語:恭敬
- 時候の挨拶:盛夏の候
- 礼儀文:貴社は益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。
大暑の候の例文
大暑の候を使った、個人あての書き出しの例文です。
- 頭語:謹啓
- 時候の挨拶:大暑の候
- 礼儀文:貴殿におかれましてはいよいよご清祥の由、大慶に存じ上げます。
「7月の時候の挨拶」の慣用表現と慣用句
漢語調では固いと感じる場合など、ビジネス文書でも以下のような口語調の慣用句が使えます。
上旬
梅雨が明け夏空まぶしい今日このごろ
中旬
猛暑がつづきひと雨欲しい今日このごろ
下旬
蝉しぐれが暑さをわき立たすようなこの時期
盛夏の候を英語で言うと
英語では盛夏の候をmidsummer seasonといいます。また、dog daysと言われることもあります。これはdog starと呼ばれるシリウスが、7月~8月のちょうど暑くなる時期に、日の出と共に空に現れ日の入りと共に沈んでいくことから、古代ローマで暑さはシリウスのせいだと考えられていたことが由来です。
「7月の時候の挨拶」の構成と書き方
ビジネス文書も一般的な手紙も、それぞれ一定のルールに従って書くことで、読み手が内容を理解しやすい正確な文書や手紙が作成できます。
構成1
ビジネス文書は、決められた書式に則って文章を書いていきます。
前付:差出人が誰で誰宛なのかを明記するもの。以下の3つを必ず入れる。
1.日付・文書番号
2. 宛名:読み手
3.差出人:読み手に敬意を表す意味で、必ず宛名よりも下部に書く。
タイトル:文書のタイトルを記入。「○○のお知らせ」などのように、文書で伝えたい要旨が一目でわかるように具体的かつ簡潔に。
前文:以下の要素4つで構成。
1.頭語:拝啓など。
2.時候の挨拶:
3.相手の繁栄を喜ぶなどの内容の挨拶。
4.日頃の感謝を伝える
主文:文書の本題、相手に伝えたい用件を書く。
1.起語:冒頭に「さて」「ところで」などの言葉。これから用件を伝える旨を読み手に知らせる。
2.本文
末文:末文は2つの要素で構成。
1.結びの言葉:用件の総括や相手の活躍を祈る挨拶など。
2.結語:敬具など。
別記:主文にいれると紛れてしまいそうな項目を、わかりやすくするために書く。「記」として項目は箇条書き、締めくくりは「以上」とする。
構成2
一般的な手紙にも、決まった書き方があります。目上の方宛てや、改まった手紙の場合は縦書きです。
- 前文:拝啓等の頭語、季節感を盛り込んだ時候の挨拶、読み手を気遣う言葉の3要素を書く。
- 主文:「さて」「実は」などの起語の後、手紙を書いた目的を簡潔に述べる。
- 末文:用件の総括や相手の健康を願う言葉などの結びの言葉を述べ、頭語とセットになる結語を添える。
- 後付:手紙を書いた日付、差出人、宛名の順に書く。
読み手の名前が行下にこないように、自分の名前や「私」が行頭にならないように書くのがマナーです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は時候の挨拶 7月について解説しました。
7月の時候の挨拶は、多くが七夕などの季節行事や暑さに関する言葉です。季節感を出しながら、一般的にビジネスシーンなどは漢語調を、親しい間柄では口語調を使って書きます。結びの言葉などもある程度使いやすいものを覚えてしまえば、いざというときに困りません。ビジネス文書の場合は、書式に則って書いていきましょう。
最後に「時候の挨拶 7月」のまとめです。
- 親しい間柄では口語調を、ビジネスシーンでは漢語調を用います。
- 結びの言葉とは、手紙を締めくくる結語の前に添える一文です。一般的に、相手の繁栄などを祈る内容にします。
- ビジネスシーンにおいても、一般の手紙と同じく頭語、時候の挨拶、礼儀文の順に書きます。
- 「7月の時候の挨拶」の慣用表現は上旬は「梅雨が明け夏空まぶしい今日このごろ」、中旬は「猛暑がつづきひと雨欲しい今日このごろ」、下旬は「蝉しぐれが暑さをわき立たすようなこの時期」です。
- 英語では盛夏の候を「midsummer season」といいます。