ビジネスシーンでは、取引先や目上の人などの要求を断らなければならない場面がたびたび発生します。間違った「お断りメール」を送ってしまうと、相手からの信頼を失ってしまうことも。ここでは、「お断りメール」の書き方や注意点を解説します。
「お断りメール」を書くときの注意点
相手からの申し出や提案を断るための「お断りメール」を書くときは、相手に失礼のないよう文章表現に注意を払わなければなりません。相手への敬意が感じられないような「お断りメール」を送ってしまうと、今後の取引に大きな影響を与えることも。まずは「お断りメール」を書くときに注意すべきポイントを3つ解説します。
断っていることをはっきりさせる
「お断りメール」を取引先や目上の人に対して送る際に、文章表現に困った経験がある方が多いかと思います。しかし、断らなければならない場面で「検討します」などの曖昧な言葉を使用してしまうと、相手の受け取り方によってはYESと捉えられてしまい、大きなトラブルに発展してしまうこともあります。トラブルを防ぐためにも、はっきりと断る文言を記載しましょう。
相手への気遣いを忘れない
「お断りメール」を送る際は、相手に対するお礼の言葉を添えるようにしましょう。自分のために時間を割いて提案をしてくれたことに対してお礼の言葉を伝えることで、相手を嫌な気持ちにすることなく断われます。
クッション言葉を取り入れる
一方的に「お断りメール」を送ってしまうと、相手の気分を害してしまい今後の取引に影響が出てしまうケースがあります。断る文言の前に「大変恐縮ですが」や「せっかくのご提案ですが」といったクッション言葉を入れるようにしましょう。こうした気遣いやフォローを忘れずに行うだけで、相手からの印象もよくなります。
「お断りメール」でよく使用するフレーズや例文
「お断りメール」を書くときには、断る旨を丁寧に伝えるための定番フレーズがあります。このフレーズを覚えておくだけで、いざというときに相手に失礼のない文章が素早く作れるようになります。ここでは、「お断りメール」に使用する定番フレーズを3つ紹介します。
辞退させていただきます
「お断りいたします」という表現には、相手への敬意が見えづらく一方的な印象を与えてしまいます。「辞退させていただきます」という表現に変えることで、相手に敬意を示しながら申込を断る場合に使用します。
ご期待に添えず大変申し訳ありません
商品の提案などを断る際に使うフレーズです。「ご希望に添えず」と書く場合もありますが、相手の商品を褒めながら自分が下手に出ることで、相手を否定することなく断る旨を伝えられます。
今回は見送らせていただきます
「見送らせていただきます」という言葉は柔らかな印象があるため、より丁寧な断り方として使用されます。さらに、文言のはじめに「今回は」と加えることで、相手の提案を全否定するのを防ぐ効果があります。次回以降の取引につながることを相手に予感させられるため、角が立たずに断ることが可能です。
「お断りメール」の構成と書き方
相手からの提案を断る場合には、断る理由とお詫びの気持ちを相手にきちんと伝える必要があります。「お断りメール」を送る際は、以下のような構成で作成することをおすすめします。
・相手が自分にしてくれたことに対するお礼を述べる
・お断りする意思表示と理由について述べる
・せっかくの提案、お誘いを断ることに対してお詫びをする
・引き続きお付き合いをしたいという旨を伝える
相手の要望に添えない場合
新規取引の打診や商品導入を断る場合には、
・せっかくのご提案ではございますが、〇〇の理由から今回は見送らせていただきます。
・魅力的な商品でございますが、〇〇の理由からご要望に応えかねます。
というような文章を作成しましょう。今後取引を行う予定がない相手の場合は、次回につながる言葉を入れないようにしましょう。
イベントなどの招待を断る場合
取引先企業が主催するイベントは、信頼関係構築のために足を運ぶことが多いでしょう。しかし、スケジュールが合わずやむなく招待を断らなければならない場合には、
・せっかくご招待いただきましたが、所用があり今回は見送らせていただきます。
といった文章を作成しましょう。良好な関係性を保つためには、次回のお誘いを待っているという意思表示が必要です。
・次回はぜひ参加したいと思っておりますので、またのご招待をお待ちしております。
という一文を添えるだけで、相手からの印象が下がることを防ぎます。
見積もりをもらった商品を断る場合
ビジネスにおいては、コスト比較などの観点から複数の企業の見積もりをもらって導入を検討する「相見積もり」を行うことが多くあります。そのため、見積もりをもらったものの導入につながらないケースは珍しくありません。しかし、相手の時間を割いて見積もりを発行してもらっていることから、感謝とお詫びの気持ちを文章に書く必要があります。
・社内で慎重に検討いたしましたが、〇〇の理由から今回は導入を見送らせていただきます。
・お手数をおかけしたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
・機会がありましたら、ぜひとも導入させていただきたく存じます。
というような文章を作成しましょう。
「お断りメール」の返信の書き方・例文
「お断りメール」を受け取った場合は、必ず返信するのがマナーです。
・今回は導入を見送られるとのこと、承知いたしました。
・お忙しい中ご検討いただき、誠にありがとうございました。
・今後とも変わらぬお付き合いの程、よろしくお願いいたします。
といった文章を作成し、検討してくれたことに対する感謝の気持ちと、断るという旨を承諾したことを相手に知らせましょう。
「お断りメール」の英語での書き方
提案を断る際に、英語では「I refuse your offer.(お断りします)」と表現しますが、このままでは相手に対して強い印象を与えてしまいます。日本語での「お断りメール」と同様に、海外の取引先に対してもクッション言葉を用いる必要があるのです。ここでは、よく使う「お断りメール」の英語表現を解説します。
申し出を断る場合
申し出を断る際には、以下の文章を使用します。
・Unfortunately, I cannot 〜.
・I regret 〜.
「Unfortunately」には、「残念ながら」という意味があります。また、「regret to 〜」は「〜を残念に思う、遺憾に思う」という意味があるため、最上級の謝罪表現として使用されます。
取引や訪問の依頼を断る場合
取引の依頼を断る際には、以下の文章を使用します。
・We are sorry 〜.
・We are unable to 〜.
取引などの場合は会社を代表して相手と連絡を取っていることから、主語を「We」に変えて使用する必要があります。また、訪問の依頼は個人に対しての依頼となることから、主語を「I」に変えて断る理由を添えて文章を作成します。
スケジュール変更依頼を断る場合
スケジュール変更を断る際には、以下の文章を使用します。
・We can not accept 〜.
「accept」には「〜を引き受ける」という意味があるため、ここでは「引き受けられない」という旨の文章となります。納期のスケジュール変更を断る場合は、会社の代表として連絡を取っていることから主語を「We」に変えますが、個人的な訪問スケジュールの場合は個人に対する依頼ですので主語は「I」となります。
締めの言葉にも配慮する
英語での「お断りメール」には、文末に以下のような一文を添えることで、相手に誠意が伝わりやすくなります。
・Thank you for understanding.(ご理解に感謝いたします。)
・Please accept my regrets.(あしからずご了承ください。)
まとめ
「お断りメール」を送る際には、断る意思と理由をはっきりと相手に伝えることと、相手への気遣いを込めた文章を作成することが重要といえます。相手からの提案や申し出を断るのは申し訳ないと思ったり、断ることで相手を不愉快にさせてしまうのではないかと不安になったりする方もいるかと思いますが、相手を敬った文章を作成できれば心配はありません。「お断りメール」を送る際は、この記事を参考に作成してみてくださいね。