マナティとジュゴンの違いは?生息地・性格・寿命、人魚のモデルになったのはどっち?

「マナティ」と「ジュゴン」の違いは?生息地・性格・寿命、人魚のモデルになったのはどっち?
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愛らしい海の哺乳類として人気の「マナティ」と「ジュゴン」の違いは何でしょうか?この記事では彼らの生物学上における分類や、あまり知られていない生態、名前の語源など解説します。また、彼らが直面している問題とその解決方法を探ります。

目次

「マナティ」はどんな動物

「マナティ」はどんな動物

マナティは水中で生活する哺乳類で、分類は海牛類・マナティ科になります。草食性ですが身体は大きく、成長するとで体長3メートル、体重は200~600kgにもなります。野生のマナティの寿命は40年ほどですが、近年は人間のさまざまな活動によって死亡するマナティが多く、絶滅が危ぶまれています。

「マナティ」の生息地

マナティの生息地は北米の東海岸フロリダからブラジルにかけてと南米のアマゾン川流域、そしてアフリカ西部の海岸と河川が生息地です。マナティは主に河口付近の淡水域で活動しますが、海岸部の浅瀬にいることもあります。マナティは生息地によってアメリカマナティ、アマゾンマナティ、アフリカマナティに分類されます。

「マナティ」は何を食べる?

マナティは草食性の哺乳類で、主に水草や藻、海藻などを食べます。成長とともに食事の量も多くなり、1日に体重の1割分に相当するエサを食べます。大人のマナティの体長はおよそ3mになり、その巨体を維持するためには大量の水草が必要になのです。

「マナティ」の生態

マナティは常に水の中で生活していますが、哺乳類なので肺で呼吸をしています。水中で留まっているときには15分程度、活動時には3~4分おきに水面で呼吸をする必要があります。マナティは6頭以下の小さな群れか単独で行動し、子どものマナティは常に母親と一緒に移動します。

「マナティ」の性格

マナティは「優しい巨人」とも呼ばれるほど、とても穏やかな性格の動物です。警戒心も薄く人懐っこいので、飼育されている個体は人間とコミュニケーションをとることもできます。しかしその性格ゆえに野生のマナティがかんたんに捕獲され、数を大幅に減らしていることも事実です。

「ジュゴン」はどんな動物?

「ジュゴン」はどんな動物?

ジュゴンはマナティと同じく海牛類の哺乳動物ですが、細かくはジュゴン科に分類されます。草食性で海中に生息し、成獣の体長は3mほど、体重はおよそ450kgになります。マナティと比較すると少々スリムですが、そのぶん寿命は長く、70年前後は生きるといわれています。ジュゴンはマナティと同様に、人間によって個体数や生息場所を減らされており、最も絶滅が危ぶまれる絶滅危惧種VU(危急種)に指定されています。

「ジュゴン」の生息地

ジュゴンの生息地は太平洋やインド洋の温かく浅い海域です。これはジュゴンが主食とする海藻類の分布しているところで、オーストラリア沿岸や東南アジアなどに多く生息しています。日本の沖縄にもジュゴンが生息していますが、その数は少なく現在絶滅が危惧されています。

「ジュゴン」は何を食べる?

ジュゴンの主食はアマモやアジモなどの浅い海の底に生えている海藻類です。ジュゴンは基本的に草食ですが、海藻のほかに、カニやゴカイ、ホヤなどを食べることもあり、これらは補助栄養素の役割を果たすと考えられています。

「ジュゴン」の生態

ジュゴンの海中での活動時間は6~7分といわれており水面で息継ぎをします。ジュゴンの個体増加率は5%と低く、妊娠期間は13~15カ月。1回の出産で生まれてくる子どもは1頭のみです。子どものジュゴンは授乳期間中は母親と過ごし、6~17年で繁殖が可能になります。ジュゴンの寿命はおよそ70年と長く、歯に現れる年輪から計測できます。

「ジュゴン」の性格

ジュゴンは大変おとなしく穏やかな性格をしており、他の生き物を攻撃することはめったにありません。警戒心も薄く容易に捕獲できるために、同じ海牛類の中でもジュゴンと近い仲間だった「ステラーカイギュウ」は18世紀に人間による乱獲で絶滅しました。

「マナティ」と「ジュゴン」の違い

「マナティ」と「ジュゴン」の違い

マナティとジュゴンはよく似た動物で同じ海牛類で、マナティ科とジュゴン科に分類されています。生息地も別々で、大西洋沿岸と大西洋に注いでいる大きな河川にマナティが生息し、太平洋とインド洋沿岸がジュゴンの生息地です。マナティは淡水と海水のどちらでも生息できますが、ジュゴンは海洋のみに生息します。体のつくりにも違いがあり、マナティが団扇型の丸い尾をもつのに対し、ジュゴンはイルカのような半月型の尾をもっています。また、ジュゴンの口は海底の水草を食べるのに特化し、マナティと比べて扁平な口の形をしています。体はマナティのほうがジュゴンより大きく、丸みを帯びたシルエットをしています。

「マナティ」と「ジュゴン」の英語の意味

「マナティ」と「ジュゴン」の英語の意味

マナティの名前は英語で書くと「manatee」になります。名前の由来は半分が女性で半分が魚を意味する「ma natees」からきているとする説が有力です。ジュゴンの英語のつづりは「dugong」です。もともとジュゴンは各地で呼び名が違い、沖縄では「犀魚(ざんのいお)」という古名がありました。マナティとジュゴンが属する海牛類は英語で「SIRENIA(サイレニア)」といい、ギリシャ神話に登場する女性形をした海の怪物の名に由来しています。

「マナティ」や「ジュゴン」にはどこで会える?

「マナティ」や「ジュゴン」にはどこで会える?

優しく人懐っこいマナティやジュゴンにはどこで会えるのでしょうか?彼らを身近で見たり、コミュニケーションをとったりできる国内外のスポットを紹介します。

「マナティ」に会えるスポット

マナティは北米、南米、アフリカ西部に生息しており、各地の海岸や河川で見られます。特にアメリカのフロリダ半島はマナティと出会いやすいスポットで、タンパやクリスタルリバー、ビアカン島などには身近にマナティを見たり、一緒に泳いだりできる場所があります。日本国内では、沖縄の美ら海水族館や三重県の鳥羽水族館などで飼育されているマナティを見学できます。

「ジュゴン」に会えるスポット

ジュゴンは熱帯の温かい海に生息しています。タイやフィリピン、東ティモールなど南洋の沿岸部ではジュゴンの姿を確認でき、ジュゴンを間近に見られるダイビングツアーも行われています。ジュゴンは人工的に飼育するのが難しく、2021年現在では世界中で数頭しか人工飼育されていません。そのうちの1頭は三重県の鳥羽水族館で飼育されています。

「マナティ」や「ジュゴン」のまわりで起きていること

「マナティ」や「ジュゴン」のまわりで起きていること

野生のマナティやジュゴンは、種の存続に係わるさまざまな危機に直面しています。今、彼らの周りで何が起こっているのでしょうか?

「マナティ」が直面する危機

マナティは海岸や川辺など人間と生息地が近く、モーターボートとの接触や漁の網に絡まって死んでしまうことがあります。また、水質の汚染はマナティに深刻なダメージを与え、フロリダの赤潮では数多くのマナティが死亡しました。アマゾンやアフリカではマナティの肉や皮を狙った狩猟が行われており、特に子連れの母親の肉が珍重されるために、親を失った子どものマナティまで死んでしまう悪循環が続いています。これらの理由から世界各地でマナティは個体数が減少し、絶滅が危ぶまれているのです。

「ジュゴン」が直面する危機

ジュゴンの泳ぐ速度は時速3kmほどで、動きは非常にゆっくりしています。警戒心も薄く、捕獲が容易なのですぐに捕まえられてしまいます。ジュゴンの肉や油を狙った漁により、その個体数は激減していきました。さらに近年では船との衝突や、漁の網にからまる事故も増加しています。また、生息地の沿岸が開発され、餌である海藻が失われていることもジュゴンには深刻な問題となっています。日本では、沖縄の辺野古周辺に生息していたジュゴンが米軍基地の建設によって絶滅の危機にあります。

「マナティ」や「ジュゴン」のためにできること

「マナティ」や「ジュゴン」のためにできること

人間の活動によって傷つけられ絶滅の危機にあるジュゴンとマナティですが、私たちが彼らのためにできることはないのでしょうか?ジュゴンやマナティを守る方法を考えてみましょう。

水質の保全

マナティやジュゴンが安全で健康に生きていくためにはきれいな水環境が必要です。マナティやジュゴンは海岸や河口付近など人間によって汚染されやすい環境を生息地としています。汚染水の流入や大量のゴミによって彼らの健康は損なわれ、死亡するケースも増えています。マナティやジュゴンを守るためには水質の保全は急務といえるでしょう。

沿岸開発をやめる

マナティやジュゴンの生息地では、沿岸などの開発も深刻な問題です。特に彼らの主食となる海藻が生える「藻場」は、海岸の埋め立てなどにより急速に減少しています。開発によって藻場が失われ、食べるものがなくなればマナティやジュゴンは生きていけなくなります。沿岸部や浅瀬の自然環境は守られなければなりません。

私たちにもできることがある

マナティやジュゴンの生息環境を守るには、行政や大きな企業などの力が不可欠ですが、私たちにもできることはあります。海洋環境の保全活動や、マナティ・ジュゴンの保護活動をしているNPOなどは世界中で活動していますので、彼らの活動に参加する方法もあります。また、直接活動ができなくても寄付や募金で保護団体を支援したり、マナティやジュゴンのおかれている危機をブログやSNSで発信したりと、私たち一人ひとりがマナティやジュゴンを守る方法もあるのです。

人魚のモデルになったのはどっち?

人魚のモデルになったのはどっち?

マナティは、人魚のモデルになったという説があります。これは海の中で泳ぐマナティのシルエットが人魚に見えたためと考えられます。最初にマナティを人魚と見間違えたのは、アメリカ新大陸を発見したコロンブスとする説が有力で、彼の航海経路とマナティの生息地がリンクしていることも裏付けになっています。同様の話は世界中にあり、日本の民俗・生物学者である南方熊楠はジュゴンが人魚のモデルであるとの説を唱えています。

まとめ

マナティとジュゴンは、生態や体の特徴に違いがありますが同じ哺乳動物です。彼らは人懐っこくフレンドリーな動物なのに、人間によって絶滅させられつつあります。1つの種が滅ぶことは自然環境の多様性が失われることを意味しています。豊かな生態系をもつ地球は宇宙の中でも稀有な惑星で、地球の自然を守ることはこの星に住む者の責務です。企業の環境への貢献が叫ばれる昨今、私たちにもマナティやジュゴンを守る手立てがあるはずです。

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