年休の意味とは?有給との違いや取得条件・消化理由も解説

「年休」の意味とは?「有給」との違いや取得条件・消化理由も解説
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「年休」は労働者の権利として毎年与えられるもので、「有給」とも呼ばれます。どの呼び方が正しいのか迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。この記事では、「年休」と「有給」の違いや取得するためのさまざまなルールを解説します。

目次

「年休」の意味とは?

「年休」の意味とは?

「年休」とは労働基準法で年度ごとに定められた有給休暇のことで、「年次有給休暇」を略した言葉として使われています。「年休」は労働者に与えられた権利であり、業務を休んでも給与が減らない制度として取り入れられています。労働者に「年休」を与えない会社は労働基準法違反となり、パートタイマーやアルバイトでも「年休」の取得は可能なのです。

参照:Weblio辞書「年休」

「年休」と「有給」と「有休」の違いとは?

「年休」と「有給」と「有休」の違いとは?

「年次有給休暇」のことを「年休」と呼ぶ人もいれば、「有給」や「有休」と呼ぶ人もいます。これらの言葉には大きな違いはなく、すべて同じ意味として認識されています。一般的に浸透しているのは「有休」だといわれています。「有給」と「有休」を使い分けている人もいるようで、「有給」は給与が発生する休日で「有休」は単なる休日と認識している人もいます。同じ読み方なので混同されやすく、相手に勘違いさせてしまう可能性がありますので注意しましょう。

「年休」の付与日数や取得条件とは

「年休」の付与日数や取得条件とは

労働者の権利として付与される「年休」ですが、すべての労働者に同じ日数が付与されるわけではありません。「年休」付与の条件や日数はどのように決められているのでしょうか。ここでは、「年休」の付与日数と取得条件について解説します。

入社6カ月経過時に10日間付与される

「年休」は入社6カ月後に10日間付与されます。勤続年数が1年ずつ増えるにつれて「年休」の付与日数は徐々に増えていきます。
・勤続年数が1年6カ月の場合、付与される「年休」は年間11日
・勤続年数が2年6カ月の場合、付与される「年休」は年間12日
・勤続年数が3年6カ月の場合、付与される「年休」は年間14日
・勤続年数が4年6カ月の場合、付与される「年休」は年間16日
・勤続年数が5年6カ月の場合、付与される「年休」は年間18日
・勤続年数が6年6カ月の場合、付与される「年休」は年間20日
勤続年数が6年6カ月以上でも、付与される「年休」は最大20日となります。

「年休」付与の労働条件とは

「年休」が付与される労働条件は以下の2つです。
・雇用開始日から起算して6カ月継続で勤務していること
・全労働日の8割以上出勤していること
この条件に当てはまる労働者には、たとえアルバイトであっても必ず「年休」が付与されます。「年休」の取得日は、労働者が希望する日時で申請が可能ですが、繁忙期などが理由で会社から取得日の変更をお願いされることがあります。これを「時季変更権」と呼び、「年休」取得の申請を却下するものではなく、あくまで取得日をずらしてもらうようお願いするにとどまります。

所定労働日数が少ないパートタイマーの場合

パートタイマーでも「年休」は付与されますが、所定労働日数によって付与日数が変わります。
・週に1日勤務で年間所定労働日数は48〜72日の場合、年間付与日数は最大3日間
・週に2日勤務で年間所定労働日数は73〜120日の場合、年間付与日数は最大7日間
・週に3日勤務で年間所定労働日数は121〜168日の場合、年間付与日数は最大11日間
・週に4日勤務で年間所定労働日数は169〜216日の場合、年間付与日数は最大15日間
週5日以上勤務するパートタイマーは、最大で20日間の「年休」が付与されます。

「年休」取得義務化とは

「年休」取得義務化とは

2019年4月から「働き方改革関連法案」が施行されました。10日以上の「年休」が付与されるすべての労働者に対して、毎年5日間の「年休」取得が義務化される法案です。仕事が忙しくてなかなか「年休」が取得できなかった人にとっては、嬉しいと感じたり仕事のスケジュール管理が難しいと感じたりする人もいるでしょう。ここでは、「年休」取得義務化について解説します。

「年休」付与から1年以内に5日間の取得が義務化される

「年休」は労働者が希望する時季に取得が可能でしたが、「年休」を取得しない労働者も一定数存在していました。「働き方改革関連法案」施行によって、労働者の「年休」取得日数が5日間に届かない場合、会社が時季を指定して労働者を休ませることが必要になったのです。

時間単位や特別休暇は対象外

企業によっては1時間単位で「年休」を取得できたり、労働日数の調整などで特別休暇という制度を導入していたりします。ところが、労働基準法において「年休」は原則1日単位で取得することと定められているため、義務とされる「年休」取得日数にはカウントされません。

守らなかった場合は罰則が科せられる

「年休」取得義務を守らなかった場合は労働基準法違反となり、30万円以下の罰金が科せられます。この罰則は労働者1人あたりに科せられるため、会社内で取得義務を守れなかった人が3人いた場合には3人分の罰則が科せられます。ただし、違反してすぐに罰せられることはなく、是正に向けて指導と改善をするよう企業に求めています。

「年休」の繰越や買取について

「年休」の繰越や買取について

年に一度付与される「年休」ですが、勤続年数が増えるたびに「年休」の付与日数も増えていきます。1年間で取得できなかった「年休」は、どのように扱われるのでしょうか。また、退職などで「年休」が使いきれなかった際には買取などの制度はあるのでしょうか。

「年休」の繰越は時効期限がある

1年間で消化しきれなかった「年休」は翌年度に繰越が可能です。翌年度は前年度から繰り越した分と、新たに付与された「年休」を足した日数分取得が可能です。ただし、「年休」には時効が定められており、2年間のうちに消化できなければ失効してしまいます。「翌年度に繰り越せるから大丈夫」と思い込んでいると、貴重な権利を捨ててしまうことにつながります。「年休」は計画的に取得しましょう。

「年休」の買取は原則不可能

労働基準法では、原則として「年休」の買取は不可能となっています。「年休」の取得は労働者に与えられた権利ですが、従業員の心身を休めてリフレッシュさせることを目的としています。そのため「年休」の権利をお金に換えることを認めてしまうと、従業員がリフレッシュする目的ではなくお金をもらうための手段と認識されてしまうためです。

「年休」の買取制度がある企業もある

一部企業では、退職や時効などで「年休」が失効してしまう場合に買取を行う制度を設けています。ただし、「年休」の買取は義務化されているわけではありませんので、買い取ってもらえるかどうかは会社との交渉次第であるといえるのです。

「年休」の英語表現とは

「年休」の英語表現とは

海外にも「年休」の制度はありますが、国によって規定が異なります。たとえばアメリカでは、「年休」制度は法令で決められておらず、労働者と会社の契約に委ねられています。イギリスではすべての労働者に対して「年休」の付与が義務づけられており、週の就労日×5.6日の計算式で「年休」が与えられます。各国で取得事情が異なる「年休」の英語表現について解説します。

paid vacation

「paid」は「有料」という意味があり、「vacation」は「休暇」という意味があります。2つの単語をつなげて「有給休暇」と表現します。

paid leave

「leave」には「去る」という意味があり、直訳すると「有料で去る」と表現します。金銭が発生していても会社にはいないという意訳から「有給休暇」と表現されます。

まとめ

「年休」は「年次有給休暇」を略した表現で、労働基準法で定められた労働者の権利です。「有給」や「有休」と呼ばれることもありますが、意味に違いはありません。労働日数によって付与される日数が異なり、使いきれなかった「年休」は翌年まで繰り越せます。2019年4月からは、年5日の「年休」取得が義務づけられましたので、適度に「年休」を取得してリフレッシュしてくださいね。

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