「耽美」の意味と使い方とは?類語や対義語・例文、「耽美派」の芸術家も紹介

耽美

作品や芸術家を指す言葉の中に「耽美」があります。「耽美」という言葉を聞くと、個性的な作品を連想しますよね。この記事では「耽美」の意味や類義語、対義語をはじめ、例文を用いて使い方を解説します。また、「耽美派」で有名な芸術家も紹介します。

目次

「耽美」の読み方とは?

「耽美」の読み方とは?

「耽美」は「たんび」と読みます。「ちんび」とは読まないので注意しましょう。

「耽美」の意味とは?

「耽美」の意味とは?

「耽美」という言葉は日常生活ではあまり聞き慣れない言葉であるでしょう。それゆえ、意味についてもわからない点が多いかもしれません。ここでは「耽美」の意味について解説します。

美を最高の価値ととらえ、美に魅了されたこと

「耽美」とは「美にふけり楽しむこと」です。「耽美」の「耽」は音読みだと「タン」と読み、「訓読み」だと「ふける」と読みます。「美」には「見た目のよさ」「美しさ」といいった意味が含まれます。そのため、「耽美」には「美を最高の価値ととらえ、美に魅了されたこと」と表現することも可能です

「耽美主義」とは

「耽美主義」とは「美を最高の価値とし、美の実現を唯一の目的とする芸術思潮」のことです。19世紀後半にフランス・イギリスで起こった文芸思潮で、当時は道徳が市場とされていましたが、「作品には道徳やメッセージ性よりも、存在や色彩に美術的価値を追求することこそ真の芸術」といった思想から「耽美主義」が現れました。

そのため、「耽美主義」にはしばしば道徳をないがしろにする傾向があります。

「耽美派」とは

「耽美派」とは「道徳や倫理をないがしろにしてでも美を追い続けることを目的とした一派」です。芸術や文学などの一派を表すときに使われることが多いです。

後にも紹介しますが、三島由紀夫は耽美派の小説家として有名な人です。

「耽美」の使い方と例文集

「耽美」の使い方と例文集

「耽美」といった言葉は日常生活ではあまり使用しない言葉ですが、芸術に触れる機会があれば、使い方も知っておきたいものです。ここでは「耽美」の使い方と例文について紹介します。

「耽美」の使い方

単語で「耽美」と使う機会はあまりありません。先ほど紹介した「耽美主義」「耽美派」や「耽美絵」のように「耽美+何か」として使われることがほとんどになります。

「耽美」には芸術的思想や価値観が含まれているので、作品に対してのレビューにや評論の際に使われることが多いです

「耽美」の例文

「耽美」例文は以下のようになります

・この耽美絵にはインモラルな印象を与えてくるが、頭から離れない美しさを表現している。
・耽美小説には若者には理解できない表現が盛り込まれている。
・あのイラストの作者はあの界隈で大人気の耽美作家である。

「耽美」の類義語・言い換え表現

「耽美」の類義語・言い換え表現

ここでは「耽美」の類義語について紹介します

甘美

「甘美」には「甘くて美味なこと」と「甘く快く感じられること」の2つの意味がありますが、「耽美」と似た意味で使われるのは後者のほうです。「耽美」よりも官能的で「快く感じる」、「うっとりする」といった心情が強調されます

例文は以下のようになります。

・あまりの甘美な歌声に思わずうっとりしてしまった。
・日本で1番人気の男性ユニットの登場に、会場は甘美な声援に包まれた。
・あの人は甘美な言葉で惑わそうとするから気を付けた方がいい。

唯美

「唯美」は美を最高の価値だとする態度を意味します。「耽美」とほぼ同じような使われ方をし、「唯美主義」と「耽美主義」は、いずれも「美は至上のものである」としています

例文は以下のようになります。

・あの映画は男女の唯美の姿が描かれた作品である。
・あの作家の描く唯美作品には言葉では言い表せない美しさがある。
・非日常的な映画より、唯美的な映画の方が心が温まる。

ロマンティック

「ロマンティック」には「現実離れしているさま」「現実離れした愛ある行動やセリフ」といった意味になります。日常的には「耽美」よりも使われている言葉かもしれませんね。東カレデートのようなシチュエーションに「ロマンティック」といった言葉が当てはまるでしょう

例文は以下のようになります。

・このアニメのシチュエーションはとてもロマンティックだった。
・普段は訪れない高級レストランでロマンティックな体験をした。
・彼女と誰もいない草原で星を眺めるのはロマンティックであった。

「耽美」の対義語

「耽美」の対義語

類義語に続き、次は「耽美」の対義語を紹介します

自然

「自然」は「人の手が加わっていないありのままの状態」を意味します。耽美的な美しさは人の手が加えられているものがほとんどです。そのため、ありのままである「自然」は「耽美」の対義語として扱われています。

例文は以下のようになります。

・自然が作り出したアートは人の手では真似できない。
・自然のままに生きるのが一番後悔しない生き方だ。
・自然の多くは人に味方するが、ときには牙をむくこともある。

現実的

「現実的」とは現実にあるさまを意味します。「現実的」は現実に即した実践的な状態なのに対し、「耽美」は美に陶酔して理想を求めている状態です。なので、「現実的」と「耽美」は対照的な言葉となります。

例文は以下のようになります。

・この状況で理想を考える暇があるなら、もう少し現実的に物事を考えてみたらどうだ?
・僕は耽美なイラストより現実的な作品の方が見ていて好きだな。
・現実的に考えてもこの目標には十分到達可能であると見える。

「耽美派」の芸術家たち

「耽美派」の芸術家たち

「耽美」には芸術が多く絡んでいることがわかります。実際に「耽美派」と呼ばれた芸術家も数多くいます。ここでは「耽美派」と呼ばれる芸術家たちを紹介します。

「耽美派」の作家

耽美派の作家を紹介します

オスカー・ワイルド

オスカー・ワイルドとは1854年に誕生したアイルランド出身の作家です。両親ともに文才に長け、母親は詩人かつ、サロンのオーナーでもありました。オスカー本人にも才能があり、20歳にはオックスフォード大学に進学しています。

彼の代表作はパリで執筆された『サロメ』です。フランス語で書かれた本作は世界各国で翻訳されています。日本でも翻訳されたものがあり、森鷗外が翻訳して広めたといわれています。

オスカー・ワイルドの最後は当時親しくしていた16歳年下のアルフレッドの父であるジョンから告訴され投獄、破産を宣告されてしまいます。服役を終えるものの、世間からすでに見捨てられたオスカーは3年後に亡くなります。

三島由紀夫

三島由紀夫は1925年に生まれた日本人の小説家です。戦後の日本文学界を代表する作家の1人であると同時に、ノーベル文学賞の候補になるなど、世界中で評価されている作家でもあります。

代表作は『仮面の告白』『潮騒』『金閣寺』など多数あります。三島由紀夫の作品は耽美派のなかでも男女の性や人間の生々しい本能など、過激な表現を演出する傾向が強かったようです

その過激さは生きざまにも現れています。政治活動を中心とした晩年にはクーデターを促した後、自身の腹を切って自殺をし、社会に大きな衝撃を与えました。

「耽美派」の画家

続いて、耽美派の画家も紹介します

オーブリー・ビアズリー

オーブリー・ビアズリーとは、イギリス出身のイラストレーターです。ヴィクトリア朝の世紀末美術を代表する存在でした。

オーブリーはオスカー・ワイルドの『サロメ』の英訳版の挿絵を担当しました。最初に描きあげた16枚はオスカーに酷評されながらも、描き直しを含めて完成された挿絵は、ヴィクトリア朝のイメージを覆し、一躍有名人となったのです

しかし、元々、病弱だったオーブリーは25歳という若さでこの世を去りました。

エゴン・シーレ

エゴン・シーレとは1890年に産まれたオーストリア出身の画家です。当時盛況だった象徴派、表現主義に影響を受けつつも、タブー視されていた「死」や「性行為」といった倫理的に触れてはいけないテーマを追求した作品を生み出しました

代表作は『胎児と女』『自画像』『死と乙女』『裸体の女』です。エゴン・シーレは画家として評価が好転しつつも妻と同じ病を発症し、28歳で亡くなりました。

まとめ

「耽美」とは美をひたすら追い求め、美にふける様を意味します。主に芸術作品を評価するときに使われる言葉で、「耽美派」「耽美主義」ともいわれたりします。

基本的に「耽美作品」といわれるものは世間の常識や倫理観から離れたものが多く、非常識な表現が美しいものであるといった意見もあるほどです。
しかし、歴史に名を残す耽美派の作家や芸術家の作品は現代の芸術家にも何らかの影響を与えているでしょう

耽美

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