「採用証明書」は、内定から就職日までが短い場合、てきぱきと手続きしないと提出期限に間に合わないこともあります。失業保険を受給しながら就職活動している人は、内定前に「採用証明書」のもらい方や提出の注意点を確認しておきましょう。
「採用証明書」とは?
「採用証明書」とは、失業等給付金の受給資格の決定を受けた者(=受給資格者)がハローワーク(公共職業安定所)に提出する書類です。ハローワークの紹介によらない就職(=自己就職)をした際に、就職の事実を証明する書類として提出します。
「採用証明書」の書類はダウンロードできる?
「採用証明書」の書類は、ダウンロードができます。手順としては、まず厚生労働省の公式ホームページ、または各都道府県のハローワークの公式ホームページから「採用証明書」をダウンロードします。次に、ダウンロードした「採用証明書」を自宅のプリンターで印刷します。プリンターがなければ、パソコンからUSBメモリに「採用証明書」のデータを移して、コンビニのマルチコピー機で印刷できます。スマートフォンに「採用証明書」をダウンロードして、コンビニのマルチコピー機にケーブルでつないで印刷する方法もあります。
「採用証明書」の提出先は?
「採用証明書」の提出先は、失業等給付金の受給の申請をしたハローワークです。就職の手続きは就職日前日と決まっており、本人が直接ハローワークに行かなければなりません。しかし、「採用証明書」の提出は後日でもよいし郵送でもよいとするハローワークもあります。
「採用証明書」の提出期限は内定日からいつまで?
「採用証明書」の提出期限は、就職日の前日(土日祝日等の場合は、その前日)に「本人が」提出すると定められています。ただし、「採用証明書」は採用した企業が記入する書類なので、内定者に渡されるまでに日にちがかかる場合もあるのです。そこで、先に失業認定申告書による就職の手続き(就職日の前日に来所)を済ませれば「採用証明書」は後日でよいとするハローワークもあります。就職の内定から就職日が近く、「採用証明書」がすぐにもらえない場合は、ハローワークに相談してみましょう。
「採用証明書」の提出理由は?
「採用証明書」の提出理由は、次の2つです。
- 失業等給付金の受給の停止
- 再就職手当の受給
それぞれの理由について、見ていきましょう。
「採用証明書」の提出理由【1】失業等給付金の受給の停止
失業等給付金は、次の就職先を見つけるまでの失業期間に安心して生活を送るために給付されるお金です。再就職が内定した際には、受給停止の手続きをしなければなりません。失業等給付金は就職日の前日まで給付され、就職日から受給停止になるので、何日まで給付すればよいかをハローワークが決定するために「採用証明書」が必要です。
「採用証明書」の提出理由【2】再就職手当の受給
再就職の際に失業等給付金の受給の残日数が受給期間の1/3以上ある場合は、再就職手当の受給ができます。その際、残日数を計算するためにも「採用証明書」が必要になります。
「採用証明書」が発行される対象者とは?
「採用証明書」が発行される対象者は、ハローワークで失業等給付金の受給資格の決定を受けた人です。まだ受給が開始されていなくても、受給資格の決定後であれば受給停止手続きが必要だからです。まだ失業等給付金を受け取っていないから不要なのではありません。再就職の内定をもらったら速やかに、「採用証明書」の発行を内定先の企業に依頼しましょう。
「採用証明書」の発行は誰に依頼する?書き方は?
「採用証明書」は、内定先の企業が発行する書類です。書き方の注意事項などをお伝えします。
「採用証明書」は再就職先に依頼する
「採用証明書」の発行は、前章で述べたように内定先の企業が行います。ハローワークで雇用保険受給資格証(=失業等給付金の受給資格証)が発行された際に渡された「受給資格者のしおり」の中に「採用証明書」があります。そのまま内定先の企業に渡して記入を依頼しましょう。もし紛失していても、前に述べたように自分でダウンロードして印刷できます。
「採用証明書」の書き方と記載事項
「採用証明書」には本人が記入する欄もあるので、提出の際に記入忘れのないよう気をつけましょう。内定先の企業が記入する欄で迷うのは、「雇用年月日」だと思われます。「採用証明書」には、裏面に「雇用年月日」についての注意事項が1ページにわたって書かれています。注意事項は以下の2点です。
・最初の出勤日ではなく従業員としての在籍となる初日である
・臨時やパート、見習い、試用、研修等での在籍期間も含めて、在籍となる初日である
内定先の企業に「採用証明書」の発行の依頼をする際には、この点をひと言申し添えると、発行がスムーズに行われるでしょう。
記載事項は、次の11項目です。
- 支給番号
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- 雇用年月日
- 従業員数
- 職種
- 過去の同社への就労の有無
- 採用経路
- 雇用形態
「採用証明書」の提出の注意点
「採用証明書」の提出の際の注意点は、以下の3点です。
- 「採用証明書」は派遣社員も発行される
- 「採用証明書」の提出遅れはハローワークに相談する
- 「採用証明書」の提出は郵送もできる
それぞれの注意点を見ていきましょう。
「採用証明書」の提出遅れはハローワークに相談する
「採用証明書」は、就職日の前日の提出が原則ですが、内定先の企業の都合によりそれまでに発行されないこともあります。提出が遅れることがわかった時点で、すぐにハローワークに相談しましょう。
「採用証明書」の提出は郵送もできる
「採用証明書」の提出だけなら、後日の郵送でも受け付けてくれるハローワークがほとんどです。ただし、失業認定申告書による就職の手続きだけは、原則就職日の前日にハローワークに行って行うことが必要です。
「採用証明書」の提出で再就職手当が受給できる
「採用証明書」の提出で再就職手当が受給できる場合があります。再就職手当とは、かんたんにいうと再就職に際してもらえる一時金のことです。すべての失業等給付金受給資格者がもらえるわけではないので、対象者や金額、申請期間をお伝えしましょう。
再就職手当の受給対象者は?
再就職手当の受給は、次の8つの条件のすべてに当てはまる人が対象です。
- 支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。
- 1年を超えて引き続き雇用される(更新を含む)ことが確実であること。
- 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
- 離職票を提出してから失業している7日間が経過した後(待機後)の就職であること。
- 給付制限を受けた場合は、待期満了後1カ月については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により職業についたこと。
- 就職日前3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
- 受給資格決定日前に採用が内定していた事業主に雇用されていないこと。
- 原則として、再就職により雇用保険の被保険者となること。
再就職手当の受給金額は?
再就職手当の受給金額は、次のように定められています。
- 支給残日数が3分の2以上基本手当日額×支給残日数×70%
- 支給残日数が3分の1以上基本手当日額×支給残日数×60%
ただし、基本手当日額は、次のとおり上限があります。
離職時年齢が60歳未満の人 6,195円
離職時年齢が60歳以上65歳未満の人 5,013円
再就職手当の申請期間は?
再就職手当の申請期間は、就職日の翌日から1カ月以内です。ハローワークに提出する書類は、次の2点です。
- 再就職手当支給申請書
- 受給資格者証
再就職手当は、委任状を持った代理人による申請もできます。また、郵送での申請も可能です。
まとめ
「採用証明書」は、失業等給付金の受給の停止手続きと再就職手当の受給手続きのために必要です。就職日の前日の提出が原則ですが、間に合わない場合はハローワークに相談してみてください。再就職手当も、受給対象になる場合は就職日の翌日から1カ月以内が申請期限なので、早めに申請しましょう。