「走馬灯」という言葉を聞いたとき、何を思い浮かべますか?多くの人が、死に際に昔のことを思い出すことと考えますよね。しかし、死ぬ前に思い出がよぎる現象だけが「走馬灯」ではありません。「走馬灯」とは何なのかを詳しく解説します。
「走馬灯」の意味とは?季語としても使われる!
「走馬灯」という言葉には、どのような意味があるのかご存知でしょうか?よく耳にする言葉のため、なんとなく知っている気でいる人もいるかもしれませんね。
「走馬灯」という言葉は、学校などで詳しく学ぶことがないため、どのような意味をもつのか知らない人もいるでしょう。
「走馬灯」という言葉の意味が「1つではない」ことや「俳句などの季語として使える」ことなど、わかりやすく解説していきます。この機会に「走馬灯」という言葉について学んでいきましょう。
死ぬ前や死を覚悟したときに
「走馬灯」という言葉には、人が死ぬ直前などに、いままでの記憶が次々と思い浮かぶ状態を意味します。
人は「死が迫っている」状況や「死を覚悟」したときなどに、「走馬灯がよぎる」という体験をする場合があります。
「走馬灯」は夏の季語
「走馬灯」という言葉は、俳句などの季語として使える言葉です。
「走馬灯」は、夏の季語、特にお盆を表す言葉として使われる場合が多い言葉になります。
「走馬灯」とはどのようなもの?
「走馬灯」とは、実際にはどのようなものなのでしょう?「走馬灯」を体験した人などは、どんな状態なのかを知っているかもしれませんね。
ただし「走馬灯」とは人の記憶に関することだけではありません。「走馬灯」の「灯」の部分を考えると答えがみえてきます。
「走馬灯」は江戸自体の遊び道具だった
「走馬灯」とは、もともとは江戸時代に生まれた遊び道具の1つです。
筒になった行灯の内側に「馬」などの絵を仕込み、それを筒の上の風車とつなげます。行灯のろうそくの火によって温められた風で風車が回転するため、仕込んでいた馬が回ってみえるのです。
江戸時代の夏の夜に、人々の楽しみとして広がったのが「走馬灯」の始まりです。
影絵の紙灯籠
現在でも「走馬灯」は寺院などで使われています。近年では、ろうそくを灯して使用する「走馬灯」よりも、電気式の「走馬灯」のほうが目にする機会が多いかもしれません。
日本で一般的に使われている「走馬灯」は、灯籠の内側の絵がろうそくの火や、光により外側に写っている状態で、「影絵」と同じ仕組みです。
「走馬灯」の読み方
「走馬灯」という言葉は有名なので、読み方を知っている人も多いでしょう。
「走馬灯(そうまとう)」と読む
「走馬灯」の読み方は、「そうまとう」になります。
一般的には「走馬灯」と書きますが、「走馬燈」と書いても間違いではありません。どちらで書かれていても意味も同じです。
「馬」という字は、熟語になると「ば」と読むケースもありますが、「そうまとう」なので間違えないようにしましょう。
「走馬灯」の由来・語源
「走馬灯」という言葉を使っている人でも「走馬灯」の由来や語源を知っている人は多くないのではないでしょうか。
人が死ぬ間際に、なぜ「走馬灯」をみるのかなど解説していきます。
回る影絵が人生を表す
「走馬灯」の由来は、江戸時代の遊び道具となった行灯です。行灯に仕込まれた「馬」が走り回る、影絵の動きによって「昔の記憶」が呼び起こされるといいます。
そもそも生物は、死を察知するとアドレナリンが多量に分泌され痛みを感じなくなります。その影響から身体にさまざまな変化を及ぼすといわれ、「走馬灯」もその変化の1つだといわれています。
「走馬灯」の使い方と例文
「走馬灯」の意味や由来など説明しましたが、「走馬灯」という言葉を使う場合には、どのような使い方をすればよいのでしょうか。
「走馬灯」の使い方や例文を具体例も入れて解説します。
「走馬灯」の使い方
「走馬灯」とは、「感情が強く揺さぶられる」ことで起こる無意識の状態を指します。
「走馬灯」という言葉を使うのは、「死の直前」など「感情が高ぶりやすい」場合が多いです。ただし、「走馬灯」をみるのは「死ぬ間際」に限定されている訳ではありません。
思入れの強い場所に行ったときに、まざまざと記憶が蘇ってくるなどでも使用できます。
「走馬灯」の例文
「走馬灯」という言葉は、「灯籠」を意味するよりも、感情が揺さぶられて記憶が蘇る場合などに多く使われます。例文をあげると、以下のようになります。
- この場所についた瞬間に子供の頃の記憶が走馬灯のように蘇ってきた。
- 出会い頭に車と接触しそうになったときは走馬灯がよぎった。
「走馬灯」の慣用表現・慣用句
「走馬灯」という言葉は、日常的によく使われる言葉でもあるため「慣用表現」や「慣用句」として使われる場合も多いです。
「走馬灯」という言葉を使った「慣用表現」や「慣用句」を、例文を入れて紹介します。
「走馬灯」がよぎる
「走馬灯」は、慣用表現として「走馬灯がよぎる」などの使い方ができます。例文をあげると、以下のようになります。
・車が迫ってきて死を悟ったときに、走馬灯がよぎった。
・もうだめだと走馬灯がよぎったとき、私の手を掴んで助けてくる人がいた。
・走馬灯がよぎったと聞いたとき、本当に助かってくれてよかったと感じた。
「走馬灯」のように過ぎた・蘇る
「走馬灯」を慣用句として使用する場合は、「走馬灯のように」と使うとよいでしょう。
例としては「数年間の記憶が走馬灯のように過ぎた」「学生時代の思い出が走馬灯のように蘇る」のようになります。
「走馬灯」の慣用句は、「走馬灯の如し」などもあります。如しには、「同等」「類似」の意味がありますので、「走馬灯のように」と同じような使い方ができます。
「走馬灯」の類義語・言い換え表現
「走馬灯」という言葉の類義語には、どんな言葉があるのでしょうか?「走馬灯」には、灯籠としての意味と、記憶や思い出が蘇ってくるという2つ意味があると紹介しました。
類義語も「走馬灯」のそれぞれの意味に対する言葉を紹介します。
影灯籠(かげどうろう)
「走馬灯」の類義語の1つに「影灯籠(かげどうろう)」という言葉があります。影灯籠とは、灯籠の種類の1つで「走馬灯」と同様に影絵がみられる灯籠です。
影灯籠のほかにも、「舞灯籠(まいどうろう)」という灯籠が「走馬灯」の類義語といえます。舞灯籠も影絵がみられる灯籠で、影灯籠と同じような仕組みになります。
回り灯籠(まわりどうろう)
「回り灯籠(まわりどうろう)」も「走馬灯」と類義語になります。回り灯籠とは、「走馬灯」を灯籠と捉えた場合の名称で、灯籠の仕組みや意味は同じになります。
フラッシュバック
「走馬灯」という言葉を現象として考えた場合の類義語には、「フラッシュバック」があります。フラッシュバックとは、過去に体験したことがトラウマになり、何かのきっかけで記憶が鮮明に蘇ってくる現象です。
フラッシュバックは、過去の記憶という点では同じですが、思い出される記憶に関して「走馬灯」とは種類が異なります。「走馬灯」の類義語として紹介していますが、フラッシュバックを類義語として使うときには注意が必要です。
「走馬灯」の英語表現
「走馬灯」は、英語で表現できるでしょうか?「走馬灯」の英語表現でも「灯籠」としての意味と、「走馬灯表現」としての意味のそれぞれに合う言葉を紹介します。
「走馬灯」の灯籠としての意味を表す英単語は「a revolving lantern」です。a revolving lanternは、「回転灯籠」という意味となります。
「走馬灯」の走馬灯表現の意味を表す英単語は「Flash」です。Flashには、「一瞬で駆け巡る」という意味が含まれるので「走馬灯」を表現するのに近い意味合いとなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は走馬灯について解説しました。
いろいろな人がよく使う言葉であるからこそ、「走馬灯」という言葉を正しく使いましょう。「走馬灯」という言葉がもつ意味を考えて理解し、ぜひ俳句などの季語にも活用してみましょう。
最後に「走馬灯」のまとめです。
- 「走馬灯」は人が死ぬ直前などに、いままでの記憶が次々と思い浮かぶ状態を意味します。また「走馬灯」という言葉は、俳句などの季語として使える言葉です。
- 「走馬灯」とは、もともとは江戸時代に生まれた遊び道具の1つです。現在でも「走馬灯」は寺院などで使われています。
- 「走馬灯」の読み方は、「そうまとう」になります。
- 「走馬灯」の由来は、江戸時代の遊び道具となった行灯です。行灯に仕込まれた「馬」が走り回る、影絵の動きによって「昔の記憶」が呼び起こされるといいます。
- 「走馬灯」は、慣用表現として「走馬灯がよぎる」などの使い方ができます。「走馬灯」を慣用句として使用する場合は、「走馬灯のように」と使うとよいでしょう。
- 「走馬灯」の類義語「影灯籠(かげどうろう)」「回り灯籠(まわりどうろう)」「フラッシュバック」です。
- 「走馬灯」の英語表現は「a revolving lantern」「Flash」です。