「オルタナティブ」の意味は「二者択一」、「代替」、「主流ではないもの」です。ビジネスシーンでよく使われる以外にも、医療や技術、教育分野など多くのシーンで使われています。この記事では「オルタナティブ」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現、例文について解説します。
「オルタナティブ」の意味とは?
カタカナ語の「オルタナティブ」には、「二者択一」と「代替」、「主流ではないもの」の3つの意味があります。近年ではビジネス現場だけでなく、文化や教育、技術分野などさまざまな場所で使われています。
意味1.二者択一
「二者択一」とは、2つのものからどちらかを選ぶことです。必ずしも自分に必要なもの、よい方を選ばなければならないことはなく、適当に選んだ場合でも「二者択一」になります。また「者」を含んでいますが、選ぶ対象は人に限りません。「二者択一の状況」は選択肢は2通りしかない緊張感のある状況を指し、「二者択一を迫る」では、相手に何が何でもどちらか選択させることをいいます。
意味2.代替
「代替(だいたい)」とは、あるものをほかのものに代える(替える)ことです。「代」はあるものを除いてほかのものにすること、「替」は2つあるものがお互いに入れ替わることをいいます。「代替」する対象は互いが対等な関係、同じ程度の機能や価値をもつものです。とりあえず間に合わせで用意されたものでなく、交替後も前と同じもしくはそれ以上の役割を果たせるものが適当です。
意味3.主流ではないもの
「オルタナティブ」には、「主流ではないもの」の意味もあります。たとえば、行動規範や価値観が主流の文化とは異なる「カウンターカルチャー」や、中心的文化とは違う、一部の人々に流行っている文化である「サブカルチャー」を、「オルタナティブ」と呼ぶこともあります。
「オルタナティブ」が使われるようになった背景
1960年〜1970年代に次々と「オルタナティブ〇〇」という言葉や概念が登場し、「オルタナティブ」が注目されるようになりました。
たとえば、風力や太陽光発電など、再生可能エネルギーの利用技術を指す「オルタナティブテクノロジー」、フェアトレードと同様の意味を持つ「オルタナティブトレード」、鍼灸や漢方、ヨガなどの西洋医学の代替医療を指す「オルタナティブメディシン」です。
どれも既存や主流のものとは異なる代替のものを示しています。
「オルタナティブ」の別表記・略語
「オルタナティブ」の別表記は「オルターナティブ」や「オルタネイティブ」「オルタナティヴ」です。「オルタナ」や「オルト」「アルト」などと略されることもあります。
「オルタナティブ」の対義語
「オルタナティブ」の対義語は「主流」「メジャー」と「オリジナル」、「既存」などです。
主流・メジャー
「主流」は、元は川の支流が集まった大きな流れのことを指していましたが、現在では「思想や学問などの中心となる傾向」などの意味で使用されています。
「メジャー」は英語のmajorが語源であり、「主流だ」「大きなこと」「一流であること」という意味で使用されています。
「主流」「メジャー」のどちらも、オルタナティブの「主流ではないもの」という意味の反対の意味で使用されます。
オリジナル
「オリジナル」は英語のoriginalが語源となっており、「原形であるもの」「独自のもの」などの意味を持っています。
オルタナティブの持つ「二者択一」「代替」などとは正反対の意味で使用される言葉です。
既存
「既存」は「既に存在していること」を意味を持つ言葉です。
「代替」の意味を持つオルタナティブとは反対の意味にあたります。
「オルタナティブ」の英語の意味
「オルタナティブ」は英語の「alternative」が語源です。「alternative」は、ラテン語の「alternare(交代で行う)」が由来になっています。形容詞である「alternative」には、以下の5つの意味があります。
- 代わりとなる
- 二者択一の
- 既存のやり方をとらない
- 選択肢
- 新しい
また、名詞として「二者択一の」の意味でも用いられるときがありますが、カタカナ語とは違って3つ以上選択肢があるときにも使われます。
「オルタナティブ」の使い方・例文
「オルタナティブ」は、ビジネスだけでなくさまざまな分野で使われています。多くは紹介した意味に沿っていますが、分野ならではの意味をもつ場合も。例文ともに、分野別に使い方を詳しく紹介します。
ビジネスシーンでの「オルタナティブ」
ビジネスシーンでは、「オルタナティブな〜」で始まる表現が多く登場します。
「オルタナティブな」は、「代替的な」や「従来とは異なる」とも言い換えられる言葉です。たとえば、「オルタナティブな案を提出してほしい」「オルタナティブな働き方が主流になるかもしれない」などと使われます。
また、名詞の「オルタナティブ」なら「代わりの選択肢」や「代案や代わりになるもの」という意味で使われることが多く、「オルタナティブを否定してばかりでは前進しない」は「従来に代わるものを否定してばかりでは前進しない」と言い換えられます。
医療分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブ医療」とは、一般的な医療の代わりに行われる医療をいいます。「オルタナティブメディシン」や「代替医療」とも呼ばれます。一般的な医療は西洋医学のことを表しており、オルタナティブ医療は以下のようなものになります。
- 鍼灸
- マッサージ
- ヨガ
- 漢方
- ハーブ療法
- アロマテラピー
「雑誌でオルタナティブ医療についての記事を読んだ」のように使います。
投資分野での「オルタナティブ」
金融や投資分野での「オルタナティブ」は、「オルタナティブ投資」のことをいいます。たとえば、オルタナティブ投資の対象商品には以下のようなものがあります。
- 不動産投資
- 先物取引
- 未公開株への投資
- オプション取引
- スワップ
「オルタナティブ」には「主流でないもの」の意味がありますが、「オルタナティブ投資」には不動産投資や先物取引のような一般的な投資商品も含まれる違いがあります。「最近は株だけでなく、オルタナティブ投資も始めてみた」などと使います。
技術分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブテクノロジー」とは従来の科学技術に代わる技術のことで、「代替技術」ともいいます。
最近は環境問題を起こしにくい、公害になりにくい科学技術を「オルタナティブテクノロジー」と呼び、電気自動車などが当てはまります。
また、原子力や石炭、天然ガス以外のエネルギー資源を「オルタナティブエネルギー」、または「代替エネルギー」といいます。たとえば、「オルタナティブエネルギー」は以下のようなものです。
- 水力発電
- 太陽光発電
- 地熱発電
- バイオマス発電
- 風力発電
「電気自動車はオルタナティブテクノロジーの代表である」や、「環境を考えて、オルタナティブエネルギーを社でも導入したい」などと使われます。
エンタメ分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブミュージック」とは、今流行りの音楽とは違う、アンダーグラウンドで挑戦的な音楽ジャンルをいいます。
「オルタナティブロック」や「ラテンオルタナティブ(ラテンロックのサブジャンル)」、「オルタナティブメタル」などが含まれます。
また、1980年ごろにアメリカで登場し、実験的に製作される「オルタナティブコミック」は、王道とは一風違っており、一般的には受け入れられないような作風が特徴です。
カウンセリングにおける「オルタナティブ」
カウンセリング用語には、「オルタナティブストーリー」というものがあります。
「代替となる物語」の意味で、患者の今までの人生を新しい視点で見つめ直し、生き方を変える目的で行われます。これまでの人生で悲観的に考えるようになったことを、楽観的に考えられるように医師が働きかける治療法です。
たとえば患者が「先輩がいつも不機嫌のは私が嫌いなんだ」と思い込んでいるのを、「先輩が不機嫌なのは年下の人と関わるのに慣れていないからだ」と思い直せるようにします。「オルタナティブストーリーのカウンセリングを受けて、気持ちが楽になった」のように使います。
観光分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブツーリズム」とは、従来からある「マスツーリズム」とは違う形式の観光をいいます。
観光地に多くの観光客が訪れることで、環境汚染や騒音問題などが起こったため、その解決策として「オルタナティブツーリズム」が登場しました。
たとえば、環境に配慮し地域資源を活かせる「エコツーリズム」や、田舎で人や文化と触れ合い、自然の中で過ごす「グリーンツーリズム」は「オルタナティブツーリズム」の具体例です。
「オルタナティブツーリズムの一種であるグリーンツーリズムは、日本では会員制農泊から始まった」となどと使います。
貿易分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブトレード」とは、経済的や社会的に弱い立場の人にも公正に対価を払う貿易のことで、「フェアトレード」の方がよく聞いているかもしれません。
近年の「オルタナティブトレード」の品目には、以下のようなものがあります。
- 衣服
- 手工芸品
- バナナ
- コーヒー
- カカオ
教育分野での「オルタナティブ」
「オルタナティブ教育」とは、伝統的または主流になっている方法とは違う、学習・教育方法です。「教育選択肢」や「非伝統的教育」とも呼ばれます。
たとえば今ある教育方法に不満をもつ教育者が立ち上げ、それに賛同した親と生徒が集まってできた学校は「オルタナティブ教育」を体現しています。
また、アメリカやヨーロッパでは、一般的な学校では切り離す宗教や政治について教育に取り入れることを「オルタナティブ教育」と呼びます。
「オルタナティブ」の類義語・関連語
「オルタナティブ」の類義語は、以下になります。
- 代替
- 代わりの
- もうひとつの
- 別の選択肢
- 二者択一
- 従来とは異なる
- 主流とは異なる
- カウンターカルチャー
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は「オルタナティブ」の意味、使い方や英語、対義語のついて解説しました。
最後に「オルタナティブ」のまとめです。
- 「オルタナティブ」の意味には「二者択一」、「代替」、「主流ではないもの」という3つの意味があります。
- 1960年〜1970年代に次々と「オルタナティブ〇〇」という言葉や概念が登場し、「オルタナティブ」が注目されるようになりました。
- 「オルタナ」や「オルト」「アルト」などと略されることもあります。
- 「オルタナティブ」の対義語は「主流」「メジャー」と「オリジナル」、「既存」などです
- 「オルタナティブ」は英語の「alternative」が語源です。
- ビジネスシーンでは、「オルタナティブな〜」で始まる表現が多く登場します。
- 「オルタナティブ医療」とは、一般的な医療の代わりに行われる医療をいいます。
- 金融や投資分野での「オルタナティブ」は、「オルタナティブ投資」のことをいいます。
- 「オルタナティブテクノロジー」とは従来の科学技術に代わる技術のことで、「代替技術」ともいいます。
- 「オルタナティブミュージック」とは、今流行りの音楽とは違う、アンダーグラウンドで挑戦的な音楽ジャンルをいいます。
- カウンセリング用語には、「オルタナティブストーリー」というものがあります。
- 「オルタナティブツーリズム」とは、従来からある「マスツーリズム」とは違う形式の観光をいいます。
- 「オルタナティブトレード」とは、経済的や社会的に弱い立場の人にも公正に対価を払う貿易のことです。
- 「オルタナティブ教育」とは、伝統的または主流になっている方法とは違う、学習・教育方法です。
- 「オルタナティブ」の類義語は、「代替」「もうひとつの」「従来とは異なる」などです。