仕様書の意味と書き方とは?設計書との違いやサンプル例も紹介

「仕様書」の意味と書き方とは?「設計書」との違いやサンプル例も紹介
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「仕様書」とは、「注文品の内容と図が書かれた書類」または「ものごとのやり方と順序を記した書類」のことです。目的によって書式と内容は多少異なり、「要求仕様書」や「機能仕様書」「確定仕様書」などがあります。

目次

「仕様書」の意味とは?

「仕様書」の意味とは?

「仕様書」とは製品やサービスなどについての詳細を文章と図で示した書類をいいます。また、ものごとの手順を示した文章も「仕様書」と呼ばれます。

意味1.注文品の内容と図が書かれた書類

「仕様書」とは、システムや工業製品、サービスなどを開発するときに、性能や特性、要件と機能などを文章と図とで表した文書のことです。発注者と受注者との間で「何をつくるべきか」を共有するために作成します。「仕様書」は制作期間や費用の算定の材料とするため、入念に作り込むべきものとされています。

意味2.ものごとのやり方と順序を記した書類

「仕様書」は、ものごとのやり方の順序を示した文書をいうこともあります。あるものごとをするのにどんな内容を入れ、どの順番で行うべきかを記したものです。

参照:Weblio辞書「仕様書」

「仕様書」の読み方

「仕様書」の読み方

「仕様書」は「しようしょ」と呼ぶのが一般的ですが、「しようがき」と呼ばれることもあります。

「仕様書」と「使用説明書」、「設計書」との違い

「仕様書」と「使用説明書」、「設計書」との違い

「仕様書」と似たものに「使用説明書」と「設計書」があります。それぞれの違いを知って、混同しないようにしましょう。

1.「仕様書」と「使用説明書」の違い

「使用説明書」とは、製品やサービスの使い方を説明する文書です。初めて使う人でも、製品の仕様を理解して正しく使えるように書かれていて、「取扱説明書」とも呼ばれます。製品仕様が書かれている点は「仕様書」と同じですが、「仕様書」は製品の注文者と受注者が使うのに対し、「使用説明書」は製品の使用者向けなのが異なります。

2.「仕様書」と「設計書」の違い

「設計書」は、製品やサービスをどうやってつくるかを説明する文章です。材料や詳細な構造、開発方法や製造工程などを詳細に記す点が、「仕様書」とは異なります。「設計書」で示すのは「how(どのように)」で、「仕様書」で示すのは「what(何)」です。

「仕様書」を英語でいうと?

「仕様書」を英語でいうと?

一般的な製品の「仕様書」は、「specifications」と複数形にします。また、「仕様書」の形態別に「specification document(文書状の仕様書)」や「specification sheet(プリント状の仕様書)」とも英訳します。英語圏の製品の使用説明書や取扱説明書には、「specification sheet」が付属しています。
・Do you need to see the specification document?(仕様書を確認されますか?)
・We can’t build this without a specification document.(仕様書なしではこれをつくることはできない)

「仕様書」の種類と内容

「仕様書」の種類と内容

「仕様書」には複数の種類が存在します。それぞれの「仕様書」は内容だけでなく、見せる対象や望ましい書式が異なります。

1.要求仕様書

「要求仕様書」とは、エンドユーザーの要望に沿った製品をつくるには、どんな要件が必要かを記した文書です。要望を満たすにはどのくらいの費用がかかるか、要望にどう応えるかなどを記載します。発注者は「要求仕様書」をクライアントに提示し、両者ですり合わせを行います。また、「要求仕様書」をもとに設計書や指示書が作られます。

2.機能仕様書

「機能仕様書」とは、製品開発の要件をまとめた文書です。すべての製品開発者に対し、製品が備えなくてはならない要件を周知するために使われます。表と箇条書きの書式が一般的で、開発する製品の分野別に定型書式が用意されています。「機能仕様書」の視点は「製品を開発する私たち」にあるので、「〇〇に対応とする」や「〇〇の性能を達成する」などと宣誓文で書かれています。

3.詳細仕様書

「詳細仕様書」とは、「機能説明書」の内容を詳しく解説した文書です。機能説明書の要件を実際にどのように実現させるかを記しています。

4.購入仕様書

「購入仕様書」とは、制作を希望する製品について、発注者が受注者に要求を提示する文書をいいます。要求する性能だけをわかりやすく書き、手段などの不鮮明な要求は受注者に任せるのが望ましいとされています。また、懸案事項は明らかにしつつも「詳細は協議により決定」とすると、製品制作後のトラブルを回避しやすくなります。

5.見積仕様書

「見積仕様書」とは、「購入仕様書」にある発注者の要望を含みつつ、実現できる仕様にして表現した文書です。受注者は「見積仕様書」に関連した条件を記す「見積書」とセットで、発注者に提出します。多くの場合は要望をすべてそのまま実現するのが不可能なため、できないことをどう相手の立場に立って落とし込むかが重要です。発注元は複数の取引先の「見積仕様書」を比較・検討し、最終的に希望する製品制作をどこへ発注するかを決めることとなります。

6.確定仕様書

「確定仕様書」とは発注者が「見積仕様書」で選んだ受注者に対し、制作を希望する製品の最終提案内容を示す文書のことです。一般的には組立(構想)図などを含む「内容説明書」もセットになっており、契約内容と同一の内容が書かれています。

7.プログラム仕様書

「プログラム仕様書」とは、プログラマーに対して製品仕様と使い方を解説する文書をいいます。製品を開発する複数の技術者に対して仕様を周知するために用いられ、プログラムの機能を定義したり、構成をまとめたりしたものが書かれています。

「仕様書」の書き方と作成方法

「仕様書」の書き方と作成方法

「仕様書」は製品の詳細や使用目的、使用方法などを読み手にわかりやすく説明するための文書です。文章の羅列だけでは読みにくいので、図もプラスするとよいでしょう。「仕様書」のサンプルやテンプレートがネットで探せますから、参考にしてみてはいかがでしょうか。

「仕様書」に書くべき項目

たとえばシステム開発の「要求仕様書」に書くべき内容は以下の通りです。
・開発の基本方針
・機能一覧
・開発体制
・開発スケジュール
・開発環境
・予算

「仕様書」の書き方

「要求仕様書」は、「5W1H」を満たしている必要があります。
・WHY(目的)開発したシステムで達成すべきことを、具体的に示します。
・HOW(予算)予算をいくらまで出せるかを示します。
・WHEN(納期)開発を希望するシステムの納品期限です。段階別に細かく指定したり、完成後のテスト日程を含めたりする場合もあります。
・WHEREとWHO、WHAT(運用)完成したシステムがどこで、誰が、どうやって使うのかを記します。できるだけ細かく想定しておくと、運用後のトラブルを防げます。

「仕様書」のサンプルとテンプレート

「仕様書」の基本的な構成のサンプルを紹介します。ネットでは多くのテンプレートを参照できますので、参考にするとよいでしょう。
・目次 A4で10ページ以上ある「仕様書」なら入れておきます
・はじめに 「仕様書」の読み手に対し、本書の位置付けと注意点などを書きます
・シナリオ 「ユーザーは機能Aを使って動作Bを行う。なぜならユーザーの目的はCだからだ」などと、使う人と製品の動きに加え、使う人の動機も示します。
・対象外 開発の対象外の機能をはっきりさせておくことで、開発後に揉めるリスクを避けられます
・概要(概略フローチャート) 製品の機能の全体像や機能一覧表
・詳細 機能別や要素別の仕様説明
・未解決の問題 すぐに決定、解決できない課題点
・技術メモ 特定の技術者がわかればよいメモ書きで、「セキュリティ・メモ」や「テスト・メモ」などと項目を分けるとわかりやすい

わかりやすい「仕様書」を作るコツ

「仕様書」を作成するときは最初に大まかに内容を決め、重要点が際立つように意識して書きましょう。文章だけでなく、時間軸を表現できるシーケンス図やイメージ画像も添付すると、よりわかりやすい「仕様書」になります。誰に読んでもらうのかを意識し、簡潔でわかりやすい表現を心がけましょう。

「仕様書」を書くときに便利なツール

「仕様書」を書くときに便利なツール

アプリの「仕様書」を作成するとき、ワイヤーフレームを扱えるとアプリの詳細についても認識を共有できます。ブラウザ上でワイヤーフレームを作成できるツール「Moqups」なら、フリーの画像素材などと組み合わせるだけで簡単にイメージ付きの仕様書を作成できます。また、アプリの動作を可視化し、共有したい場合はブラウザツールの「Prott」を使ってみましょう。画面遷移の動作とともに、それと連動する動きも視覚化できるので、共通認識を深めるのに役立ってくれます。

「仕様書」の使い方と例文集

「仕様書」の使い方と例文集

「仕様書」の使い方を例文で紹介します。

例文
  • 3社の見積仕様書を比較、検討した結果B社に発注することにしたので、確定仕様書を作成して欲しい。
  • システム開発ではまず要件定義をしっかりと決め、要求仕様書をていねいに作成してクライアントと開発側とが合意する必要がある。
  • 業務拡張でパソコンを増やす必要があるので、少額随意契約のための仕様書を作成する。

まとめ

「仕様書」とは製品やサービスなどの詳細を示した文書で、ビジネスシーンで目にする機会も多くあるでしょう。「誰に読んでもらうのか」を意識し、わかりやすく書くことが大切です。

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