「アルカイックスマイル」の意味・使い方は?特徴や代表的な美術品も紹介

目次

「アルカイックスマイル」の意味

「アルカイックスマイル」の意味

「アルカイックスマイル」は、日本では通常「古拙(こせつ)の微笑(ほほえみ)」と訳せます。「古拙」とは、技巧的には素朴でありながら、古風で味わいのあるという意味です。 「アルカイックスマイル」は顔の感情表現をできる限り抑えながら、口元は微笑みの形を保っていることが特徴です。

「アルカイックスマイル」の由来・語源

アルカイックという言葉は、「古い」「太初の」を意味するギリシャ語の「arche(アルケー)」に由来しています。「完全な」「成長した」という語に対比される言葉です。また、「アルカイック」に充当する日本語は「古拙」です。

美術用語「アルカイック」とは?

美術用語「アルカイック」とは、紀元前七世紀半ばから紀元前五世紀初めにかけてのギリシャ美術のことです。古代ギリシャの彫刻は「ジオメトリック期」「アルカイック期」「クラシック期」「ヘレニズム期」の4期に分類され、「アルカイック期」はギリシャ美術において発展初期の段階を指します。

このアルカイック期の代表的な特徴である「アルカイックスマイル」は、素朴・生命力の逞しさなどに加え、幸福感を演出するために生まれたと考えられています。本来はギリシャ美術独自のものでしたが、のちには美術の様式概念として他の地域、他の時代でも用いられるようになりました。

「アルカイックスマイル」の特徴

「アルカイックスマイル」の特徴

「アルカイックスマイル」の特徴は、自然な微笑みで口角の上がった表情です。口角を上げることで「明るい人」「感じの良い人」など相手に柔らかい雰囲気を与えられます。そのためアルカイックスマイルを身につけられれば、ビジネスシーンにおいて第一印象を良くするのに大いに役立つでしょう。

「アルカイックスマイル」とウルトラマンの関係

ウルトラマンは「アルカイックスマイル」の持ち主です。ウルトラマンのデザインに携わった成田亨氏によると、「宇宙怪人」を作り上げるため「人の顔」から余分なものを徹底的にそぎ落とす作業を繰り返した結果、「アルカイックスマイル」をヒントにした口元になったということです。また、成田氏は「本当に強い人間はね、戦う時かすかに笑うと思うんですよ」とも話しています。

日本人の微笑みは「アルカイックスマイル」と言われる

「アルカイックスマイル」は無表情に近く口元だけが微笑みの形であることが特徴ですが、日本人はその表情をよく行うといわれています。その理由は、文化的に日本人は本当の感情を顔に出さず、否定的感情も笑顔で取り繕う傾向があるからです。また、本音を隠して曖昧な微笑を浮かべる日本人の表情を、海外の人が「アルカイックスマイル」と例えることもあります。

「アルカイックスマイル」の代表的な美術品

「アルカイックスマイル」の代表的な美術品

古代ギリシャ美術の彫刻像がもつ特徴的な微笑が由来となる「アルカイックスマイル」。実は、日本の飛鳥時代に作られた仏像にも同じ特徴の微笑が現れています。ここでは日本の仏像彫刻に見られる微笑みの魅力と意味を見ていきましょう。

ミケランジェロのモナリザ

イタリアの美術家レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた『モナ・リザ』。上半身のみが描かれた女性の肖像画で、観る人にさまざまな印象を与えますが、女性が浮かべている謎めいた微笑は「アルカイックスマイル」と呼ばれています。

ダ・ヴィンチの生きた時代のヨーロッパはキリスト教に権力が集中していた時代で、控えめな感情表現がよしとされていました。笑うことは身分の低い人間の行なう振る舞い、または精神が錯乱した異常者の行いとして侮蔑され、誰もが自分の笑顔を隠しながら生活をしていた時代であったことも影響しています。

クロイソス・クーロス

クーロスは元は「青年」という意味のギリシャ語で、アルカイック時代によく制作された大理石の青年裸体立像を指します。クロイソス・クーロスはアッティカのエーゲ海岸のアナヴィソスで発見され、クロイソスという若い戦士の墓に立っていました。その像は若い男性のたくましくも美しい肉体を表現したものですが、顔の感情表現を極力抑えながらも口元には微笑み、つまり「アルカイックスマイル」を浮かべています。

広隆寺の弥勒菩薩

広隆寺の弥勒菩薩は、推古天皇11年に建立された京都最古の寺である広隆寺の霊宝殿に安置されています。飛鳥時代作の彫刻で、創建当時の本尊と伝えられています。国宝第1号に認定され、赤松と一部樟の一木造で高さは約125cmです。右足を左膝に乗せ、右手をそっと頬に当てて思索にふける半跏思惟像の表情は「永遠の微笑」と称賛されています。

中宮寺の菩薩半跏像

飛鳥彫刻の最高傑作と名高い国宝・菩薩半跏像(ぼさつはんかぞう)は、奈良県斑鳩町にある、聖徳太子ゆかりの寺、中宮寺の本堂に安置されています。静けさが漂う美しい姿は、聖徳太子の母である穴穂部間人皇后(あなほべのはしひとこうごう)をモデルにして制作されたと伝えられています。穏やかな優しい微笑みは、エジプトの「スフィンクス」、ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」と並び、「世界の三大微笑」と呼ばれています。

向源寺の十一面観音立像

滋賀県長浜市の向源寺に安置されている十一面観音は、日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも特に美しいと評判で、日本彫刻史上の最高傑作として名高い像です。像容に密教思想の影響がみられることから、制作年代は平安初期と推定されています。この像は一本の檜(ひのき)から彫り出された観音像で、十一の顔を持っています。穏やかな表情の「アルカイックスマイル」によって、祈りの仏にふさわしい、慈愛に満ちた印象を与えています。

「アルカイックスマイル」を英語で言うと?

「アルカイックスマイル」を英語で言うと?

英語では「archaic smile」と書き、「archaic」とは古代ギリシャ語で「古い」「太初の」という意味の「arche」から派生した語です。

「アルカイックスマイル」を用いた英語表現

「アルカイックスマイル」を使用した英語の例文を紹介します
・They began wearing the so-called archaic smile. 彼らはアルカイックスマイルと呼ばれる表情を身につけ始めた。)
・Some of these laws are archaic.(これらの法律には旧態依然としたものもある。)
・These rules are sometimes seen as archaic and are rarely used.(このルールは時代遅れとされることもあり、めったに使われていない。)

「アルカイックスマイル」の使い方と例文集

「アルカイックスマイル」の使い方と例文集

「アルカイックスマイル」を使った例文を紹介して、その意味を解釈していきます。注意点と合わせてみていきましょう。

「アルカイックスマイル」を使用するときの注意点

人によっては、「アルカイックスマイル」は好まない表情とみなされることがあります。その理由は、「アルカイックスマイル」は愛想笑いに過ぎないとし、冷笑的な印象があるからです。そのため「アルカイックスマイル」を多用すると「本音を見せない・信頼関係が結べない」と誤解されることがあることを覚えておきましょう。「好意がある・敵意を持っていない」という印象を相手に与えるためには、作り笑いでない微笑みが求められます。

「アルカイックスマイル」を用いた例文

「アルカイックスマイル」を使用した例文を紹介します
・彼は仲間に怒りをぶつけられても、感情の読めないアルカイックスマイルのままだった。
・彼女はこれまで多くの辛いことを経験して、いわゆるアルカイックスマイルを身につけた。
・飛鳥時代に造られた古い仏像の多くは、古代ギリシャのアルカイックスマイルの影響を受けている。

まとめ

「アルカイックスマイル」は、古代ギリシャの彫刻の口元に見られる微笑に似た表情のことをいいます。日本でも飛鳥時代の仏像彫刻の顔に同じような微笑が見られます。口角が上がっていて自然な笑顔を絶やさない人は魅力的ですよね。周りからの印象が良いと仕事も人間関係もスムーズにいくようになるでしょう。ぜひあなたも仏像・モナリザの微笑みをお手本に「アルカイックスマイル」を身につけてください。

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