「造詣が深い」は、特定の分野において広く深い知識や技能をもっている様子、また非常に精通している様子を表す言葉です。特に、学問や芸術などの分野で深い知識などをもっているときに使われます。「造詣が深い」の読み方は、「ぞうけいがふかい」です。この記事では「造詣が深い」の意味、読み方、由来・語源、類義語・言い換え、対義語、敬語表現、英語表記について解説します。
「造詣が深い」の意味とは?
「造詣が深い」は、特定の分野において広く深い知識や技能をもっている様子、また非常に精通している様子を表す言葉です。特に、学問や芸術などの分野で深い知識などをもっているときに使われます。「造詣がある」や「造詣を深める」という使い方もできます。
「造詣が深い」の読み方
「造詣が深い」の読み方は「ぞうけいがふかい」です。「ぞうしがふかい」ではありません。「詣」は音読みで「けい」と読みます。漢字のつくりが「し」と発音する「旨」や「指」と似ているため「ぞうしがふかい」と読み間違えないよう気を付けましょう。
「造詣が深い」の由来・語源
「造詣が深い」の 「造詣」は「ある地点まで行き着く」という意味があり、以下の漢字で成り立っています。
- 【造】…ある点まで届く・ある所まで至る
- 【詣】…高い地点まで到達する・至る
「造詣」の「造」には、一般的に知られている「つくる」という意味のほかに、「いたる」や「到達する」という意味があり、「詣」は、「参詣」などに用いられ、「いたる」や「学問などが深い境地にいきつく」ことを表す漢字です。
そのため、「造詣が深い」と近い意味の言葉を重ねることで、学問や芸術などの知識・技能が深い境地に到達している状態を表しています。
「造詣が深い」の類義語・言いかえ
「造詣が深い」の類義語や言いかえには、どんな言葉があるでしょうか。以下4つの言葉を紹介します。
- 学識がある
- 蘊蓄が深い
- 精通している
- 通暁する
「造詣が深い」との違いも説明しますので、状況に応じて使い分けてください。
学識(がくしき)がある
「造詣が深い」の類義語に「学識がある」があります。「学識」は学問上の知識や見識を指す言葉です。そのため、学問に関しては「造詣が深い」と同じように用いられます。「学識がある」は、芸術や技能については表現できませんので、ほかの表現方法を使いましょう。
蘊蓄(うんちく)が深い
「造詣が深い」は「蘊蓄(うんちく)が深い」と言い換えができます。「蘊蓄」は、学問や芸術、趣味など、物事に関する深い知識をもっていることを表す言葉です。主に「蘊蓄を傾ける」の形で使用します。しかし「蘊蓄」という言葉は「蘊蓄をひけらかす」のように「知っている知識を得意げに披露する」という意味合いで用いられることがあり、誉めた相手が悪い意味に捉えて誤解してしまう場合もあります。使用する際は意図が正しく伝わるように気を付けましょう。
精通(せいつう)している
「精通している」も「造詣が深い」の類義語です。「造詣」と違い「精通」は分野を問わず、対象に対する知識が深くあることを表します。そのため「精通している」という言葉は、日常生活の知識や情報に詳しい場合でも使用できます。言いかえや表現に迷ったら「精通している」を使用するとよいでしょう。
通暁(つうぎょう)する
「通暁する」は、以下の2つの意味があります。
- 夜を通じて明け方に至ること。
- ある物事についてたいへん詳しく知っていること。
「造詣が深い」の類語になるのは2番の「ある物事についてたいへん詳しく知っていること。」の意味です。
「通暁する」は「造詣が深い」と比べて、専門的な分野や技量を求められるわけではないので、誰かをちょっと褒めたいときに活用しやすい言葉です。
「造詣が深い」の対義語は?
「造詣が深い」または「造詣がある」の対義語はありません。間違った表現をして恥ずかしい思いをしないように、その理由や、反対の意味を表す言葉も覚えておきましょう。
「造詣がない・造詣が浅い」は間違い
「造詣が深い・造詣がある」の対義語として「造詣が浅い・造詣がない」という表現を見かけますが、これは間違った表現です。「造詣」自体が深い知識や技能をもっている様子を表すため「深い知識がある+浅い・ない」となり、矛盾した表現になってしまうからです。「造詣が深い」と反対の意味を伝えたいときは「造詣」を使わずに、ほかの表現を用いて伝えましょう。
「造詣が深い」と反対の意味をもつ言葉
「造詣が深い」と反対の意味をもつ言葉を2つ紹介します。
- 知識が浅い
- 浅学非才
知識が浅い
「造詣が深い」の反対の意味を伝えたいときには「知識が浅い」を使用できます。「造詣」と違い「知識」は対象分野が限られていないため、日常で得られる知識から、学問的な知識までを網羅する言葉です。そのため「知識が浅い」で、広い意味での知識不足を表します。
浅学非才(せんがくひさい)
「造詣が深い」の反対の意味をもつ言葉に、四字熟語の「浅学非才(せんがくひさい)」があります。「浅学非才」は学問や知識が浅く未熟なこと、また才能が欠けていることを表す言葉です。この言葉は、主に自分の才能などを謙遜するときに使います。他人に対して使ってしまうと大変失礼な言葉ですので、しっかりと覚えておきましょう。
「造詣が深い」の敬語表現
「造詣が深い」は学問や芸術に関する知識などに敬意を払う言葉であり、目上の方にも使える誉め言葉です。「先生は日本舞踊に関してとても造詣が深い」のように、そのまま使用しても失礼ではありませんが、さらに丁寧な敬語を使用する場合は以下の表現を用いて伝えましょう。
- 先生は日本舞踊に関してとても造詣が深くていらっしゃる。
- 先生は日本舞踊に関する造詣がおありですね。
「よく知っていますね」のように、評価するような言葉で目上の方を褒めると失礼にあたります。「造詣が深い」は目上の方の知識や技能をスマートに褒められる言葉なので、ビジネスの場面でも活躍するでしょう。
「造詣が深い」を英語でいうと?
「造詣が深い」は英語で「be well versed in~」もしくは「have a great knowledge of~」と表現できます。「versed」は「熟知している、精通している」という意味、「knowledge」は「学問、知識」を意味する言葉です。「She is well versed in japanese literature(彼女は日本文学に造詣が深いです。)」のように表現します。
「造詣が深い」の使い方と例文
「造詣が深い」の使い方と注意点、例文をいくつか紹介します。
「造詣が深い」の使い方
「造詣が深い」は、学問や芸術の分野で努力の結果身に付いた、広く深い知識や技能を敬い、褒めるときに使います。
一般的な学問の知識などではなく、なかなか身に付けられないような学問・音楽・美術・歴史・医療などの高度な知識や技能が対象です。
「造詣が深い」を使用するときの注意点
「造詣が深い」は目上の方にも使えるため、相手を選ばずに使える便利な誉め言葉です。しかし、使い方を間違えると相手に失礼な印象を与えてしまうため、注意点を押さえておきましょう。
特定分野以外の知識や経験には使えない
「造詣が深い」は、特定分野以外の知識や経験を褒める時には使えません。「造詣」という言葉は、学問や芸術などの分野についての知識を表します。そのため、日常的なことや学問的ではない分野について褒めたい場合は、類義語で紹介した「精通している」などを使用しましょう。また、それほどの知識や技能ではないのに「造詣が深い」を用いてしまうと、大げさな表現でお世辞を言ったかのような、悪印象を与えかねません。相手の知識量、その知識の分野など、使えるタイミングを見極めて使用しましょう。
「造詣が深い」は自分に対しては使わない
「造詣が深い」は相手の広く深い知識や技能を尊敬し、褒めるときに使用する言葉です。そのため、自分に対しては使用できません。自分に対して使用してしまうと「思いあがった態度だ」と誤解を受けてしまうので注意が必要です。自分の深い知識に自信があることを伝えたいときには「精通している」や「~詳しく知っている」などの表現を用いるといいでしょう。
「造詣が深い」の例文
「造詣が深い」や活用方法を使った例文です。
- バロック建築に造詣が深い男性とお話しできて、大変勉強になりました。
- 西洋絵画に造詣の深い先生に教えを乞います。
- 大学教授の彼は、日本文学に大変造詣があります。
- 彼女はたくさんの専門書を読み、医学に関する造詣を深めました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、「造詣が深い」の意味、読み方、由来・語源、類義語・言い換え、対義語、敬語表現、英語表記について解説しました。
最後に「造詣が深い」のまとめです。
- 「造詣が深い」は、特定の分野において広く深い知識や技能をもっている様子、また非常に精通している様子を表す言葉です。特に、学問や芸術などの分野で深い知識などをもっているときに使われます。
- 「造詣が深い」の読み方は「ぞうけいがふかい」です。「ぞうしがふかい」ではありません。
- 「造詣が深い」の由来・語源は、「造詣」の「造」には、一般的に知られている「つくる」という意味のほかに、「いたる」や「到達する」という意味があり、「詣」は、「参詣」などに用いられ、「いたる」や「学問などが深い境地にいきつく」ことを表す漢字です。そのため、「造詣が深い」と近い意味の言葉を重ねることで、学問や芸術などの知識・技能が深い境地に到達している状態を表しています。
- 「造詣が深い」の類義語・言い換えには、「学識がある」、「蘊蓄が深い」、「精通している」、「通暁する」です。
- 「造詣が深い」の対義語はありません。
- 「造詣が深い」は目上の人に対しても使えます。敬語表現には「造詣が深くいらっしゃる」、「造詣がおありですね」などがあります。
- 「造詣が深い」は英語で「be well versed in~」もしくは「have a great knowledge of~」と表現できます。
- 「造詣が深い」を使用する際の注意点は、「造詣が深い」は、特定分野以外の知識や経験を褒める時には使えません。「造詣」という言葉は、学問や芸術などの分野についての知識を表します。そのため、日常的なことや学問的ではない分野について褒めたい場合は、類義語で紹介した「精通している」などを使用しましょう。それと、「造詣が深い」は相手の広く深い知識や技能を尊敬し、褒めるときに使用する言葉です。そのため、自分に対しては使用できませんので気をつけましょう。