「ディクテーション」とは、英語など外国語の単語や文章を聞き、書き取る学習法をいいます。CDブックやネット、アプリなどを使って自学もできるので、自分のレベルに合わせた教材を選んで繰り返し学習しましょう。
「ディクテーション」の意味とは?
「ディクテーション」とは読み上げられる外国語を聞いて書き取ることや、書き取りテストのことをいいます。英語学習でよく用いられる方法で、リスニング力をつける目的で行います。
「ディクテーション」の語源
「ディクテーション」の語源は英語の「dictation」で、意味は「口述」です。「dictation equipment(口述装置)」や「I took wrote from someone’s dictation(人の言葉を書き取る)」のように使います。また、カタカナ語の「ディクテーション」同様に、書き取り(練習)のこともいいます。「dictation ability scores」は、「ディクテーション(書き取り)の成績」と訳します。
「ディクテーション」と「シャドーイング」の違い
「ディクテーション」と混同しがちな英語勉強法が「シャドーイング」です。「ディクテーション」は英語の音声を聞いて書き取る練習法なのに対し、「シャドーイング」は英語の音声を聞き、2、3語後から追いかけて発声する練習法です。これらは全く違うものと知っておきましょう。
「ディクテーション」の英語学習の方法
「ディクテーション」は英語の音声を聞き、書き取る学習法です。英語音源付きの教材本を使う、またはネットやアプリを利用すれば、いつからでも「ディクテーション」にチャレンジできます。
1.本で学習
「ディクテーション」で英語学習をするために、CDなどの音源付きの教材本を使ってみましょう。英語初心者には、中学英語の穴埋め式がおすすめです。中学程度の教材なら英語の基礎から学べますし、穴埋め式はいきなり全文を書き取るのではなく、ところどころがわかればよいのでハードルが下がります。穴埋め式に慣れてきたら、その教材を使って全文を書き取れるようになりましょう。これまでの練習で繰り返し聞いた英文ですから、初めて聞く文を書き取るよりはスムーズにできるはずです。
2.ネットやアプリで学習
「ディクテーション」はネットやアプリを使っても学べます。たとえば英語のリスニングやディクテーション学習向けに、音声問題を無料で提供しているサイトも。自分が納得いくまで繰り返し聞きながら、書き取り練習ができます。「ディクテーション」ができるスマホアプリなら、場所と時間を選ばずに英語学習が可能で、仕事の合間に継続して取り組めるメリットもあります。
「ディクテーション」で英語を学ぶメリット
「ディクテーション」で英語学習をすると、自分の弱点をしっかり把握できるメリットがあります。また、何度も英語を聞きながら、リスニング力をつけることも可能です。
自分の英語の弱点を把握できる
「ディクテーション」のメリットのひとつは、自分の英語のどこが弱点なのかを把握できることです。英語をただ聞いているだけでは、わかった気になっているだけのことも。聞いた英語を書き取る「ディクテーション」はごまかしがきかないので、単語の聞き違いや意味の取り違いに気づけます。
リスニング力がつく
「ディクテーション」には、リスニング力がつくメリットもあります。たとえば「talk」は人により発音が違い、「トーク」だけでなく「ターク」と聞こえることがあります。また、自分が思っていた発音と違う単語や熟語を把握して、修正することも可能です。何度も「ディクテーション」をやっていると、自分が聞き取るときに苦手な音もわかります。「l」や「th」がよく聞き取れないとわかったら、これらの音の発音を繰り返し練習するとリスニング力がついてきます。
「ディクテーション」で英語を学ぶデメリット
聞き取った英語を書き取る「ディクテーション」は、負担がかかりやすい勉強法です。頭が疲れやすく、英語学習を続けるモチベーション維持がしにくいかもしれません。また、英語初心者は聞き取った英文の意味がわからず、挫折しがちになります。
「ディクテーション」はほかの勉強法よりも負荷が大きい
「ディクテーション」はほかの英語勉強法にくらべ、負荷がかかりやすいデメリットがあります。英語の聞き取りと書き取りを同時に行うので、慣れていないと頭が疲れやすく感じることも。語学学習は一朝一夕にはいかず、継続こそが大事です。負荷のかかる「ディクテーション」は、モチベーションを維持しづらいかもしれません。
英語初心者には難しく挫折しやすい
「ディクテーション」は英語初心者には不向きかもしれません。そもそも英文法を把握していないのに「ディクテーション」をすると思うように聞き取れず、英語力がアップした実感を得られにくくなります。また、英語の発音はよく聞き取れたとしても、文が何を意味するのかを理解できないことも。まずは中学や高校程度の英文法を理解してから「ディクテーション」をする、または中学程度の英文を使った「ディクテーション」の教材を使いましょう。
「ディクテーション」で英語を学ぶコツ
「ディクテーション」で英語を学ぶときは、同じ教材を使って繰り返し学習をしましょう。最初は簡単な教材で始める、一文が長すぎない音源を使うのもおすすめ。自分が聞きたい内容の文章の方が、「ディクテーション」を継続しやすくもなります。
同じ教材で繰り返し学ぶ
「ディクテーション」は、同じ教材で繰り返し学習しましょう。最初は聞き取れなかった英語も、繰り返し聞くうちに少しずつわかってくることもあります。最初のうちは答えの英文を見て、リスニングしてもよいでしょう。そして興味が持てない内容よりは、自分が好きなものや知りたい内容の英文の方が、英語学習のモチベーションが上がります。
最初は簡単な教材でスタート
「ディクテーション」は、最初は簡単な教材でスタートしましょう。自分に合ったレベルかどうかは、「しっかり聞けばどんな意味なのかをすぐに理解できる」かを目安にします。英語を話している速さや発音がわかりやすいか、文の内容や英文法のレベルなどを教材を選ぶときの基準にしましょう。一文が長すぎないものや、解答付きの教材は初心者に向いています。
「ディクテーション」で英語が聞き取れないときは
「ディクテーション」で英語が聞き取れないときは、「ディクテーション」のやり方以外に原因があるかもしれません。英語の発音とアクセントを理解していないと、英文が聞き取れないことがあります。ちゃんと英語が聞き取れていても、文法や単語を知らなければ正しい文には訳せないでしょう。「ディクテーション」だけに固執せず、ほかの勉強法と併用してみてもよいでしょう。
発音とアクセントを理解していない
英語の発音とアクセントを理解していないと、「ディクテーション」が難しく感じてしまいます。たとえば発音変化のルールを知らないと、「cotton」が「カヌン」、「family」を「ファムリ」と発音されているとわからなくなってしまいます。また、リンキング(前後の単語が繋がる)やリダクション(文末の「p」や「d」などの音が消える)を知っていないと、知っている単語も聞き取れないでしょう。弱発音を意識していないと、冠詞の「the」や「a」、前置詞の「in」や「at」などが聞き取れるようにはなりません。
知らない文法や単語がある
自分が知らない文法や単語があると、英語の聞き取りができても正しい文章を書けないことがあります。たとえば「I’ve been to Paris.」を「I’ve been to parents.」と聞き違えるのは、「I have been to…」の後に来るのが場所だと知らないのが原因です。文法を知っていれば、「Paris(パリ)」と「parents(夫婦)」の発音が紛らわしく感じても、正しく「Paris」を選べます。そして英単語を覚えるときは、発音もセットで覚えると「ディクテーション」に活かせるでしょう。
「ディクテーション」以外の英語勉強法も併用しよう
「ディクテーション」に行き詰まりを感じたら、ほかの英語勉強法もやってみましょう。「ディクテーション」はリスニング力はアップできても、ライティングやスピーキング力を上げるのにはあまり効果がありません。受け身の勉強法でもあるので、総合的な英語力を望むのならほかの勉強法と並行する必要があります。
「ディクテーション」以外の英語学習法
「ディクテーション」以外の英語学習方法を2つ紹介します。「音読」や「シャドーイング」など、ほかの英語学習法も行うと、自分の英語力をさらにアップさせられます。
1.音読
「音読」とは、英文を聞いて声に出して読むことを繰り返す学習方法です。まずは英文を見ずに、リスニングを2回以上します。次に英文をよく読んでわからない文法と英単語を調べ、文章の意味を理解しましょう。その後でさらにリスニング2回と音読2回を1セットにし、5セット程度繰り返します。音読は英語の基礎知識を身につけやすく、インプットとアウトプットとを効率よくできるのがメリットです。
2.シャドーイング
「シャドーイング」とは英文を聞き、2、3語後から追いかけて発声する練習方法です。「シャドーイング」を繰り返すと、聞いた英語の音をすぐに自分の頭の中にある英単語に変換し、すぐに引っ張り出す「音声知覚の自動化」ができるようになります。1分ほどの短い英語音源を選び、音声を聞いて意味を確認してから「シャドーイング」をしましょう。英文の内容よりも、イントネーションや音の変化をそのままコピーする意識が大切です。
まとめ
「ディクテーション」とは「聞いて書き取ること」で、英語学習法のひとつです。音源付きの教材を使えば自学できるので、英語を習得したい方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。「ディクテーション」は継続が大事なので、自分に合ったレベルの教材を使うことも上達の近道です。