「アバンチュール」とは「冒険」を意味する言葉です。最近は頻繁に使う言葉でなくなったため、正しい意味や用法を理解していない人も多いかもしれません。本記事では「アバンチュール」の正しい意味や、どのようなときに使われるのかについて解説します。
「アバンチュール」の意味
「アバンチュール」とは「冒険」を意味する言葉です。しかし日本では主に恋愛、ロマンスの場面において使い、「恋の火遊び」「冒険味を帯びた恋愛」という意味で使うことが多いです。一夜限りの関係、既婚者やパートナーがいる相手との恋など「危険で、火傷を覚悟するような恋」の状況で使用します。
「アバンチュール」の語源
「アバンチュール」の語源はフランス語の「Aventure」です。さらにラテン語の「advenire」まで遡ると、「ad」は「~(ある場所)へ」「venire」は「これから向かう場所」を意味します。すなわち「これから先に起こること」という意味になり、「冒険」へとつながるというわけです。
英語では「Adventure」となり、意味は「冒険」です。ただし、フランス語の「Aventure」には「濡れ事、恋愛事件」というニュアンスを含んでいますが、英語の「Adventure」にはこうした恋愛に関する意味はありません。
フランス語「冒険」が転じて「恋愛の火遊び」に
フランス語の冒険を表す「Aventure」が転じて、「恋の冒険」「ひと夏のアバンチュール」などロマンチックな意味で使われるようになりました。「アバンチュール」という言葉は美術品や楽曲の題名などに用いられることもあり、日本でもシンガーソングライター・大貫妙子の5枚目のアルバムは『アヴァンチュール(AVENTURE)』というタイトルがついています。
「アバンチュール」の使い方
「アバンチュール」という言葉を聞いて「アバンチュールって何?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。知らないままでは間違った使い方をしてしまいかねないので、この機会に正しい使い方を覚えてください。
「アバンチュール」は昭和時代に流行した言葉
「アバンチュール」は昭和によく使われていた言葉です。特に20世紀後半、バブルの頃に流行しました。そのため、年齢が高めの人は会話の中で「アバンチュール」を使うことがあるかもしれませんが、最近では日常生活ではあまり耳にしなくなりました。そのため「アバンチュール」という言葉は死語に近く、若い世代の人へは伝わらないこともあると覚えておきましょう。
「アバンチュール」は歌詞やタイトルに使われていた
「アバンチュール」は、昭和の歌謡曲のタイトルや歌詞によく使用されていました。たとえば、1983年リリースの中森明菜のサードアルバムには、『アバンチュール』という楽曲が収録されています。また、最近でも2017年に人気シンガーソングライターのchayが『恋はアバンチュール』を、アイドルグループの超特急が『超えてアバンチュール』という曲をリリースしています。
多くのミュージシャンがタイトルや歌詞に「アバンチュール」を使うのは、恋愛模様が一気にドラマチックでスリリングな印象になることが理由でしょう。
「アバンチュール」の類義語
「アバンチュール」とは本来「冒険」を意味する言葉ですが、日本では主に恋愛、ロマンスの場面において使います。ここでは、「恋の冒険」「恋の火遊び」という意味で使う「アバンチュール」の言いかえ表現を紹介します。
一夜の恋・ワンナイトラブ
「アバンチュール」の類語には、「一夜の恋・ワンナイトラブ」があります。「ワンナイトラブ」は、「一夜だけの恋の冒険」という意味の言葉です。似た表現に「一夜の情事」「ゆきずりの恋」などもあります。これらはどれも「その場かぎりの恋」を意味し、危険な恋を表す状況で使用します。
許されぬ恋
「アバンチュール」の類語には、「許されぬ恋」「浮気」「略奪愛」「密通」もあります。共通しているのは、どれも社会的にアウトな恋愛という点です。恋愛関係においては障害があったほうが盛り上がると言われますが、軽はずみな「アバンチュール」で誰かを傷つけることになれば「つい出来心で」「冒険だから」では済みません。社会人が「アバンチュール」を楽しむには、それなりのリスクを伴うことを心しておいた方がいいでしょう。
「アバンチュール」の対義語
「アバンチュール」の対義語を紹介します。「アバンチュール」はロマンチックであるものの、不真面目でモラルがないという印象があります。そのイメージと正反対な様子を想像させる言葉には何があるでしょうか?対義語の意味と用法もおさえて、ぜひ日常会話やビジネスシーンで活用してください。
堅実
「アバンチュール」の反対語は「堅実(けんじつ)」です。「堅実」の意味は、「考え方ややり方がしっかりしていて、危なげがない」ことです。つまり、失敗するリスクがない様子です。「堅実な恋」は「非常に真面目な恋愛」を指し、危険度の高い恋愛を意味する「アバンチュール」とは対極の意味をもっています。
「アバンチュール」を英語でいうと?
「アバンチュール」を英語でいうとどのような表現になるのでしょうか?実際の使用例をみていきましょう。
英訳するなら「romantic adventure」
英語で同義をもつ言葉は「romantic adventure」があります。このほか、情事、浮気、恋愛を表す「love affair」や一夜だけの情事を表す「one-night stand」などもあります。
「アバンチュール」に関連した英語例文
「アバンチュール」に関連した英語例文を紹介します。
- I went to Guam for a summer of romantic adventure.(私はひと夏のアバンチュールを求めてグアムへ行った。)
- He backed out of the triangular love affair.(彼はその三角関係から身を引いた。)
- I am not good at one night stand. (私は一夜限りの関係はあまり好きではない。)
「アバンチュール」の使い方と例文集
「アバンチュール」は「冒険」を意味するフランス語の単語で、転じて「恋の冒険」「危険な恋」を指します。場合によっては社会的にアウトな行動とみなされるため、使う際はシチュエーションに注意を払うことが必要です。
「アバンチュール」を使用するときの注意点
昭和のバブル時代に作られた楽曲に「アバンチュール」を含むものが多かったことから、当時は「アバンチュール」という言葉が流行った時期がありました。しかし、令和の時代においては会話で使われることはほとんどありません。
また、「アバンチュール」は、「火遊び的な恋」を意味する言葉なので、不真面目な行動として社会的制裁を受ける可能性もなきにしもあらずです。さらには見知らぬパートナーとのアバンチュールは性感染症のリスクと表裏一体であるため、くれぐれも冒険しすぎないようにしてください。
「アバンチュール」の例文
「アバンチュール」を用いた例文を紹介します。
一晩だけのアバンチュールを楽しまない?
「アバンチュール」という言葉自体が死語になっており、30代以下の世代にはほとんど意味が通じません。また、ビジネス関係の相手に「アバンチュール」を持ちかけると、セクハラなどで訴えられる可能性もありますので軽率な行動は慎みましょう。
彼はつい足を踏み入れたアバンチュールによって、これまで積み上げてきたものを全て失ってしまった。
「アバンチュール」つまり「ひとときの恋」と言えばドラマチックな雰囲気も漂いますが、最近では特に不倫への風当たりは強く「アバンチュール」のリスクには気をつけたいところです。
まとめ
「アバンチュール」は、「火遊び的な恋」を意味する言葉です。「アバンチュール」という甘い響きに惹かれて、軽はずみで危険な恋をしないようにしましょう。