「オーサリング」はIT業界でよく見かける言葉ですが、どんな意味があるかご存じですか?「ライティング」との違いは何なのでしょうか。この記事では、「オーサリング」の詳しい意味と類語・具体的な使用場面を紹介します。例文も合わせて解説しています。
「オーサリング」の意味とは?
「オーサリング」はパソコンやITに詳しい人なら耳にする機会もありますよね。しかし、この単語は使う場面によって、意味が異なるのが特徴です。ここでは、DVD制作とWeb制作における意味について、それぞれ解説します。
DVD制作での意味
DVD制作での「オーサリング」は、映像や音声・テキストなどのデータをDVDパッケージに収めることです。「データをDVDに変換する」をイメージするとわかりやすいでしょう。
一方、Web制作での「オーサリング」は、同じく映像や音声・テキストなど複数のデータをひとつにまとめて、Webメディアを作ることを意味します。Webサイトの作成のみならず、Flashコンテンツなども含まれているのです。※AdobeのFlash Playerはサポート終了しています。
「オーサリング」の英語の意味
「オーサリング」は英単語です。そして、英単語の意味はIT業界で使用される意味とは少しだけ異なります。表記は「authoring」で、意味は「著者・著述者・作家」です。文法でいうと、名詞の「author(著者)」を現在分詞形にしたのが「authoring」ですね。
コンピューター用語の「オーサリング」に加えて、書籍の出版や論文作成時など執筆に関わる場面でもよく目にします。
もちろん、IT用語の「オーサリング」の意味で使っても通じますので、別の単語へ言い換えをする必要はありません。
「オーサリング」の類義語・言い換え
「オーサリング」にはいくつかの類義語があります。ここでは、「オーサリング」と比較される日本語を2つ見ていきましょう。
動画編集
「動画編集」は、「オーサリング」の一種です。複数のデータをひとつにまとめる作業が「オーサリング」の基本的な考え方なので、撮影された映像やグラフィック映像を編集し、ひとつの作品や商品に仕上げる「動画編集」もこれに含まれます。
ライティング
「ライティング」は、作成されたデータをDVDなどのメディアに書き込む作業を指します。録画したテレビ番組をDVD-Rなどの空ディスクに焼くのは、「ライティング」です。
そのため、日頃私たちになじみがあるのは、「オーサリング」よりも「ライティング」といえるでしょう。
DVD制作での「オーサリング」と「ライティング」の違い
「オーサリング」の類義語で「ライティング」を挙げましたが、DVD制作で両者の違いを把握しておくのはとても重要です。
2つともDVDを制作する作業である点は、同じといえます。しかし、「オーサリング」はDVDに書き込むまでのデータ編集やファイル変換作業を示し、「ライティング」は作成されたデータをDVDに焼きつける作業を指すのです。
つまり、「オーサリング」作業を経てから、「ライティング」が可能となるわけですね。
「オーサリング」を含んだ用語
「オーサリング」は多くのコンテンツ制作場面で使用されています。しかし、実はひとくちに「オーサリング」と言っても、さまざまな用語が存在しているのです。ここでは、よく使用されている用語を3つ紹介します。
DVDオーサリング
1つめは「DVDオーサリング」。DVD制作における「オーサリング」のことです。DVD-RやDVD-RWなどへデータを書き込む前段階の作業を指し、具体的には、チャプターメニューや言語設定メニュー・字幕・タイトル画面などを映像に追加する作業が挙げられます。
オーサリングツール
2つめは、「オーサリングツール」です。サイト制作や動画作成において地道なプログラム作業をしなくても、自動でサポートしてくれるツールを意味します。
たとえば「DVDオーサリング」の場合、自力でチャプターを設定していくのは非常に手間がかかります。そこで「オーサリングツール」を利用すれば、チャプターの自動切り出しやメニュー設定などもかんたんにおこなえるのです。
また、「オーサリングツール」は使用業界ごとにまったく違います。DVD用のツール、Webサイト制作用のツールなど、多種多様な種類が提供されているのです。
オーサリングソフト
そして、3つめの「オーサリングソフト」は、「オーサリングツール」の言い換えです。どちらを使用しても意味は同じですので、特に使い分けをする必要はありません。
「オーサリング」がおこなわれる場面
「オーサリング」は身近なところでもおこなわれています。そのため、日常生活でも知らないうちに作業している可能性があるのです。IT業界に関わる人でなくても、「オーサリング」をする場面があることを知っておきましょう。
旅行などのイベント
旅行先で動画を撮影し、それを編集して自宅のDVDプレーヤーで再生したり、結婚式のプロフィールムービーを自作して、式場のモニターで再生したりすることもあるでしょう。いずれの作業にも、「オーサリング」が関わっています。
具体的には以下の作業が「オーサリング」に含まれると考えてよいでしょう。
- 撮影した映像に字幕をつける
- 効果音やBGMを入れる
- 動画データをMP4形式からVOB形式に変換する
YouTubeなどの動画編集
そして、YouTubeやSNSに投稿する動画の編集作業も「オーサリング」です。動画編集の際には、不要な部分を削除したり、別の映像や音声・テキストと組み合わせたりして、新しい1つのコンテンツを作成しています。
そして、その後は各プラットフォームに対応した動画形式に変換してからアップロードする人が多いでしょう。この作業をおこなうときには、「オーサリングツール(ソフト)」を使用している場合が考えられます。無料で「オーサリング」できるスマホアプリなどもよく見られますね。
ただし、すべての作業を「オーサリング」とせず、ファイル形式の変換作業のみを「オーサリング」と呼ぶ人もいるので、覚えておきましょう。
「オーサリング」のやり方
「オーサリング」は、基本的にオーサリングツールやソフトを使っておこないます。ここではDVDオーサリングのやり方を参考に紹介します。
手順は以下の通りです。
1. 無料・有料ツールをインストールする
2. ルートメニュー・チャプター設定・字幕や音声の設定をおこなう
3. DVD形式に変換して出力する
複雑なメニュー設定もツールを使えばかんたんに完了するので、難しく捉える必要はありません。
「オーサリング」するときの注意点
「オーサリング」するときには、ツールを使用する人が多いでしょう。そこで、DVD・動画編集時にツールを使用して「オーサリング」するときの注意点を参考に紹介いたします。
DVDオーサリングの注意点
DVDオーサリングは、メニュー画面の設定でミスが起こりやすいので注意が必要です。
たとえば、完成後はプレーヤーのリモコンでボタン操作をおこないます。その際に、きちんとすべてのボタンが正しい反応を示しているか、決められたリンクへ飛んでいるかなどのチェックが必要です。
また、テレビ画面で表示するのを想定し、元の画像よりも小さめにメニュー画面を設計しておくことも気をつけるべき点でしょう。元の画像サイズのままで作業を進めると、画面では見切れてしまう可能性があります。
ツールの使用で「オーサリング」の作業負担は軽くなるものの、こまかい部分のミスは見落としてしまうかもしれません。DVDオーサリングでは、細部までチェックすることを忘れないようにしましょう。
動画制作のオーサリングにおける注意点
動画制作の「オーサリング」では、無料で使用できるソフトも多く出回っています。しかし、なかには企業のロゴが入ってしまい、消せないものもあるのです。特に、動画の冒頭や終わりにロゴが挿入されてしまうものが多く、せっかく作った動画も雰囲気が変わってしまうかもしれません。
同じ無料ソフトでも搭載機能がまったく異なる点も注意が必要です。そのため、オーサリングソフトを見分けて、もっとも自分に合うものを探す手間があるのが動画制作における注意点といえるでしょう。
「オーサリング」の例文集
では、最後に「オーサリング」を使った例文を紹介します。和文と英文にわけて、それぞれを見ていきましょう。
カタカナ語「オーサリング」の例文
まずはカタカナ語「オーサリング」の例文です。
- 旅行先の映像を行き先ごとにチャプターを分けてDVDにしたいので、「オーサリング」ソフトを買った。
- 新しくWebサイトを立ち上げる予定ですが、コードを書けないので「オーサリング」ツールを使うつもりです。
- ライティングと「オーサリング」の両方が自動でできたら便利なのにな。
英単語「オーサリング」の例文
次に、英文を見ていきましょう。
- How can I use this authoring tool?
この「オーサリング」ツールの使い方を教えてください。 - The new version keeps you authoring DVDs faster than ever before!
新バージョンでは、DVD「オーサリング」をこれまで以上に早くおこなえます。 - This disc cannot be played because the conversion format does not match the playback device. Authoring is required.
変換フォーマットが再生機器と一致しないため、このディスクを再生できません。「オーサリング」が必要です。
英単語の「authoring」は少しだけ違う意味を持っていると解説しました。しかし、例文にある通り、カタカナ語と同じ使い方をしてもかまいません。
まとめ
「オーサリング」をすると、新たなITコンテンツを生み出せます。また、「オーサリングツール」を使用すれば、その作業も簡略にでき、より高速で高品質な作品が制作できるでしょう。上手にツールを使い分けて、日常やビジネスライフを充実させていけるとよいですね。