「鶴の一声」の意味を知っていますか?社会人になれば「社長からの鶴の一声で…」という使い方をすることもあるでしょう。ここでは「鶴の一声」の意味や類語、対義語・英語・由来を解説します。しっかり覚えて他の社会人と差をつけましょう。
「鶴の一声」の読み方
「鶴の一声」は「つるのひとこえ」と読みます。「一声」には「いっせい」という読み方もあるため、「つるのいっせい」と読まないように気をつけましょう。
「鶴の一声」の意味とは?
「鶴の一声」は「かんたんに議論に決着をつけてしまうような権力者の一言」という意味です。権力があるひとが議論に入ることによってほかの人たちを説得したり、説き伏せたりするのではなく、一発で議論を終わりにしてしまう一言のことを「鶴の一声」といいます。
「鶴の一声」の由来・語源
「鶴の一声」の由来・語源を知っていますか?よく聞く言葉ですが、実は由来を知っているひとはほとんどいません。ここでは「鶴の一声」の由来・語源を紹介します。「鶴の一声」の由来を知っているだけで、会話相手に学があって頭のいい印象を与えられます。豆知識として覚えておきましょう。
「鶴の一声」の由来は「鶴の声」
「鶴の一声」の由来は「鶴の鳴き声」にあります。鶴の鳴き声はほかの鳥と比較しても甲高く、大きいのが特徴。以上のような特徴を持っている「鶴の鳴き声」を「権力者の一声」にたとえることによって「鶴の一声」という言葉ができたのです。「鶴」を含む言葉はほかにも「鶏群の一鶴」「焼け野の雉夜の鶴」「鶴は千年、亀は万年」などがあります。
ことわざ「鶴の一声」は略語?
実は「鶴の一声」はあることわざの一部であることを知っていましたか?「鶴の一声」を単体で使うことがほとんどですので、ことわざとして知っているひとは少ないでしょう。「鶴の一声」は「雀の千声鶴の一声」の一部なのです。「雀の千声」とは「取るに足りない大勢の声」という意味。よって、「雀の千声鶴の一声」は「取るに足りない大勢の声よりも、権力者の力のある一声のほうが重要だ」という意味なのです。
「鶴の一声」の類義語・言い換え
ここでは「鶴の一声」の類義語・言い換えを紹介します。「鶴の一声」はなかなか使わない言葉ですが、類義語・言い換えは日常生活によく登場するようなものです。「鶴の一声」の類義語・言い換えを覚えておくと、日常生活で使われているシーンに目がいくようになります。是非覚えておきましょう。
「鶴の一声」の類義語1「天の声」
「鶴の一声」の類義語1つ目は「天の声」です。「天の声」は「天が人に伝える言葉」「大きな声」という意味を持っています。その意味が転じて「影響力が強い人物の声」という意味も。よって、「鶴の一声」の類義語として使われています。
天の声によって長く続いていた議論が突然終わりを迎えた。
「鶴の一声」の類義語2「一存」
「鶴の一声」の類義語2つ目は「一存」です。「一存」は「いちぞん」と読み、「自分ひとりだけの考え」という意味。「物事を決定するための権力者の個人的考え」としても使われています。
私がこの会社を続けられるかどうかは社長の一存にかかっている。
「鶴の一声」の類義語3「胸三寸」
「鶴の一声」の類義語3つ目は「胸三寸」です。「胸三寸」は「むねさんずん」と読み、「心の中にある考え」という意味を表します。「一存」と同じように「物事を決定するための権力者の個人的考え」としても使われます。
不倫をした彼のこれからの運命は彼女の胸三寸にかかっている。
「鶴の一声」の類義語4「さじ加減」
「鶴の一声」の類義語4つ目は「さじ加減」です。「さじ加減」は漢字で「匙加減」と書き、「手加減」という意味です。「さじ加減にかかっている」と表現することで、「その人の手加減ですべてが決まる」という意味を表します。
クライアントのさじ加減によっては来月で契約を打ち切られるだろう。
「鶴の一声」の類義語5「百星の明は一月の光に如かず」
「鶴の一声」の類義語5つ目は「百星の明は一月の光に如かず」です。「百星の明は一月の光に如かず」は「ひゃくせいのめいはいちげつのひかりにしかず」と読み、「取るに足りない大勢では、光り輝く1人にかなわない」という意味になります。まさに「鶴の一声」の類義語です。
あの光景はまさに「百星の明は一月の光に如かず」といったところだな。
「鶴の一声」の対義語・反対語
「鶴の一声」の対義語・反対語は「雀の千声」です。「雀の千声」は、ことわざである「雀の千声鶴の一声」においてまさに「鶴の一声」と対峙している関係にある言葉。「取るに足りない大勢のいけん」という意味です。類義語である「百星の明は一月の光に如かず」の一部を借りるなら、「百星の明」も対義語・反対語といえます。
「鶴の一声」の英語表現
「鶴の一声」の英語表現を知っていますか?「鶴の一声」は日本語の表現ですので、英語で同じ意味を表現できるひとは少ないでしょう。ここでは「鶴の一声」の英語表現を2つ紹介します。「鶴の一声」の英語での言い方を覚えることによって、表現に幅がでて、英会話に自信が持てるようになります。しっかりと頭に入れておきましょう。
「鶴の一声」の英語表現1「a word from the top」
「鶴の一声」の英語表現1つ目は「a word from the top」です。「a word from the top」は類義語として挙げた「天の声」に近いニュアンス。「top」の部分を人名や役職名に変えることによって「〇〇さんからの言葉」「社長の言葉」を意味するようになります。
- A word from the top settled the course of action.(鶴の一声によって今後の方針が決まった。)
- A word from Mr. Tanaka decided to terminate the contract.(田中さんの鶴の一声で契約解除が決まった。)
- A word from the president changed everyone’s mind.(社長の鶴の一声が全員の心を変えた。)
「鶴の一声」の英語表現2「his word is law」
「鶴の一声」の英語表現2つ目は「his word is law」です。「his word is law」は直訳すると「彼の言葉は法である」となります。つまり、「逆らえない」「鶴の一声だ」という意味になるのです。
His word is law and no one can disobey it.(彼の言葉は法なので、誰も逆らえない。)
「鶴の一声」の使い方と例文集
「鶴の一声」を正しく使えますか?「鶴の一声」の意味を知っていても使い方を知らなくてはまったく意味がありません。ここでは「鶴の一声」の使い方、注意点、例文を紹介します。間違いなく正しく「鶴の一声」を使う方法を知って、実生活でも「鶴の一声」を使えるようになりましょう。
「鶴の一声」の使い方
「鶴の一声」は「影響力のある個人の一言によって決断が下ったとき」に使います。「一言」ではなく、「説得」によって議論に決着をつけた場合には使えないことに注意しましょう。
「鶴の一声」を使用するときの注意点
「鶴の一声」を使うときには「いいことにも悪いことにも使える」ことに注意しましょう。「鶴の一声」というと悪いもののように感じるひとが多いですがそれは間違い。下った決断がいいものであったとしても「鶴の一声」は使えますので、積極的に使っていきましょう。
「鶴の一声」の例文
「鶴の一声」を使った例文は以下の通りです。
- 社長の鶴の一声で会社の今度の方針が決まった。
- 先生の鶴の一声で教室が一気に静まりかえった。
- 母の鶴の一声で喧嘩をしていた兄弟はすぐに仲直りをした。
- コーチの鶴の一声でだらけていた雰囲気が引き締まった。
- 部長の鶴の一声によってオフィスに冷たい空気が流れた。
まとめ
「鶴の一声」は、ことわざ「雀の千声鶴の一声」を語源とした、「影響力のある人の意見」を意味する言葉です。使う場面は限られますが、よく耳にする表現です。また類義語・言い換え表現を覚えておくことによって状況や相手に合わせて「影響力のある人の意見」という表現ができます。ビジネスマンは「鶴の一声」を感じる瞬間がしばしばありますので、頭に入れておきましょう。