過渡期の意味とは?黎明期との違いや類語・対義語、英語も例文解説

「過渡期」の意味とは?「黎明期」との違いや類語・対義語、英語も例文解説
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「過渡期」とは、これから新しい状態に変化しようとする時期のことです。「過渡期を迎える」で変化するタイミングになった、「過渡期にある」とは成長や変化の途中であることをいいます。類義語・対義語とともに、使い方を知っておきましょう。

目次

「過渡期」の意味とは?

「過渡期」の意味とは?

「過渡期」とは、社会生活や歴史、人生や企業において新しい状態に変化しようとする時期のことをいいます。また、これまでとは違う方向性に切り替える時期のことも「過渡期」と表現します。「すぎる」を意味する「過」とわたるを意味する「渡」が合わさった言葉で、「過ぎて渡る時期」で「新しい状態に移り変わる」の意味を持ちます。

社会生活での「過渡期」

社会生活での「過渡期」とは、新しい技術などへの移行期のことをいいます。「ガソリン自動車から電気自動車への過渡期」や、「レコードからCDへの過渡期は1980年代後半だった」などと表現します。

歴史での「過渡期」

歴史においては時代の変わり目、劇的に変化する時期を「過渡期」と表現します。大政奉還後の江戸から明治時代、急激な経済成長を遂げた高度成長期などは「時代の過渡期」と呼ばれることがあります。

人生や企業での「過渡期」

人生においての「過渡期」とは、誕生から入学、就職と結婚、退職など環境が大きく変わるタイミングをいいます。また、人生や企業では変化の最中や、新しく変化するかが曖昧な場合に「過渡期」を使うことも。「過渡期の真っただ中です」とは、今まさに変化している状況であることを意味します。

参照:Weblio辞書「過渡期」

「過渡期」の読み方

「過渡期」の読み方

「過渡期」の読みは「かとき」です。「かどき」と濁るのは誤りですから覚えておきましょう。

「過渡期」の類義語・言い換え

「過渡期」の類義語・言い換え

「過渡期」の類義語や言い換え表現には変化している時期や、入れ替わりの時期をいう言葉があります。細かいニュアンスの違いを知って、使い分けられるようにしましょう。

1.転換期

「転換期」とはものごとの方向性や方針を変える、変遷する時期をいいます。「過渡期」は先のおおよその見通しが立っているのに対し、「転換期」は見通しが立っていないときに多く使われます。
・近代日本は、明治維新のときに大転換期を迎えた。
・市場が開拓され、拡大する転換期に向け、低価格化を実現させるための製造方法を提案する。

2.変革期

「変革期」とは新しいものに変わる、社会や企業ではものごとの制度やしくみが大きく変化する時期のことをいいます。「変わる」と「改まる」を組み合わせ、レベルアップやネクストステージと同じ意味合い、「過渡期」よりも大きく変化するニュアンスを持っています。
・今回の経済、金融危機で世界の経済構造は大きな変革期を迎えた。
・慢性的な人材不足が続く中、企業の在り方の変革期を迎えようとしている。

3.変容期

「変容期」とは、ものごとが変化する時期のことをいいます。「変容」とは一部だけでなく全体がすっかり変わる、変えることを意味します。
・和人の北海道進出により、アイヌ社会が変容していく時代のことを前近代変容期という。
・インターネットの普及とともにネットことばが広まり、現代は「ことばの変容期」となっている。

4.変化期

「変化期」とは社会やものごとが移り変わるときの、ある幅を持った期間のことをいいます。「過渡期」や「変革期」に比べると、使われるシーンは少ないようです。
・新しい事業を始めるときは、時代の変化期を逃さないことが大切だ。
・技術革新により、ソフトウェア業界は変化期に突入している。

5.端境期

「端境期(はざかいき)」とは、ものやものごとの入れ替わりの時期をいいます。本来は古米(前の年にとれた米)と入れ替わりに新米(当年とれた米)が市場に出る9〜10月ごろのことを指している言葉です。
・今はリンゴの端境期なので、市場に出回っておらず値段が高くなっている。
・最近は寒さと暖かさとの端境期で、過ごしやすい日々が続いている。

「過渡期」の対義語・反対語

「過渡期」の対義語・反対語

変化している時期をいう「過渡期」の対義語や反対語には、安定している時期や変化前または変化後の時期を指す言葉があります。ビジネスだけでなくさまざまな分野で使われていますので、合わせてチェックしておきましょう。

1.安定期

「安定期」とは、ものごとが落ち着いている時期のことです。ものごとが移り変わっている「過渡期」とは反対の意味を持ちます。
・企業の安定期とは持続的なキャッシュフローがあり、事業が安定している時期である。
・日本では、9世紀後半から10世紀初めにかけては国内外に大きな脅威がなく、国政は安定期に入っていた。

2.衰退期

「衰退期」とは、ライフステージの末期段階を指す言葉です。マーケティングにおける製品ライフサイクルでは、「導入期」に始まり「成長期」と「成熟期」を経て、「衰退期」に至ります。「衰退期」になると製品の売上は減少し、利益も低下。新規投資が要らなくなるので一部のリーダー企業はキャッシュを生み続けられますが、多くの企業は新しい価値を創造するイノベーションを行うか、市場から撤退するかの二択になります。
・製品ライフサイクルの衰退期には、どうやって市場から製品を撤退させるかがポイントになる。
・消費者は、衰退期の製品に対しては非常に保守的といえる。

3.黎明期・萌芽期・草創期・揺籃期

「黎明期」と「萌芽期」、「草創期」、「揺籃期」はどれもものごとの始まりの時期のことをいいます。「黎明期(れいめいき)」とは新しいものごとや文化、時代が始まろうとする時期で、「萌芽期(ほうがき)」は植物が芽を出す様子から、ものごとの始まりの時期をいいます。「草創期(そうそうき)」はものごとの始まりの時期や初期のことで、「揺籃期(ようらんき)」とは、これからものごとが発展するときの初期段階をいいます。

4.全盛期・絶頂期・最盛期

「全盛期」と「絶頂期」、「最盛期」はものごとがもっとも盛り上がっている時期のことをいいます。「全盛期(ぜんせいき)」は人の実力や人気にもっとも勢いがある時期のことで、「絶頂期(ぜっちょうき)」はものごとが最高の状態になっている時期のことです。「最盛期(さいせいき)」とはものごとの勢いがもっともある、最高の状態になっている時期のことで、「過渡期」のような変化する時期を終えている状態です。

「過渡期」と「黎明期」の違い

「過渡期」と「黎明期」の違い

「過渡期」とは古い状態から新しく変わる、次の状態に移り変わることをいいます。「黎明期」はものごとが形になる前、新しいものごとが始まる前の時期を指すことが「過渡期」とは異なります。

「過渡期」の英語表現

「過渡期」の英語表現

「過渡期」の英訳は「transition」や「a period of transition」、「a transition period」です。「transition」は「変化」や「移行、移り変わり」を意味しています。「過渡期に」は「in transition」と表現します。
・We are now in a period of transition, the old giving way to the new.(今私たちは新旧交代の過渡期にある。)
・Traditional transition is being replaced by lengthy transitions.(この過渡期は以前よりも長期にわたっている。)

「過渡期」の使い方と例文集

「過渡期」の使い方と例文集

「過渡期」は、ビジネスシーンにおいて報告書や企画書などで使われています。「過渡期を迎える」や「過渡期にある」など、よく使われる表現を例文とともに知っておきましょう。

「過渡期」の使い方

「過渡期を迎える」とは、変化の時期がきたことをいいます。「迎える」には「来るものを受け入れる」のほかに「あらかじめ準備して待ち受ける」の意味もあります。「過渡期にある」や「過渡期である」もよく耳にする表現です。「当社はまだ過渡期にあります」とは「当社はまだ成長し続けている、発展途上である」ことを意味します。「過渡期の真っただ中」は、変化している最中であることを強調するときに使われます。「ガソリン自動車から電気自動車への過渡期の真っただ中」とは、今はガソリンから電気自動車に完全に切り替わってはいないことを意味しています。

「過渡期」の例文

「過渡期」を使った例文を紹介します。

例文
  • 企業にとって過渡期を迎えることは悪いことではないし、さらに発展する可能性も秘めている。
  • AIの進歩により自動運転技術が搭載され始めていますが、まだまだ過渡期にあるといえます。
  • 時代の過渡期で混迷した社会の中では、争いが起こることがある。

まとめ

「過渡期」とは、新しい状態に変化しようとする時期のことです。「黎明期」と混同しがちですが、こちらは新しいものごとが始まる前の時期をいうので、意味が違っていることに注意しましょう。「転換期」や「変革期」など多くの類義語があるので、それぞれの意味を知って理解を深めるとよいでしょう。

「過渡期」の意味とは?「黎明期」との違いや類語・対義語、英語も例文解説

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