「面映ゆい」はどんな場面で使われる?意味と語源を解説

面映ゆい
目次

「面映ゆい」の意味とは

「面映ゆい」の意味とは

「面映ゆい」は、恥ずかしく照れくさい様子を表す言葉です。嬉しいことや楽しいことなどがあり、思わず顔がほころんでしまうようなシーンや、顔を合わせるのが気まずく感じられるシーンで使われます。古くから使われており、ややかしこまった印象の言葉なので、ビジネスシーンやフォーマルな場面でも使えます。

「面映ゆい」の語源

「面映ゆい」の語源

「映える」という言葉は、「写真映え」や「SNS映え」などと身近に使われていますが、「面映ゆい」の「映ゆし」は古語で、現代とは少し異なる意味で使われていました。語源を理解すれば、より正しく「面映ゆい」を使えるようになります。

「面映ゆい」の成り立ち

古語「映ゆし」は、恥ずかしい、照れくさいといった意味で使われていました。これに顔を表す「面」が合わさり、顔を合わせることが恥ずかしく、決まりが悪い様子を示す「面映ゆい」が成り立ちます。現代では「映える」に恥ずかしいといった意味はありませんが、「面映ゆい」では古くからの意味が残っているのです。

「面映ゆい」が使われている文献

「腹巻きを着て向かはん事、おもはゆう恥づかしうや思はれけん」平家物語 – 巻第二・教訓状

これは、内大臣の平重盛が烏帽子・直衣と呼ばれる貴族の服を着ているのに、「腹巻を着て対面するのは、面映ゆくて恥ずかしく思った」シーンです。古語「映ゆし」には、まばゆいという意味もあります。そのため、「面映ゆい」には「顔を合わせることがまばゆいように思う」という意味もあるのです。まさに相手の高貴な姿がまばゆく、顔を合わせることが恥ずかしいと思ったシーンといえます。

平家物語は鎌倉時代に書かれたとされています。「面映ゆし」という表現も、古くから同じように使われてきた日本語であるとわかりますね。

「面映ゆい」の類義語

「面映ゆい」の類義語

「面映ゆい」の類義語はいくつかありますが、いずれも「面映ゆい」とは少しニュアンスが異なります。類義語を正しく理解すれば、「面映ゆい」をより正確に理解できるようになります。

「こそばゆい」

「こそばゆい」は、褒められて恥ずかしい様子を表す言葉です。この点は「面映ゆい」と同じですが、「こそばゆい」はくすぐったいといった意味があるように、「笑い」を連想させる言葉です。「こそばゆい」の恥ずかしさには「笑い」、つまり嬉しい感情が必ず含まれています。「面映ゆい」は、「面」を合わせるのが恥ずかしい意が原義で、必ずしも「笑い」は含まれません。

「照れくさい」

「照れくさい」は、恥ずかしくて顔が赤くほてる意味の「照れ」に、嫌になる程~だといった意味の接尾語「くさい」が合わさった言葉です。「くさい」は「臭い」と書くように、本来は「嫌」という感情が含まれます。「面倒くさい」であれば、面倒で「嫌」ですし、「辛気くさい」であれば、じれったくて「嫌」な意味で使います。つまり、「照れくさい」は、照れてしまうから「嫌」という気持ちを表します。

例えば、上司が部下達に「嫌」になる程に持ち上げられて、「照れくさいからやめろ」と発言したとします。これを、「面映ゆいからやめろ」とすると違和感があります。恥ずかしくて「嫌」というニュアンスは、「面映ゆい」にはありません。

「恥ずかしい」

「恥ずかしい」は、他人と比べて自分が劣っていることや、自分の至らなさに対して、決まりの悪さを表す言葉です。「面映ゆい」には、そのような意味合いはないため、嬉しいときや、楽しいときに使われることが多いといえます。

「恥ずかしい」は、単に何となく照れくさいときにも使われますが、その場合も上記した「照れくさい」と同義で、「面映ゆい」とはニュアンスが少し異なります。

「面映ゆい」を英語でいうと?

「面映ゆい」を英語でいうと?

「面映ゆい」を表せる英語はあるでしょうか?日本で古来使われている「面映ゆい」は、「面」と「映ゆし」、2つの言葉が合わさった言葉です。そのため、正確な意味を考えると複雑で、1語で全くの同義になる英単語はありません。「面映ゆい」を表現するための、意味合いの近い英単語2つを紹介します。

「embarrassed」

「embarrassed」は、気まずい思いで恥ずかしがっている様子を表す形容詞です。

I was embarrassed to be praised in front of everyone.
(皆の前で褒められて、面映ゆい気持ちだった。)

上記のように、嬉しくて恥ずかしいシーンでも使います。ただし「embarrassed」には、金銭的に困っているという意味もあります。周りに迷惑をかけて恥ずかしいといった場面でも使う点では、「面映ゆい」とは異なります。

「self-conscious」

「self-conscious」は、人前を気にしてはにかむ様子を表す形容詞です。

How can I stop getting self-conscious around boys?
(男の子に囲まれても、恥ずかしがらないでいるにはどうすればいいの?)

自分自身を意味する「self」に、意識を意味する「conscious」が合わさった言葉です。人目を気にしている点で、「面映ゆい」に近いニュアンスで使えます。ただし、自意識過剰と訳される場合も多く、気にしすぎているといった意味が強い点は「面映ゆい」と異なります。

「面映ゆい」の使い方

「面映ゆい」の使い方

「面映ゆい」は具体的にどのようなシーンで使えるでしょうか。日常の会話ではあまり使わない言葉だからこそ、意味や注意点をよく理解して、正しく使えるようにしましょう。

「面映ゆい」の使い方

多少ニュアンスの違いはありますが、「照れくさい」シーンや、「恥ずかしい」シーンで「面映ゆい」は使われます。日常的に使われる「照れくさい」・「恥ずかしい」に対して、「面映ゆい」はやや堅苦しく、かしこまった印象があり、ビジネスシーンやフォーマルな場面に適した言葉です。

「面映ゆい」を使用するときの注意点

「面映ゆい」は、相手に失礼や迷惑をかけて恥ずかしい場合には使いません。また、古語「映ゆし」自体に、恥ずかしいといった意味がありますが、現代の「映える」にそのような意味はないので注意しましょう。

「面映ゆい」の例文

「面映ゆい」は実際にどのように使えばよいか、具体的な例文で確認しましょう。ビジネスシーンで意識的に使えるようになれば、日本語力アップにつながります。

「みんなの前で上司から褒められて、面映ゆい気持ちでした」

「みんなの前で上司から褒められて、面映ゆい気持ちでした」は、上司から称賛によって、周りの目が自分に集中する状況に恥ずかしさを覚えているシーンです。「照れくさい」などと言い換えても間違いではありませんが、「面映ゆい」を使うことで、より丁寧な印象の表現になります。

「私ごときが意見を申し上げるのは、なんとも面映ゆい気がしております」

「私ごときが意見を申し上げるのは、なんとも面映ゆい気がしております」は、目上の人や敬うべき相手に対して意見を述べるシーンで、自分自身をへりくだって恥ずかしさを表現しています。「面映ゆい」自体は敬語ではありませんが、かしこまった印象の強い言葉であることから、敬語が含まれる文脈で使うと、よりフォーマルな印象を与えられます。

例文の場合、「面映ゆい」気持ちになる理由は「意見を申し上げる」ためですが、「申し上げる」は自分自身をへりくだって表現した謙譲語です。もちろん「恥ずかしい」・「照れくさい」も使えますが、「面映ゆい」とすることで、ビジネスシーンにより適した表現になります。

「愛妻弁当を会社で食べるのは、面映ゆくて周りを気にしてしまう」

「愛妻弁当を会社で食べるのは、面映ゆくて周りを気にしてしまう」は、周りの注目を集めてしまうかもしれない「愛妻弁当」を、社内で食べるのが恥ずかしいと感じている場面です。ビジネスシーンとはいえ、昼食に関する少し砕けた会話の一コマですが、「面映ゆい」を使うと発言全体が丁寧な印象になります。先輩や上司とのやり取りで使うとよいでしょう。

まとめ

「面映ゆい」は日常会話ではあまり使わない言葉だからこそ、意味を正確に知っておきたい言葉です。敬語ではないものの、日本で古来使われてきた言葉なので、会話やメールの中に「面映ゆい」が使われるだけで、丁寧な印象を与えられます。類義語との違いを理解して、正しく「面映ゆい」を使いこなしましょう。

面映ゆい

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