「沈黙は金、雄弁は銀」の意味と使い方|語源・類語・英語を例文解説

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    「沈黙は金」という、有名な格言を紹介します。きっと一度は耳にしたことがあるはずのこの言葉。実は本来、「沈黙は金、雄弁は銀」という対比表現のものでした。言葉の成り立ちや意味の解説をしつつ、含蓄のあるこの格言の奥行きに迫ります。

    目次

    「沈黙は金、雄弁は銀」の意味とは?

    「沈黙は金、雄弁は銀」の意味とは?

    「沈黙は金」という格言には、大まかに2つの意味があります。この言葉の本来のかたちは、先ほども紹介したように、「沈黙は金、雄弁は銀」という対句表現のもの。この真のかたちを知らないと、一見して「ただ黙っていればそれでいいんだろう」というような誤解を招き、正確な意味にまでたどりつけません。

    ちなみに、このことわざは西洋由来のものであり、その原文を紹介すると、「Speech is silver, silence is golden」となります。直訳し「雄弁は銀、沈黙は金」と表記しても、もちろん間違いではありません。

    沈黙は、雄弁よりも時には雄弁である

    まず、「沈黙は金」の重要な第一の意味としては、ある状況において人があえて沈黙することは、雄弁に自身の考えを披露し弁解するよりも、もっと雄弁にその思いを伝えてくれるものだということです。

    誰でも一度はきっと、似たような経験を思い起こせるのではないでしょうか。ビジネスシーンにおいても日常生活においても、このような状況はひんぱんに起こるもので、格言の深い含蓄を現しています。

    思慮ある行動のための指針

    第一の意味から引き出せる、「沈黙は金」の第二の意味としては、ときには言いたいこともぐっとこらえ、沈黙しておくのが最上の分別であるということです。

    分別というのは、理性で物事の良し悪しを判別し、わきまえるということ。社会生活を送る者にとっては必要不可欠の能力であり、この第二の意味は、そういった適切な行動をするための、重要な指針になってくれるといえます。

    「沈黙は金、雄弁は銀」の由来と語源

    「沈黙は金、雄弁は銀」の由来と語源

    「沈黙は金」の意味を知ったところで、その由来と語源を確認し、さらに一歩理解を深めていきましょう。

    さきほど、この格言は西洋からきたものだと紹介しました。しかし似たような意味の言葉は実は東洋にもありますし、時代をさかのぼってもいくつも存在します。まずはこの格言のいわれ、そして同じ西洋のものの中からひとつ、紹介しましょう。

    「沈黙は金、雄弁は銀」は西洋由来のことわざ

    もともとこの言葉は、十九世紀イギリスの思想家・歴史家のトマス・カーライル(1795〜1881)の著書「衣装哲学」の中にある文章からきています。その本文を引いてみます。

    「言語も偉大である。しかしもっとも偉大ではない。スイスの碑文にあるように、『言語は銀、沈黙は金』である」参考:岩波文庫 カーライル著 「衣服哲学」

    この翻訳では、「雄弁」が「言語」となっていますが(タイトルの「衣装」も「衣服」となっています)、同じ意味ととらえてよいでしょう。この引用文を読んでわかるように、実は当のカーライルが「沈黙は金」という格言を考え出したわけではなく、当時スイスにあった碑文の文言を、自身の著書の中で紹介していたようです。

    時代をさらにさかのぼった、似た格言

    オリジンの由来を確認しましたので、さらにそこから歴史をさかのぼってみましょう。十九世紀よりもはるか以前、紀元前一世紀ごろのローマで、プブリリウス・シュルス、という作家がこういう言葉を残しています。

    「愚か者が沈黙する?そうしたら賢者だと思われるだろう」参考:岩波文庫 柳沼重剛編 「ギリシア・ローマ名言集」

    沈黙することは賢者の証、ということで、「沈黙は金」と同じ意味です。さらにそれから少し時代を下った、ギリシャの哲学者プルタルコスの著作にも同様の意味の言葉が残っており、いかに「沈黙は金」という格言が重みと価値をもっているかがうかがえるのではないでしょうか。

    「沈黙は金、雄弁は銀」の類義語・言い換え

    「沈黙は金、雄弁は銀」の類義語・言い換え

    「沈黙は金」という言葉の意味が、脈々と人類の歴史の中で受け継がれてきたことがわかりました。さて、受け継がれてきたということは、例えば連想ゲームのことを想像してみればわかるように、時代や土地によってその言葉のかたちが、きっとさまざまに変化するだろうということは、なんとなく予想がつきます。

    まさにそのとおりで、「沈黙は金」という格言はさまざまに言い回しを変え、繰り返し表現されてきました。そこでいくつか「沈黙は金」の類義語を紹介していくことにしましょう。

    代表的なものは「言わぬが花」

    耳なじみがよく、誰でも一度は聞いたことがあるのは、「言わぬが花」ではないでしょうか。由来は江戸時代の浄瑠璃の文句で、「三々くどうは言わぬが花嫁、一つ飲んで久松へ」だとされています。その意味は、あえて口に出さない方が良い結果を生むことがあるというもの。「この話の結末は言わぬが花だ」などと使います。ちなみにその対義語として、言うよりも言わない方がかえって不利になる場合に「言わぬは損」という表現もあります。

    他の似た意味のことわざ

    「言わぬが花」、以外の「沈黙は金」に似た意味をもつ格言は無数にあります。

    • 言わぬは言うにまさる
    • 言葉多きは品少なし
    • 口は災いのもと
    • 口から高野へ行く(うっかり使った言葉のせいで、出家して高野山に行かねばならなくなった、という意味)
    • 雉も鳴かずば打たれまい

    そのどれもが、感情的な言葉を発する前に、一歩踏みとどまってよく自制することを教えています。

    「沈黙は金、雄弁は銀」の本来とは逆の意味の説

    ところで、「沈黙は金、雄弁は銀」が、実はその意味と逆のことを現している、という説もあるのをごぞんじでしょうか。この言葉ができた当時、金銀の価値が今とは逆で銀の方が高かったため、実は沈黙しているよりも雄弁に発言した方がいいのだという、本来とは正反対の意味を現しているのだという説です。先にあげた「言わぬが損」と同様のものになりますが、しかしこれには諸説あり、どちらが正解とははっきりと断定はできません。

    「沈黙は金、雄弁は銀」と「知らぬが仏」の違い

    「沈黙は金、雄弁は銀」と「知らぬが仏」の違い

    「沈黙は金」と一見似た言葉で、「知らぬが仏」というものがあります。その意味するところは似て非なるものですが、2つを対比して考えてみると「沈黙は金」の意味がより理解できます。解説しておきましょう。

    積極的か、そうでないか

    まず、「知らぬが仏」の意味は、「もしそれを知ったら、さまざまに腹が立ったり心が騒いだりもしようが、知らないでおけば仏のように心安らかにいられるだろう」というものです。

    ここで少し、「沈黙は金」の意味をもう一度おさらいしてみましょう。「沈黙は金」の場合、その意味するところは、社会生活を円滑に送るための指針でもありました。つまり、その最初の姿勢から、「知らぬが仏」よりも積極性があるといえます。

    「知らぬが仏」の用法

    例として、ビジネスシーンでの会話で「知らぬが仏」の用法を考えてみましょう。

    • 「知らぬが仏」というから、上司にはこの事実は報告しない方がいい
    • A社は「知らぬが仏」でのんきに構えているが、競合会社のB社は資金繰りで苦労しているらしい

    このように、「沈黙は金」のもつ意味とは、大きくその伝えるニュアンスが違っていることがわかりますね。

    「沈黙は金、雄弁は銀」の使い方と例文

    「沈黙は金、雄弁は銀」の使い方と例文

    それでは、「沈黙は金」の具体的な使用法を見ていきます。「沈黙は金」という格言が効果を発揮する場面は、ビジネスシーンにおいてだけでなく、家族や友人との会話、恋人とのやりとり、ひいては昨今盛んになっているSNSにおけるまで、それこそ無数にあります。人間が言葉によるコミュニケーションを行う生き物である以上、当然ともいえるでしょう。

    「沈黙は金、雄弁は銀」が適切であるときとは?

    人間は、感情を有する生き物であり、それに時にはとらわれてしまうことも仕方のないことです。しかし、そんな風に気持ちの高まりに任せ、言いたいことを言ってしまっている当の本人は、その行動の良し悪しにまったく気がついていない場合がままあります。

    そんなとき、周囲からのアドバイスや助言として「沈黙は金」は用いられます。さらには、この言葉が先ほど紹介した「分別」であるとすれば、その理性を大いに発揮して、瞬間の感情の発露をぐっとこらえる場合にも、大変役に立ちます。

    いくつかの例文

    周囲からのアドバイスや助言、そして分別の表現としては以下のようになるでしょう。

    • 「沈黙は金」というから、あまり口が過ぎるのは良くないよ
    • 思いのたけを述べるだけが能じゃない。「沈黙は金」だ
    • 「沈黙は金」。反論したいのはやまやまだが、ひとまずこらえておこう
    • 不要な波風を立てるより、「沈黙は金」と考え自分を省みよう

    「沈黙は金」というタイトルの映画もある

    「沈黙は金」の具体例の番外編としまして、読んで字のごとく「沈黙は金」というタイトルの映画を紹介しておきましょう。監督・脚本はルネ・クレール。1946年のフランス映画です。一人の活動写真館の主人の男が活躍する恋愛コメディもので、ラストシーンの深い余韻とともに、「沈黙は金」というテーマがじわじわと観る側に伝わってくる、そんな仕上がりになっています。

    言葉のみではなく、生身の役者さんの演技から、楽しく「沈黙は金」という格言の含蓄を味わってみてはいかがでしょうか。

    まとめ

    類語の多さからも、「沈黙は金」という格言の言葉の意味するところがいかに深いものがあるかおわかりになったことでしょう。ビジネスシーンにおいても、お互い円滑に気持ちよくコミュニケーションするために、ぜひ積極的にこの言葉の意味するところを取り入れていきたいものです。

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