校正の意味とは?校閲・校了との違い、やり方・記号・資格も紹介

「校正」の意味とは?「校閲・校了」との違い、やり方・記号・資格も紹介
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「校正」の言葉を知っていますか?校正は、本や雑誌などを出版する前に必要な工程です。今回は「校正」の意味や「校閲」などの関連用語を説明しながら、「校正」の必要性をお話しします。また、校正の仕事に就く方法や、資格などについても紹介していきます。

目次

「校正」の意味とは?

「校正」の意味とは?

「校正」は書籍や雑誌などの出版前に行う工程のひとつで、原稿と印刷前のデータを見比べて誤りを修正する作業のことです。具体的には、原稿と印刷前のデータを照合しながら、誤字脱字や誤植、表記が統一されているか、間違った表現などがないかを確認し、体裁が整うように修正します。
たとえば「風をひいて体調が悪るい」を「風邪をひいて体調が悪い」のように修正し、読みやすい文章に整えていく工程を「校正」と呼びます。

参照:Weblio辞書「校正」

「校正」と「構成」の違い

同じ発音の「校正」と「構成」、文章を扱う職業や出版業界ではどちらも使われる言葉ですが、意味は大きく異なるので注意が必要です。

「校正」が原稿と見比べて文章の間違いを修正する作業を表すのに対し、「構成」は複数ある要素を組み立てること、または組み立てたものを表します。たとえば文章を書くときに、大まかな流れや話の順番を決めることを「構成」を作ると言い、その「構成」に沿って書いた文章の体裁を整え、誤字脱字や表現のミスがないように修正することを「校正」と呼びます。意味の違いを把握し、間違った使い方をしないよう気を付けましょう。

「校正」に使う記号や言葉

「校正」に使う記号や言葉

のです。出版物も工業製品の一種となるため、校正は日本工業規格(JIS)で定められた校正記号や言葉を使って行うことが決められています。校正者が間違いを指摘しても、誤った意味で伝わってしまえば正しく修正することはできません。そのため、校正者が記入しやすく、校正を受け取った側が間違わないように、校正記号や言葉を用いて校正を行うのです。

校正では、文字サイズのことを「級数」もしくは「ポイント」と呼び、校正指示を出す際に書きやすいよう、「級」はアルファベットの「Q」、「ポイント」は「ポ」を用いて表します。そのほかにも、文字の上に線を引いたり、〇で囲んだり、さまざまな決まりに沿って修正点を表現します。下記は校正で使う言葉の一例です。

  • 「トル」文字を削除する。
  • 「トルツメ」削除した部分を詰める。
  • 「トルアキ」削除し、削除部分と同じサイズをあけたままにする。
  • 「イキ」修正を取りやめ、元の状態のままにする。
  • 「アキ(二分アキ、全角アキ)」二分の一(半角)、もしくは全角分の間隔をあける。

「校正」の必要性

「校正」の必要性

「校正」は、出版業界のみならず、文章を発信する側にとって必要な業務です。誤字があったり言葉の表記が統一されていなかったりする文章を読むのは、読者にも負担がかかります。また、内容が素晴らしくても、間違った表現などがあると文章の信頼性は失われてしまいますし、場合によっては、不適切な表現が発信者の信頼を低下させてしまうこともあるでしょう。出版物であれば修正に費用が掛かりますし、間違った情報による金銭的な損害が発生する可能性もあります。そのような事態が起こらないよう、出版前・文章を発信する前に、校正を行う必要があるのです。

「校正」の関連語「校閲」「色校」「校了」の違い

「校正」の関連語「校閲」「色校」「校了」の違い

「校正」と似た言葉に「校閲」や「色校」、「校了」があります。なかでも特に「校正」と混同しやすい「校閲」ですが、行う内容が違うため注意が必要です。また、その他の関連用語についても違いを説明していきますので、間違えないよう覚えておきましょう。

「校閲」とは?

「校正」が、原稿と印刷前のデータを見比べて文章表現や漢字の誤りなどを見つけ、修正するのに対し、「校閲」は文章の情報自体の正しさを確認することを表します。「校閲」は、文章の中に記載されている固有名詞や住所、数字、時系列などの情報が正確であるか、全体に矛盾がないかなど、文章を読み込みながらひとつずつチェックする工程です。

「日本の人工は1億人です」の文章を例に挙げて説明すると、「人工」を「人口」に修正するのが「校正」、「1億人」の数字があっているのか確認し、修正するのが「校閲」です。

「色校」とは?

「色校」は「色校正」とも言い、実際に印刷をする前に、文字や画像の色味がおかしくないか、希望どおりの色になっているかを確認する作業です。照明の明るさや機種によって、モニターで見ている色と印刷された色に差が出る場合がありますし、紙質によっても印象が変わってしまいます。そのため、実際に使用する紙に近い品質のものを用いて印刷物全体の色味を確認することが大切です。

「校了」とは?

校正や校閲、色校など、修正作業がすべて完了し、印刷しても問題のない状態になったことを「校了」と言います。「校了」は校正終了の意味です。そのため、基本的に校了後の修正はできません。

「校正」のその他関連用語

先述した用語のほかに、校正に関連する用語をいくつか説明いたします。印刷所とやり取りするときにスムーズに話ができるよう、知っておくとよいでしょう。

  • 「責了」責任校了の意味。軽微な修正などで再度校正する必要がなく、印刷所の責任で校了する場合に使用します。
  • 「初稿」最初に渡される著者の原稿。
  • 「初校」一回目の校正のこと。(「再校(二校)」は二回目の校正、「三校」は三回目の校正をいい、必要に応じた回数を行う。)
  • 「朱字(朱書き・赤字)」校正刷り(ゲラともいう)に赤ペンで書き込む修正指示のこと。

「校正」のやり方と大まかな流れ

「校正」のやり方と大まかな流れ

「校正」のやり方と大まかな流れは下記のとおりです。

「初校」
原稿と校正刷りを読み比べ、校正刷りの修正箇所に朱字を入れます。誤字脱字や誤植、表記の統一、間違った表現がないかなども合わせてチェックします。

「初校戻し」
朱字入れした校正刷りを印刷所に戻します。

印刷所が朱字のとおりデータを修正し、再校の校正刷りを校正者に渡します。

「再校」
再校の校正刷りと初校の控えを見比べ、初校で入れた朱字が指示通りに修正されているか確認します。修正漏れや見落としで再度修正がある場合は、再校の校正刷りに朱字を入れます。

「再校戻し」
朱字入れした校正刷りを印刷所に戻します。

三校、四校と、これを必要に応じて繰り返します。

「色校」
画像や文字色の色味補正のため、実際の品質に近い紙に印刷して色の確認を行います。特に商品カタログなどの場合は実物の色と印刷物の色に差が出ないよう注意が必要です。

「色校戻し」

「校了」
修正がなく、印刷に進んで問題ない状態になったら校了します。

「校正」の仕事に就くには

「校正」の仕事に就くには

「校正」の仕事に就くにはどうしたらよいでしょうか?「校正」の仕事に向いている人の特徴や、どんな会社で校正者を募集しているのかを見ていきましょう。また「校正」の資格や検定についてもお伝えします。

「校正」に向いている人

「校正」は、文章を読むのではなく、一文字ずつチェックしていく仕事です。1分足らずで読める文章を、その何倍もの時間をかけて確認することも珍しくありません。集中力を保ったまま膨大な量の文章から修正箇所を見つける根気強さと、言葉や文法の知識、文脈の整合性を確認する力が求められます。また、わからない部分をそのままにせず、正確な情報を収集する探求力も必要な能力のひとつでしょう。

「校正」の仕事をするには、本や雑誌などを制作している出版社や新聞社、印刷会社などで校正業務を行う方法や、校正専門の会社に就職する方法があります。そのほかにも、通販雑誌を制作する通販会社やWeb制作会社で校正担当者を募集している場合もありますので、チェックしてみるとよいでしょう。

「校正」には資格が必要?

「校正」に資格は必要ありません。ただし、「校正」は言葉や文法に関する豊富な知識が求められる仕事ですので、資格を取得していれば校正のスキルや知識があることを証明できるでしょう。「校正」についての資格や検定を紹介します。

校正技能検定

校正技能検定は日本エディタースクールが実施する、「校正」に必要な技能や知識を認定する検定試験です。初級・中級・上級の3段階があります。受験資格が設定されているため、受験する前に確認しておきましょう。実技試験と学科試験があり、校正に必要な一般知識から実際の修正作業までを包括的に問う内容の試験です。

校正士

校正士認定試験は、一般財団法人実務教育研究所が実施する、校正実務講座の修了生を対象とした試験です。校正士認定試験に合格すると、校正士の資格を取得できます。校正実務講座は通信講座で学べ、校正士認定試験も在宅校正を想定した、自宅で受ける試験です。知識を問うのではなく、実践的な技能を試す内容となっています。

「校正」を英語でいうと?

「校正」を英語でいうと?

「校正」は英語で「proofreading」です。「この間違いは校正で修正する必要があります。」は英語で、「This mistake should be corrected in the proofreading.」と表現します。

まとめ

「校正」は文章に誤字脱字や間違った表現などがないかを確認する作業のことを意味します。文章や情報の信頼性を保ち、正しい情報を伝えるための、出版前の大切な工程が「校正」です。「校閲」や「校了」など、関連する言葉も含めて覚えておきましょう。また「校正」は、言葉と文法に関する豊富な知識と、膨大な量の文章を一文字ずつ確認する根気強さが求められる仕事です。通信講座で学べる資格もありますので、「校正」に興味がある方は検討してみてはいかかでしょうか?

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