「フィードフォワード」という言葉をご存じですか?「フィードバック」という言葉に似ていますが、大きく異なる点があります。今回は「フィードフォワード」の意味や「フィードバック」との違い、メリット・デメリット、使い方、詳しく学べる本を紹介します。
「フィードフォワード」の意味とは?
「フィードフォワード」とは英語で「feed forward」と書きます。「フィードフォワード」とは、未来への前向きな意欲や自主性を育てることを目的としており、新たな人材育成方法として注目されています。
「フィードフォワード」と「フィードバック」の違い
「フィードフォワード」とよく似た言葉に「フィードバック」がありますが、大きく意味が異なります。どのような違いがあるのか、3つの点についてまとめました。
視点の時間軸
「フィードフォワード」は「未来に掲げた目標に対してどのように行動していくのか」といった、未来に視点を置いています。
一方で、「フィードバック」は「過去の行動を振り返り、原因を明らかにし軌道修正していく」といった、過去や現在に視点を置いており、「フィードフォワード」とは視点の時間軸が異なっていることがわかります。
間違いの指摘方法
「フィードフォワード」ではこれからの行動に対して指摘していくため、指摘内容は「前向きなアイデア」が中心です。
一方、「フィードバック」では過去の行動を振り返るため、間違いや失敗といった「マイナス面」に対して指摘していきます。軌道を修正していくにはわかりやすい手法ですが、「マイナス面」に対する指摘が続くと、指摘を受けた人によっては感情もマイナスになっていくかもしれません。
着眼点
「フィードフォワード」では「未来に向けてするべきこと」に着眼して指導していきます。
これに対して、「フィードバック」では「問題点や欠点」に着眼して指導していきます。
「フィードフォワード」のメリットとデメリット
新たな人材育成方法として注目されている「フィードフォワード」ですが、メリットだけではありません。
「フィードフォワード」のメリットとデメリットについてまとめました。
メリット
「フィードフォワード」のメリットは以下の通りです。
- 批判的なアドバイスになりにくいため、受け入れられやすい
- 幅広いアイデアが生まれ、自分にはない新しい考え方を取り入れられる
- 自主性が尊重され、前向きな思考を育成しやすい
デメリット
「フィードフォワード」のデメリットは以下の通りです。
- 「フィードフォワード」の実施にあたって、全体が理解を持たなければならない
- 「フィードバック」から「フィードフォワード」への切り替えには時間がかかる
「フィードバック」のメリットとデメリット
続いて、「フィードバック」のメリットとデメリットについてまとめました。
メリット
「フィードバック」のメリットは以下の通りです。
- 前向きな「フィードバック」は相手のモチベーションを高める
- 効果的な「フィードバック」は相手のスキルアップにつながる
デメリット
「フィードバック」のデメリットは以下の通りです。
- 「フィードバック」を行った結果、相手のモチベーション低下を招く場合がある
- 指摘が主観的な内容になりやすい
「フィードフォワード」と「フィードバック」の使い方
それぞれにメリットとデメリットがある一方で、「フィードフォワード」と「フィードバック」を組み合わせて使うことで、両方の恩恵を受けられます。
そこで、「フィードフォワード」と「フィードバック」の具体的な使い方を紹介します。
「フィードフォワード」の使い方
「フィードフォワード」は「未来を見据えてどのように行動していくか」という前向きな思考を育てるのが得意です。良かった点や長所を褒めつつ、改善策をポジティブな言葉で伝えると、相手にとって受け入れられやすいアドバイスになるでしょう。
「フィードバック」の使い方
「フィードバック」は「過去の行動を振り返り、原因を明らかにして軌道修正する」ことを目的としているため、結果をもとにした改善点を明確にするのが得意です。自分で改善策を見つけるのが苦手な人にとっては、内容がはっきりとした指摘を受けることで、自主的な分析がしやすくなるでしょう。
両方を活かすと相乗効果が得られる
例えば、「フィードフォワード」で前向きな思考を育てつつ、「フィードバック」で明確なアドバイスを伝えることで、心が折れにくくなり、長所を伸ばしやすくなります。
このように、「フィードフォワード」と「フィードバック」の両方をうまく利用していくことで、デメリットをカバーしてメリットをより活かすことが可能なのです。
「フィードフォワード」と「フィードバック」の具体例
「フィードフォワード」と「フィードバック」にはそれぞれのメリットとデメリットがあり、両方をうまく使うことで、相乗効果が得られるとお伝えしました。
ここでは、より具体的な使い方を、例を挙げて紹介します。
「フィードフォワード」の具体例
「フィードフォワード」を活用する際は、上司や同僚など、同じ職場で働くメンバー同士が「話し合える場」を頻繁に設けることが重要です。普段からメンバー同士が意見交換していくことで、気づきを得たり、前向きなアイデアをもらえたりと、メンバー同士のチームワークや各メンバーのスキルの向上にもつながっていきます。
また、「フィードフォワード」は部下の人材育成だけではなく、管理職などの上位の立場にいる人材育成にも有効です。
「フィードバック」の具体例
「フィードバック」を活用する際は、前向きな気持ちを引き出しやすい「ポジティブ・フィードバック」と、課題点を指摘して改善策を自分で考えさせるといった「ネガティブ・フィードバック」をうまく利用することが重要です。
いずれの「フィードバック」も、3つのステップを用いると効果的です。
- 良い部分や悪い部分を具体的に指摘する
- 指摘した部分がどのような結果をもたらしたかを明らかにする
- 次の行動を具体的に考えさせる
「フィードフォワード」の類義語・言い換え
「フィードフォワード」の類義語・言い換えとして、「フィードフォワード-アクションプロセス」が挙げられます。「FFAプロセス」と略され、「フィードフォワード」から「アクション」に行動を移していくといったプロセスを繰り返していく、という意味があります。
「フィードフォワード」の対義語
「フィードフォワード」の対義語は、何度も出てきた「フィードバック」です。「フィードバック」は英語で「feed back」と書き、「forward」が「前方へ」という意味であるのに対し、「back」が「後方へ」という意味であることからもわかります。
「フィードフォワード」について学べる本
「フィードフォワード」は比較的新しい人材育成方法であるため、すぐに取り入れていくことは困難かもしれません。
そこで、「フィードフォワード」について学べる本を2冊紹介します。
いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード
「いつも結果を出す部下に育てるフィードフォワード」は「フィードフォワード」の取り入れ方ややり方について書かれた本です。「フィードフォワード」を取り入れることでどのような未来を築けるのか、読むと現状とは違った未来をイメージできるでしょう。
フィードフォワード
「フィードフォワード」という本のタイトル通り、「フィードフォワード」のノウハウが詰まっている本です。「フィードフォワード」の手法を学ぶことで、上司やリーダーとしての負担が軽くなるかもしれません。
まとめ
「フィードフォワード」は「フィードバック」と異なる人材育成方法であり、前向きな思考を育てやすいです。若手の人材育成において「フィードフォワード」を採用することで、より頼もしい部下を育てられるでしょう。
「フィードフォワード」と「フィードバック」を組み合わせて、より豊かな人材を育てる楽しみを味わってみてください。