「おしゃれ・かっこいい」と注目を浴びている「大和言葉」。「大和言葉」とは日本古来の言葉で、代表的な言葉が「ありがとう」。この記事では、「大和言葉」の意味や女の子・男の子の名前、ビジネスにも役立つ「自然・季節」などの分野別一覧表を紹介します。
「大和言葉」の意味とは?
「大和言葉(やまとことば)」とは、「奈良時代以前から存在している日本固有の言葉」です。漢字の音読み・訓読みでいえば「訓読み」するもので、ひらがなで表記する「大和言葉」も多くあります。そのほかにも、「大和言葉」には次のような特徴があります。
・擬声語以外の大和言葉には、言葉の頭に濁音・半濁音がつかない
・言葉の頭に「ラ行」がない
・合成語がつくられる場合に、語系に変化がある
普段何気なく話している日本語の中には「大和言葉」がふんだんに含まれています。どんな言葉があるのか、この記事で後述します。
「大和言葉」の類義語・言い換え
「大和言葉(やまとことば)」は言い換えると次のように表現されます。
・和語・倭語(わご)
・雅語(がご)
・雅言(がげん・みやびごと)
・和詞(やまとことば)
・和歌(わか)
・やまとうた
・やまとことのは
「大和言葉」の対義語
「大和言葉」は、奈良時代以前から存在している日本固有の言葉。この観点から「大和言葉」の対義語は、「漢語(中国語起源の日本語)」、「ポルトガル語やオランダ語、フランス語や英語などに由来する漢語以外の外来語」、「混種語(漢語と外来語と和語が組み合わされた言葉)」です。それぞれの外来語の例を挙げてみましょう。
・漢語由来の日本語:「注意」「河川」「執筆」「自由」「着席」「学問」など
・外来語:「サラリーマン(英語由来の和製英語)」「アラカルト(フランス語由来の外来語)「カステラ(ポルトガル語由来の外来語)」「ランドセル(オランダ語由来の外来語)」「明太子(韓国語由来の外来語)」「イクラ(ロシア語由来の外来語)」など
・混種語:「サボる」「ガラス窓」「駅ビル」「野菜サラダ」など
「大和言葉」の使い方と使うときの注意点
「大和言葉」を使う場合、どんな使い方があるのか、使うメリット、また使うときの注意点を解説します。
「大和言葉」の使い方
「大和言葉」は、日常生活だけでなくビジネスの場においても使える言葉です。どのような言葉があるのかはこの記事で後述していますので、用途によって使い分けられるようにしましょう。
「大和言葉」の使うメリット
「大和言葉」には、やさしさやおだやかさ、ふんわり感、品の良さがあります。「大和言葉」を使うことによってオブラートに包むかのような表現ができるので、言いにくいことなどを間接的に表現できるのです。
「大和言葉」を使用するときの注意点
「大和言葉」はおだやかさや品の良さを表現できる言葉。反面、「大和言葉」は直接的でなく間接的な表現になるため、相手・受ける側の状況によっては、「遠まわしに表現された」「結局何がいいたいのかわからない」「気取ってる」と捉えられてしまうことがあります。
「大和言葉」のメリットが逆にデメリットになってしまうこともあるので、「大和言葉」を使う場合には臨機応変に、相手の状況を考慮する必要があります。
「大和言葉」の分野別一覧表
次に、「大和言葉」にはどのような言葉があるのか紹介します。ここでは次のように分類していますので、用途に応じて使い分けられるようにしましょう。
・季節の「大和言葉」(春・夏・秋・冬)
・心の様子をあらわす「大和言葉」
・名前に使える「大和言葉」(女の子の名前・男の子の名前・性別問わずどちらにも合う名前)
・自然・花を使った「大和言葉」
・用例をあらわす「大和言葉」
季節の「大和言葉」
まずは、季節の「大和言葉」を紹介します。
季節の「大和言葉」は、和歌や俳句などにおける「季語」ともいえる言葉です。
春の「大和言葉」
春の「大和言葉」は次のような言葉があります。
・霞(かすみ)朝焼け・夕焼け・日の出の頃。または日没の頃に空が赤く見える現象。
・朧月(おぼろづき)月の光がぼんやりとかすんで見える様子。
・淡雪(あわゆき)うっすらと儚(はかな)い雪。
・立春(りっしゅん)二十四気の一つで、暦の上で春が始まる日。節分の翌日を指す。
・雨水(うすい)二十四気の一つで、立春から十五日目をさす。陽暦の二月十九日ごろ。雪が雨に変わり、草木が芽吹き始める時季のこと。
・麗か(うららか)うるわしく、おだやかな様子。
・夜桜(よざくら)夜の桜、または夜に桜を見ること。
・春分(しゅんぶん)二十四気の一つ。昼と夜の長さの同じ日が一年に二回ある、その春の方の日。
・東風(こち)春に吹く、東側からの風。
・花曇り(はなぐもり)桜の花が咲く時期の曇り空のこと。どんより重い曇りではなく、うす曇りを指す。
夏の「大和言葉」
夏の「大和言葉」は次のような言葉があります。
・陽炎(かげろう)強い日光が地面を照りつけ、その反射で立ちのぼる気。
・空蝉(うつせみ)この世に生きている人間のこと。
・炎暑(えんしょ)真夏の焼けつくような熱さのこと。
・青梅雨(あおつゆ)梅雨に雨が降り注ぎ、樹々の葉が青々している様子。
・炎天下(えんてんか)焼けつくような強い日差しのこと。
・青田(あおた)稲の田んぼが青々と茂っていること。
・夏至(げし)二十四気の一つで、太陽が最も北に寄り、北半球では昼が一番長い日を指す。
・打ち水(うちみず)夏の暑さを和らげるために、軒先や庭に水をまいて涼をとること。
・薫風(くんぷう)初夏の風。
・涼風(すずかぜ)夏の終わりを感じさせる、涼しい風。
秋の「大和言葉」
秋「大和言葉」は次のような言葉があります。
・霧(きり)空気中に浮かぶ細かい水滴で、「ぼやけている・暗い・細かい・散る・消える」などの例え言葉。
・夜長(よなが)夜が長いこと。秋が深まるにつれて夜が長くなることから、秋の深まりを表す。
・立秋(りっしゅう)二十四気の一つで、暦の上で秋が始まる日を指す。
・中秋(ちゅうしゅう)陰暦の八月十五日を指し、一年で最も月が美しい日とされる。
・名月(めいげつ)月が美しいさま。通常は「中秋の名月」と言い表す。
・宵闇(よいやみ)月の出が遅くなる時期に、辺りが暗いこと。
・秋気(しゅうき)秋の雰囲気・秋の気配。
・野分(のわき・のわけ)秋の終わりから冬の初めにかけての突風。台風を指すこともある。
・白露(はくろ)二十四気の一つで秋分の十五日前を指す。転じて、冬が近づいていることを指す。
・秋時雨(あきしぐれ)秋の終わりから冬の始まりにかけて、突然空色が変わって降ってくる雨を指す。
冬の「大和言葉」
冬の「大和言葉」は次のような言葉があります。
・大晦日(おおみそか)1年の終わりの日のこと。大晦(おおつごもり)ともいう。
・木枯らし(こがらし)秋の終わりから冬の初めにかけて吹く、冷たくて強い風。
・小春日和(こはるびより)秋の終わりから冬の初めにかけての、よく晴れた暖かい日のこと。
・氷柱(つらら)水のしずくが寒さにより凍ること。
・樹氷(じゅひょう)低温の影響で、樹木が凍りつくこと。
・立冬(りっとう)二十四気の一つで、暦の上で冬が始まる日を指す。
・大寒(だいかん)二十四気の一つで、一年で最も寒い日を指す。
・冬至(とうじ)二十四気の一つで、北半球では昼の時間が一番短い日を指す。
・冬支度(ふゆじたく)厳しい冬の寒さを温かく過ごせるよう準備をすること。
・冬ごもり(ふゆごもり)外の寒さを避けるため、外出せずに温かい場所にとどまること。
心の様子をあらわす「大和言葉」
心の様子を表す「大和言葉」は次のような言葉があります。
・愛おしい(いとおしい)大切で、かわいがりたい様子。
・慈しむ(いつくしむ)かわいがって大切にする様子。
・忍ぶ(しのぶ)我慢する、堪える。過去や人を恋しく感じる様子。
・哀れ(あわれ)かわいそうに感じる気持ち。
・心遣い(こころづかい)その人のために気をつかうこと、思いやること。
・忌み嫌う(いみきらう)嫌がって避けること。
名前に使える和の単語「大和言葉」
次に、子どもの名づけに使える「大和言葉」を紹介します。最近では「オシャレ・品がある・カッコイイ」と、「大和言葉」を使った名づけが注目されています。
女の子の名前に合う「大和言葉」
女の子の名前に合う「大和言葉」
・麗(うらら)
・愛(めぐみ)
・桜(さくら)
・霞(かすみ)
・椿(つばき)
・和(なごみ)
・穂(ほのか)
・翠(みどり)
男の子の名前に合う「大和言葉」
男の子の名前に合う「大和言葉」
・新(あらた)
・要(かなめ)
・響(ひびき)
・昴(すばる)
・直(すなお)
・敦(あつし)
・誠(まこと)
・歩(あゆむ)
性別問わず男の子女の子どちらの名前にも合う「大和言葉」
性別問わず男の子女の子どちらの名前にも合う「大和言葉」
・忍(しのぶ)
・楓(かえで)
・光(ひかる・ひかり)
・翼(つばさ)
・実(みのり)
・有(ゆう)
・樹(いつき)
・澪(みお)
自然・花を使った「大和言葉」
自然・花を使った「大和言葉」
・恋蛍(こいぼたる)恋こがれている様子。
・空の鏡(そらのかがみ)秋の名月のたとえ。
・泡沫(うたかた)泡のように、はかなく消えやすいもののたとえ。
・袖の露(そでのつゆ)悲しみで泣き、服の袖が涙で濡れること。
・玉響(たまゆら)しばらくの間。
用例をあらわす「大和言葉」
用例をあらわす「大和言葉」
・有難う(ありがとう)感謝を表す言葉。
・この上なく(このうえなく)最上級である様子。
・ご遠慮なく(ごえんりょなく)気兼ねがない様子。
・お引き立て(おひきたて)目をかける、気にする様子。
まとめ
「大和言葉」は奈良時代以前より使われてきた日本古来の言葉で、現在は「オシャレ・古風・カッコイイ」と注目を浴び、子どもの名前を「大和言葉」から名づける親御さんが増えています。「大和言葉」はビジネスにおいても多用されていますが、使い方によっては「遠まわし・回りくどく」聞こえてしまう場合があるため、使い方には注意が必要です。