学ぶ立場の人にとって「考察」はとても重要なことです。レポートで考察の項目は必須で、何かを学ぶときに「考察する」という行為も必要になってくるからです。今回は「考察」の言葉の意味や、レポートで用いる「考察」の使い方も含めて解説します。
「考察」の意味とは?
レポートなどでいざ考察を書こうと思っても、そもそも「考察」とは何を意味するのか悩んだ方もいるのではないでしょうか。まず、「考察」は「こうさつ」と読みます。物事を解明するために、よく考えることという意味があります。その中には「自分で調べる」という行為も含まれており、自分で行動して解析し、結果を導き出す、という意味を表しているのです。
参照:Weblio辞書「考察」
「考察」を使った例文
考察という言葉を文章内で使うとき、例として以下のようなものがあります。
- それはさまざまな方向からの考察を必要とする問題だ。
- 新しいシステムを導入した効果について考察する。
- 考察するには時間が必要だ。
「考察」の類義語
考察の類義語として、「検討」「考慮」「勘案」などが挙げられます。
どれも考察とは少しずつ意味が違ってきますが、具体的にどう違うのでしょうか。意味を理解することで、状況に応じた使い分けができるようになり、語彙の幅が広がります。また、例文もあわせて紹介します。
「検討」の意味と「考察」との違い
「検討」は考察と違い、「考えること」を主にした言葉です。
また「~について検討する」という使い方をすると、上手くいかない可能性もある、というニュアンスも含んだ意味になります。例文は以下の通りです。
- この件に関しては一度持ち帰り、検討したいと思います。
- 契約内容について、ご検討をお願い申し上げます。
「考慮」の意味と「考察」との違い
「考慮」はすでに明らかになっている、あるいはすでに決まっていることを元に、これからどうするのかを考える、という意味合いがあります。考察は自分で調べることも意味の内に入りますので、そこが考察と考慮の違いだといえます。「考慮する」「考慮の上」「考慮に入れる」などと表記するのが一般的です。
- 先方の事情を考慮した上で、内容の詳細を決定したい。
- メンバー全員の意見を考慮に入れたいと思っていますが、期日を考えると難しいかもしれません。
「勘案」の意味と「考察」との違い
「勘案」には、さまざまな事柄を考え合わせること、事柄について入念な調べを行ってから考えることという意味があります。「よく考えること」という意味をもつ点では考察と同義ですが、複数の事柄について考える際にしか用いられません。
例文は以下の通りです。
- 諸々の事情を勘案した上で、正式に決定いたします。
- この決定は、社員の意見を総合的に勘案した結果といえるでしょう。
「考察」と混同されがちな言葉
考察の類語として混同されがちな言葉に「結果」「感想」「反省」などがあります。それぞれどう違うのかきちんと意味を理解し、正しく使いましょう。
「結果」の意味と「考察」との違い
「結果」は、ある物事から起きた結末を表す言葉です。結末に至るまでの過程を含まないので、「自分で調べる」という意味も持つ考察とは違ってきます。
「感想」の意味と「考察」との違い
「感想」は、ある物事に対して自分が感じた考えなどを意味します。個人の感情なので「よく調べて考える」という意味はなく、考察のような正確性がありません。
「反省」の意味と「考察」との違い
「反省」は、自分の行動が正しかったかどうかを考える言葉です。「考える」という意味では考察に近いですが、正しかったかどうか、つまり間違っていたと感じた部分について、どうすれば正解だったのか、どうすれば上手くできたのかを考えることです。考察は結論が出れば終わりですが、反省は結論が出たあとも次に活かすために考える、という意味も含まれます。
「考察」の英語表現
考察を英語で表現すると「consideration」や「discussion」が適切です。
「consideration」は「よく考えること」という意味があります。「討論」や「話し合い」という意味をもった「discussion」は、複数人での話し合いを表現する際に用いられることが多いですが、一人で考えることを表す際にも用いられます。また「考察する」という言葉を英語にすると「view」や「consider」という形に変化します。view a problem (問題を考察する)consider a question in all its aspects (問題をあらゆる角度から考察する)のように使われます。
例文は以下の通りです。
- I want to decide the content after careful consideration.
(十分考えたうえで内容を決定したい。) - It’s a discussion about the new system.
(新しいシステムに関する考察です。) - We need to consider this issue from all angles.
(我々はこの問題をあらゆる角度から考察する必要がある。)
レポート・論文での「考察」の書き方
レポートで使う考察とは、とある物事を確かめるために自らが研究や実験を行い、どうしてその結果になったのかを自分で考えて述べることです。結果が正しいものでも、間違った結果が出ても、自分の感情を挟まず論理的な文章にすることがポイントです。
レポート・論文の構成
レポートを書くとき、重要になるのがレポートの構成ですが、実はレポートにもテンプレのようなものはあるのです。流れとしては、タイトル→問題提起→仮説→目的→方法→実践→結果→考察と進み、最後に参考文献というのがテンプレです。
ですが、レポートや論文では「結果」を「先出しにするか、後出しにするか」という論争が長くあり、いまだにどちらが正しいという結論は出ていません。この先変わっていくこともありえますので、その時に合う構成を考えましょう。
「考察」を書くときの注意点
レポートなどで考察を書く場合に気をつける点は、考察を「感想」と混同しないことです。レポートでの「結果」は起こった、あるいは得られた事実を書きます。それに対して考察は「結果を見て~という事実が分かった」のように論理的な文章にします。
「結果は~だったが、自分は~だったと思うので残念だ」のように自分の感情を混ぜてしまうと、それは考察ではなく感想になってしまうので注意しましょう。
「考察」の書き方とコツ
ここからは、考察を書くときのポイントも交えつつ、考察の流れを書いていきます。レポートを書く際などに参考にしてください。
ポイント1.一般的な認識の表記
考察では読んでいる人の共感を得るため、出だしは一般的な認識を書いておくという方法があります。また、一般的な認識を書くことで、論理的な文章に入る時のちょっとしたクッション代わりにもなるでしょう。
ポイント2.目的に対する結果を主にまとめる
レポートを書く場合、目的を決めて仮説を立て、行動し、結論を出します。考察は主に、目的に対してどのような結果が出たのかをまとめます。自分の予想通りになったこと、また異なった結果が出た理由などを詳しく書いていきましょう。
ポイント3.過去のレポートと比べてみる
もし過去に似た内容のレポートがあれば、自分のレポートとの比較を書くのもポイントです。自分が行ったものと過去のレポートでどこが違ったのか、どの部分が同じだったのかなどを比べると、考察の幅が広がるでしょう。また、自分の失敗点もわかりやすくなります。
ポイント4.新たな課題は書き方に工夫を
レポートの課題をこなしていて「今度はここを変えたい」など、新たな目標や課題が出てきた場合、その課題を考察に書くことは控えた方がよいでしょう。考察は理論的に書くことが重要なので、本人の感情は考察とは異なるものだからです。もし考察に新しい意見を書きたいならば、一つの意見として「~のようなことが考えられる」というように記述しましょう。
まとめ
「考察」には、よく考えることという意味があります。自分で調べるという意味も含まれているため、「感想」「反省」「結果」などの言葉とは意味が異なるので注意しましょう。また英語表現を身に付けたり、類語を知っておくことで、語彙の幅が広がるでしょう。