ビジネスの会話で使われる「リソース」は、どのような場面で使うのが正しいのでしょうか。「リソース」はさまざまな意味をもちますが、使い方に注意しないと意味を誤解される恐れもあります。「リソース」の正しい意味と使い方、類語、例文を紹介します。
「リソース」の意味とは?
ビジネス用語、IT用語の両方で使われる「リソース」という言葉は、意味を正しく理解しないと間違った使い方をしてしまったり、言いたいことが正確に相手に伝わらなかったりする可能性があります。ここでは「リソース」の意味について詳しく解説します。
「リソース」の英語の意味
日本語の「リソース」の語源である英語の「resource」は、「資源・物資・財源」という意味を表す名詞です。「Human resource(人的資源)」や「Financial resources(財源)」など、「resource」の前に何の資源なのかを表す単語を付けて使うのが一般的です。ビジネスに関連する言葉だけでなく、水・鉱物・森林などの自然に関連する資源についても「resource」を使って表現されます。
「リソース」の日本語の意味
日本語の「リソース」は、英語と同じく「資源・供給源・物資・財源・資産」などを意味する言葉ですが、ビジネス用語とIT用語の2つの使い方があります。ここでは、その2つについて詳しく解説します。
ビジネス用語としての「リソース」
ビジネスの場での「リソース」は、主に人、物、お金、情報について話題にするときに使います。「リソース」は「使用可能な資源」という意味なので、会社の所有する設備や、ときには仕事に充てる時間も含める場合があります。「リソース」は人が管理することで増減させたり、補ったりできるものだと覚えておくとよいでしょう。ビジネスのさまざまな場面で使える便利な用語ですが、幅広い意味をもつため、使われる文脈ごとに意味をしっかりと理解していく必要があります。
IT用語としての「リソース」
ITやWebの分野では、コンピューターのCPUやメモリの処理能力を表す際に「リソース」を使います。ソフトウェアやハードウェアを動かすために必要な領域のことを指す場合が多く、コンピューターの処理速度が遅いという意味で「リソース不足」と表現することがあります。
「リソース」と「ソース」の違い
「リソース」とよく似た言葉に「ソース」があります。これら2つの言葉は似ているようで、実は全く違う意味をもちます。「リソース」や「ソース」という言葉を見聞きしたときに正しく理解できるよう、整理しておきましょう。
「ソース」の英語の意味
日本語の「ソース」の語源である英語の「source」は、「みなもと・出どころ・情報源」という意味を表す名詞です。「resource」は人や物や情報などの資源を表し、人の意思で管理や変化させられるものです。一方で、「source」はどこから来たかという源泉を指す言葉なので、時間がたっても変化しない普遍的なものだといえます。
「ソース」の日本語の意味
日本語の「ソース」には、英語と同じく「出どころ・情報源」という意味と、IT用語で「プログラムの処理内容を書いたテキストファイル」という2つの意味があります。情報の出どころを尋ねる「ソース」と、プログラムが正しく動くためにその処理内容を指示する「ソース」、どちらも「みなもと」という点は共通しているので、基本的には英語と同じ意味だと理解しておきましょう。
「リソース」の類義語・言い換え表現
「リソース」を書き言葉や話し言葉で伝えるときに、相手の理解度に合わせてもっとわかりやすい言葉にしたい、または多くの人の目に触れる資料ではフォーマルな言い方にしたい場合があるでしょう。英語や日本語で「リソース」を別の語句に言い換えたいとき、どう表現すればいいのかを紹介します。
「リソース」の英語の類語
「resource」の英語の類語として「asset」という言葉があります。意味は「resource」とほぼ同じで「資産」を指しますが、他に「貴重なもの、強み」というニュアンスもあわせもちます。不動産や資金など持っているだけで価値がある保有資産について「asset」を使う場合が多く、人・物・情報など、持っているだけでは価値はないが、それを資源として売り上げなどの良い結果を生み出すものについて「resource」を用いるという使い分けができます。
「リソース」の日本語の類語
「リソース」は人、物、お金、情報について話題にするときによく使う言葉なので、資源、財源、供給源などと言い換えられます。人員配置に関する話題であれば「ヒューマンリソース=人的資源」、物に関する話題であれば「リソースマネージメント=物品管理」、資金に関する話題であれば「ファイナンシャルリソース=財源・予算」などの用語を代わりに使えます。
「リソース」を使う場面と注意点
「リソース」はどんな場面で使うのが適切なのでしょうか。周りの人が使っているからと、正しいかどうかを確認せずになんとなく使った場合、恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。そうならないために、「リソース」を使うときの注意点もあわせて解説します。
仕事をすすめる上で必要となる人・物・お金・情報などが十分に足りているか、もしくはそれらを使える余地(空き)があるかどうかを尋ねる場面で、「リソース」が多く使われます。会社の経営やプロジェクトの成功には「リソース」は必要不可欠なものです。身近で話題にのぼったらとても重要な話だという認識をもち、しっかりと耳に入れておきましょう。
ビジネス用語としての「リソース」と、IT用語としての「リソース」は使い方や意味が異なるので注意が必要です。いま話題になっていることは何か、場面や文脈ごとに「リソース」の意味を慎重に解釈していきましょう。もしも言葉の解釈に行き違いがあり、それがのちに大きな間違いにつながるとビジネスの場では大変な問題になってしまいます。自分の解釈に不安がある場合は、相手に確認することも大事です。
ビジネスシーンでの「リソース」の使い方・例文
「リソース」の意味や使う場面を正しく理解できたら、次のステップとして日々の会話などで実際に活用していきたいですね。ビジネス用語・IT用語それぞれの場合の使い方について、例文をまじえながら詳しく見ていきます。
ビジネス用語としての「リソース」を使った例文
・新規プロジェクトの立ち上げにはヒューマンリソースが不足している
プロジェクトに必要な人的資源が不足している、という意味で「リソース」を使っています。
・リソース管理はわが社の重要な経営課題だ
事業に必要な物品や設備を管理する、という意味で「リソース」を使っています。
・事業拡大のために外部リソースの活用も視野に入れている
外部リソースとは、自社の外にある資源を指します。他社に業務委託をする、という意味で「リソース」を使っています。
このように、ビジネス用語としての「リソース」は人、物、お金、情報など幅広い意味で使うことができます。
IT用語としての「リソース」を使った例文
・コンピューターの動きが遅いのはリソース不足が原因だ
コンピューターの処理能力が下がっている、という意味で「リソース」を使っています。
・明日はシステムのリリース日なのでリソースを十分確保する必要がある
新たなシステムに耐えうるコンピューターの処理能力を確保する、という意味で「リソース」を使っています。
IT用語としての「リソース」は、システムを円滑に動かすために必要なコンピューターの領域という意味で使えます。
まとめ
「リソース」は「資源・物資・財源」がもともとの意味ですが、ビジネス用語やIT用語など、場面によって何を指すかが異なるため、慣れるまでは慎重に意味を解釈する必要があります。そのぶん、さまざまな場面で使える便利な言葉なので、「リソース」を正しく理解して実生活で積極的に活用していきましょう。