一挙手一投足の意味と使い方は?由来と例文、一挙一動など類語も解説

「一挙手一投足」の意味と使い方は?由来と例文、「一挙一動」など類語も解説
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「一挙手一投足に気を配る」などと使う、「一挙手一投足(いっきょしゅいっとうそく)」を紹介します。由来や例文、英訳なども解説。「一挙一動」をはじめ、意味が似ている四字熟語もチェックします。「一挙手一投足」の正しい意味と使い方がわかりますよ。

目次

「一挙手一投足」の意味は複数ある

「一挙手一投足」の意味は複数ある

「一挙手一投足」には、主に2つ意味があります。それぞれ説明します。

「動作」を表す

「細かい1つひとつの動作や行動」や「すべての行動」が、一般的な「一挙手一投足」の意味です。手足だけでなく、肩や眉を少し動かすような動作も「一挙手一投足」に含まれます。小さな動作1つを取り上げても、大きく行動全体を指す場合でも「一挙手一投足」といいます。

「労力」を表す

「一挙手一投足」を文字通り解釈した「1度だけ手を挙げ、足を動かす」が転じて、「ほんのわずかばかりの労力」を表します。「ちょっとした骨折り、苦労」や「少しの努力」が「一挙手一投足」に当てはまります。

参照:Weblio辞書「一挙手一投足」

「一挙手一投足」の由来・語源

「一挙手一投足」の由来・語源

「一挙手一投足」は中国から日本に伝わった言葉です。その出典と由来を紹介します。

出典

中国の唐時代中期に詩人・韓愈(かんゆ)が記した書物『応科目時与人書(かもくにおうずるとき ひとにあたうるのしょ)』が、「一挙手一投足」の出典です。韓愈は唐の文学者・思想家。官職につきながら優れた詩を詠み、散文文体を確立しました。白居易(はくきょい)とともに、唐時代を代表する詩人「韓白」だと並び称されています。

「一挙手一投足の労」が由来

「一挙手一投足」のもとになった文章は「もし力有る者、その窮を哀れみてこれを運転せんか、けだし一挙手一投足の労ならん。いささか試みに首をあげて一たび鳴号せん。なんぞ力有る者のその窮を哀れみて、一挙手一投足の労を忘れて、これを清波(せいは)に転ぜざるを知らんや」です。「一挙手一投足の労」という表現が2回登場します。この文章を現代語訳にすると「もし力がある者が、この弱っている怪物を水場まで連れて行こうという気持ちがあれば、それは一挙手一投足のわずかな労力にすぎません。私は天を仰いで泣きたい。なぜ力ある者が私を憐れんで、一挙手一投足の労を惜しみ、私を清らかな波のなかへと連れて行けることに気づかないのでしょうか」です。

この文章は、韓愈が官吏の登用試験を受けたときのものです。当時の採用試験では、だれかの推薦が合格のために欠かせませんでした。しかし家柄がよくない韓愈には推薦人がいません。そこで、韓愈は試験官に宛てて、自分を推薦するよう頼む手紙を書きました。つまり、この手紙で「一挙手一投足の労」が指すのは、「試験官が韓愈を推薦するための手間」です。

「一挙手一投足」の使い方と使う場面

「一挙手一投足」の使い方と使う場面

どんな場面で「一挙手一投足」を使うのかについて、解説します。「一挙手一投足」をどの意味で使うかによって、ふさわしい場面が異なる点に注目です。

見逃せない場面

「一挙手一投足に注目です」など、「注目すべき、見逃せない」場面で使います。この場合の「一挙手一投足」は、「細かい動作や行動」の意味です。お芝居やスポーツの試合など実際の動作に注目する場面と、「期待の新人」のように脚光を浴びる人の動向に注目する場面でも使います。

気になって仕方がない場面

「相手の一挙手一投足に神経を逆なでされる」のように、「だれかの行動が気になって仕方がない」場面で使います。この「一挙手一投足」は「細かい動作や行動」を表します。期待や好奇心をもって注目するのではなく、「気に障る」や「イライラする」といったネガティブなニュアンスです。

気を遣う場面

「一挙手一投足に気を配って挨拶した」のように、「細かい動作まで気を遣う」場面に用います。主に他人の行動ではなく、自分の行動や動作について述べる使い方です。

労力が必要な場面

「一挙手一投足の労を惜しまないでください」のように、「何らかの労力や手間が必要な」場面で使います。ほとんどが「一挙手一投足の労」の言い回しです。大仕事ではなく、ちょっとした労力やひと手間について述べる場面で使います。

「一挙手一投足」を使った例文

「一挙手一投足」を使った例文

「一挙手一投足」を使った例文を挙げます。

例文
  • 気鋭の新進俳優は次から次に話題作に出演し、その一挙手一投足に注目が集まっている。
  • 休日は夫の一挙手一投足に苛立ってしまう。これが倦怠期なのだろうか。
  • 書類を提出する前に、最後の確認をしてください。この一挙手一投足の労を惜しまないだけで、つまらないミスが減ります。
  • 一挙手一投足の労だと気軽に用事を頼むかもしれないが、積もり積もれば大きな負担になってしまう。
  • 上司に一挙手一投足を見守られているかと思うと委縮してしまう。見て見ぬふりくらいがちょうどいいのに。

「一挙手一投足」の類義語・言い換え表現

「一挙手一投足」の類義語・言い換え表現

「一挙手一投足」の類語、言い換えられる表現を紹介します。

「一挙一動」

「一挙一動(いっきょいちどう)」は、「ほんのわずかな動作」や「動作や行動の1つひとつ」を表す四字熟語です。「一挙手一投足」とほぼ同じですが、「わずかな労力」の意味は含みません。「一挙一動の労」とはいわない点に要注意。「一挙一動」を使った例文を挙げます。

例文
  • 子どもの成長は目覚ましく、その一挙一動を記録に残しておきたい衝動にかられる。
  • 取引先を訪問するさいは会社を代表していると思って、自分の一挙一動に気を配るべきです。
  • 相手の一挙一動は気にせず、自分のことに集中しよう。

「立ち居振る舞い」

「立ち居振る舞い(たちいふるまい)」は、「立ったり座ったりの動作」つまり「日常の動作」を表します。具体的な動作を指す場合にも、全体的な身のこなしを指す場合にも使う表現です。「立ち振る舞い(たちふるまい)」または「起居(ききょ)」とも言い換えられます。「起居」は具体的な動作ではなく、日常の動き全般を表します。「起居をともにする」で「寝起きを共にする」や「生活をともにする」のようなニュアンスです。以下に「立ち居振る舞い」を使った例文を挙げます。

例文
  • 立ち居振る舞いが美しい人は、とても上品に見える。
  • 接待でお酒を飲んだときこそ、立ち居振る舞いには気を付けたいものです。
  • 立ち居振る舞いは、第一印象を決定づける重要なポイントだ。

「一言一行」

四字熟語「一言一行(いちげんいっこう)」は、「ちょっとした言動とおこない」や「何気ない言動」の意味です。言動にも重きを置いた表現ですが、言動も含めた行動全体を指しています。「一挙手一投足」も手足を動かす動作にとどまらず、その人の行動1つひとつを表すため、「一言一行」と共通しています。出典は、中国南北朝時代の学者・顔之推(がんしすい)が記した訓戒の書『顔氏家訓(がんしかくん)』です。「一言一行」を使った例文を挙げます。

例文
  • 彼女の一言一行をみれば、彼女がいかに努力家かがわかります。
  • だれかを傷つけていないかと心配になり、ふと自分の一言一行を振り返った。
  • 一言一行を謹んで、慎重にことを運びたい。

「挙措」

「挙措(きょそ)」は「立ち居振る舞い」と同じ意味で、「日常の動作」を表します。「一挙手一投足」の意味とは違いますが、「あげることと置くこと」とくに「官職を与えることと免ずること」の意味でも使います。四字熟語では「挙措動作(きょそどうさ)」または「挙措進退(きょそしんたい)」。振る舞いが美しい様子を「挙措端正(きょそたんせい)」、振る舞いが乱れる様子を「挙措を失う」など、さまざまな言い回しがあります。「挙措」を使った例文を挙げます。

例文
  • 彼はアクシデントで動揺し、挙措を失ってしまった。
  • 挙措端正な人といると、穏やかですがすがしい気分になれます。
  • 同僚の細かい挙措が気になり、打ち合わせに集中できませんでした。

「所作」

「所作(しょさ)」の意味は、「おこない、しぐさ」や「身のこなし」です。「一挙手一投足」と共通の意味ではありませんが「しわざ」や「演技」、または「職業」も表します。「所作」を使った例文を挙げます。

例文
  • 私の話を聞いた父は、大げさな所作で驚いてみせた。
  • 茶道の稽古をはじめてから、ふだんの所作にも気を使うようになった。
  • 彼の洗練された所作は、その場にいた人たちの注目を浴びていた。

「一挙手一投足」の英語表現

「一挙手一投足」の英語表現

「一挙手一投足」の英語表現を意味ごとに解説します。

「動作」を表す英語表現

「一挙手一投足」の意味のうち「すべての行動」を表すのが、「every move」です。「ちょっとした動作もすべて」のニュアンスも含みます。「all one’s movements」や「every action」も同様です。

「労力」を表す英語表現

「一挙手一投足」の「わずかな労力」を表すのが、「the slightest effort」です。また「do not stir a finger」は「指一本動かさない」、つまり「一挙手一投足の労もとらない」の意味で使います。

まとめ

「一挙手一投足」の意味は「ちょっとした動作やおこない」と「わずかな労力」の2つあり、それぞれの意味にあった言い回しで使うことが大切です。だれかの行動について、あるいは手間や労力について述べるときに「一挙手一投足」を使ってみてください。

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