「ガブリエル」の意味とは?大天使が描かれた絵画や文学作品、熾天使との違いも紹介

ガブリエル

「ガブリエル」とは、キリスト教をはじめとした宗教や西洋美術、文学作品に登場する大天使です。「ガブリエル」の意味と起源、登場する西洋美術や文学作品、熾天使との違い、大天使以外の「ガブリエル」も紹介します。

目次

「ガブリエル」の意味と起源

「ガブリエル」の意味と起源

「ガブリエル」とは、ミカエルやラファエルなどとともに、宗教をはじめ、美術や文学など芸術作品でも度々登場する大天使を指します。「神の使者」「神の強さ」といった意味を持つ天使でもあります。

キリスト教やユダヤ教、イスラム教の天使の一人

「ガブリエル」とは、キリスト教やユダヤ教、イスラム教などの宗教における大天使の一人。キリスト教では「ミカエル」と「ガブリエル」で二大天使、「ラファエル」を加えて三大天使、ユダヤ教では「ウリエル」も合わせて四大天使とも呼ばれています。本来ユダヤ教の聖典であった旧約聖書では二大天使のみ描かれていることからもわかるように、ミカエルとともに重要な天使に位置付けられています。

神の言葉を伝達する「神の人」を意味する

「ガブリエル」とは、ヘブライ語で神の言葉を伝達する「神の人」を意味する言葉でもあります。大天使長ミカエルに次ぐ大天使であり、唯一神の左に座することを許された存在です。「ガブリエル」は神の代弁者として、さまざまな場面で神からの言葉を伝える役割を担っています。

古代オリエントの神話に登場する神が起源とされている

「ガブリエル」は、古代オリエントや地中海地方の神話に登場する神が起源とされています。語源の由来は、シュメール語で「支配者・統治者」を意味する「gbr」で、英語では「Gabriel」と表記します。創世記(旧約聖書)の中で「ガブリエル」は、エデンの園の統括者であり、9つある天使の階級のうち上位第二位に位置する智天使(ケルビム)の支配者でもあります。

大天使「ガブリエル」が描かれた有名な西洋美術

大天使「ガブリエル」が描かれた有名な西洋美術

大天使「ガブリエル」が描かれている西洋美術作品は多数ありますが、「ガブリエル」が聖母マリアにキリストの生誕を伝えるモチーフ「受胎告知」の場面に登場します。「受胎告知」は新約聖書に書かれたエピソードのひとつで、聖母マリアへの信仰から生まれた芸術作品の題材です。絵画の中で「ガブリエル」は女性的、または両性的に描かれることが多いのが特徴です。

シモーネ・マルティーニ「受胎告知」

「大天使ガブリエル」が登場する西洋美術に、シモーネ・マルティーニの「受胎告知」があります。現在ウフィツィ美術館に所蔵されているマルティーニの「受胎告知」は、マリア様に受胎告知する大天使ガブリエルの姿が美しい金色の背景の中に描かれています。数ある「受胎告知」の中でも、この作品の聖母は人間的な表情が印象的で、身をよじらせながら、拒絶ともとれる表情を見せています。オリーブを手にしたガブリエルも、注意深く聖なるお告げを伝える様子が見てとれます。

フラ・アンジェリコ「受胎告知」

フラ・アンジェリコがサン・マルコ美術館(修道院)の壁画に描いた「受胎告知」にも、「大天使ガブリエル」が登場します。フラ・アンジェリコは敬虔な人物で、天から授かった画才で信仰を形にするために、長い祈りを捧げてから絵筆を取っていたことから、「天使のような修道士」と死後に称されるようになりました。この作品では、聖母マリアが体の前で手を組み、受胎告知を受け入れる姿勢を表しています。ガブリエルのカラフルな翼の色使いと豪華な衣装が特徴的な絵画です。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」

レオナルド・ダ・ヴィンチも「受胎告知」の中に、「大天使ガブリエル」を登場させています。ダ・ヴィンチの「受胎告知」は、ヴェロッキオの工房で修行していた際に描かれた初期の代表作です。天使の翼は非現実的に描かれることが多い中、この作品では本物の鳥の羽のような写実的な描かれ方をしています。ガブリエルの右手はピースサインをしており、死者の木とされる4本の杉の木はイエスの運命を、ガブリエルの持つユリの花はマリアの処女性を象徴しています。

サンドロ・ボッティチェッリ「受胎告知」

「大天使ガブリエル」は、サンドロ・ボッティチェッリの「受胎告知」にも登場します。ボッティチェッリの「受胎告知」は、美しく描かれたガブリエルの手に呼応するように、とまどいながらも受け入れるマリアの様子が表現されています。身をよじりながら真意を受け入れる姿は、師匠のフィリッポ・リッピの「受胎告知」に大きな影響を受けていることがうかがえます。ボッティチェリはこの作品以外にも「受胎告知」を残していますが、もっとも鮮やかで煌びやかな作品といわれています。

大天使「ガブリエル」が登場する文学作品

大天使「ガブリエル」が登場する文学作品

「大天使ガブリエル」は、西洋美術だけでなく、文学作品にも宗教的な意味合いで取り上げられています。「大天使ガブリエル」が登場する代表的な文学作品を見ていきましょう。

中世フランスの叙事詩「ローランの歌」

「大天使ガブリエル」が登場する文学作品に、中世フランスの叙事詩「ローランの歌」があります。778年に起こったロンスヴォーの戦いをもとにした作品で、フランク王国のカール大帝に仕えた勇者ローランの奮闘と最期が描かれています。「ローランの歌」の中で、ガブリエルはローランを天国へと導いた大天使として登場します。

ジョン・ミルトン「失楽園」

イギリスの詩人ジョン・ミルトンの長編叙事詩「失楽園」にも、「大天使ガブリエル」が登場する場面があります。「失楽園」は、神に最初につくられた人間であるアダムとイブが、悪魔サタンの誘いで楽園にある禁断の実を食べてしまい、楽園から追放されるといった「旧約聖書」の創世記をもとに創作された物語です。その中で「大天使ガブリエル」は、天使の長としてエデンの園を守る存在として登場し、ミカエルとともに、神に背いた大天使サタンの軍勢に対抗する様子が描かれています。

「大天使」と「熾天使」の違いと使い方

「大天使」と「熾天使」の違いと使い方

「ガブリエル」は、天使の階級の中で大天使に位置づけられる天使ですが、熾天使(セラフィム)であるミカエルに次いで、第2位の智天使(ケルビム)でもあります。天使の9段階を定めた神学者ディオニュシオスの著書「天上位階論」の中では、ガブリエルは下級天使に属しており、人間に近い存在とされています。大天使は厳密に位階が定義されておらず、神意を体現する偉大な天使を大天使と呼んでいます。神の側近ともいえる熾天使と大天使は別の階級に属する天使ですが、ミルトンの「失楽園」では、ガブリエルは熾天使となっています。

大天使ガブリエル以外で知られる「ガブリエル」とは?

大天使ガブリエル以外で知られる「ガブリエル」とは?

「ガブリエル」は、主に「大天使ガブリエル」を指す言葉ですが、大天使以外でよく知られる「ガブリエル」について紹介します。

イギリスの女優「ガブリエル・アンウォー」

「大天使ガブリエル」のほかに、有名な「ガブリエル」として知られる人物に、イギリスの女優「ガブリエル・アンウォー」が挙げられます。マイケル・J・フォックスと共演したラブ・コメディ映画「バラ色の選択」や、人気スパイ・アクションドラマ「バーン・ノーティス 元スパイの逆襲」など、多数の人気作品に出演しています。日本でもLUXのテレビCMに出演していたことで話題となりました。

アメリカの俳優「ガブリエル・マクト」

アメリカの人気ドラマ「SUITS/スーツ」で主人公のエリート弁護士を演じた俳優が「ガブリエル・マクト」。代表作である「SUITS/スーツ」のほかにも、「ビバリーヒルズ青春白書」や「ザ・スピリット」「ホワイトアウト」など、さまざまな人気作品で活躍しています。海外ドラマファンであれば、知らない人はいないほどの絶大な人気を誇る俳優のひとりです。

YouTuber「ガブリエル」

日本で有名な「ガブリエル」といえば、YouTuberの「ガブリエル」がいます。YouTuberの「ガブリエル」は、同じくYouTuberの「ラファエル」に対抗するかたちで現れ、ラファエルの白い仮面と反対の黒の仮面がトレードマークの男性YouTuberです。一貫して素顔をあらわさないラファエルとは異なり、現在は仮面なしで私生活やカートレースについて動画を更新しています。

まとめ

「ガブリエル」とは、キリスト教やユダヤ教、イスラム教などの宗教や、西洋美術、文学作品に登場する大天使です。「神の使者」として、神の真意を伝えるメッセンジャーの役割を持っています。「ガブリエル」の意味や描かれている作品、宗教における「大天使ガブリエル」の重要性を理解し、改めて「受胎告知」や文学作品を鑑賞してみましょう。

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